アストロ球団
アストロ球団 | |
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ジャンル | 野球漫画 |
漫画 | |
原作・原案など | 遠崎史朗 |
作画 | 中島徳博 |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
レーベル | ジャンプ・コミックス |
発表号 | 1972年39号 - 1976年26号 |
巻数 | 全20巻 |
話数 | 全183話 |
テンプレート - ノート |
『アストロ球団』(アストロきゅうだん)は、原作:遠崎史朗、作画:中島徳博による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて、1972年(昭和47年)39号から1976年(昭和51年)26号にかけて連載[1]された。
テレビドラマ版についてはアストロ球団 (テレビドラマ)を参照。
概要
[編集]本作品は、沢村栄治の遺志を受け継いだ1954年(昭和29年)9月9日生まれの九人の超人たちが、「打倒読売巨人軍」、「打倒アメリカ大リーグ」の目標を掲げ、一試合完全燃焼を信条に世界最強の野球チームの結成を目指して戦う物語である。『南総里見八犬伝』を下敷きにしており、結集するアストロ超人たちには八犬士の牡丹のアザと同じようにボール形のアザがある。
様々な魔球や必殺技[2]が乱れ飛び、スポーツ漫画でありながら試合の中でデスマッチを繰り広げ、死者や廃人が累出するなど、異様ともいえる展開であり、単行本にして全20巻という長丁場でありながら、その展開ゆえに試合描写が長く、作中では僅か3試合しか行われていない。また、初期設定の矛盾や修正[3]、野球ルールの間違い[4]なども随所に見られるが、その熱さは他の追随を許さず、青少年ファンを熱狂させた。また「盲目の美男子」というキャラクターを登場させたことによって、女性購読者層を大幅に拡大させた。この系統のキャラはのち『リングにかけろ』などに受け継がれ、週刊少年ジャンプの美少年キャラの走りとなった。
原作者の遠崎史朗は1970年安保闘争の敗北終結による当時の無気力社会を憂い、巨大な存在への挑戦心を野球ジャンルに昇華して原作を企画した[5][6]。作画の中島徳博はこれに自身の生涯テーマとなる「男の生き様」を熱筆で盛込み、やがて作品は遠崎の手を離れ[7](ただし権利上の理由で原作クレジットは継続された)以降は中島と担当編集者の後藤広喜でストーリー作りが行われていた[8]。週刊少年ジャンプ3代目編集長の西村繁男[9]によると、アンケートをもとに編集者と漫画家が共同でストーリーを作っていく「週刊ジャンプの漫画作りの原点」[10]であり、以後、ジャンプ誌上で人気を誇ったいわゆる「バトル漫画」の先駆け的作品であるとしている[11]。
単行本は集英社より連載当時刊行されたジャンプ・コミックス、および1978年刊行の集英社漫画文庫が全20巻、1986年よりワイド版としてジャンプコミックスセレクション全12巻が刊行されていた。これらは長らく絶版となっており本作品を新たに入手して読む事が困難な状況が続いていたが、1999年に太田出版から全5巻の復刻版が刊行され本作品の入手が容易となった。本作品の復刻が困難だった理由の1つに時代の変遷と共に不適切な表現とされてしまった言葉が多用されている事があり[12]、復刻版では最終巻の女性蔑視ともとれるセリフが「たぬき言葉」にされている[13]など、若干台詞が変えられている。また、この復刻版には読み切り作品「激突!!日米超人野球」も同時収録されている事で話題となった。これ以降の刊行としては2003年にコンビニコミック仕様の集英社ジャンプリミックスで全13冊[14]、2012年よりeBookJapanによる電子書籍版(全20巻)がサービス開始されている。
2005年8月10日からはテレビ朝日系[15]で実写テレビドラマとして全9話が放映された。また同局で放送中のスーパーベースボールにも、ハイライトの画面、オープニングタイトルなどに同作品をモチーフにしたアニメーションが採用された。
あらすじ
[編集]1944年(昭和19年)秋。フィリピン・レイテ島へと出征していた東京巨人軍の名投手・沢村栄治は、戦地で予知夢を見た。それは1954年(昭和29年)9月9日生まれで体のどこかにボール形のアザがある9人の超人が縦横無尽なプレイを見せた後、自らを沢村監督と慕い、全員19歳となる1973年(昭和48年)[16]に彼らによる新生球団が誕生するという宣言であった。戦争ではなく野球でアメリカに勝ちたいと願っていた沢村は夢を新生球団へと託し、日本人チームが米大リーグを打ち破る未来を信じて戦地に散った。そして昭和29年9月9日午後9時9分9秒、予知夢に合わせて日本の夜空に白光球体が出現、9個に分裂し各地に飛び散った[17]。
1972年(昭和47年)ペナントレース開幕直後、交通事故で重傷を負った阪神タイガースのエース江夏豊に成り済ました謎の少年が巨人対阪神戦に乱入し、王・長島に快投を披露する事件が発生。亡き沢村栄治の夢を実現すべく来日していたフィリピンの真珠王ことJ・シュウロは、謎の少年・宇野球児(後に球一)に対して球児が超人の一人であることを明かし、新生球団に誘う。沢村の夢に共感した球児は快諾した。
一方、巨人の長島茂雄が秘蔵っ子として極秘に育て上げていた三荻野球一(後に球五)も超人の1人だった。球児の次に雲水姿の怪童・上野球太(後に球二)も手に入れたシュウロは長島に対し、お互いの超人を賭けて球一の高校と新生球団、9人対2人での変則試合を申し込む。試合は球一の高校のリードで最終回まで進むが、シュウロのマスコミ誘導作戦により球児の逆転ホームランで決着、球一も新生球団の一員となった。
新しい仲間に喜ぶ超人たちの前に、明智球七郎(後に球七)と明智球八の双子の超人が現れる。しかし、既に阪急ブレーブスに入団済みだった2人は新生球団への入団を拒否。対する球児ら3人は兄弟の超守備を想定した黒部第四ダムへと一ヶ月篭り、各々の新打法を開発して下山。10月21日、巨人対阪急の日本シリーズの場で巨人選手に成り済まして、明智兄弟に挑戦。球児のジャコビニ流星打法が明智兄弟の超人守備を破り、2人も新生球団に加わることになる。ここで、シュウロは観衆の前で新生球団をアストロ球団と命名し、超人の名を改名、宇野球一(旧名・球児)、上野球二(旧名・球太)、三荻野球五(旧名・球一)、明智球七(旧名・球七郎)、明智球八(改名せず)とした。
シュウロと超人たちは残る超人を探し求めて全国各地に散らばる候補者の捜索を開始したが、阿蘇と北海道の旅先で、巨人への復讐のために結成されたブラック球団の妨害に会う。そんな中、アストロ超人の1人と思しきレーサー伊集院球三郎が、レース中に事故に遭い死亡。12月9日、病院の安置室から球三郎の遺体を強奪したシュウロは、高度5000メートルの上空から球三郎の遺体をパラシュート降下させ、球三郎を奇跡的に蘇生させることに成功。蘇生した球三郎は失明していたが、6人目の超人としてアストロ球団に入団する。
12月12日、アストロ球団はブラック球団との決着を付けるため平和台球場で対戦。12球団の選手が固唾を呑んで見守る中、ブラック球団の怪投手・無七志が登場。無七志の殺人L字ボールの餌食になった球二は、自分がニセ超人だったことを告白して息絶えるが、その直後アストロのマネージャーの少年(通称・チビスケ)に雷が落ち、チビスケは超人として覚醒。二代目上野球二を襲名した。9回表、球三郎のキャッチャー潰し作戦により無七志を降板させたアストロはメッタ打ちで12得点を奪い試合を決める。9回裏にブラック球団の4番=カミソリの竜もアストロ超人の1人と発覚するが、カミソリの竜は試合後ブラック球団を去り、旅に出る。
年明けて1973年(昭和48年)2月10日、宮崎・巨人軍キャンプ場にて無七志と巨人監督・川上哲治が巨人入りを賭けて対決。アストロ超人も遂に全容を現した完成目前の西新宿・アストロ球場からテレビ中継で対決を見守る。川上は投球後に打席の左右を変わるという秘策[18]で殺人L字ボールを攻略し無七志を獲得、同時に沖縄の怪童・知念も巨人に入団することとなった。
3月9日、超近代的設備を誇るアストロ球場の開場式が華やかに開催される。しかし、式典の最中、沢村を手塩にかけて育てたという老人から、今のアストロ超人は沢村の遺志を継がぬ野球ロボットにすぎないと指摘される。反省したシュウロは指導者として成長するために旅立ってしまい、この後のアストロ球団の指揮は球一がとる事となる。
