しまんと (列車)
しまんと | |
---|---|
2700系による「しまんと」 (2021年8月 中村駅) | |
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 香川県・徳島県・高知県 |
前身 | 特急「南風」 |
運行開始 | 1988年4月10日 |
運営者 |
四国旅客鉄道(JR四国) 土佐くろしお鉄道 |
路線 | |
起点 | 高松駅 |
終点 | 高知駅・中村駅・宿毛駅 |
営業距離 |
159.3 km (99.0 mi)(高松 - 高知間) 274.4 km (170.5 mi)(高松 - 中村間) |
平均所要時間 |
約2時間15分(高松 - 高知間) 4時間00分(高松→中村間) 4時間22分(宿毛→高松間) |
運行間隔 | 4往復 |
列車番号 | 2000D+号数 |
使用路線 |
JR四国:予讃線・土讃線 土佐くろしお鉄道:中村線・宿毛線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 |
普通車指定席:1(6)号車半室 普通車自由席:1(6)号車半室・2(7)号車[注 1] |
技術 | |
車両 |
2700系気動車 (JR四国高松運転所・高知運転所、土佐くろしお鉄道中村車両基地) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 |
直流1,500 V(高松 - 琴平間)[注 2] 非電化(琴平 - 宿毛間) |
最高速度 | 最高130 km/h (81 mph) |
しまんとは、四国旅客鉄道(JR四国)および土佐くろしお鉄道が、高松駅 - 高知駅・中村駅・宿毛駅間を予讃線・土讃線・中村線・宿毛線経由で運行している特急列車である。
概要
[編集]香川県高松市と高知県を結ぶ列車で、本四備讃線を経由せず、本州に乗り入れていない。瀬戸内海や太平洋、吉野川沿いの大歩危・小歩危を走る風光明媚な列車としても名高い。
1988年(昭和63年)4月10日に瀬戸大橋線が開通したことにより、高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」のうち、高松駅発着のまま残された列車が「しまんと」として運転開始した。1989年以降、急行列車の「土佐」「あしずり」を編入している。
列車名は高知県南西部を流れる四万十川が由来となっている。
運行概況
[編集]2024年(令和6年)3月16日現在、高松駅 - 高知駅間で3往復(下り3・5・7号/上り2・4・6号)、高松駅 - 中村駅間で下り1本(1号)、高松駅 - 宿毛駅間で上り1本(8号)の計4往復が運転されている[1]。所要時間は高松駅 - 高知駅間が最短2時間11分(上り)・高松発中村行きが4時間(下り)・宿毛発高松行きが4時間22分(上り)である[2]。
JR四国は、土讃線の特急列車を岡山駅発着の「南風」にシフトさせているため、宇多津駅・多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定されている[注 3]。併結時の原則として、編成の岡山・高松側に「しまんと」、高知側に「南風」が連結される。このため、高知方面行きでは「南風」が先に宇多津駅に入り、「しまんと」が駅手前で信号待ちを行う。
なお、ゴールデンウィーク・お盆休み・年末年始といった多客時には、「しまんと」編成も「南風」に変更して1列車全車両を岡山駅発着とし、代わりに高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間で定期「しまんと」と同じダイヤで走る臨時「しまんと」と接続させる場合もある(この場合は宇多津駅または多度津駅で乗り換えとなる)。
高知駅発着の列車は「あしずり」と同一ホームで接続を行う(下り3号・7号/上り6号が該当)。また、2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正以降は7号の運行の時間が遅くなり「南風」21号と併結するようになっため、大杉駅に全列車停車するようになった。
2024年(令和6年)3月16日のダイヤ改正で、8号の発駅が高知駅から宿毛駅に変更され、「しまんと」は2年ぶりに宿毛線に乗り入れとなった[3]。
2024年12月13日、2025年3月ダイヤ改正において2往復が減便および「南風」との併結列車が消滅することがJR四国から発表された[4]。
停車駅
[編集]高松駅 - 坂出駅 -(宇多津駅)- 丸亀駅 - 多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅 - 阿波池田駅 - 大歩危駅 - 大杉駅 - 土佐山田駅 - 後免駅 - 高知駅( - 旭駅 - 朝倉駅 - 伊野駅 - 佐川駅 - 須崎駅 - 土佐久礼駅 - 窪川駅 - 土佐佐賀駅 - 土佐上川口駅 - 土佐入野駅 - 中村駅 ← 平田駅 ← 宿毛駅)
