「君の名前で僕を呼んで」の版間の差分
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2021年8月18日 (水) 01:01時点における版
君の名前で僕を呼んで | |
---|---|
Call Me by Your Name | |
監督 | ルカ・グァダニーノ |
脚本 | ジェームズ・アイヴォリー |
原作 |
アンドレ・アシマン 『Call Me by Your Name』 |
製作 |
ピーター・スピアーズ ルカ・グァダニーノ エミリー・ジョルジュ ホドリゴ・テイシェイラ マルコ・モラビート ジェームズ・アイヴォリー ハワード・ローゼンマン |
製作総指揮 |
デレク・シモンズ トム・ドルビー マルガレート・バイユー フランチェスコ・メルツィ・デリル ナイマ・アベド ニコラス・カイザー ソフィー・マス ロウレンソ・サンターナ |
出演者 |
アーミー・ハマー ティモシー・シャラメ マイケル・スタールバーグ アミラ・カサール エステール・ガレル ヴィクトワール・デュボワ |
音楽 | スフィアン・スティーヴンス |
撮影 | サヨムプー・ムックディプローム |
編集 | ヴァルテル・ファサーノ |
製作会社 |
フレンジー・フィルム・カンパニー RTフィーチャーズ ヴァルテルズ・エンド・プロダクションズ La Cinéfacture |
配給 |
ソニー・ピクチャーズ クラシックス ファントム・フィルム |
公開 |
2017年11月24日 2018年4月27日 |
上映時間 | 130分[1] |
製作国 |
アメリカ合衆国 ブラジル イタリア フランス |
言語 |
英語 イタリア語 フランス語 |
製作費 | 350万ドル[2] |
興行収入 | $3,476,888[3] |
『君の名前で僕を呼んで』(きみのなまえでぼくをよんで、原題:Call Me By Your Name)は、2017年のイタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合衆国合作の青春映画。監督はルカ・グァダニーノ、主演はティモシー・シャラメ[注 1][4][5]とアーミー・ハマーが務めた。2017年1月にサンダンス映画祭で初上映された。原作はアンドレ・アシマンが2007年に上梓した小説『Call Me by Your Name』。
映画では原作小説の物語の途中までしか描かれておらず、グァダニーノは『恋人までの距離』のような構成で続編を製作することを構想している[6]。また、幾つかの重要なシーンはDVDに収録せず、続編で使用すると明言している[7]。原作では1987年の設定だが、エイズが社会問題になる前を描くため設定を1983年に変更。続編ではエイズ問題について触れると述べている[8]。
ストーリー
1983年、17歳のエリオ・パールマン(ティモシー・シャラメ)は、今年も両親と共に北イタリアの別荘で一夏を過ごしている。エリオは、アメリカの名門大学で教鞭をとるギリシャ・ローマ考古学の教授と、何か国語も流暢に話す母親の一人息子だ。アカデミックな環境に育ったエリオは、他の同年代の子供に比べて文学や古典に親しみ、翻訳(英語、イタリア語、フランス語を流暢に話す)や、音楽の編曲を趣味にする(ピアノとギターを弾く)など、成熟した知性豊かな子どもに成長した。
毎年パールマン教授は、博士課程の大学院生を1人、アシスタントとして別荘に招待する。今年やってきたのは、課程論文を執筆中のオリヴァー(アーミー・ハマー)だった。自信と知性に満ちたオリヴァーをエリオは初め嫌厭するが、次第に彼に対して抑えることのできない感情に駆られていく。エリオとオリヴァーは、6週間という限られた時間の中で情感と情熱溢れる恋を経験する。
キャスト
※括弧内は日本語吹替[9]。
- エリオ・パールマン - ティモシー・シャラメ(入野自由[10])
- オリヴァー - アーミー・ハマー(津田健次郎[10])
- Mr.パールマン - マイケル・スタールバーグ(星野充昭)
- エリオの父。大学教授[11]。
- エリオの母。
- マルシア - エステール・ガレル(下山田綾華)
- キアラ - ヴィクトワール・デュボワ(櫻庭有紗)
- マファルダ - バンダ・カプリオロ(伊沢磨紀)
- アンキーゼ - アントニオ・リモルディ(箆津弘順)
- バンビ - エレナ・ブッチ
- ニコ - マルコ・エスグロッソ
- ムニール - アンドレ・アシマン[注 2](宮崎敦吉)
- アイザック - ピーター・スピアーズ[注 3](さかき孝輔)
製作
2015年9月11日、ジェームズ・アイヴォリーがアンドレ・アシマンの小説『Call Me By Your Name』の脚色を行っており、シャイア・ラブーフとグレタ・スカッキの起用を念頭に置きながら執筆を進めていると述べた[12]。
『胸騒ぎのシチリア』のプロモーション活動中に、ルカ・グァダニーノはアンドレ・アシマンの『Call Me By Your Name』を映画化したいと述べていた。モーリス・ピアラの『愛の記念に』からインスピレーションを受けたとも語った[13]。グァダニーノは「原作小説の性描写を映像化することに関心はないのです。そんなことをすれば、私の構想から大きく逸れたものが出来上がってしまうからです。」「観客の皆様には2人の冒険に身を委ねてもらい、初恋の甘酸っぱさを感じ取ってもらいたいのです。自分と2人がどう違うのかを理解してもらいたいわけではないのです。私にとっては、原作小説の見事な世界観を表現することが大事なことなのです。この映画全体の理念は、人間が他者との交流を通して美しくなったり、高められたり、輝きを増したりするということにあるのですから。」とも述べている[14]。