3月12日、アストロ球場の1年間のフランチャイズ権[19]を賭けて、アストロ球団対ロッテオリオンズ戦が開催される。監督金田正一の策略と、対アストロ用秘密兵器モンスター・ジョーとリョウ・坂本の活躍、加えて人数合わせのために観客から選ばれてアストロに参加した素人3名によってアストロは思わぬ苦戦を強いられる。しかし、モンスター・ジョーは同僚のリョウ・坂本への対抗心から背伸びをし過ぎ、最後は球三郎の打球を受けスコアボードに叩きつけられ退場した。4回には、試合中に新超人峠球四郎が乱入し一時試合が中断する。6回、金田の密命によりロッテの投手・成田文男が球一にビーンボールを投げ、頭部を直撃された球一は死線を彷徨う。球一不在の中大苦戦を強いられるアストロだったが、土壇場9回、目を覚ました球一が新魔球・スカイラブ投法でリョウ・坂本を打ち取り、試合は15対15で延長戦に突入。10回表にジョージ・アルトマンの本塁打でロッテが勝ち越し10回裏、満身創痍、絶体絶命の球一の打席にカミソリの竜(高雄球六)が代打で登場。竜がコホーテクすい星打法で3塁打を放ち同点、さらに球三郎のサヨナラヒットで17対16と逆転勝利した。
ロッテ戦の傷も癒えない3月15日、毎朝新聞夕刊誌上にて反逆児・球四郎がアストロ球団をぶっ潰すと宣言。球四郎はアストロに対抗する新球団設立のため各スポーツの一流選手を集め始める。その中で球四郎は懐刀として、球三郎の兄で陣流拳法総帥・伊集院大門に協力を要請。大門は総帥の座を磐石なものとするため弟・球三郎抹殺を企て、球四郎に合流するのだった。
4月下旬、巨人対阪神戦後の後楽園球場に乱入した球四郎は、新超人球団・ビクトリー球団をお披露目[20]し、居合わせたアストロ超人に3ヶ月後の試合の約束を取り付けた。球四郎の目的は、文字通りアストロ超人の抹殺(殺人)だった。アストロ超人は、球四郎の殺人野球に対抗するため三原山・北アルプス・屋久島などへ各自離散し、壮絶な特訓を行い時が過ぎる[21]。
7月23日、アストロ球団対ビクトリー球団の血で血を洗う決戦が始まった。初回早々に球一はビクトリーの投手・氏家慎次郎の魔球スクリュー投法の餌食となり背部に死球を受け、2回表では高雄球六(カミソリの竜)が大門の打球を顔面に受け一時失神するも9針縫った後に復帰。2回裏アストロ打線に氏家のビーンボール魔球が次々繰り出され、氏家自身も球一への最終投球後、急激な老衰により退場。球五は一塁上で大門の足によるタッチ(ひざ蹴り)を受け8本の肋骨骨折と内臓破損で重体に陥り一時退場(8回より復帰)。ビクトリーもダイナマイト拳が球六の殺人X打法から球四郎を護ってコブシを砕かれ退場と、阿鼻叫喚の展開となる。しかし球八や、観戦に来ていた巨人の知念・長島らが正道野球を説き、以降は殺人野球に乗って来なくなったアストロと観衆の前に、ビクトリーと球四郎は次第に孤立する。迎えた4回、バロン森の登場によりビクトリーは殺人野球と決別、正道野球でアストロに勝利することを目指す。唯一殺人野球に固執し弟・球三郎殺害を計る大門も、球六の言葉に自らの過ちを知る。真実に対して良心の呵責に耐えかねた大門は、ベンチ裏で人知れず陰腹を切りながら打席に立ち、5回に同点満塁本塁打を放ったままバッターボックスで絶命した。大門の壮絶な死に様に、試合は更にヒートアップ。8回の守備時フェンスに頭部を強打したバロン森は、9回表同点ホームランを放ったあと大量出血し、球四郎にアストロ超人として生きろと諭してそのまま息絶えた。9回裏、遂に現れた最後の超人・火野球九郎の眼前で死力を尽くして戦う両軍。そして二死満塁から、戦線復帰した球五に対する球四郎の投球が押し出しのフォアボールとなり、19対18、アストロが勝利をつかんだ。
アストロ対ビクトリーの死闘ののち、翌日に延期[22]となっていたオールスターゲームが開催されたが、前日の死闘を見てしまった観衆達にはもはや感銘のない空虚なイベントと化してしまっていた[23]。そんな空気の中、川上を中心とした極秘会議はアストロ球団の存在を危険視して抹殺条項を決議、アストロ球団は日本はおろか全世界のプロ野球組織から不認可され、世界中で野球ができなくなってしまった。無七志と知念はアストロ超人から野球を奪った巨人に愛想をつかし退団。球四郎は同胞としてアストロ超人のために涙を流す。球一たちと和解した球四郎と球九郎が加わり遂にアストロ球団が結成、沢村栄治像の下に9人の超人が結集した。チームの今後に関してシュウロから驚くべき提案が飛び出し、アストロ球団は野球ができる敵を求めて新天地に旅立っていった。
キャラクター
[編集]アストロ球団
[編集](打順、守備位置はビクトリー戦でのもの)
- 宇野球一(うの きゅういち、旧名:球児 アストロワン):4番・投手 背番号1
- アストロの左腕エース兼4番打者。左打ち[24][25]。チームリーダー。出身地・経歴は不明な点が多く、兄弟がいない事[26]、5歳の時に野球修行のため渡米した事[27]のみ記されている。沢村栄治に酷似(左右逆だが)したフォームから繰り出される球速0.25秒(約190km/h[28])とも言われる豪速球と二段ドロップ、超スローボールを修得し、自動車事故で火傷を負った阪神・江夏に成りすまして後楽園球場の巨人戦に登板したところをシュウロに見出され、アストロ超人であることが判明する。球一の実力に目をつけた長島茂雄が巨人入りの誘いをかけるが、球一は日本の巨人軍を井の中のカワズにすぎないと断る。その直後シュウロのアストロ球団への誘いには、アストロ球団の目標が米大リーグ打倒と知ってか快諾している。ただそもそも江夏になりすました理由は判然としない。初期は好んでオートバイを乗り回していた。
- 数々の試練を経て、幾多の魔球を生み出す[29]。ロッテ戦よりシュウロにチームの指揮を任される。勝つためにはドリルをも素手で握り、鎖骨を骨折しても打席に立つ男。自らに頼み一試合完全燃焼を地で行く熱血漢で、前後の見境がなくなったり有頂天になったりすることもあるものの、場数を踏むたびにチームリーダーとして冷静に状況を見渡す能力やチームメイトを大局から嗜めたりする統率力を発揮し、主将として相応しく成長していく。左ヒジにボール形のアザを持つ。ジャコビニ流星打法。三段ドロップ。スカイラブ投法。七色の変化球。ファントム大魔球。
- 上野球二(うえの きゅうじ、旧名:球太 アストロツー):3番・捕手(注:ブラック球団戦) 背番号2
- 関西弁[30]のひょうきんなキャラクターで、ムードメーカー的存在。実家は貧乏寺の元坊主。神宮球場の大洋・ヤクルト戦に乱入し、ホームランボールを直接スタンドからキャッチャーミットへ正確に打ち返す派手なパフォーマンスで登場。しかし実は右手の平にボール形のアザのような刺青を施したニセモノ超人だった。無七志との対戦で殺人L字投法に手を出し致命傷を負い、金が目当て[31]でアストロ球団に加入したことを告白する。その後、死の淵を彷徨いながら最後の力を振り絞りキャッチャーボックスにたどり着いて、冥土の土産にと球一の豪速球を受けて絶命する。三回転打法。
- 上野球二(うえの きゅうじ=2代目、旧名:不明 アストロツー):2番・捕手 背番号2
- 熊本県出身だが身内はいない[26]。県立阿蘇高校(同名の学校が実在する)の野球部敷地内に学生服姿で初登場する。野球がしたい一念で、アストロ球団のマネージャーとなる小柄な少年。登場後しばらくは小児麻痺を患っていて左手を開くことができず選手としての戦力にはならなかったが、鉄球を使った特訓で打席に立って球一の三段ドロップのマスターに貢献する。またアストロナインのためにミックスジュースを徹夜で作るなど、内助の功でアストロ球団を支えた。特に初代球二を尊敬していたが、彼の死を目の当たりにし初代球二の命を奪った無七志の殺人L字投法を打ち破る力を得ることを強く祈念し、落雷を受ける。落雷の影響で小児麻痺が完治、開かれた左手の平にボール形のアザがあり真のアストロ超人として覚醒。
- 超人として覚醒したあとは、2代目アストロツー・上野球二を襲名し、小兵の強肩[32]捕手として活躍する。同年(全員同じ誕生日)の他のメンバーに対しても常に敬語を使い、コンディションに気を配る真面目で心優しい性格だが、憤りの時[33]は激しい行動を見せる。襲名前はチビスケと呼ばれており本名は一切不明。好物はところてん[27]。ウルトラダイコン切り。ヤリ投げ打法。
