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白夜行

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白夜行』(びゃくやこう)は、東野圭吾小説集英社小説すばる1997年1月号から1999年1月号に連載され、1999年8月に刊行され、ベストセラーになったミステリー長篇。

連作短篇として連載されていたが、単行本では長篇に構成しなおして刊行された。発行部数は2005年11月の時点で55万部程度だったが、ドラマ第1話放送前後に売れ行きが伸び、2006年1月に100万部を突破した。その後2007年4月時点で120万部を超えている。

2005年に舞台化、2006年にテレビドラマ化されている。

小説

あらすじ

19年前(1973年)、大阪で起きた質屋殺し。何人もの容疑者が捜査線上に浮かぶが、決定的な証拠がないまま事件は迷宮入りに。被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂は、その後別々の人生を歩んでいくかに見えた。だが、二人の周囲には不可解な凶悪犯罪が次々と起きる…。人の心を失った故の悲劇を、叙事詩的スケールで描いている。

特徴

1973年から1992年までの19年の年月を多くの人物からの視点や、伏線を用いて描いていく長編小説。主人公の心理描写や、具体的な真実の描写をなるべく排し、読者に多様な解釈が出来るような作りとなっている。

主な登場人物

桐原亮司(きりはら りょうじ)
被害者の息子。幼少の頃から暗く沈んだ瞳に感情のない顔をしていた。極端に人と交わることもなかったが、学生時代に主婦売春の斡旋やゲームソフトの偽造に乗り出すなど裏稼業を歩む。切れ者であると同時にソフトウェアの知識はプロ級。年代もののはさみを愛用し、切り絵を作るのが得意であった。
唐沢(西本)雪穂(からさわ(にしもと) ゆきほ)
並外れた美貌を持った少女。小学生時代は貧しい暮らしをしており、母親が質屋殺しの容疑者にリストアップされた後に事故で亡くす。その後唐沢家の養女となり、学業や礼儀作法を身に着けてゆく。成績は優秀であったがそれゆえ、妬みも多くあった。そして、彼女にかかわる人物は必ず不幸に遭ってしまう。
笹垣潤三(ささがき じゅんぞう)
大阪府警・捜査一課配属。事件を担当する中で、亮司と雪穂の周りで起きる謎の出来事に疑念を持ち、二人を追い続けていく。セブンスターをたしなむ。
古賀久志(こが ひさし)
大阪府警・捜査一課配属。笹垣とともに本件を捜査。その後、エリートコースを歩む。笹垣とは同僚であると同時に親戚関係でもある。
桐原洋介(きりはら ようすけ)
質屋「きりはら」主人で事件の被害者。息子をよくかわいがっていた一方でとある性癖を持っていた。
桐原弥生子(きりはら やえこ)
亮司の母親。洋介の死後、質屋の経営に行き詰まり、喫茶店を開いて生計を立てている。亮司に母親らしいことができなかったことを自覚している。
松浦勇(まつうら いさむ)
「きりはら」店長。質屋を切り盛りし桐原家の内情を知る男。その後、ゲームソフトの海賊版のブローカーとして暗躍、亮司に接近する。
西本文代(にしもと ふみよ)
雪穂生みの親。容疑者にリストアップされた直後に自宅でガス中毒事故で死亡した。しかし、実際は・・・。
唐沢礼子(からさわ れいこ)
雪穂を養女として育て、作法を厳しく教えていく。
秋吉雄一(あきよし ゆういち)
亮司中学時代の同級生。雪穂の隠し撮りをしていた。
菊池文彦(きくち ふみひこ)
亮司中学時代の同級生。亮司の母・弥生子の秘密の写真を持っていたが、その後、とある事件の犯人に仕立て上げられる。
