愛知登文会
事務局が入る名古屋テレビ塔 | |
団体種類 | 任意団体 |
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設立 | 2011年 |
所在地 |
愛知県名古屋市中区錦三丁目6番15号先 名古屋テレビ塔内 北緯35度10分20.4秒 東経137度54分29.9秒 / 北緯35.172333度 東経137.908306度座標: 北緯35度10分20.4秒 東経137度54分29.9秒 / 北緯35.172333度 東経137.908306度 |
活動地域 | 愛知県 |
活動内容 | 愛知県の登録有形文化財建造物の保存と活用 |
収入 | 会費、協賛金及び文化庁の補助事業等 |
ウェブサイト | http://aichi-tobunkai.org/ |
愛知登文会(あいちとうぶんかい)は、愛知県の登録有形文化財建造物の保存と活用を図る任意団体。正式名称は、愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会(あいちけんくにとうろくゆうけいぶんかざいけんぞうぶつしょゆうしゃのかい)。
毎年秋に建物の特別公開や案内を行う「あいちたてもの博覧会」をはじめ、文化財の保存と活用につながる様々な活動を行っている。
組織
2011年(平成23年)6月、大阪・京都・東京に次いで、全国で4番目の都府県単位の国登録有形文化財建造物所有者の会として設立された[1]。
正会員は愛知県内に登録文化財を所有する任意の個人または法人とし、準会員として所有していた登録文化財が指定文化財となった正会員とする。地方自治体が所有する文化財についてはその自治体を特別会員とする。愛知登文会の事業を援助する個人または法人を賛助会員とする[2]。
2023年度(令和5年度)は会長1名と副会長3名を含む理事13名、その他に幹事2名、名誉会長1名、相談役8名で構成されている[3]。
会員
- 正会員(2023年6月1日時点)[4]
- オリエンタルビル屋上観覧車
- 金城学院高等学校榮光館
- 建中寺徳興殿(旧名古屋商業会議所本館)
- 春江院本堂ほか
- 棚橋家住宅主屋
- 長母寺本堂ほか
- 名古屋陶磁器会館
- 森川家住宅主屋ほか
- 尾関家住宅主屋ほか
- 川村家住宅主屋
- 小島家住宅主屋ほか
- 寂光院本堂ほか
- 明治村第八高等学校正門ほか
- 滝学園本館ほか
- 柴田家住宅主屋
- 甘強味淋旧本社事務所ほか
- 山口家住宅主屋ほか
- 窯のある広場・資料館(倒焔式角窯)ほか
- 岡崎信用金庫資料館(旧岡崎銀行本店)
- 八丁味噌本社事務所ほか
- 本光寺本堂ほか
- 九重味淋大蔵
- 浄照寺本堂ほか
- 神谷家住宅座敷ほか
- 旧今泉医院診療棟ほか
- 旧豊川電話装荷線輪用櫓
- トヨテック本社社屋(旧豊川電話中継所本屋)ほか
- 三谷町北区山車蔵
- 旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館ほか
- 大島家住宅茶室
- 小野田家住宅主屋ほか
- 筧家住宅主屋
- 知立神社本殿ほか
- 知多岡田簡易郵便局
- 旧小守家住宅主屋
- 日本陶磁器センター旧館ほか
- 鈴木家住宅主屋
- 崇覚寺本堂
- 旧岡田医院主屋ほか
- 野間郵便局旧局舎
- 善立寺本堂ほか
- 日本福音ルーテル復活教会
- 萬福寺本堂ほか
- 旧中央線玉野第三隧道ほか
- 中定商店大五蔵ほか
- 蓮教寺本堂ほか
- 旧堀田廣之家住宅
- 大谷家住宅
- 安長寺山門
- 南山学園ライネルス館
- 旧石原家住宅
- 川田家住宅主屋
- 七所神社本殿
- 為三郎記念館ほか
- 真宗大谷派名古屋別院東門及び土塀
- 東海学園大講堂
- 川原田家住宅
- 鈴木家住宅主屋ほか
- 高木家住宅主屋ほか
- 冨田家住宅木南舎ほか
- 葛利毛織工業株式会社工場ほか
- 真清田神社本殿及び渡殿ほか
- 旧伊東合資会社
- 三宅家住宅
- 中村家住宅主屋
沿革
2011年(平成23年)にウインクあいちにある愛知県立大学名駅サテライトキャンパスにて設立総会を開催し、正会員43名、特別会員7名、賛助会員36名の合計86名の会員で発足した[5]。この2011年度より文化庁の補助事業の採択を受け、2016年度にかけて「愛知県内登録有形文化財の保存・活用促進にむけた文化財建造物所有者と県民の連携事業」として、3つのプロジェクトを実施した。さらに、2017年度からは2021年度には、「愛知県国登録有形文化財公開活用事業」として、建物特別公開(あいたて博)を中心に取り組んだ[6]
2016年度公益信託 大成建設自然・歴史環境基金の助成をうけ、2017年(平成29年)3月、名古屋テレビ塔で全国登文会情報交換会を開催[7]。各地の保存団体のほか、文化庁が一堂に会する初の機会を創出。同年10月、名古屋市内の金城学院高等学校で、一般市民に向けて活動報告を行う全国登文会シンポジウムを開催、全国の登文会がネットワークを形成し、取り組んでいくことの必要性が確認された[6]。