- 伊集院球三郎(いじゅういん きゅうさぶろう、旧姓:陣 アストロスリー):3番・一塁手 背番号3
- 東京都生まれ[27][34]、鹿児島県で陣流拳法総帥家宗門の次男として育つ。県立伊集院高校(同名の学校が実在する)に通っていた描写がある[35](アストロ・ナインで唯一、過去が描写されている)。父を失い兄と決別した後は上京し、日本グランプリを優勝[36]する等、レーサーとして頭角を現していたが、レース中の事故で瀕死の重傷を負い失明。1度は心臓も止まり死亡したものの、シュウロたちの手により遺体安置室から運び出され、パラシュート降下の衝撃で心臓が動き出し命を吹き返す。
- 蘇生後は失明しているものの聴覚に頼る心眼で数々の超人的な守備と打撃に開眼[37]、ブラック戦ではL字投法の攻略と先制ホームラン、ロッテ戦ではホームラン3本に決勝打も放つ等、打線の中軸へと成長。その後ビクトリー戦では、兄であり現・陣流拳法総帥である伊集院大門(後述)と対立し因縁の死闘を繰り広げるが、後に出生の秘密が明かされ、実は父であるとされた先代総帥・伊集院千岩に引取られていた養子であり、大門は義兄。真の父は先々代総帥・陣平助であった。
- 性格は冷静沈着で内省的、話し方も常に敬語かつ上品(回を追うごとに丁寧になっている)、洞察力もチーム内で群を抜いており数々の危機を救う。心眼も、後にはボクシング・相撲・拳法の観戦をこなせるまでになる。熱血漢の多いアストロ球団の面々の中では異彩を放つ存在だが、試合で相手を負傷退場させた回数はアストロナインの中でもっとも多い。またその女性と見まがうほどの美形のルックスから作品内外共に女性ファンが多く、別名「少年ジャンプの貴公子」。後の少年ジャンプ作品に連綿と連なる「一見女のように美しい顔で威圧を感じないが、実力は最強クラスで怒らせると怖い」キャラクターの草分け的存在であり、実際の少年ジャンプ編集部にも毎年バレンタインチョコが殺到した。右足[38]の裏にボール形のアザがある。ビリヤード打法。飛燕活殺円法。
- 峠球四郎(とうげ きゅうしろう アストロフォー):二塁手(?)[39](ビクトリーでは 5番・投手、番外編では球一の代理で 4番・投手) 背番号4
- 灘高校を首席で卒業したのち浪人生。学生服を着用[40]して関西弁で話す[30]。初登場時から未成年にもかかわらず飲酒をしており常にウィスキーの小瓶が欠かせない。峠コンツェルン会長の長男(故人・前社長)の一人息子[26]であり、会長の孫にあたる。妾の子供であったが、幼少時から利発であった事から父に愛され、次期社長としての帝王学を学び育つ。だが父の死後は、妾の子である上に左腕にボール形の奇妙なアザを持っていたことで一族から軽蔑され[41]、虐げられて育ってきた過去がある。ゆえに左腕のアザとその運命を憎悪し、アストロ超人の1人でありながら、他人に定められた運命に従順な他の超人たちをある種の近親憎悪から軽蔑する。
- その破天荒な行動の目的は、実力を持ちながら虐げられる若者のために既存の体制を破壊し革命を起こすことである。その野望の第一歩として世間の注目を集めるアストロ超人を試合の中で抹殺する[42]ことを画策し、読売巨人軍の資金援助を引き出して、各界の一流アスリートを集めたビクトリー球団を結成[43]。アストロ球団と死闘を演じる。アドルフ・ヒトラーに心酔しており[44]、ビクトリー球団のメンバーにも自身を「フューラー(総統)」と呼ばせている。
- 一度見ただけの球一の魔球をそっくりそのまま再現できるほどの能力を持ち[45]、緻密で明晰な頭脳と政治力、さらには多くの若者に支持されるカリスマ性も併せ持つ、ある意味最も潜在能力の高い超人にして、アストロ及び宇野球一にとって最大の敵となった。しかし、アストロ超人との数々の死闘が、逆に球四郎のアストロ超人としての血を目覚めさせることになる。ファイナル大魔球の連投でアストロ打線を牛耳るが、右腕の負荷が大きく通算17球目の投球時に右腕を損傷、以降は番外編も含め左腕で投げるようになった[46]。敗戦直後には亡き戦士たちへの供養のため頭を丸めたが、番外編では通常の髪型に戻している。ファイナル大魔球。
- 三荻野球五(みおぎの きゅうご、旧名:球一 アストロファイブ):5番・三塁手 背番号5
- 房総に位置する高校(甲子園へ出る事のない無名校)の野球部員として登場。孤児院[26]時代に読売巨人軍の長島茂雄に見出され、巨人の第四期黄金時代を築くため5年間極秘に育て上げられた長島の秘蔵っ子であり、与えられた称号は「長島二世」[47]。しかし、球一(球児)、初代球二(球太)との勝負に敗れアストロ球団に入団。
- 攻走[48]守にバランスの取れたチームの主軸として球団創生期から活躍。性格は地味だが慎重かつ真面目で、無鉄砲なメンバーのまとめ役でもある。ビクトリー戦に向けての特訓では、生命の危険があるため立ち入り禁止とされていたアストロ球場内のバンアレン特訓場で、通常の数十倍の重力の中での特訓を敢行、超打のバム打法を開発する。ビクトリー戦では伊集院大門に8本の肋骨をへし折られ、骨折した肋骨が内臓に食い込み瀕死の重態に陥るも、急激に回復、試合終盤に戦列復帰する超人ぶりを見せ、最終回にはビクトリー戦の勝敗を分ける最後の打者となった[49]。左肩にボール形のアザを持つ。加速度打法。ウルトラシュート打法。バム打法。
- 高雄球六(たかお きゅうろく、元・カミソリの竜 アストロシックス):6番・遊撃手 背番号6
- ブラック球団の主力選手[47]として登場。兄弟がいない[26]ため父親が元巨人軍選手だったと考えられるが、作中で詳細は語られていない。「カミソリの竜」の異名で、狙った箇所に強襲ライナーを打ち返せる「殺人X打法」を会得し殺人野球の先鋒を務めていたが、アストロ戦の最中に背中にボール形のアザが現れ[50]超人であることが発覚、殺人野球と決別し旅に出る。その後ロッテ戦の延長10回裏、球一が負傷に苦しむ中に現れ、代打として殺人X打法を応用したコホーテクすい星打法で同点打を放ちアストロの危機を救う。
- 加入後は攻守にわたっていぶし銀の渋い魅力を発揮。江戸時代の遊び人を思わせるいなせな言葉遣いで喋るが、ブラック球団時代から、葬らんとする球一に供養の花束を投げ渡したり、死ぬ前にあの夕日を眺めとけと言うなど風流なところがあった。アストロ入りしてからは「ロク」「ロクさん」と呼ばれる。観察力に優れ、作品における謎の説明役となることが多い。ビクトリー戦では顔面に大門の打球を受け右頬に9針の大傷を負うが30分の中断後に復帰、球四郎のファイナル大魔球攻略の糸口を見出すなど活躍。伊集院兄弟の悲劇の真実を暴露し、殺人野球の最後の幕引きをした。ビクトリー戦では特別天然記念物であるはずの屋久島[51]の縄文杉を切って作ったバットを愛用する[52]。殺人X打法。コホーテクすい星打法。アンドロメダ大星雲打法。
- 明智球七(あけち きゅうしち、旧名:球七郎 アストロセブン):1番・左翼手 背番号7
- 「ホームラン掃除人」、「人間ロケット」のあだ名を持つ火の玉ファイター。チーム一の小兵[53]で、驚異的な俊足と身軽さを誇る不動の核弾頭。多彩なバント系攻撃と、双子の弟・球八とのコンビによる超人的な外野守備を得意とする。登場当初は阪急に入団しており、球一(当時球児)達を見下していた。彼らの挑戦を受け数々の打法を打ち破るものの、球一(球児)のジャコビニ流星打法の前についに敗北しアストロへ入団。
- 球一の負傷治療や戦線離脱時、および番外編で別行動を取っていた時は率先してナインの指揮を執り、事実上の副主将として行動する。減らず口を叩くが情に厚く、チームをまとめるために率先して憎まれ役をつとめるなど、勝利への執念は人一倍である。火の玉ガッツでチームを牽引する反面、その体を張ったプレーから常に生傷が絶えない、球一に輪をかけた熱血野郎。
- ロッテ戦での、死線を彷徨いながらもたった1点、1勝に命を賭ける球七の執念が、のちにアストロ球団の信条になる「一試合完全燃焼」を生んだ。ビクトリー戦では、試合終盤で右足のアキレス腱を切っても他の超人に内緒で守備に立ち続け、最終回では「走れなければ飛べば良い」と執念の連続大前転走塁を披露、決勝のホームを踏む。胸の中央にボール形のアザ。超人守備。超人バント。
- 明智球八(あけち きゅうはち アストロエイト):7番・中堅手 背番号8