- ( )は一部の列車が停車[1]。
- 宇多津駅:下り1・5号/上り2・8号が通過。
- 土佐上川口駅:下り1号が停車。
- 高知駅→中村駅間は1号のみ運転。
- 宿毛駅→高知駅間は8号のみ運転。
- 停車駅の詳細は以下の表を参照。
運行本数 | 号数 | JR四国 | 土佐くろしお鉄道 | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
予讃線 | 土讃線 | 中村線 | 宿毛線 | |||||||||||||||||||||||||||
高松駅 | 坂出駅 | 宇多津駅 | 丸亀駅 | 多度津駅 | 善通寺駅 | 琴平駅 | 阿波池田駅 | 大歩危駅 | 大杉駅 | 土佐山田駅 | 後免駅 | 高知駅 | 旭駅 | 朝倉駅 | 伊野駅 | 佐川駅 | 須崎駅 | 土佐久礼駅 | 窪川駅 | 土佐佐賀駅 | 土佐上川口駅 | 土佐入野駅 | 中村駅 | 平田駅 | 宿毛駅 | |||||
下り1本 | 1号 | ● | ● | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
下り2本 上り2本 |
3・7号 4・6号 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||
下り1本 上り1本 |
5号 2号 |
● | ● | ─ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||
上り1本 | 8号 | ● | ● | ← | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ← | ● | ● | ● | ● | |||
停車本数 | 下り | 4 | 4 | 2 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | |||
上り | 4 | 4 | 2 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
凡例
- ●:停車
- ─・←・→:通過(矢印は運転方向)
使用車両・編成
[編集]しまんと | ||||||
← 宿毛・中村・高知 高松 →
| ||||||
| ||||||
| ||||||
|
高松運転所・高知運転所および土佐くろしお鉄道中村車両基地に所属する2700系気動車が使用されている。2019年(令和元年)9月3日より下り1号/上り10号に2700系が投入され(9月27日までは1号は水曜日から土曜日まで、10号は火曜日から金曜日まで2700系気動車で運転)、さらに2020年(令和2年)7月18日より下り7号/上り2号に、2021年(令和3年)3月13日から全ての列車で2700系が使用されるようになった。
かつて使用されていた車両
[編集]-
2000系試作編成(TSE)
「しまんと」51号 -
2000系「しまんと」
(2014年3月) -
N2000系先行試作車「しまんと」
(1996年) -
キハ185系「しまんと」
(1989年) -
キハ181系
「しまんと」(1989年) -
キハ181系「しまんと」
(1992年)
多客期の臨時列車
[編集]運休[注 5]となる多客期に高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間で運転される臨時「しまんと」には2700系気動車以外が充当されることもあり、多くはキハ185系気動車[注 6]を使用しているが、1998年(平成10年)には8000系電車(S編成)も使用されたほか、2016年(平成28年)夏季には8600系電車[6][7]、2018年(平成30年)のゴールデンウィークには2600系気動車も使用された[8]。
沿革
[編集]民営化後の運行展開
[編集]- 1988年(昭和63年)4月10日:瀬戸大橋線開通により、従来高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」が岡山駅発着となり、高松駅発着列車をエル特急「しまんと」と改称。当初は3往復。
- 1989年(平成元年)
- 1990年(平成2年)11月21日:「土佐」1往復の格上げを含めて計2往復を増発され、6往復になる。
- 1991年(平成3年)11月21日:1往復増発して、7往復になる。
- 1993年(平成5年)3月18日:使用車両が2000系に統一。
- 1997年(平成9年)
- 1998年(平成10年)3月14日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定される。