さらに、2018年度公益信託 大成建設自然・歴史環境基金の助成をうけ、2019年(令和元年)6月21・22日には日本陶磁器センター等で全国登文会フェスタを開催し、登録有形文化財保存の会の全国的な連携と、保存・活用の円滑化をめざして所有者間の交流促進を図った。なお、この機会を利用し、半田市の小栗家住宅において全国登文会設立総会が開催された[6]。
2021年(令和3年)、ドローンや360度カメラなどを用いて文化財を撮影しインターネット公開してきた事業が評価され、東海情報通信懇談会から表彰状を贈られた[1]。
2022年(令和4年)、文化庁の補助がない年度で当初は魅力紹介冊子の発行を断念していたが、クラウドファンディングによって資金調達を行い、「あいちのたてもの 明治村編」を2023年4月に発行した[8]。
保存活動対象
愛知県内の国登録有形文化財の建造物を対象とする。愛知県内の国登録有形文化財の登録件数は、2023年時点で551件あり、全国で6番目[9]。
おもな活動
概要
愛知登文会の独自事業として、総会や県外視察、愛知登文会ニュースの発行を行うほか、2016年(平成28年)から文化財の保存や活用に力を尽くしている所有者等の顕彰を行っている[7]。
文化庁補助事業では、2014年(平成26年)から「登録文化財魅力体験」を謳った特別公開事業「あいちたてもの博覧会」を開催し、建物ごとにトレーディングカード「あいたてカード」を作成[10][7]。2017年(平成29年)からは文化財ガイドの育成にも力を入れ、地域固有の文化遺産の現状や課題を共有する「登録文化財保存活用シンポジウム」を開催している[7]。また、2018年(平成30年)からは登録有形文化財の魅力を紹介する冊子刊行を開始し、2023年(令和5年)までに5冊が刊行された[7]。
あいちたてもの博覧会
2014年(平成26年)から、愛知県内の登録有形文化財において、普段公開されていない建物の公開や専門家・所有者による建物解説を行っている[10]。当初は建物特別公開と称していたが、2019年度より、「あいちのたてもの博覧会」(略称:「あいたて博」)と名称を変更した[11]。
「あいたて博」では、会員が所有する国登録有形文化財建物を毎年秋に数十件、各1日のみ特別公開し、ガイドツアーなどを実施する[11]。ガイドは所有者によるもの、専門家によるものなどがあり、街歩きツアーやワークショップ、ライブなどの多彩なイベントが同時開催される[11]。
なお、2020年(令和2年)は新型コロナ感染拡大防止の観点から、「おうちでたてものミュージアム」と題してオンラインによるあいちたてもの博覧会を開催し、2020年11月7日から23日にかけての週末7日間で、8建築をライブ配信、20建築をオンデマンド配信で紹介した[12]。
2021年(令和3年)には文化庁の助成が終了することから、建物特別公開イベントはひとくぎりを迎えると公表していたが[13]、熱心な協力者や支援者に恵まれ、2022年(令和4年)は規模を縮小しつつも開催した[14]。
回 | 年 | 日程 | 公開箇所 |
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第1回 | 2014年(平成26年) | 10月26日、11月3日 | 37箇所[15] |
第2回 | 2015年(平成27年) | 10月25日、11月1日・3日・15日・22日 | 40箇所[16] |
第3回 | 2016年(平成28年) | 10月30日、11月3日・6日・13日・19日 | 47箇所[17] |
第4回 | 2017年(平成29年) | 10月29日、11月4日・11日・12日・18日・23日 | 53箇所[18] |
第5回 | 2018年(平成30年) | 10月28日、11月11日・17日・18日・23日・24日・25日 | 50箇所[19] |
第6回 | 2019年(令和元年) | 10月14日・20日、11月2日・4日・9日・10日・17日・・23日・24日 | 50箇所[20] |
第7回 | 2020年(令和2年) | オンライン開催 | 28箇所[21] |
第8回 | 2021年(令和3年) | 10月16日・17日・23日・24日 | プレミアム企画8箇所6企画[22] |
11月6日・7日・13日・14日・20日・21日 | 建物公開29箇所[22] | ||
オンライン(動画公開) | 15箇所[22] | ||
第9回 | 2022年(令和4年) | 10月23日・29日、11月5日・6日・13日・19日・20日 | 建物公開20箇所[23] |
9月23日、11月3日・13日 | コラボ企画3箇所[23] |
シンポジウム等
この節の加筆が望まれています。 |
刊行物
愛知県登録文化財魅力紹介冊子「あいちのたてもの」
愛知県内の登録有形文化財の多様な魅力を紹介する冊子を作成している。印刷物は図書館に配付しているほか、愛知登文会のホームページからダウンロードできる[24]。
- 2018年度 - 『あいちのたてもの ものづくり編[25]』
- 2019年度 - 『あいちのたてもの まなびや編[26][27]』
- 2020年度 - 『あいちのたてもの いのりのば編[28]』
- 2021年度 - 『あいちのたてもの すまい編[29][30]』