- 兄・球七を放り投げてホームランを阻止する巨漢の弟。その姿から「人間起重機」、「人間発射台」の異名を持つ。シーンによっては、身長が数十メートル以上あるのではと思わせるくらいに大柄に描かれており、ホームであるアストロ球場のベンチにもまともに入れず、描写がカットされる事もある[54]。兄と共に阪急に入団するも、ジャコビニ流星打法に敗れアストロへ入団。
- 球七とは対照的に体に似合わず気が小さく、それが仇になることがロッテ戦等で垣間見られた[55]。しかし、ビクトリー球団のラフプレーには攻撃を受けながら反撃せず直立不動、正道野球の尊さとデスマッチの愚かさを説いて両ナインを正道野球へと導き、強い意志を持つようになった。守備に比して打撃はやや苦手なのか下位打線を打つことが多いが、バットに当たればその巨体と怪力を生かした豪打を見せる[56]。額にボール形のアザ。超人守備。水爆打法。
- 火野球九郎(ひの きゅうくろう アストロナイン[57]):右翼手(本編ではプレー場面なし、番外編では8番[58]) 背番号9
- 18歳にしてヘリコプターの操縦もこなす、峠コンツェルンの (元) エリート社員として作品終盤に登場[59]。転身しアストロ球団への道を歩む。ビクトリー戦の最終回にシュウロと共にアストロ球場に現れ、正体を明らかにして試合の決着を見届ける。試合決着後は敗戦の責任を取り割腹しようとした球四郎を制止、その後球四郎と行動を共にして彼をアストロ球団に導く。サングラスを架け穏やかな口調と紳士的な雰囲気を持つ冷静な理論家だが、対アストロ抹殺会議に球四郎とともに乗り込んだ際は義憤から大和小五郎に鉄拳を浴びせる熱い一面も見せた。
- 超人としての能力は本編中で試合出場がなかったため詳細不明だが、巨人軍多摩川グラウンドでのシーンではスーツ姿のままで十数メートルもの驚異的な跳躍と、飛んできたホームランボールを空中でミートし、バックネット標的の中心に打ち返す[60]という連続技を披露してその能力の一端を示した他、本編最終回では大宇宙をバックにアストロ球団のユニフォーム姿で超人的守備を見せる姿がイメージとして描かれている。右手の甲にボール形のアザを持つ。
- J・シュウロ:監督 背番号0
- フィリピン・レイテ島の出身で、アストロ球団の総監督。年齢不詳[61]・妻子なし。褐色の肌に眼鏡をかけている。フィリピンの真珠王[62]とも呼ばれる大富豪で、世界各国に五つの銀行を持ち、その一つを潰して西新宿[63]に巨大なアストロ球場を建設、球団専用機にコンコルドを所有する。
- 少年時代、フィリピンへ赴いた日本兵・沢村栄治から野球の楽しさを学び、沢村玉砕の前日、沢村からアストロ球団の夢を語られる。28年後、沢村の夢に出てきた9人の超人を求めて来日しアストロ球団を設立、沢村の遺言通り自ら監督となる。自身のプレイも超人レベルで、少年時代に沢村から三段ドロップを伝授されており[64]、マウンドからの投球を横から細い鉄線を投げて串刺しにする等の技を披露している。
- しかし、15万人収容の超近代的設備を誇るアストロ球場のこけら落としの開場式の際、球場の隅々に現れているシュウロ自身の金満主義を峠会長に見透かされ、衝撃を受け反省。球一に指揮を任せ自らを磨く旅に出る。その後はアストロ超人へ様々な情報を送り外部からサポート。ビクトリー戦最終回に球九郎を連れて再登場する。
- 女医:ASTRO HOSPITAL医師
- アストロ超人たちの無謀な野球に文句を言いつつも、治療を行う。美人でナイスボディー。
- なお本作では名前のある女性キャラは一人もいない。
- アストロ球場(アストロドーム、ASTRO STADIUM)
- アストロ球団のホームグラウンドとして東京副都心・西新宿に建設された屋内野球場[65][66]。アストロ超人の居住地でもあり試合後の療養設備「ASTRO HOSPITAL[67]」を敷地内[68]に併設する。J・シュウロの莫大な資産をつぎ込んで建造された超近代的設備[69]を誇る世界初[70]の開閉式[71][72]ドーム球場であり、収容観客数は15万人、大きさは甲子園球場の約3倍。立地はシュウロが当初国内の居城としていた京王プラザホテルの道路を挟んだ西隣りの区画[73]に設置された。
- 建設は前年の1972年から密かに開始され、1973年3月9日に完成・開場式が華やかに開催された[74]。直後にこけら落としのオープン戦として3月12日にロッテオリオンズ戦、続いて7月23日にビクトリー球団戦の全2試合が開催され、以降はアストロ球団の海外遠征に伴い休閑期間に入る。1976年10月30日にアストロ球団の電撃帰国後は、遠征先で身につけた技を調整する拠点として新たに利用された[75]。
第一戦:ブラック球団(ふくしゅう球団)
[編集]- 望月正一(もちづき しょういち):1番・二塁手 背番号なし[76]
- 栗田源太(くりた げんた):2番・遊撃手
- 通称「ムササビの源太」。忍者のような動きから球団の諜報員も兼ね、その身の軽さはふくしゅう球団一。その特性を生かすためか守備の際はグローブを使わず素手でキャッチする。ホームラン性の飛球に対しては捕手[77]と三塁手を除く野手6名全員でやぐらを組み、その最上段から高く跳躍する事で捕獲する。球七は「俺たちの守備法と全く同じ」と評した。打撃では目隠しを付けて周囲6台のピッチングマシンからランダムに発射される球を音だけで打ち返すパフォーマンス。実戦ではバットのヘッドに当ててスピンを掛け、バウンド後に打球方向が曲がる特殊打法[78]を披露し球一を欺くが、球三郎の心眼には見破られた。
- 国分熊五郎(こくぶ くまごろう):3番・捕手
- 通称「北海のベアー」。道立北海畜産高校の超大型打者。アストロ超人候補の1人。父親は巨人軍の名二塁手だったが、デッドボールを受け記憶喪失になり廃人になった過去を持つ。本来「中西二世」の呼び声も高い長打力のパワーヒッターだが、三塁線ファウルからシュート状に曲げてフェアに入れてくる技能的打撃[79]も見せてきた。最終イニングで球三郎による殺人L字ボールのファウルチップを受けて負傷退場、この時アストロ超人ではなかった事が判明する[80]。この後2名の控え捕手が出場するが、両名共名前は明かされていない。
- 高雄球六(たかお きゅうろく):4番・一塁手 ⇒アストロ
- 通称「カミソリの竜」。別名「ピッチャー殺しの竜」。アストロ超人候補の1人。
- 飯塚勝(いいづか まさる):5番・左翼手
- 「三段ドロップでもなんでもお相手するぜ」と大口を叩くが、実際は球一の速球にも対応できなかった。
- 橋口実夫(はしぐち じつお):6番・中堅手
- 阿蘇影志(あそ かげし):7番・三塁手
- 通称「阿蘇の影」。極端な前進守備を得意とする。
- 黒川八郎(くろかわ はちろう):8番・右翼手
- 伊地字光(いちじ ひかる):9番・投手
- 先発投手。一回表を抑えた後、無七志に交代する。
- 無七志(む なし):9番・投手 ⇒巨人
- 荒巻からは「与一」と呼ばれる。アストロ超人候補の1人。元巨人軍選手だった父親が障害を負ったため、巨人を恨んでいる。
- 花田剛(はなだ つよし):9番・投手
- 無七志降板後にリリーフとして登場。アストロ打線にメッタ打ちされる。
- 荒巻健二郎(あらまき けんじろう):監督
- 別名「殺人鬼荒巻」。「勝つためには殺人もやる」が信条。かつては巨人軍の名遊撃手で、川上と並び将来の監督候補とまで言われた男だったが、巨人軍を去り[81]渡米していた。太平洋クラブ[82]を表向きとし、その影で巨人への復讐のためブラック球団を結成、自分と同様に巨人軍選手だった父や兄をボロクズのように捨てられた経験を持つ野球選手を多数集め活動していたが、そのスカウト中にアストロとトラブルに発展、試合で決着を付ける事態となる。
第二戦:ロッテオリオンズ
[編集]- 弘田澄男:1番・中堅手
- 当て馬として登録され1回表早々にモンスター・ジョーと交代したため、出場機会は無い。
- モンスター・ジョー:1番・中堅手 背番号100
- ロッキー山脈出身で、いかなる速い動きの物でもスローモーションに見えてしまう脅威の猟師の目と、木こりのパワーを併せ持つ。大リーグヤンキースに入団して年間50本塁打を記録し「ロッキーの大壁(ビッグフェンス)」と呼ばれていた[83]。対アストロの秘密兵器として契約金5千万円[84]でロッテに移籍。三段ドロップを先頭打者ホームランしジャコビニ流星打法を捕球する等、序盤はアストロを大いに苦しめた。しかし、動きが遅すぎるスローボールを見ると目が痛くなるという弱点が露呈してからはもろく、球三郎に打球もろともスコアボードに叩きつけられ、負傷退場。