- 1999年(平成11年)3月13日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結していた2往復が「南風」単独になり、1往復減便されて6往復になる[11]。
2000年代の動き
[編集]- 2001年(平成13年)3月3日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が下り3本/上り2本設定される。上り1本減便となり、下り6本/上り5本になる。
- 2002年(平成14年)3月23日:「南風」との増解結駅を宇多津駅に変更する。
- 2003年(平成15年)10月1日:宇多津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が上り2本増え、下り3本/上り4本になる。下り1本減便となり、5往復になる。
- 2005年(平成17年)
- 3月2日:土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故により宿毛駅 - 中村駅間が運休になる。
- 6月13日:東宿毛駅 - 中村駅間で運行を再開(東宿毛駅は臨時停車扱い)。
- 11月1日:宿毛駅 - 東宿毛駅間で運行を再開(東宿毛駅の臨時停車扱いを終了)。
- 2007年(平成19年)3月18日:下り1本が中村行きとなる。
- 2008年(平成20年)3月15日:喫煙ルームを除き全席禁煙になる[12]。
2010年代の動き
[編集]- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により次のように変更[13]。
- 高知駅5時発の2号を新設。
- 「南風」26号と併結する6号が廃止となり、「南風」併結列車が3往復になる。
- エル特急の呼称を廃止。
- 喫煙ルームが廃止される。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により次のように変更[14]。
- 6号の時刻を繰り下げる。これに伴い、併結する「南風」が20号から24号となる。
- 下り1号(高松発中村行き)/上り10号(宿毛発高松行き)をそれぞれ「あしずり」と系統分離。これに伴い、「しまんと」は全列車が高知駅発着となる。
- 2013年(平成25年)3月16日:9号と「南風」25号の併結作業を宇多津駅から多度津駅に変更[15]。
- 2014年(平成26年)3月15日:1号と「あしずり」3号が統合され、「しまんと」の中村駅乗り入れが復活[16]。
- 2016年(平成28年)3月26日:7号の運行時刻を約2時間繰り下げ、「南風」17号と併結となる。これに伴い、全列車が大杉駅に停車となる[17]。
- 2019年(平成31年・令和元年)
2020年代の動き
[編集]- 2020年(令和2年)
- 2021年(令和3年)3月13日:全列車が2700系に統一[23]。
- 2022年(令和4年)3月12日︰ダイヤ改正により次のように変更[24][25]。
- 下り9号/上り6号が廃止となり4往復となる。
- 旧:10号を高知始発に変更、発車時刻を繰り上げ8号となる。「しまんと」の宿毛駅乗り入れが消滅[注 7]。
- 2024年(令和6年)3月16日:8号と「あしずり」18号が統合され宿毛始発となり、2年ぶりに「しまんと」の宿毛駅乗り入れが復活[26][27][28]。
- 2025年(令和7年)3月15日:ダイヤ改正により2往復が減便、これにより「南風」との併結列車が消滅(予定)[29]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 『JTB小さな時刻表』 2024年春、JTBパブリッシング、2024年2月、136 - 137頁。
- ^ “土佐くろしお鉄道 ダイヤ改正(2022年3月12日)”. 鉄道コム (朝日インタラクティブ). (2021年12月26日) 2022年3月14日閲覧。
- ^ 『2024年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2023年12月15日 。2024年7月4日閲覧。
- ^ “2025年3月ダイヤ改正について”. 四国旅客鉄道(JR四国). 2024年12月16日閲覧。
- ^ 「列車の編成ご案内」『JTB小さな時刻表』 2024年春、JTBパブリッシング、2024年2月、営業案内87頁。
- ^ “8600系による特急"しまんと"運転”. 『鉄道ファン』railf.jp. 鉄道ニュース. 交友社 (2015年8月15日). 2016年8月17日閲覧。
- ^ “【JR四】予讃線・繁忙期の話題”. 鉄道ホビダス. RMニュース. ネコ・パブリッシング (2016年8月19日). 2016年10月19日閲覧。
