JR貨物DD200形ディーゼル機関車
DD200形ディーゼル機関車 | |
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DD200形ディーゼル機関車901号機 (2019年7月 石巻駅) | |
基本情報 | |
運用者 |
日本貨物鉄道 水島臨海鉄道 京葉臨海鉄道 九州旅客鉄道 |
製造所 | 川崎重工業→川崎車両 |
製造年 | 2017年 - |
製造数 | 20両(2022年9月現在) |
主要諸元 | |
軸配置 | Bo-Bo |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
全長 | 15,900 mm |
全幅 | 2,974 mm |
全高 | 4,079 mm |
空車重量 | 58.6 t |
運転整備重量 | 58.8 t |
台車 |
軸梁式ボルスタレス空気ばね台車 FDT103(1エンド) FDT103A(2エンド) |
台車中心間距離 | 8,750 mm |
固定軸距 | 2,300 mm |
車輪径 | 910 mm |
軸重 | 14.7 t |
燃料搭載量 | 2,500 L |
動力伝達方式 | 電気式 |
機関 | 水冷4サイクルV型12気筒ディーゼル機関 FDML30Z(コマツ製SAA12V140E-3) |
機関出力 | 895 kW(1,217 PS)/ 1,900 rpm |
発電機 | 回転界磁式ブラシレス同期発電機 FDM303 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 FMT102 |
主電動機出力 | 160 kW × 4基 |
駆動方式 | 一段歯車減速吊り掛け駆動方式 |
歯車比 | 19:81 = 1:4.26 |
制御方式 | 2レベルPWMコンバータ + VVVFインバータ制御[1] |
制御装置 | 三菱電機製[2] FMPU104形主変換装置 1C1M制御×4 |
制動装置 | 電気指令式自動空気ブレーキ・ばね作動式留置ブレーキ |
保安装置 | ATS-PF・ATS-DF・ATS-SF・ATS-Ps |
最高運転速度 | 110 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
最大引張力 | 20,000 kgf |
備考 | JR貨物プレスリリース[3]、鉄道ファン2017年9月号[4]、レスポンス記事[5]、Rail Magazine2017年9月号[6]に基づく。 |
DD200形ディーゼル機関車(DD200がたディーゼルきかんしゃ)は、日本貨物鉄道(JR貨物)が2017年(平成29年)から製作している電気式ディーゼル機関車である[3][7]。
なお本項では京葉臨海鉄道、水島臨海鉄道、九州旅客鉄道(JR九州)の保有するDD200形についても記述する。
概要
[編集]非電化区間の貨物列車牽引と、貨物駅構内の入換作業の双方に使用しているDE10形・DE11形などの液体式ディーゼル機関車の老朽化に伴い、両形式の置き換えを目的に開発された[3][5][7]。DF200形とEF210形の技術を応用しており[4]、各種搭載機材を極力共通化することにより、開発および維持コスト削減を狙っている。
構造
[編集]車体構造はDE10形と同様の前後非対称ボンネット形機関車であるが、メンテナンス面で問題のあった3軸台車を廃し、通常の2軸台車でB-B形配置とし、保守面に配慮した。車軸数を減らしながらも軸重はDE10形等とほぼ同等の14.7 t(DE10形は13 t、DE11形は14 t)としたことで、従来DE10形が投入されていたローカル線でも運用できることをねらった車両となっている。最高速度も110 km/hとローカル線での多様な用途に応えられる仕様としている[6]。
駆動系はDF200形で経験を積んだディーゼル・エレクトリック方式とし保守の容易化を目指している。発電用機関はV型12気筒で排気量30.48リットルのコマツ製SAA12V140E-3型[8]ディーゼルエンジンをFDML30Zとして採用した(国鉄時代のDML30系エンジンとは無関係)。主発電機(FDM303、出力1,112 kVA)を直結している。
車体の1エンド側には内燃機関及び主発電機、主電動機送風機並びに冷却水熱交換器を搭載し、2エンド側には補助電源装置及び主変換装置を搭載する。インバータには電力変換効率の高いハイブリッドSiC素子を適用している[9]。制御関係の電機品は三菱電機が担当している[2]。
高効率機器の採用などにより従来の機関車と比べ環境性能が向上しており、それぞれ燃料消費量は20.3%、窒素酸化物(NOx)排出量は18.6%、騒音レベルは11dB低減されている[9]。
運転室内構造はDE10形やHD300形と同様に、運転台が横向きに対面式で配置されたレイアウトを採用している。また、入換作業時の誘導に当たる操車担当者の作業性を向上させるため、車端部のステップの大型化や手すりの塗り分けなどが行われている[10]。