川島(手塚)江利子(かわしま(てづか) えりこ)
中学からの雪穂の親友。才媛である雪穂に引かれ、行動を共にする。大学で同じクラブの男性と恋仲になるが、その直後に残忍な出来事に巻き込まれる。
園村友彦(そのむら ともひこ)
亮司高校時代からの同級生。亮司が仕掛けた売春パーティーで知り合った主婦と体の関係を持った結果、トラブルに出くわす。しかし、亮司の取り計らいで窮地を脱してからは彼に恩義を感じ、裏稼業を手伝うことになる。独学でプログラムを学んでいた。
西口奈美江(にしぐち なみえ)
大手銀行員。売春パーティーに出席した人物の一人。当初自分に合わないとその場から逃げ出すが亮司の策によって、偽ソフト製造の経理を担当する。付き合っている男に金貢ぐあまり、悪事に手を染めることに。
中道正晴(なかみち まさはる)
大学生。家庭教師のアルバイトで唐沢家に足を運ぶうち、教えている雪穂に恋心を抱く。しかし、雪穂の出生の秘密を探るうちに疑念を持つようになる。仲間内ではゲームプログラムを作っていたが、その作品を亮司によって盗まれてしまう。
篠塚一成(しのづか かずなり)
大手製薬会社御曹司。大学時代にソシアルダンス部長を務めていた。入部してきた雪穂を初めてみたときから底知れぬ恐れを感じ、後にその動向を調査するようになる。一方で江利子に好意を持っていたが、ある事件で関係は途切れてしまう。
倉橋香苗(くらはし かなえ)
ソシアルダンス部所属で一成の恋人。他の女性を敵視する。
高宮誠(たかみや まこと)
電気部品製造会社所属。ダンス部時代に雪穂と知り合い、やがて婚約。しかし、結婚後は雪穂に振り回され、ひそかに他の女性に好意を寄せてしまう。
三沢千都留(みさわ ちづる)
派遣社員。誠と仕事をしていた際、憧れを抱くようになる。しかし・・・。
中嶋弘恵
バイト先で友彦と知り合い、亮司のPCショップで働くようになる。
今枝直巳(いまえだ なおみ)
探偵事務所経営。一成からの依頼で雪穂の調査を行う。やがて、雪穂の出生の秘密から亮司との関係に迫るのだが・・・
菅原絵里(すがわら えり)
専門学校生。居酒屋でアルバイトをする傍らで今枝の仕事を手伝い、好意を寄せる。
栗原典子(くりはら のりこ)
薬剤師。ソフト会社に勤めていた「秋吉雄一」を名乗る人物と付き合っていた。
篠塚康晴(しのづか やすはる)
製薬会社常務。前妻は事故で亡くなっている。雪穂に思いを寄せ、婚約を決意。そのことに反対する一成に対して左遷を断行する。
篠塚美佳(しのづか みか)
康晴の前妻の娘。雪穂を毛嫌いしている。

舞台

出演

キャストは4チームに分かれる

スタッフ

  • 脚本・演出:倉田淳

劇場

テレビドラマ

2006年1月12日から3月23日までTBS系列放送放送時間は毎週木曜日21:00~21:54(JST)。初回は1時間拡大。平均視聴率12.3%。日本テレビ系列の秋田放送でも、9日遅れの毎週土曜日の午後に放送されていた。

出演は2004年テレビドラマ世界の中心で、愛をさけぶ』で共演した山田孝之綾瀬はるかコンビ。また、脚本プロデューサーも同じメンバーで、主題歌』も柴咲コウが担当する。

ザテレビジョンによる第48回ドラマアカデミー賞では本作が4冠を達成した。最優秀作品賞、主演男優賞(山田孝之)、助演女優賞(綾瀬はるか)、助演男優賞(武田鉄矢)である。

あらすじ


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


愛することが罪だった。会えないことが罰だった。

幼少時、初恋少女を助けるために父親を殺した少年と、その少年を庇うために母親の命を奪った少女の残酷な14年間のの軌跡を描いた物語。2人はただ太陽の下でを繋いで歩きたかっただけなのに…。

