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青木正児

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
青木正児あおき まさる
人物情報
別名 君雅(字)・迷陽(号)
生誕 (1887-02-14) 1887年2月14日
日本の旗 日本 山口県下関市
死没 (1964-12-02) 1964年12月2日(77歳没)
国籍 日本の旗 日本
出身校 京都帝国大学
配偶者 青木艶子
両親 青木坦平
子供 青木敦(次男)
中村喬(四男)
学問
研究分野 中国文学中国語
研究機関 大日本武徳会武術専門学校
龍谷大学
同志社大学
平安中学校
東北帝国大学
関西学院大学
立命館大学
山口大学
九州大学
博士課程指導教員 狩野直喜
幸田露伴
鈴木虎雄
内藤虎次郎
学位 文学博士(京都帝国大学)
主な業績 京都学派(京都支那学)の発展に寄与
中国の食文化・風俗を学術レベルで研究・紹介
名物学を体系的に整理
小島祐馬本田成之らと『支那学』創刊
主要な作品 『華国風味』『中華名物考』『中華飲酒詩選』
学会 日本学士院
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青木 正児(あおき まさる、旧字体靑木正兒1887年明治20年)2月14日 - 1964年昭和39年)12月2日)は、大正から昭和中期の中国学者・中国文学者日本学士院会員。山口県下関市出身。君雅迷陽があり、迷陽先生とも呼ばれる[1]

研究

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生涯を通じ中国文学・文物に親しみ、その風雅を紹介し古典中国文学を文学研究としての観点から学術評価した。従来趣味的な要素の強かった中国の食文化風俗を、学術レベルで研究・紹介した先駆者である。

名物学を体系的に整理したことでも知られる[2][3]

師の狩野君山内藤湖南らが興した京都支那学の発展に寄与した。同世代の小島祐馬本田成之らとともに『支那学』誌の創刊に携わり、後続の吉川幸次郎倉石武四郎らに影響を与えた。

略歴

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年譜が『青木正児全集』第10巻などに収録されている[4]

  • 1887年(明治20年)2月14日、山口県下関市の漢方医、青木坦平の次男として生まれる。坦平は白石照山に漢学を学んだほか、南画家を自宅に招いたり、妻や娘に中国の音楽をさせるなど、支那趣味があり、正児自身も、幼少期より、文学美術を好み学んだ。
  • 1905年(明治38年)
  • 1908年(明治41年)9月 創設された京都帝国大学文科大学支那文学科に、第1期生として入学。狩野直喜幸田露伴鈴木虎雄内藤虎次郎(湖南)らに学ぶ。当初一年ほど教鞭を執った露伴に小説の指導を受けるが、露伴が去るとともに創作活動を断念。
  • 1911年(明治44年)狩野直喜の指導の下、「元曲の研究」をテーマとして卒業論文を提出。卒業後は、一旦下関に帰郷するが、再び京都に戻り、9月大日本武徳会武術専門学校教授となる。
  • 1913年(大正2年)4月 紀藤艶子と結婚。
  • 1918年(大正7年)8月 武術専門学校教授を辞し、9月同志社大学英文科講師および平安中学校講師を兼任。
  • 1919年(大正8年)8月 同大学・同中学校講師を辞し、9月同大学文学部教授となり、同文学部予科を兼任。
  • 1920年(大正9年) 小島祐馬本田成之(蔭軒)らとともに『支那学』誌を創刊[5]胡適周作人魯迅らと知り合い、手紙の往来が始まる。
  • 1921年(大正10年)4月30日 富岡鉄斎を訪問する。
  • 漢詩の会「麗澤社」(りたくしゃ)や水墨画の会「考槃社」(こうはんしゃ)に参加、積極的な活動をする。
  • 1924年(大正12年)4月 龍谷大学講師を兼任。12月、同志社大学文学部教授を辞し、東北帝国大学文科大学助教授に就任。
  • 1925年(大正14年) 3月26日下関より出航し、文部省在外研究員として中国留学。釜山に上陸、京城平壌奉天を経て北京に至る。4月王国維を訪ねる。
  • 1926年(大正15年)3月18日一時帰国。4月6日再び中国へ。上海に上陸。7月5日帰国。8月東北帝国大学文学部支那学第二講座(中国文学)初代教授となる。
  • 1927年(昭和2年)4月「支那文芸論藪」出版。
  • 1930年(昭和5年) 『支那近世戯曲史』により文学博士(京都帝国大学)。
  • 1935年(昭和10年)12月『支那文学概説』出版。
  • 1937年(昭和12年)9月『元人雑劇序説』出版。
  • 1938年(昭和13年)〜昭和22年(1947年) - 鈴木虎雄の後任で、京都帝国大学文学部支那文学講座の教授となる。東北帝国大学教授と兼任。
  • 1947年(昭和22年)京都帝国大学教授を退官。関西学院大学および立命館大学講師となる。
  • 1949年(昭和24年) 同大学講師を辞し、山口大学文理学部教授となる。
  • 1950年(昭和25年) 1月『清代文学評論史』出版。10月『酒の肴』出版。同大学文理学部長を歴任。
  • 1953年(昭和28年) 10月日本学士院会員となる。九州大学文学部講師兼任。
  • 1958年(昭和33年) 山口大学定年退官後、立命館大学大学院の特任教授となる。
  • 1964年(昭和39年) 12月2日、同大学院での講義終了直後、同大学校内廊下で心不全により急逝。享年77。遺著「李白