- 得津高宏:1番・中堅手
- モンスター・ジョー退場後に交代出場するもアストロの勢いが止まらず、リョウ坂本が守備に入り交代。
- 長谷川一夫:外野手
- 右腕を負傷したリョウ坂本との交代要員として9回裏から出場を予定するも、坂本が固辞し見送られた。
- ジム・ラフィーバー:2番・一塁手
- 両打ちの特性を生かし、4回表は左打席に入って21球のファウルを打ち上げ球一を疲弊させた。
- 有藤道世:3番・三塁手
- ユニフォームの下に防弾チョッキを着用し、球一の球に故意に当たって死球を得る。
- ジョージ・アルトマン:4番・左翼手
- 金田監督指示にて球一の手をスパイク。延長10回表、満身創痍の球一・球七を尻目に勝ち越しホームランを放つ。
- 池辺巌:5番・右翼手
- 山崎裕之:6番・二塁手
- 村上公康:7番・捕手
- 千田啓介:8番・遊撃手
- リョウ坂本(リョウ さかもと):9番・指名打者[85] → 1番[86]・中堅手 背番号0
- ハワイ・オアフ島出身の日系ハワイ3世。謡曲・敦盛を口ずさみ登場する強打者。金田のアストロ対策「10番目の打者」として5億円でロッテに入団。木樽の指名打者として2回表から登場[87]。神道無念流を生かした秘打・消える打球と大障壁と呼ばれる超人的な守備でアストロを苦しめた。スカイラブ投法との対決で右腕を故障。コホーテクすい星打法を受けて左手を故障してしまう。その後満身創痍で球三郎との勝負に挑みハリケーンキックを繰り出すが敗北。ロッテ戦後はアストロ球団打倒のためソ連に渡ってサンボの修行をする。1954年9月9日生まれの超人候補の1人。消える打球。ハリケーンキック。太陽の極[88]。
- 木樽正明:投手(先発)
- 成田文男[89]:9番・投手(リリーフ)
- 金田監督の指示にて球一に頭部死球を与える。リョウ坂本がセンターの守備に就いたため、指名打者制が消滅し打席にも立つ。
- 金田正一:監督
- かつての本拠地・東京球場を失い「ジプシー・ロッテ」と呼ばれ流浪していたところにアストロ球場完成の報を聞き、いかなる卑劣な手段を用いてでもアストロを倒して球場のフランチャイズ権をものにしようとする。試合終了後、実はアストロにプロの厳しさを教えんがためにやったことと、試練を乗り越えたアストロの勝利を称える。また、後のビクトリー戦で(2回裏、デスマッチ宣言がなされて以降はまったく登場しなくなるが)テレビ中継の解説を務めた[90]。
第三戦:ビクトリー球団
[編集]- 峠球四郎(とうげ きゅうしろう アストロフォー):フューラー:5番・投手 背番号1 ⇒アストロ
- ダイナマイト拳(ダイナマイト けん):1番・三塁手 背番号5
- プロボクサー。日本ヘビー級チャンピオン。ボクシングの経験を生かした接近守備と変則打法が得意。陣流拳法天位の極を体得し打倒スカイラブへの先陣を切るが、デスマッチ野球と化した二回裏、怒り狂う球六の殺人X打法から球四郎を護り、拳を砕かれ負傷退場。球四郎が供養のためバットに名を掘った四戦士の一角に名を連ねた。
- バロン森(バロン もり、本名:森慎之介):1番・三塁手 背番号5
- ビクトリー親衛隊音楽団指揮者だったが、ダイナマイト拳の退場後の交代選手として4回表から登場。球四郎の片腕としてビクトリーナインを鼓舞し、後半戦で主導的な役割を果たす強敵。当初はオカマ言葉と腰の引けたプレイで相手を油断させようとしていたが、4回裏から黒豹の如き素早い守備を見せ始める。当初は伊集院大門の殺人野球の幕引き役を担い、片目でもないのに眼帯をしていたが、大門の死に熱いものを感じ、それを契機に眼帯を外す。7回には球一が球四郎めがけて放ったジャコビニ流星打法を身を挺して受け止めるなど闘志あふれるプレイにより球四郎を健気に補佐。8回で球一のファウルボール捕球時に頭をフェンスに強打、最終回同点ホームランを放ちホームインする際に大量出血して転倒。抱き上げる球四郎に自分の運命に逆らわずアストロ超人として生きよと言い残す。辞世の句は「露と落ち 露と消えにし わが身かな 都のことは 夢のまた夢」。本人の「大部分…盗作」という台詞にある通り、元ネタは豊臣秀吉の辞世の句。「あの世じゃ一番の男になってみせるぜ〜っ」と言い放ち絶命[91]。
- 力道岩(りきどうがん):2番・右翼手 背番号9
- プロレスラー。長短バットの二刀流で内外角の攻めに対応する変則打法。守備ではヘッドバットで打球を弾き返す、責任感の強い質実剛健のパワーファイター。出塁率も良く、ビクトリー大量得点へ向けての原動力となった。格闘技同士のためか次打者の雷剛と仲が良く、「雷ちゃん」「力ちゃん」と浮かれる一幕も。
- 雷剛武(らいごう たけし):3番・捕手 背番号2
- 花籠部屋の力士。強烈な突っ張りが持ち味の新進気鋭の力士だったが、横綱・輪島との稽古で突っ張り以外に能のない自分に気付き、力士として挫折。しかし球四郎の手によって、強烈な突っ張りを生かし、捕球せず二塁に送球する[92]守備を得意とするようになる。打法も突っ張りそのもの。ただし、大飛球を打ち上げて空中で変化球のように変化させ(ドロップのような軌道で急激に落ちる)外野手の前にポトリと落とすうっちゃり打法など、力士時代とは打って変わって器用な一面も見せる。なお下の名である「武」は、調査を終えた球三郎と球六が他のナインに提出したリストの記載にのみ登場する。
- 伊集院大門(いじゅういん だいもん):4番・一塁手 背番号3
- 陣流拳法・現総帥。伊集院球三郎の兄[93]。総髪で顔面に斜めの傷跡がある。陣流拳法を野球に応用してビクトリーナインに叩き込み、球四郎の懐刀としてビクトリー球団の殺人野球の基礎を築く。アストロ戦では球三郎への憎悪の念を伴ってデスマッチ野球を展開。2回には足を使ったボールタッチ[94]と称し、ひざ蹴りで球五の肋骨をへし折る。元々は兄弟愛にあふれた優しい性格で、弟・球三郎のために一度は総帥の座を譲り家を出た程だった。しかし、父である先代総帥・伊集院千岩の常軌を逸した厳しい教育から普通の精神状態を保てないほど追い詰められた末、自らを先々代総帥・陣平助の息子と信じ父・千岩を殺害、弟・球三郎を追い出し陣流拳法を乗っ取った[95]。4回の球三郎との死闘の最中に球六の発した言葉に真実を知り、自らの過ちを悟る。その後詫び状を残してかげ腹を切り、5回に同点満塁ホームランを放つとともに絶命[96]。球四郎を生死をかけた本気の戦いへと導く。その熱い生き様には根強いファンが多く『アストロ球団』を野球漫画とは思えない野球漫画にした最大要因のキャラクター。「拳法を極めた最強・非情の兄(弟)」としての立ち位置は、弟の球三郎と同じく後の『リングにかけろ』などのヒット作に類似キャラクターを輩出している。何かやるたびに陣流拳法の長い技名がつく。(右は代表的なものだがそのごく一部)九星剣円陣→人間ナイアガラ。無意無感有耳音の極。天命星打の極。
- 氏家慎次郎(うじいえ しんじろう、元:ヘンリー・佐多):5番・投手 背番号0
- 1928年(昭和3年)生まれの元特攻隊員。特攻予定の1945年(昭和20年)8月15日当日に終戦を迎え死に損なう。終戦後は大リーグのナショナル・リーグでヘンリー・佐多の名義を使い、死に損なった虚しさをビーンボールに託して数々の魔球を開発、相手打線を次々と壊滅させ一大旋風を巻き起こした。後に球四郎の目に留まり、計らいで関東日野刑務所内で特訓を行いビーンボールに磨きをかけた後、出所してビクトリーに加わる。数々のビーンボール魔球を駆使してアストロ打線を苦しめる。球一に最後の魔球を放って「特攻」後、それまでの時間を取り戻すように老化[97]し「成仏」していった。球四郎が記した戒名は「奇妙院幻烈居士」。最後の出撃前に球四郎へと語った「敵がいて戦場があれば(それでじゅうぶんよ/男は成長する)」は彼の心に残ったようで、試合大詰めの回想に再登場する。スクリュー投法。
- ヘズ・ベベ:6番・中堅手 背番号8
- アメリカンフットボーラー。「ブラック・サンダー(黒い雷)」の異名を持つ。黒人系アメリカ人だが自己紹介で「ミー ヘズ」というデタラメな英語を使っていた。アメリカ人独特の軽さを湛えながらも日本武人の心持ちも理解していたようで、プレイ自体は真摯に取り組んでいた。
- 峰剣太郎(みね けんたろう):7番・左翼手 背番号7