ストーリー考察

原作ではほとんど描かれていなかった亮司と雪穂の関係を映像化し、2人の葛藤や成長などの心理的部分を中心に描いているが、時代の整合性上、殺人事件が発生したのが1973年ではなく1991年となっている点についてはともかく[1]、第1話導入部でいきなり原作のネタバレを登場させたり、登場人物の性格に原作と大きな相違があったことから、原作読者の間で話題を呼ぶ。また、過去の出演作品の実績などから主要キャストに対する強い違和感を訴えたり、中には映像化そのものに反対する意見などがTBSの公式サイトに多数掲載された。 その結果、関東地区の1話ごとの平均視聴率は、一度も15%を超えることなく終了した。原作ファンからは原作の持ち味を生かし切れなかったことが、最大の要因とする意見も多い。原作者は、内容の改変に寛大な作家としても知られているが、本作では「原作とドラマでは、主人公の性格が180度違う」という異例の発言を行なって、周囲を驚かせた。ドラマファンなどからは、夜9時台の時間帯では子供が起きており、子供を持つ親にとっては殺人、レイプなど、ストーリーの性格上子供には見せたくない殺伐なシーンが多く、それが原因でリアルタイムでの視聴を避けた視聴者による録画率の高さが視聴率低迷の原因では?という声もあった。

石丸彰彦プロデューサーは雑誌のインタビューで、上記のように原作から大幅に手を加えたことについて「亮司と雪穂をモンスターにしたくなかった」と語っており(『ザテレビジョン』より)、その製作意図が第10話での、 笹垣潤三と谷口真文とのビジネスホテルでのやり取りのシーンの中に表れている。環境に物心を蝕まれた男女の、底辺からの脱却を描こうとした原作者の執筆企図とは大きく乖離した解釈を持っていたと言えそうだ。こうしたいきさつからテレビドラマ版の『白夜行』は「ミステリー」ではなく「社会派ドラマ」であるとの評価が存在し、熱心な原作ファンの一部はドラマ終了後もその点に批判的な見方をしているとの誤解が生まれた。原作の読者は、ミステリー色も社会派色も失った「恋愛ドラマ」と受け止めており、批判の矛先も、ドラマオリジナルの死生観・宗教観といった、製作サイドの理念が優先された点に向っていた。

本作で亮司役を演じた山田は、同じ東野圭吾原作の小説を映画化した『手紙』にも出演した(公開は2006年11月3日)。

  1. ^ 時代変更とそれに伴うストーリー背景変更は、2004年同局放送の「砂の器」でも同様に行われたことがある

キャスト

『きりはら』の元店員。亮司の過去を知る一人である。
篠塚グループの御曹司。雪穂の所属していたソシアルダンス部の部長をしていた。
笹垣とコンビを組む新米刑事。七味が好物。
亮司のたった一人の友人といえる。だが亮司の本当の姿は知らない。
最初の事件の第一発見者。後にそのネタで亮司をゆする事になり…
文代の死後、雪穂を引き取って育てた義母。
あることで亮司と巡り合った女性。普段は銀行員として働いている。
奈美江を利用し、金を横領しようとしたヤクザ。
雪穂の高校時代からの親友。雪穂に憧れている。しかし篠塚と交際したことを機に雪穂の計らいでレイプされてしまう。
高校時代、雪穂に嫉妬していた一人。だがあるきっかけで雪穂と仲良くなる。
雪穂の容姿に惹かれよく写真を撮っていた、亮司の同級生。
雪穂の友人で『R&Y』の共同経営者。
雪穂の所属するソシアルダンス部の副部長をしていた。雪穂に惹かれ、後に夫となるのだが…
誠の勤める会社で働いている派遣社員。誠が惚れている女性
亮司の父で『きりはら』の店主。しかし本性は…
亮司の母で、元ホステス。亮司がいなくなって初めて大切さに気づいた女性。
雪穂の生みの母。
亮司と雪穂が幼い頃よく訪れていた図書館の司書。二人が成長しても、普通の人間として接した。
薬剤師。偶然亮司と知り合い同棲する。小説家のふりをした亮司の要望に応え、勤務先から青酸カリを持ち出す。のちに亮司の子を宿すこととなる。
最初の事件を担当していた刑事。亮司と雪穂に強い興味を持ち、その後も事件の真相を知ろうと調査を行う。だが、彼にも「白夜」の世界の中で生き続ける理由があって…