アイヴォリーとグァダニーノは共同で監督を務める予定だったが、出資者たちが2人の間に対立が生じる懸念を示したため、グァダニーノが単独でメガホンを取ることとなった。アイヴォリーは「私は脚本の執筆に9ヶ月あまりを費やしました。脚本が出来上がったとき、それは上々の評価を得ました。最終的には、出資者を得て脚本が映画化されることとなりました。しかし、フランスの出資者が奇妙にも私とグァダニーノの共同演出に難色を示したのです。多分、彼らの懸念は正しい物だったのでしょう。演出により長い時間を費やすことにもなるでしょうし、セットで口論になったらと考えるだけでも怖い。だからこそ、私は脚本の映画化権をグァダニーノの会社に売却したのです。」と語っている[15]。
当初、アイヴォリーが執筆した脚本には俳優が全裸になるシーンがあったが、グァダニーノはそれを修正せざるを得なかった。ティモシー・シャラメ及びアーミー・ハマーとの契約条項の中に、全裸での撮影を禁ずる条項があったためである。この件に関して、アイヴォリーは「これがアメリカ的態度なのです。全裸の女性が出てきてもそれほど気にしないでしょうし、驚きもしないでしょう。しかし、男性が全裸になると話が違ってきます。これは根深い文化であって、『何故そうなっているのか』を問うてみるべきでしょう。」と語っている[16]。一方、グァダニーノは「(男性のヌードシーンが多い映画は)市場でヒットする基準を満たせないでしょう」と語っている[16]。
エリオとオリヴァーが夏を過ごした街については、イタリアのクレーマでロケ撮影が行われた[17]。
公開
本作は2017年1月22日にサンダンス映画祭でプレミアを迎えた[18][19]。なお、ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが本作の北米配給権を購入したのはその前のことであった[20]。2月13日には第67回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門で上映された[21][22]。日本では、2018年4月27日に公開された。
興行収入
2017年11月24日、本作は全米4館で限定公開され、公開初週末に41万2932ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場14位となった[23]。1館当たりの興行収入は2017年の最高記録であった。また、1館当たりの興行収入が10万ドルを超えたのは『ラ・ラ・ランド』(2016年)以来であった[24][25]。
評価
本作がサンダンス映画祭でプレミア上映された際、その後に出てきた批評家のレビューは絶賛一色であった[26]。
続編の可能性
サンダンス映画祭のプレミア上映の段階で、グァダニーノは「エリオとオリヴァーはこの作品のさらに先へ行ける」と続編の製作に含みを持たせていた[27]。10月16日、グァダニーノはロンドン映画祭の席上で「2020年には続編を作りたいと思っています。」「続編はリチャード・リンクレイター監督のビフォア・シリーズのようなスタイルになるでしょう。年齢を重ねたエリオとオリヴァーの物語を語るのです。エリオの年齢とティモシーの年齢を重ね合わせるなら、3年後、2人は25歳になっています。その頃には、2作目の物語が準備されていることでしょう。」と語った[28]。アシマンの原作小説では、15年後にエリオとオリヴァーが再会する様子が描かれているが、本作ではその部分が省かれることになった。グァダニーノは「エリオは同性愛者にならなくても良いと思います。彼はまだ自分の居場所を見つけていません。私はエリオがマルツィアとの交際を始めるだろうと思っています。」「(続編の舞台となるであろう)1990年代のイタリアはシルヴィオ・ベルルスコーニの時代の始まりであり、湾岸戦争の時代でもあります。」と述べている[29][30]。
受賞・ノミネート一覧
賞 | 日付 | カテゴリ | 対象者 | 受賞結果 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
第90回アカデミー賞 | 2018年3月5日 | 脚色賞 | ジェームズ・アイヴォリー | 受賞 | [31][32] |
脚注
注釈
出典
- ^ “Guide”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Armie Hammer on His Steamy New Movie, a Charmed Upbringing and Oscar's "Double Standards"”. 2017年12月18日閲覧。
- ^ “Call Me by Your Name (2017)”. 2017年12月18日閲覧。
- ^ “ウディ・アレン新作にセレーナ・ゴメス!”. 2017年12月2日閲覧。
- ^ “22:05 - 2017年12月1日 by@PHANTOM_FILM”. 2017年12月2日閲覧。
- ^ http://www.indiewire.com/2017/10/luca-guadagnino-call-me-by-your-name-sequel-details-1201887813/
- ^ [1]