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DD200 601(水島臨海鉄道)の
FDT103形2軸台車
(2021年9月12日 / 東水島) -
DD200 601(水島臨海鉄道)の
FDT103A形2軸台車
(2021年9月12日 / 東水島)
配置・運用
[編集]2017年(平成29年)試作機である901号機が2017年6月29日に新鶴見機関区に甲種輸送された[11]。そして、新鶴見機関区へ901号機が正式配置されたのちに報道公開がなされた[6]。
2017年8月21日・同年8月25日未明に東京貨物ターミナル駅 - 西湘貨物駅間での本線での試運転が実施され、同年10月から11月の数日にわたり東京貨物ターミナル駅 - 相模貨物駅間で電気機関車とコキ車を使用した性能試験が実施された。東北地区においては、東北本線・石巻線・仙石線での2017年11月18日に性能試験が行われている[12][13]。
2019年8月27日に量産型の1号機となるDD200-1が兵庫駅から稲沢駅まで甲種輸送され[14]、順次DE10を置き換える形で運用を開始している。
2022年4月1日現在、愛知機関区に901・1 - 23号機の計24両が配置されている[15]。
2024年3月16日ダイヤ改正時点での運用範囲は以下の通りである。なお、通常は運用線区近傍の機関区で給油や仕業検査等を受けて運用され、定期検査の都度愛知機関区と各区の間を無動力回送されている。
- 東北本線・石巻線・仙石線:仙台貨物ターミナル - 小牛田 - 石巻 - 石巻港・盛岡貨物ターミナル駅常駐入換
- 信越本線:焼島 - 新潟貨物ターミナル
- 鶴見線・東海道貨物線・南武線・武蔵野線・青梅線:安善(-単機回送-)拝島 - 横田基地
- 新湊線・氷見線・あいの風とやま鉄道線:高岡貨物 - 高岡 - 富山貨物
- 高山本線・あいの風とやま鉄道線:速星 - 富山貨物
- 東海道本線(貨物支線):稲沢 - 名古屋港
- 東海道本線・関西本線:稲沢 - 四日市
- 山陽本線・水島臨海鉄道水島本線・水島臨海鉄道港東線:岡山貨物ターミナル - 倉敷 - 水島 - 東水島
- 鹿児島本線:北九州貨物ターミナル - 西小倉
その他、臨時貨物列車等で黒山、越中島貨物、逗子、豊川、徳庵、兵庫等に入線することがある。
JR貨物以外での導入
[編集]JR貨物では、カーボンニュートラルの観点からグループ会社である臨海鉄道各社への本形式導入を推進しており、すでに一部で導入が始まっている[9]。また、九州旅客鉄道(JR九州)でも本形式の導入が行われている。以下、番台区分の順に述べる。
水島臨海鉄道(600番台)
[編集]水島臨海鉄道では、2021年5月19日に兵庫駅から水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナル駅まで600番台1両が甲種輸送され[16][17][18]、同年7月2日より運用を開始している[19]。同年9月からは、岡山貨物ターミナル駅までのJR線乗り入れ運用に使用されている[20]。
JR九州(700番台)
[編集]九州旅客鉄道(JR九州)では、2021年6月に熊本車両センターまで、SL人吉の50系客車700番台と同じ700番台の1両が甲種輸送され、同年7月13日付で新製配置された[21]。これまでと異なり、塗装は同所のDE10形に準じた黒塗装となっている。2022年には、落成時にシールドビームだったヘッドライトがLEDに換装された[22][23]。また、2022年から2024年度までの中期経営計画において「DD200形機関車新製」との記載があり、両数は不明であるが今後も導入される見通しである[24]。
京葉臨海鉄道(800番台)
[編集]京葉臨海鉄道では、当初2021年5月に同社向け車両が完成予定と報じられていたが[25]、その後同年6月に到着し、「RED MARINE」の愛称が発表された[26]。形式は800番台となっている。
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水島臨海鉄道所属の601号機
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甲種輸送中の701号機
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ヘッドライトLED化後の701号機
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 日本鉄道車輌工業会「車両技術」258号(2019年9月)「JR貨物DD200形式電気式ディーゼル機関車」pp.24 - 25。
- ^ a b 三菱電機『三菱電機技報』2018年1月号日本貨物鉄道(株)向け新形式電気式ディーゼル機関車 DD200形 システム (PDF) p.58(インターネットアーカイブ)。