ゲスト出演者

  • 西布施警察署刑事部長(第1話) - 五代高之
  • 清華女子学園高校生徒(第2話) - 西田奈津美
  • 藤村都子の母(第2・3話) - 大塚良重
  • 大江図書館職員(第2・4・5・7話) - 山内奈央
  • 古賀久志の妻(第2・5・6・8話) - 西山繭子
  • 警察官(第3話) - 藤森祥平(TBSアナウンサー)
  • 西布施警察署刑事部長(第3話) - 水森コウ太
  • 花岡夕子(第3話) - 朝岡実嶺
  • 川田和子(第3話) - 川崎葉子
  • アナウンサー(第4話) - 鈴木順(TBSアナウンサー)
  • 倉橋香苗(第4・5話) - 奥田恵梨華
  • 川島江利子の母(第6話) - 原田千枝子
  • 西布施警察署刑事部長(第7・11話) - 須永慶
  • ソフトウェア会社「メモリックス」クライアント(第8話) - 矢柴俊博
  • ソフトウェア会社「メモリックス」社長(第8話) - 藤重政孝
  • 秋吉雄一(桐原亮司)直属の部下(第8・11話) - 平田裕香
  • 唐沢礼子の近所のおばさん(第9話) - 青木和代
  • アナウンサー(第11話) - 向井政生(TBSアナウンサー)
  • 「R&Y」2号店の店員(第11話) - 大村彩子

スタッフ

主題歌

サブタイトル・放送日・視聴率

話数 放送日 サブタイトル 演出 視聴率
第一話 2006年1月12日 東野圭吾記念碑的名作奇跡のドラマ化!!
少年はなぜ父を? 少女はなぜ母を? 
14年間の壮大な愛と絶望の物語
平川雄一朗 14.2%
第二話 2006年1月19日 閉ざされた未来に 13.4%
第三話 2006年1月26日 さよならの光 那須田淳 11.0%
第四話 2006年2月2日 罪と罰 石井康晴 10.7%
第五話 2006年2月9日 決別する二人 平川雄一朗 11.8%
第六話 2006年2月16日 白夜の終わり 那須田淳 10.7%
第七話 2006年2月23日 美しき亡霊の決意 石井康晴 12.3%
第八話 2006年3月2日 泥に咲いた花の夢 平川雄一朗 12.3%
第九話 2006年3月9日 こぼれ落ちた過去 高橋正尚 12.0%
第十話 2006年3月16日 開く過去の扉 平川雄一朗 12.6%
最終話 2006年3月23日 白夜の果て 14.1%
平均視聴率 12.28%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)

提供スポンサーについて

主人公が殺人犯である設定のため、花王が若竹色の提供クレジットを自粛した (この間、同社のCMは本編終了後にヒッチハイク扱いで流れていた)。

TBS 木曜9時枠の連続ドラマ
前番組 番組名 次番組
ブラザー☆ビート
(2005.10.13 - 2005.12.22)
白夜行
(2006.1.12 - 2006.3.23)
渡る世間は鬼ばかり(第8シリーズ)
(2006.4.6 - 2007.3.29)

関連作品

2004年に刊行された姉妹作品。続篇であるという推測もあるが、著者は明言を避けている。
  • シンデレラ白夜行
集英社「小説すばる」2004年4月号に掲載され、2005年刊行『黒笑小説』に収録されている短篇小説。どことなく雪穂を思わせるキャラクターが登場している。

関連項目

外部リンク

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