- 2022年度 - 『あいちのたてもの 明治村編[31]』
愛知登文会ニュース
愛知登文会の活動などを紹介するニュースレターを年3回程度発行している。愛知登文会のホームページからダウンロードできる[32]。
脚注
- ^ a b “「愛知登文会」10年 文化財活用へ意欲 常滑で総会”. 中日新聞: p. 19. (2021年7月7日)
- ^ 入会のご案内 愛知登文会、2023年7月29日閲覧
- ^ 愛知登文会とは 愛知登文会、2023年7月29日閲覧
- ^ “愛知登文会 会員名簿” (PDF). 愛知登文会 (2023年7月29日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ “「愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会」設立総会” (PDF). 愛知登文会 (2011年6月26日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ a b c “事業活動”. 2023年7月30日閲覧。
- ^ a b c d e 名古屋市鶴舞中央図書館『「愛知登文会」2020年度版冊子』愛知登文会、2020年。
- ^ “愛知登文会ニュース第34号”. 2023年7月30日閲覧。
- ^ “登録文化財”. 2023年7月30日閲覧。
- ^ a b “国と文化財構造物公開へ 名古屋、尾張、三河の37件”. 中日新聞: p. 24. (2014年10月24日)
- ^ a b c “あいちのたてもの博覧会2022”. 2023年7月30日閲覧。
- ^ 『あいちのたてもの博覧会 建物特別公開2020パンフレット』愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会、2020年、名古屋市鶴舞中央図書館所蔵0237847116頁。
- ^ 『あいちのたてもの博覧会 建物特別公開2021パンフレット』愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会、2021年、名古屋市鶴舞中央図書館所蔵0237847116頁。
- ^ 『あいちのたてもの博覧会 建物特別公開2022パンフレット』愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会、2022年。
- ^ 「国文化財建造物 公開へ」『中日新聞』2014年10月23日。
- ^ 「国の登録有形文化財40か所が特別公開に」『読売新聞』2015年10月22日。
- ^ “愛知登文会 国登録有形文化財特別公開 2016”. 愛知登文会. 2023年7月29日閲覧。
- ^ “愛知登文会 国登録有形文化財特別公開 2017”. 愛知登文会. 2023年7月29日閲覧。
- ^ “愛知登文会 国登録有形文化財特別公開 2018”. 愛知登文会. 2023年7月29日閲覧。
- ^ “愛知登文会 国登録有形文化財建物特別公開 2019”. 愛知登文会. 2023年7月29日閲覧。
- ^ “愛知登文会 国登録有形文化財 建物特別公開2020 オンライン あいちのたてもの博覧会 開催要領”. 愛知登文会. 2023年7月29日閲覧。
- ^ a b c “あいちのたてもの博覧会2021”. 愛知登文会. 2023年7月29日閲覧。
- ^ a b “あいちのたてもの博覧会2022”. 2023年7月29日閲覧。
- ^ “愛知県登録文化財魅力紹介冊子「あいちのたてもの」”. 2023年7月29日閲覧。
- ^ “あいちのたてもの ものづくり編” (PDF). 愛知登文会 (2019年3月28日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ “あいちのたてもの まなびや編” (PDF). 愛知登文会 (2020年3月26日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ 「県内の学校建築魅力紹介」『中日新聞』2020年4月4日。
- ^ “あいちのたてもの いのりば編” (PDF). 愛知登文会 (2021年3月21日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ “あいちのたてもの すまい編” (PDF). 愛知登文会 (2022年3月24日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ 「国文化財の住宅 冊子で魅力紹介」『中日新聞』2022年4月20日。
- ^ “あいちのたてもの 明治村編” (PDF). 愛知登文会 (2023年4月28日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ “ニュースレター”. 2023年7月30日閲覧。
関連項目
- 全国登文会 - 2019年(令和元年)に設立された登録文化財所有者の会の全国組織。
- 愛知県の登録有形文化財一覧