- 剣道師範。バットの根元を折るほどの鋭い素振りは「指南」と呼ばれる大門にも一目置かれていた。自害した大門の心意気に応えようと奮闘、守備では左翼ポールに激突するも気迫の返球で球七を足止めする気概を見せた。
- 沖田豪司(おきた ごうし):8番・遊撃手 背番号6
- バレーボール・アタッカー。日本バレー界の反逆児。持ち前の跳躍力を生かし、試合中欠員がちであったサードの守備範囲も巧みにカバーしつつ併殺を取るなど、ビクトリー内野守備の要として気を吐いた。
- 高田飛雄[98](たかだ とびお):9番・二塁手 背番号4
- ハイジャンパー。走り高飛びのスーパースター。あまり活躍がなく[99]目立たない事もあり、最終イニングの打順を沖田と取り違えられたり[100]、ビクトリー守備陣でボール回しをする際に一人だけボールが回ってこなかったりと、(マンガ制作のメタ視点において)不幸な目に遭いがちであった。
読売巨人軍
[編集]- 無 七志(む なし):投手 背番号44
- 能登の漁村出身。父親を廃人にした巨人軍を憎みブラック球団入り。2年以上修練し続けた殺人L字投法を用いてアストロ戦で初代球二の命を奪うが、その後、球三郎のビリヤード打法によるキャッチャー潰しというブラック球団顔負けの殺人技に攻略され同投法は無力化。降板後ベンチ裏で川上からスカウトされ、川上との対決に敗れた事により巨人入団。沢村の「静の投法」を引き継いでいると評価され、妖気を消し正道野球で打倒アストロ[101]を目指す。日光での修行時に新魔球に開眼、公式戦で阪神・田淵を打ち取るが、アストロ超人と対戦前に同僚である知念に破られ雪辱は叶わなかった。1954年9月9日生まれ[102]の超人候補。巨人入団後、公式戦初登板は「能登与一」という名前で登場しているが、ブラック球団時代にすでに荒巻から「与一」とも呼ばれているため本名の可能性もある。「無七志」は「無」が苗字であるが、劇中で呼ばれるときはフルネームで呼ばれることしかなかった。
- 知念(ちねん 下の名は不明):野手 背番号0
- 沖縄出身だが強い鹿児島弁で話す。「泣くよっかひっ飛べ」が口癖。母親を米軍基地で亡くしており、その恨みを野球で晴らすとも語っている。片手片足打法で各プロ球団のキャンプを恐怖のどん底に陥れた。無七志と川上の対決に乗じて巨人に入団し、アストロのライバルであると共に、球団内の無七志のライバルに。結局試合に出ることは無かった[103]が、L字ボールの攻略を川上より先に気づいていたり、最終巻で無七志の新魔球を攻略する等、実力の一端をのぞかせている。無七志ともども1954年9月9日生まれ[102]の超人候補。なお片手片足打法の特性上、左右どちらでも打てるようだが[104]、無七志との練習対決は右打ちで行っていた。守備に関しては全く描写が無かったため、守備位置及び投げる際の利き腕は不明なままである。
- 川上哲治:監督
- 阪神戦で球一(球児)の初登場を目の当たりにして以来、その後のアストロ球団の台頭を阻止せんと奔走する。殺人L字ボールを攻略し無七志の獲得に成功、と同時に知念も獲得。そののち対アストロの極秘会議の主導的役割になる。読売巨人軍を球界の盟主として君臨させるために、最初は戦力補強するなど正攻法で行っていたが、あまりにも実力差があり勝負にならないと判断するや、最終的には謀略を用い政治的に球団存続を断つという悪辣な方法でアストロ球団を抹殺にかかる。実在の人物であり、当時は現役の監督だったこともあって悪人としては描かれていない(アストロまっ殺も、日本プロ野球界の未来を慮ってのことであった)が、結局は権力・金・謀略・泣き落としとかなり非道な方法を駆使している。結果、アストロ球団を潰すことに成功はするが、苦労して手に入れた無七志、知念、球四郎に愛想を尽かされる。
- 正力亨:オーナー
- 巨人軍フロント責任者。本来、巨人軍の最高責任者であるが、作中では川上監督が常時巨人軍の顔として陣頭に立っているため登場機会は数少ない[105]。対アストロ極秘会議ではオーナーとしての立場からマスコミ対応と資金調達を取り計う事を約束するが、早速球四郎にビクトリー球団の立上げ金 = 十億円を請求され、苦悶の末に支払う。最終章での球四郎たちの抗議に対しては終始無言を貫いていた。
- 長島茂雄[106]:4番・三塁手
- 次期監督として第四期黄金時代を築くため球五(当時・球一)を巨人に入団させるべく5年間無名校で育成していたが、アストロ球団との勝負に敗れ奪われる。他にも球一(当時・球児)や明智兄弟に巨人入団の勧誘をするが断られ[107]、アストロ対ブラック戦後に無七志獲得の引き合いとして担ぎ出された時は、無七志のような若い力が必要と勝負を決意するも川上の介入により当事者から外されてしまう。アストロ対ロッテ戦以降は対アストロの極秘会議にアストロ潰しの情報本部長として加わる。アストロ対ビクトリー戦ではアストロ超人に正道野球の尊さを説いていたが、その後かなり非道な方法でアストロ超人から野球そのものを奪う片棒を担いでしまった。番外編では巨人軍監督として登場する。
- 王貞治:3番・一塁手
- 当初から川上・長島と行動を共にし対アストロの極秘会議にも加わる。作中では球一(当時・球児)の二段ドロップに三振、球七(当時・球七郎)球八にはホームランを捕られ、無七志のL字ボールで死にかけたりと、もっぱら超人達の美技を誇示する格好の対象にされてしまい、本領発揮は番外編までおあずけとなる。知念とやりあうギャグシーンもあった[108]。
- 沢村栄治:投手
- かつて三段ドロップで米大リーガーを手玉に取った伝説の大投手。沢村賞にその名を残し、背番号14は巨人の永久欠番。1944年(昭和19年)フィリピンへの出征にて志半ばで命を落とす。フィリピン・レイテ島で出会った現地の少年シュウロに野球の素晴らしさを伝える[64]。戦死直前に、1954年(昭和29年)9月9日生まれで体のどこかにボール形のアザがある、超人プレイのできる新生球団のナインが誕生する予知夢を見た事で、シュウロにその新生球団の夢を託して戦地に散る。そして戦死から10年後の1954年9月9日に夜空に散った9つの白光球にその魂を乗せて、アストロ超人たちにその遺志を託す。
その他
[編集]- 江夏豊
- 作中、最初に登場する人物。阪神の投手。作品冒頭に交通事故に遭い、出場できない彼になり替わって球一(当時は球児)が巨人戦に登板。病院でテレビ中継を見て驚き村山監督に電話をする。この事故は明らかに江夏の無理な追い越しによる“大惨事”のはずだが、翌日の新聞の見出しには「不慮の事故による負傷」とある。
- ゴールドフェンス
- 東北実業高校の一塁手。本名不明。超人候補だったが、球八のノックを受け手首を砕かれる。
- ジャンボ仲根(仲根正広)
- 近鉄の大型新人。アストロ球場会場式の際に球一との打席相手を求められ、多くの投手が尻込みする中を自ら志願、球一にジャコビニ流星打法を打たれる。アストロとは同い年だが、球一に「うつわが違う」と言われてしまう。
- 峠会長
- 球四郎の祖父。峠コンツェルン会長。作中で日本球界に絶大な力を持つと何度もほのめかされるが、球界にとってどのようなポジションの人物なのかは最後まで不明だった。本人曰く沢村栄治を手塩にかけて育てたとのこと。アストロ球場の開場式にて、アストロ球場の超近代的設備に対し15万大観衆の前でシュウロを非難。「沢村栄治が泣いている」と名言を残す。その後はアストロ球団抹殺の極秘会議に加担し、孫の球四郎にアストロ球団抹殺を担わせる一方で、シュウロとともに仲良く最後の超人・球九郎をアストロ球場に連れてくる。ビクトリー戦後は、アストロ球団抹殺条項を決議した極秘会議に呆れて会議をあとにしている。どうしたかったのか最後まで不明だった。
- 斉藤隆
- 子供。ロッテ戦で球七が選んだ素人3人の補充選手(7番・二塁手)だが、球を怖がり戦力にならず。実在のプロ野球選手である斎藤隆とは関係はなく、同姓同名の当時のアシスタントの名前からとったものと推測される。
- 渡辺巧
- 老人。ロッテ戦で球七が選んだ素人3人の補充選手(8番・遊撃手)だが、トンネルするなど戦力にならず。自称、養老院こうこつチームの現役。
- 細谷清
- 女性的な仕草を取る男性。ロッテ戦で球七が選んだ素人3人の補充選手(9番・右翼手)だが、落球や暴走、球三郎に抱きつくなど戦力にならず。自称、12年前に都の野球大会で優勝した。
- 盲目の少女
- ロッテ戦の最中、球三郎から励まされ回復手術を受ける決心をする。ビクトリー戦では手術後包帯を取る勇気がないと球三郎の前に再び現れるが、生きる事は勇気が要る事だと球三郎に諭され自分の手で包帯を外す。
