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ファミリー・ツリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ファミリー・ツリー
The Descendants
著者 カウイ・ハート・ヘミングス
訳者 堤朝子
発行日 アメリカ合衆国の旗 2007年5月15日
日本の旗 2012年4月10日
発行元 アメリカ合衆国の旗 ランダムハウス
日本の旗 ヴィレッジブックス
ジャンル 小説
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
形態 文庫本
ページ数 440
公式サイト www.villagebooks.co.jp
コード ISBN 978-4-86332-377-3
ウィキポータル 文学
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ファミリー・ツリー』(原題:The Descendants「子孫たち」)は、2007年に発表されたカウイ・ハート・ヘミングス英語版による小説。これを原作とするアレクサンダー・ペインが共同脚本と監督を務めた同名映画は高い評価を受け、興行でも成功を収めた。

ファミリー・ツリー
The Descendants
監督 アレクサンダー・ペイン
脚本 アレクサンダー・ペイン
ナット・ファクソン
ジム・ラッシュ
原作 カウイ・ハート・ヘミングス
製作 アレクサンダー・ペイン
ジム・テイラー
ジム・バーク
出演者 ジョージ・クルーニー
シェイリーン・ウッドリー
ボー・ブリッジス
ジュディ・グリア
マシュー・リラード
撮影 フェドン・パパマイケル
編集 ケヴィン・テント
製作会社 アド・ホミネム・エンターテインメント
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 2011年11月16日
日本の旗 2012年5月18日
上映時間 115分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $40,275,000[1]
3億453万円[2] 日本の旗
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ストーリー

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オアフ島ホノルルに住む弁護士マット・キングは友人達から天国だろうと羨ましがられているが、実態は仕事に追われる日々で、自宅にも滅多に帰らない日々を送っていた。彼にはカウアイ島にある1860年代から先祖代々受け継がれてきた広大な土地を7年後の信託を前に売却するかどうかという大問題があり、父親の死後はマットが受託者になっていた。売却すれば自然は失われるものの一族に数億ドルもの資金が入る。彼の親戚達は売却益を分けることを望んでおり、彼も売却益で妻とゆっくりした生活をしたいと望んでいた。そんなある日、妻エリザベスがボート事故に遭い、意識不明の重体となる。数ヶ月も会話がなかった当てつけかとも思うと身にしみる。10歳の次女スコッティは情緒不安定になり、重体の母親の写真を級友に見せたり、友人をイジメたりと問題ばかり。全寮制学校へ通う17歳の長女アレックスの迎えに行くと、心の動揺や二日酔いのせいで、母との確執の原因はクリスマスに母が浮気をしたためだと告白。親友夫妻からもエリザベスが淋しさから真剣に離婚を考えていたことが判明。マットは病室で会話もできず問い詰めることもできず思い悩む。妻の容態が悪くなり、医師がもう助かる見込みはないと彼に説明し、妻の意志に従って生命維持装置を外すことになる。

マットは娘二人と年が離れたボーイフレンドらと共に、先祖代々の土地とエリザベスの浮気相手に会うためカウアイ島に飛ぶ。カメハメハ大王の孫のおばあちゃんが遺してくれた景勝地キプ・ランチに見納めかもしれないと向かう。神秘的な光景が広がる雄大な原野で、厳かであたたかく包み込むような美しい自然が広がっていた。カウアイ島のいとこと話していて、浮気相手のスピアーが売却予定の不動産業者の義弟であり、予定通り売却すればスピアーにも多額の手数料が入ることになると分かる。マットはアレックスとコテージを訪ねて詰問するが、スピアーには家族があり、離婚する気はなかったと話しマットに詫びた。

親族一族で投票が行われて売却先はスピアーの関係するホリツアーが断トツだったが、マットはサインせず、自然豊かな土地を所有し続ける方法を考えたいと宣言。裁判にするという親戚も出てくるが、マットの決意は固かった。

いよいよ生命維持装置は外され、妻の死が近くなってきたとき、スピアーの妻ジュリーが花をもって病室を訪れる。夫の態度から浮気が分かってショックを受けたのだが、家族を壊すかもしれなかったエリザベスには「赦すしかない」と泣きながら語りかける。

エリザベスの骨はワイキキの沖にみんなで流した。マットは娘達ともう一度やり直すことを誓った。

キャスト

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※括弧内は日本語吹替

製作

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撮影は2010年3月15日、ハワイで始まった[3]。ポストプロダクションは6月14日に始まり、2011年2月まで続く予定であった[4]

サウンドトラックはさまざまなアーティストによるハワイ音楽ですべて占められている[5]

公開

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2011年9月2日、テルライド映画祭で初上映されたのち[6]トロント国際映画祭ニューヨーク映画祭などで上映された[7]

一般公開は当初2011年12月16日の公開が予定されていたが、11月23日[8]、11月18日[9]と前倒しされたのち、最終的に11月16日に公開された。わずか29館での限定公開にもかかわらず、週末3日間で$1,190,096を売り上げ、ランキングで10位に入った[1]

評価

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本作は批評家から概ね高い評価を得た。映画のレビューを集積するウェブサイトRotten Tomatoesは167件のレビューから90%の支持率、8.3/10という評価の平均を示し、批評家の総意を「おかしく、感動的で、美しい演技のある『ファミリー・ツリー』は、予想のつかない人生の無秩序さを、説得力と稀有な優しさで捉えている」としている[10]。有力媒体の批評から100点満点の加重平均値を導くMetacriticは42件の批評を基に84という「全面的支持」の値を示している[11]

