Ba 349 (航空機)
バッヘム Ba 349 ナッター
Ba 349(Ba 349)は、第二次世界大戦末期にドイツで試作されたロケット迎撃機である。「BP20」とも称する。愛称は「ナッター(Natter、ドイツ語でナミヘビ科のヘビの意)」。
概説
[編集]Ba 349は、エーリッヒ・バッヘム博士により設計された。機体は木製で、機首に24-33発のロケット弾を装着する。エンジンはヴァルター式液体燃料ロケット機関(HWK 109-509A)1基で、垂直ランチャーから4基の固体燃料ロケットブースターを使用して発進する。発進後は目標付近まで無線誘導され、近接後機首のプラスチックカバーを外し、ロケット弾で攻撃を行う。その後、パイロットはパラシュートで脱出し、同時にエンジンも分離され、落下後に再使用する構造である。このあまりの航続距離の短さ・単純さのため、後に連合軍からは「有人対空砲」と呼ばれるようになる。
1944年12月18日にロケットランチャーからの発射テストに成功したが、これは、乗員および液体ロケット無しであった。1945年2月に液体ロケットを装着した状態で無人テストに成功し、大量生産の計画が立てられた。最初の有人テストでは搭乗員ロタール・ジーベルトが打ち上げ直後に失神し、機体ごと墜落死する事故が起きた。しかし、テストパイロット志願者は不足しなかったため、有人テストは続行された。3回ほど予定通りの発進・飛行・帰還のテストが無事に実施された所で制式化、実戦配備が決まった。結局、終戦まで数十機の生産にとどまり、10機が部隊配備されたのは1945年4月だったために実戦参加はなかったとされる(出撃したとの説もある)。航続時間を改良したB型も2機製造された。
スペック
[編集]- Ba 349A[1]
- 全長:6.18m
- 全幅:3.97m
- 主翼面積:4.80m²
- 離昇重量:2,175kg
- エンジン:ヴァルターHWK 109-509A(推力1,700kg)×1基/離昇ブースター固形燃料500kg×4基
- 最大速度:870km/h
- 上限率:10,900m/分
- 航続距離:2分(B型:4.36分)
- 武装:R4M ロケット弾×33またはフェーン73mm ロケット弾×24
- 乗員:1名
脚注
[編集]- ^ 「ドイツ軍用機の全貌」1965年酣燈社刊