- 小田義文
- 都市対抗野球優勝チーム・ジャンプ建設の主砲。ロッテ戦で先に出場した素人3人に代わって球三郎が選び直したアストロの助っ人。四回裏より細谷清の代わりに9番・右翼手を務め、アストロの背番号9ユニフォームを着る。成田相手にバックスクリーン直撃性の大飛球を放つ等、実力は確か。
- 竜崎雄三
- 六大学野球界ではかつての名セカンドとして有名な存在。ロッテ戦で先に出場した素人3人に代わって球三郎が選び直したアストロの助っ人。四回裏より斉藤隆の代わりに7番・二塁手を務め、アストロの背番号4ユニフォームを着る。球一・球三郎と、送りバントからの1-3-4ゲッツーを完成させた。
- 江山勝
- 高校球界の怪物投手[109]。ロッテ戦で先に出場した素人3人に代わって球一が選び直したアストロの助っ人。四回裏より渡辺巧の代わりに8番・遊撃手を務め、アストロの背番号6ユニフォームを着る。球一がビーンボールに倒れた後の七回表からはリリーフとして登板するが、リョウ坂本には通用せずプロの打線に苦しめられる。
- 大和小五郎
- 元CIA日本支部員。対アストロの極秘会議に加わる。超人の私事関連調査を担当。物事にドライで青臭い理想を嫌い、不条理も大人の世界として割り切る性格。ゆえに球九郎から巨人軍の謀略の汚なさを抗議されるが、開き直ったため球九郎の鉄拳を浴びる。そのさい球九郎に「たかが4,5年長く人間をやってるだけじゃないですか」と言われるが、とても22、3歳には見えない。
- J・ディーン
- 元ドジャース選手育成技術指導責任者。往年のドジャース黄金時代を築いた大軍師。対アストロの極秘会議に加わる。1万項目のデータ分析に意欲的であったが、実際にアストロ対ビクトリー戦を観戦後、アストロの桁外れな実力に頭を抱えていた。
- 田淵幸一[110]
- 阪神の捕手[111]。無七志が巨人入団後「能登与一」名義で公式戦初登板した際、初披露された新魔球によって打ち取られる。ちなみに無七志の新魔球は全編、バットを避けて軌道が変化する「大リーグボール3号」系の魔球として描かれているが、田渕と対峙した時のみ効果が異なり、スローボールをジャストミートするとバットが粉砕されボールは手前の地面にめり込むという、殺人L字ボールからの発展要素を含んだものであった。
- 新ちゃん
- アストロ超人抹殺を掲げた球四郎の頭に石をぶつけた少年。逆に球四郎に投げ飛ばされ、今日受けた悔しさを忘れるなと諭される。
- 伊集院千岩
- 亡き陣流拳法先代総帥。先々代総帥・陣平助の門弟だったが、平助を泥酔させた上で闇討ちにして殺害。陣流拳法総本山を乗っ取った「どろぼう猫」。平助の息子・球三郎を引取り我が子として育てる。平助に対する後ろめたさか球三郎には盲愛で接したが、その一方で実子の大門には一人でも生きられるよう厳格すぎるほど厳格に育てた。それがのちの悲劇の要因となり、愛故に過酷な教育を施した実子・大門に誤解の末、殺害されることになる。
番外編(激突!!日米超人野球)
[編集]週刊少年ジャンプでの連載終了後、『月刊少年ジャンプ』における名作漫画の読み切り掲載企画「永遠の名作シリーズ」の一編・第11弾として、1977年2月号に発表された31pの短編。連載後の後日譚であるが、企画にあわせたオマケ的作品。単行本ではジャンプスーパーコミックス「さすらい騎士道」2巻巻末に収録されていたが、本編と通読する事は太田出版の復刻まで叶わず、永らく幻の作品とされていた。
アストロ超人が日本を去った3年後の1976年秋、アメリカから現れたドラゴン・マグナム率いる超人球団「ミラクルボンバーズ」。10月30日後楽園での対戦でそのラフプレーを前に巨人軍は大苦戦。同日試合最中に帰国したアストロ超人たちの前に、病院を抜け出した巨人ファンの少年・正夫がその身を省みずアストロ超人たちに巨人への加勢を直訴。ミラクルボンバーズに大差をつけられた状況の中、満身創痍の巨人に代わり試合を引き継いだ[112]アストロはどう立ち向かうか? そして、ドラゴン・マグナムの正体とは!?
幻に終わったTVアニメ版
[編集]先に述べたスーパーベースボールのハイライトアニメとはまた別に、1992年頃にテレビアニメの企画が提案されたことがあるが、これは実現せずに終わった。
テレビアニメ化を企画したのは、当時存在したアニメの元請制作会社のグループタックで、舞台を1970年代から1990年代に変更し超人誕生を昭和49年へ、アストロ球場の所在地も新宿副都心からお台場近辺のベイエリアに変更するなど、現代向けにアレンジを施した内容になる予定だった。だが、各テレビ局へ企画を持ち込んだものの、「人気を見込むことが難しい」との判断で企画は頓挫してしまった。これは当時がOVA全盛期であったのと、1989~90年放映の『ミラクルジャイアンツ童夢くん』を最後に野球アニメが途絶えていた状況下で、テレビ局側の野球アニメに関するノウハウや理解が失われていたことが主な要因とされる。
なお、試作のスチールセルと企画書の一部はグループタックにその後も保管され、これらの記述に関しては太田出版から刊行された「アストロ球団メモリアル」に詳しく記載されている。
テレビドラマ
[編集]2005年にテレビ朝日系で全9話のテレビドラマが放映された。
ゲーム
[編集]ジャンル | 超人野球アドベンチャー |
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対応機種 | PlayStation 2 |
開発元 | サンライズインタラクティプ |
発売元 | サンライズインタラクティプ |
人数 | 1人 |
メディア | DVD-ROM |
発売日 | 2005年11月23日 |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
原作のビクトリー球団編をピックアップしたコンピュータゲーム「アストロ球団 決戦!! ビクトリー球団編」がPlayStation 2で2005年11月23日にサンライズインタラクティブより発売されている。
いわゆる「野球ゲーム」のスタイルではなく、原作のストーリーダイジェストの要所要所にボタン連打などのシンプルなミニゲーム要素を織り込んだ内容。プレイヤーはアストロだけではなく、展開に応じてビクトリー側のミニゲームも担当する。
CEROの対象年齢が「全年齢」であることからもわかるように、原作のような流血沙汰や死者が出るような展開がかなり抑えられている。この点は賛否の分かれる所である。さらに、ストーリーが省略されているせいで説明不足となり、原作を読んでいないとなぜそのような展開になるのか理解できない箇所も多い[113]。なお、ストーリーは一本道であるがマルチエンディングであり、コンティニュー回数によって原作どおりアストロナインが9人揃う真のエンディング、球九郎のみが加わるBエンド、7人のままで終わるCエンドに最終章が分岐する。最終章内のミニゲームで回数調整できるため、真エンドを見られる一つのセーブデータがあれば全てのエンディングをアルバムに記録できる。
タイトルでは怒髪天の「アストロ球団応援歌」がフルコーラスで使用されているが、エンディングでは同じ歌詞(原作引用分のみ)で異なるメロディーを充てた「アストロ球団の唄」(作曲・山本健司)が使用されている。
ゲーム版声優
[編集]声はフルボイスではなく一部だけに入っている。
- 宇野球一:伊丸岡篤
- 上野球二:石上裕一
- 伊集院球三郎:細谷佳正
- 高雄球六:安斉一博
- 明智球七:大須賀純
- 明智球八:櫛田泰道
- 氏家慎次郎:石上裕一
- 伊集院大門:樋渡宏嗣
- バロン森:呉本圭崇
- 女医:山脇小径
- 峠球四郎:渡辺英雄
パチスロ
[編集]2007年にJPSから発売された。保通協における形式名は「モエロアストロキュウダン2」。5号機に属する。
差枚数管理のART・アストロチャンスが主な機能。設定6とそれ以外の設定で小役確率に大きな差があった。ARTを連続的に成立させるバグ手順も知られ、撤去を余儀なくされた。
ゲーム画面はアストロ球団対ブラック球団戦の設定で進行し、アニメ風にアレンジされた両軍のキャラが出演するが、アストロ側はビクトリー戦以降の新ユニフォーム姿で、二塁手として球六[114]を加えた7人メンバーで登場[115]し、球四郎・球九郎は登場しない。対するブラック球団側は荒巻や無七志に加え、原作では所属していない知念がブラック球団の強打者として参戦し、アストロの前に立ちふさがる[116]対決演出が盛り込まれている。停止ボタンのタイミングで三段ドロップを完成させるミニゲームが存在した。