受賞とノミネート

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部門 対象 結果
ハンプトンズ国際映画祭 ブレイクスルー演技賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
ハワイ国際映画祭 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
ハリウッド映画祭 主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
スポットライト賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
ロンドン映画祭 作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
ゴッサム・インディペンデント映画賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
アンサンブル演技賞 出演者 ノミネート
ブレイクスルー演技賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
トップ作品 『ファミリー・ツリー』 受賞
ワシントンD.C.映画批評家協会賞 脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
AFI トップ10 『ファミリー・ツリー』 受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
ニューヨーク映画批評家オンライン賞 脚本賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
インディアナ映画批評家協会賞 脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
ヒューストン映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
脚本賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
サンディエゴ映画批評家協会賞 助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
デトロイト映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
ブレイクスルー演技賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
監督賞 アレクサンダー・ペイン 受賞
脚本賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
サテライト賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
編集賞 ケヴィン・テント ノミネート
女性映画批評家協会賞 若手女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
男性イメージ賞 ジョージ・クルーニー 受賞
男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
若手女優賞 アマラ・ミラー ノミネート
シカゴ映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
有望俳優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
セントルイス映画批評家協会賞 脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
サウスイースタン映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
フロリダ映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 受賞
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
ユタ映画批評家協会賞 脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
オクラホマ映画批評家協会賞 主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
フェニックス映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
ブレイクスルー演技賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
若手女優賞 アマラ・ミラー ノミネート
第15回オンライン映画批評家協会賞 作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
セントラルオハイオ映画批評家協会賞 助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
アンサンブル演技賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
ブレイクスルー映画芸術家賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
クリティクス・チョイス・アワード 主演男優賞 ジョージ・クルーニー 受賞
作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
アンサンブル演技賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
若手俳優賞 シェイリーン・ウッドリー ノミネート
ロンドン映画批評家協会賞 主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
脚本賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
ゴールデングローブ賞 作品賞 (ドラマ部門) 『ファミリー・ツリー』 受賞
主演男優賞 (ドラマ部門) ジョージ・クルーニー 受賞
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
脚本賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ ノミネート
全米映画俳優組合賞 キャスト賞 ボー・ブリッジス、ジョージ・クルーニー、ロバート・フォスター、
ジュディ・グリア、マシュー・リラード、シェイリーン・ウッドリー
ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
インディペンデント・スピリット賞 脚本賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
助演女優賞 シェイリーン・ウッドリー 受賞
作品賞 『ファミリー・ツリー』 ノミネート
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
アカデミー賞 脚色賞 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 受賞
作品賞 ジム・バーク、ジム・テイラー、アレクサンダー・ペイン ノミネート
主演男優賞 ジョージ・クルーニー ノミネート
監督賞 アレクサンダー・ペイン ノミネート
編集賞 ケヴィン・テント ノミネート

備考

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参考文献

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  1. ^ a b The Descendants”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年1月3日閲覧。
  2. ^ キネマ旬報」2013年2月下旬決算特別号 215頁
  3. ^ Guerrasio, Jason (2010年3月15日). “Alexander Payne’s “The Descendants” Begins Shooting”. Filmmaker Magazine. http://www.filmmakermagazine.com/news/2010/03/alexander-paynes-the-descendants-begins-shooting/ 2011年11月25日閲覧。 
  4. ^ Fischbach, Bob (2010年7月18日). “Payne busy editing Hawaii family drama”. Omaha World-Herald. http://www.omaha.com/article/20100718/ENTERTAINMENT/707189926/0 2011年11月25日閲覧。 
  5. ^ “‘The Descendants’ Soundtrack Announced”. Film Music Reporter. (2011年10月9日). http://filmmusicreporter.com/2011/10/09/the-descendants-soundtrack-announced/ 2011年11月25日閲覧。 
  6. ^ Feinberg, Scott (2011年9月2日). “Telluride 2011: Clooney Shines in 'The Descendants,' But Will Awards Voters Embrace a Downer?”. The Hollywood Reporter (Prometheus Global Media). http://www.hollywoodreporter.com/race/telluride-2011-clooney-shines-descendants-230890 2011年11月25日閲覧。 
  7. ^ Finke, Nikki (2011年11月20日). “‘Breaking Dawn’ Breaks Box Office Slump: $139.5M Domestic Weekend & $283.5M Global Total; ‘Happy Feet 2’ Disappoints”. Deadline Hollywood (PMC). http://www.deadline.com/2011/11/big-overseas-box-office-for-breaking-dawn/ 2011年11月25日閲覧。 
  8. ^ “Release Date Moves: Searchlight’s ‘The Descendants’, CBS Films’ ‘The Woman In Black’”. Deadline Hollywood (PMC). (2011年7月28日). http://www.deadline.com/2011/07/release-date-moves-searchlights-the-descendants-cbs-films-the-woman-in-black/ 2011年11月25日閲覧。 
  9. ^ Abrams, Rachel (2011年9月7日). “'Descendants' gets earlier bow”. Variety (Reed Business Information). http://www.variety.com/article/VR1118042405 2011年11月25日閲覧。 
  10. ^ The Descendants (2011)”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2011年12月12日閲覧。
  11. ^ The Descendants”. Metacritic. CBS Interactive. 2011年11月25日閲覧。
  12. ^ Comment|映画「ファミリー・ツリー」オフィシャルサイト 5月18日(金)TOHOシネマズ 日劇他全国ロードショー at the Wayback Machine (archived 2016-04-12)

外部リンク

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