- ^ 'Call Me by Your Name' Director Reveals Details of the Planned Sequel[2]
- ^ “君の名前で僕を呼んで”. ふきカエル大作戦!!. (2018年4月20日) 2018年4月20日閲覧。
- ^ a b “『君の名前で僕を呼んで』日本語吹替版も公開 声優に入野自由&津田健次郎”. CINRA.NET. 2018年4月9日閲覧。
- ^ お父さんってやっぱりかっこいい…!父の日に観たい映画15本
- ^ “James Ivory’s Home Befits His Extraordinary Life”. 2017年7月20日閲覧。
- ^ “Luca Guadagnino Discusses Fashion in ‘A Bigger Splash’”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Why Luca Guadagnino Didn't Include Gay Actors or Explicit Sex Scenes in 'Call Me by Your Name' (Q&A)”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “James Ivory on Screenwriting”. 2017年9月24日閲覧。
- ^ a b “‘Call Me By Your Name’ Screenwriter is Disappointed There’s No Male Full Frontal Nudity”. 2017年11月10日閲覧。
- ^ “The town where Call Me by Your Name was filmed is on lockdown, and Timothée Chalamet is ‘heartbroken’” (英語). PinkNews (2020年3月19日). 2020年3月20日閲覧。
- ^ “Call Me by Your Name”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Sundance 2017: Robert Redford, New Rashida Jones Netflix Series, ‘Rebel In The Rye’ & More On Premiere, Docu, Midnight & Kids Slates”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Sundance: Gay Love Story ‘Call Me by Your Name’ Sells to Sony Pictures Classics (EXCLUSIVE)”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Call Me by Your Name”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Berlin Rounds Out Panorama Lineup, Adds ‘Call Me By Your Name’ & ‘God’s Own Country’”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “November 24-26, 2017”. 2017年12月18日閲覧。
- ^ “Thanksgiving Box Office: 'Coco' Gobbles Up 'Justice League' With $71.2M”. 2017年12月18日閲覧。
- ^ “‘Call Me By Your Name’ Scores Year’s Best Average Opener At $101K; ‘Darkest Hour’ Has Robust Start – Specialty Box Office”. 2017年12月18日閲覧。
- ^ “Call Me By Your Name”. 2017年3月8日閲覧。
- ^ “Call Me by Your Name Director Luca Guadagnino on Armie Hammer, Sequels, and Screen Intimacy”. 2017年11月28日閲覧。
- ^ “Luca Guadagnino Is Planning Call Me by Your Name Sequels, Before Sunrise Style”. 2017年11月28日閲覧。
- ^ “Call Me By Your Name’s Director Would Like to Do a Sequel, Please”. 2017年11月28日閲覧。
- ^ “Luca Guadagnino Planning ‘Call Me By Your Name’ Sequel For 2020”. 2017年11月28日閲覧。
- ^ ギレルモ・デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』作品賞含む最多4部門受賞!<受賞結果リスト>シネマトゥデイ(2018年3月5日), 2018年3月5日閲覧。
- ^ 映画ファンが「官能的…」と高評価!大胆で美しい「ラブシーン」がある映画って? - ライブドアニュース