家族・親戚

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著作

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著書

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  • 金冬心の藝術』彙文堂書店 1920。作品解説
  • 『支那文藝論藪』弘文堂書房 1927
  • 『支那近世戯曲史』弘文堂書房 1930
  • 『支那文学概説』弘文堂書房 1935 
  • 『元人雑劇序説』弘文堂書房 1937
  • 『江南春』弘文堂、1941。平凡社東洋文庫 1972、ワイド版2003(小川環樹解説)
  • 『支那文学藝術考』弘文堂 1942
  • 『支那文学思想史』岩波書店 1943
  • 『抱樽酒話』弘文堂アテネ文庫 1948
  • 『酒の肴』弘文堂アテネ文庫 1949
    • 『酒の肴・抱樽酒話』岩波文庫 1989(小倉芳彦解説)
  • 『華国風味』弘文堂 1949。岩波文庫 1984、ワイド版2001(戸川芳郎解説)
  • 『中華文人画談』弘文堂「麗澤叢書」1949
  • 『清代文学評論史』岩波書店 1950
  • 琴棊書画春秋社 1958、増補版1964。平凡社東洋文庫 1990(底本は初刊)
  • 『中華名物考』春秋社 1959。平凡社東洋文庫 1988、ワイド版2007(戸川芳郎解説)
  • 『中華飲酒詩選』筑摩書房 1961。筑摩叢書 1964、新版1983ほか/平凡社東洋文庫 2008。角川ソフィア文庫 2024(各・中村喬解説)
  • 『酒中趣』筑摩書房 1962。筑摩叢書 1984。『酒の肴』+『抱樽酒話』ほか

訳注・解説

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  • 抱甕老人中国語版『通俗古今奇観』淡斎主人訳・校註、岩波文庫 1932、復刊1986ほか
  • 『歴代画論 唐宋元篇』奥村伊九良・共編訳、弘文堂書房「麗澤叢書」1942
  • 『新訳 楚辞』春秋社 1957。のち筑摩書房〈世界文学大系7・中国古典詩集〉に収録 (1961)
  • 『元人雑劇』弘文堂 1957。のち一部を、平凡社〈中国古典文学全集33 戯曲集〉に収録 (1962)
  • 『鐵齋』筑摩書房 1957。富岡鉄斎の作品集。一部・解説担当、座右版も刊
  • 袁枚随園食単』六月社 1958、随園(非売品)1964、岩波文庫 1980(水谷真成解説)
  • 『中華茶書』春秋社 1962。柴田書店(復刻版)1976、新版1982
  • 『北京風俗図譜』平凡社東洋文庫(全2巻)、1964(編著・解説 内田道夫)。平凡社(大判の単行版 全1巻)1986
  • 李白 漢詩大系8』集英社 1965。新装版『漢詩選8 李白』1996
  • 芥子園画伝』筑摩書房 1975。図版・解説の2分冊、補訂解説入矢義高

全集

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  • 青木正児全集春秋社、1969-1975、復刊1984ほか
  1. 『支那文学思想史・支那文学概説・清代文学評論史』
  2. 『支那文藝論叢・支那文学藝術考』
  3. 『支那近世戯曲史』
  4. 『新訳楚辞・元人雑劇序説・元人雑劇』
  5. 『李白』
  6. 『金冬心之藝術・中華文人画談・歴代画論・鉄斎解説』
  7. 『江南春・琴棋書画・雑纂』
  8. 『中華名物考・中華茶書・随園食単』
  9. 『酒中趣・中華飲酒詩選・華国風味』
  10. 『芥子園画伝』- 神田喜一郎補訂解説、年譜書誌

脚注

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  1. ^ 名古屋大学附属図書館研究開発室 2007, p. 25ほか.
  2. ^ 張 2007.
  3. ^ 辜 2018.
  4. ^ 名古屋大学附属図書館研究開発室 2007, p. 90f.
  5. ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰『コンサイス日本人名辞典 第5版』株式会社三省堂、2009年、6頁。

関連文献

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書籍

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  • 『中華六十名家言行録 青木正児博士還暦記念』(記念論集)、吉川幸次郎編、弘文堂 麗澤叢書、1948年
  • 東方学回想 Ⅲ 学問の思い出〈1〉』刀水書房、2000年 - 門下生との座談会(1965年)を収録
  • 辜承堯『風雅孤高の文芸者 青木正児の構築した中国学(シノロジー)の世界』東方書店、2023年。ISBN 978-4-497-22319-7
  • 水谷眞成「青木正兒」『東洋学の系譜』江上波夫編、大修館書店、1992年。ISBN 978-4469230871 

論文など

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外部リンク

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