- ^ “2600系が“しまんと”を代走”. 『鉄道ファン』railf.jp. 鉄道ニュース. 交友社 (2018年4月29日). 2018年6月3日閲覧。
- ^ ジェー・アール・アール「JR年表」『JR気動車客車編成表』 98年版、交通新聞社、1998年7月1日、187頁。ISBN 978-4-882-83119-8。
- ^ “JR6社が秋のダイヤ改正”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1997年7月29日)
- ^ 「1999.3.13ダイヤ改正の概要」『鉄道ジャーナル』 33巻、4号、鉄道ジャーナル社、1999年4月、78 - 79頁。
- ^ 『平成20年3月ダイヤ改正について』(プレスリリース)四国旅客鉄道、2007年12月20日。オリジナルの2007年12月23日時点におけるアーカイブ 。2007年12月23日閲覧。
- ^ 『平成23年3月ダイヤ改正について』(プレスリリース)四国旅客鉄道、2010年12月17日。オリジナルの2010年12月20日時点におけるアーカイブ 。2010年12月20日閲覧。
- ^ 『平成24年3月ダイヤ改正について』(プレスリリース)四国旅客鉄道、2011年12月16日。オリジナルの2011年12月17日時点におけるアーカイブ 。2011年12月17日閲覧。
- ^ 『平成25年3月ダイヤ改正について』(プレスリリース)四国旅客鉄道、2012年12月21日。オリジナルの2012年12月24日時点におけるアーカイブ 。2012年12月24日閲覧。
- ^ 『平成26年3月ダイヤ改正について』(プレスリリース)四国旅客鉄道、2013年12月20日。オリジナルの2013年12月25日時点におけるアーカイブ 。2013年12月25日閲覧。
- ^ 『平成28年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2015年12月18日 。2024年7月4日閲覧。
- ^ 『平成31年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2018年12月14日 。2019年4月2日閲覧。
- ^ 『新型特急気動車「2700系」の営業運転について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2019年7月29日 。2019年8月1日閲覧。
- ^ “特急・快速・普通列車の運休(5月16日~6月12日)”. 四国旅客鉄道. 2020年5月26日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “お乗り換えとなる列車、運転区間が変更となる列車(5月16日~6月12日)”. 四国旅客鉄道. 2020年5月26日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 『JR時刻表』2020年7月号
- ^ 『2021年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2020年12月18日。オリジナルの2020年12月18日時点におけるアーカイブ 。2020年12月21日閲覧。
- ^ 『2022年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2021年12月17日 。2024年7月4日閲覧。
- ^ “特急「しまんと」上下各1本減便、宿毛発高松行は運転区間短縮など”. マイナビニュース (マイナビ). (2022年1月2日) 2022年3月14日閲覧。
- ^ 『2024年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)四国旅客鉄道、2023年12月15日 。2024年7月4日閲覧。
- ^ 『令和6年(2024年)3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)土佐くろしお鉄道、2023年12月15日 。2024年7月14日閲覧。
- ^ “JR四国「しまんと8号」宿毛発高松行に - 現行「あしずり18号」統合”. マイナビニュース (マイナビ). (2024年1月12日) 2024年2月6日閲覧。
- ^ “2025年3月ダイヤ改正について”. 四国旅客鉄道(JR四国). 2024年12月16日閲覧。
参考文献
[編集]- 寺本光照『国鉄・JR列車名大事典』中央書院、2001年7月24日。ISBN 978-4-88732-093-2。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 車両情報<2700系特急気動車> - 四国旅客鉄道
- 土佐くろしお鉄道 特急列車 - 土佐くろしお鉄道