- ^ a b c 『新型ディーゼル機関車の製作について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2017年6月15日 。2018年8月26日閲覧。
- ^ a b 鉄道ファン・JR貨物、2017、「新車速報 JR貨物 DD200形試作車」、『鉄道ファン』Vol. 57(通巻第677号)、交友社、2017年9月 pp. 62-63
- ^ a b 草町義和 (2017年6月16日). “JR貨物、新型ディーゼル機関車「DD200形」開発…電気式を採用”. レスポンス. イード. 2017年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月23日閲覧。
- ^ a b c Rail Magazine編集部:作成・資料提供:日本貨物鉄道、2017、『Rail Magazine』(通巻第408号)、ネコ・パブリッシング、2017年9月 pp. 120-123
- ^ a b “JR貨物,DD200形を導入”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年6月15日). 2017年6月15日閲覧。
- ^ 、2020、「コマツの鉄道用ディーゼルエンジン」、『鉄道ジャーナル』(通巻第648号)、鉄道ジャーナル社、2020年10月 p. 35
- ^ a b c 『JR貨物グループレポート2021』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道 。2022年7月31日閲覧。
- ^ “JRの新型機関車「DD200形式ディーゼル機関車」ってどんな車両? そのスペックと導入の背景を調べてみた”. GetNavi. ワン・パブリッシング (2017年7月9日). 2022年7月31日閲覧。
- ^ “DD200-901が甲種輸送される”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年6月30日). 2017年7月18日閲覧。
- ^ “DD200-901が本線試運転を実施”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年8月25日). 2017年9月7日閲覧。
- ^ “DD200 901が東北本線・石巻線で性能試験”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年11月19日). 2018年1月7日閲覧。
- ^ “DD200-1が甲種輸送される”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2019年8月29日). 2019年9月1日閲覧。
- ^ 『2022年貨物時刻表』公益社団法人鉄道貨物協会。
- ^ 「新車両導入計画?で注目度アップ JR西381系と水島臨鉄機関車」『山陽新聞デジタル』山陽新聞社、2021年5月7日。2021年5月7日閲覧。
- ^ “水島臨海鉄道 DD200形 甲種輸送”. 鉄道コム. 朝日インタラクティブ (2021年5月19日). 2021年5月19日閲覧。
- ^ “JRの電気式DLを岡山県の私鉄が初導入…水島臨海鉄道のDD200-601”. Response.. Response.jp (2021年6月4日). 2021年6月6日閲覧。
- ^ “水島臨海鉄道が新型機関車導入 「DD200」 貨物列車をけん引”. 山陽新聞 (山陽新聞社). (2021年7月13日) 2022年4月5日閲覧. "6月に試運転を行い、7月2日から自社線内の入れ替え作業で使用を始めた。"
- ^ “水島臨海鉄道のDD200形が運転開始”. 鉄道ホビダス. 鉄道投稿情報局. ネコ・パブリッシング (2021年10月2日). 2022年4月5日閲覧。
- ^ 交友社『鉄道ファン』 2022年7月号「JR旅客会社の車両配置表」
- ^ “黒塗りのDD200形が川崎重工業を出場、行き先はJR九州 熊本車両センター”. 鉄道チャンネル. エキスプレス (2021年6月19日). 2021年6月26日閲覧。
- ^ “DD200-701が「ななつ星 in 九州」の回送を牽引”. railf.jp. 鉄道ファン. 交友社 (2022年6月13日). 2022年7月10日閲覧。
- ^ “中期経営計画2022-2024” (PDF). 九州旅客鉄道 (2022年3月23日). 2022年7月10日閲覧。
- ^ 『安全報告書令和元年度』(PDF)(プレスリリース)京葉臨海鉄道、2020年7月1日 。2020年9月7日閲覧。
- ^ 『新型機関車の導入について』(PDF)(プレスリリース)京葉臨海鉄道、2021年6月10日。オリジナルの2021年6月10日時点におけるアーカイブ 。2021年6月12日閲覧。
外部リンク
[編集]- “JR貨物DD200形901号機、電気式ディーゼル機関車の試作車を公開”. マイナビ鉄道ニュース
- 本線/入換用電気式 ディーゼル機関車 (PDF) (川崎重工業・インターネットアーカイブ)