脚注
[編集]- ^ 1975年(昭和50年)20号〜23号の4週分は、中島の急病により休載。(球四郎がベンチ内で逡巡したタイミングで中断、再開後に正道野球への転向が宣言された。)また1974年(昭和49年)にも休載が三回存在する。(11・15・16号。ロッテ戦延長10回裏で球一の代打を募るシーン。二週飛ばしてマントの男が出現する。)
- ^ 本作では変則打法に関して独特の特徴があり、同時代の他野球漫画において「変則打法」は「魔球」に対する存在であって(主に主人公の)魔球を打ち破る事に重点が置かれていたが、本作の変則打法の大半は投球を打つ事自体は前提であり、その後の超人的守備に捕球されない「守備を打ち破る」事を主目的としている。
- ^ アストロ超人の改名の件に代表される。
- ^ 例えばロッテ戦の最後において、球三郎のセンターライナーを坂本がキックで村上捕手にボールをトスし、捕球しようとした村上にカミソリの竜がスライディングしてボールがこぼれてサヨナラとなるシーンがあるが、トスを捕手が捕球すればタッチ不要でアウト(キャッチャーフライ)であり、また明らかに守備妨害であるのに試合はそのまま終わってしまう。またビーンボール魔球のシーンでは、スイングしたバットに当たったボールがバットを粉砕した上で打者の身体に当たっているのをデッドボール扱いで打者が出塁している(危険球であっても先にバットに当たっているためファウルである。またバットに当たらなくてもスイングしているためストライクを取られる)。スカイラブ投法も二段モーションに相当するのでボークと扱われる。他にも、リョウ坂本がホームランを打ち、ベースランしないでそのままベンチに帰ってしまい 審判に「ホームランだから回る必要ないだろ」と言い放ち、審判が「それもそうだが」と納得してしまっているが、これも走塁放棄でアウトになる。
- ^ 遠崎は本作以前の1970年に漫画家・眉月はるなと組んで本作のプロトタイプと言える作品『アニマル球場』『球速0.25秒!』をジャンプに連載していた(関連項目の項を参照)。これらの前作から本作へ引き継がれたと思われる要素に、巨人軍への復讐を誓う監督による新球団設立と集う9人の若者、巨人軍及び大リーグへの打倒目標、アニマルチームと呼称される野性味、驚異的跳躍と空中返球、ボブ・フェラーを越える球速の投手、盲目を克服する強打者、右頬に傷を持ついなせ男、バントで複数塁を陥れる超俊足、日系三世の外野手、等のアイデアに本作と共通性が見られ、これらは遠崎側由来の要素と考えられる(断定はできないが)。また本作から加えられた新要素としては、沢村栄治の戦死とボール形のアザがもたらす伝奇性、9人揃わぬ不完全なチーム構成、資金源の明確化による巨大ドーム球場の建設等が挙げられる。
- ^ もっとも「もう1つの原型作品」とも言える『流星球団』(後述)の時点で、アメリカ野球界に殴り込みを掛けた超人主人公(※ 球一も5歳で渡米している)が一旦帰国し、夜空の流星に例えられる運命の超人仲間8人を探し求めるというストーリーラインは完成している。なお同作は掲載月刊誌の休刊により8話で打ち切りとなったため、話上では7人(双子の兄弟1組を含む)しか集まっておらず残り2人は最終話で間に合わせに顔を出す。
- ^ 遠崎は少年ジャンプの臨時雇用扱いで編集者を勤めていたが、1970年頃を境に社内臨時雇用者組合の委員長を務めたため、左翼活動に厳しい方針だった当時のジャンプ編集長・長野規と対立し辞職に追い込まれる。辞職後は遠崎に同情的だった当時のジャンプ編集部を頼り漫画原作者に転向するものの、編集部は会社に黙って起用するという複雑な立場にあった。
- ^ 一方で球七球八による超人守備の発明、球二の新旧交代、美形キャラクターを導入し「華」を加えた作画、そして壮絶な後半の展開は中島及び後藤の功績と言える。
- ^ 本作準備中の時点で西村は編集部に3班存在した班長の1人であり、後藤はその班に組み入れられた新人の立場であった。西村は野球漫画において『巨人の星』終了後の勢力図を模索しており「少年ブック」編集時代に自らが関わった『流星球団』(福本和也、梅本さちお、1968 - 1969)が好評であった事を受け「超人野球漫画」に手応えを感じていた。遠崎との打ち合わせ時に、ベトナムの戦場で偶然遭遇し共に亡くなった双生児「アストロツイン」から着想を受け八犬伝の伝奇性導入を提案したところ、遠崎から『アストロ球団』という発想とタイトルが出てきたと言う。(『アストロ球団メモリアル』記載。)
- ^ 2人の誌面作りに掛ける情熱は常に切磋琢磨により白熱し、何度か度を越えたエピソードが遺されている。納得のネームが出せなかった中島に怒った後藤がトレーシングペーパーの芯で頭を殴った事件や、中島がストレス性の発症で頭や手が腫れ上がり4週の休載に至った(連載期間を参照)事件が有名である。それでも両者の関係は良好で、両者納得の上で4年に渡る連載期間を燃焼し尽くした。
- ^ 西村繁男 『まんが編集術』 p133
- ^ ワイド版においてもすでに、いわゆる差別語を中心として多数の台詞が修正されている。
- ^ この「た」抜きセリフは太田出版のみの変更で、集英社による後述のコンビニコミックの際は元の表現が再度使用されている。
- ^ 発行の前期と後期で収録ページ数が変わっており、前期は明智兄弟獲得エピソードからブラック戦を経てロッテ戦終了までで3分冊(平均480ページ)、後期は以降のビクトリー戦を軸に最終話までを10分冊(平均200ページ)で編集されている。この構成上、冒頭から三荻野球一獲得までのエピソードは未収録で、初巻巻頭での説明補足のみ。後期でも冒頭部に相当するロッテ戦直後の巨人軍の反応や、ビクトリー戦への繋ぎにて球六が富士の球四郎秘密特訓場へ乗り込むエピソード、無七志の初登板を含んだ後楽園球場でのエピソードが省略されており、全編収録には至っていない。巻末コラムを掲載した巻を以下に示す。「超人たちの必殺プレイを科学せよ!!」(柳田理科雄、Vol.2、3)、「戦力&戦法 徹底データ分析!!」(豊福きこう、Vol.4)、「超人の心得&名言集」(Vol.5、6、8)、「アストロ球団熱血史」(Vol.9、13)
- ^ クロスネット局の福井放送、テレビ宮崎を除く
- ^ 沢村の予知夢に現れた宇野球児とおぼしき人物は、新生球団結成の期日を12月と告げているが、シュウロは結成目標を同年9月9日と設定している。この認識の行き違いに関してはその後も特に説明はされていない。実際の物語の結末も前倒しで9人揃った事で9月9日を待たずに結成されており、期日自体に大きな意味はなかったようだ。
- ^ 後にシュウロはこの現象を、白光球の一つ一つが各超人の誕生とともに体内に宿ったと説明している。
- ^ ルール上は投球後に打席を変わるとアウトであり、その場で荒巻監督からも指摘されている。しかし無七志本人の負けを認める発言で決着となった。
- ^ この当時のロッテ球団は正式なフランチャイズ球場が無い状態だった(ジプシー・ロッテも参照の事)。
- ^ 後楽園での球団披露ならびに後日の記者会見に出席した人員は8名であり、1名欠席している。候補としては当日名が挙がらなかった高田・峰・力道岩のうち1名と推定される。記者の質問に対し球四郎は「秘密兵器として特訓中」と回答しているが、それが誰で何の特訓を行っていたのかは明らかにされていない。後に登場する氏家の事を指していた場合、当日の出席が8名だった理由の説明が付かなくなってしまう。
- ^ この経過表現で「4月31日」というありえない日付が登場している。単行本では30日に修正しているもの、いないもの様々である。
- ^ 球四郎が「オールスター戦の客をごっそりいただく」と提案し試合日を重複させたため、開催一週間前に日本プロ野球協会が延期を決定した。
- ^ この件は球四郎が墓参りをする「ゆらぐプロ球界!の巻」雑誌掲載時にアバンタイトル3ページに渡って伝記風に述べられるが、ジャンプコミックスを含む全ての単行本において未収録である。
- ^ 一度だけ右打席に立った事があるが、特に右で打つ理由がなかったため、おそらく作画ミスと考えられる。ビクトリー戦8回裏でバロンが脳にダメージを負いつつファウルボールを好捕した打席が右打ちであった。
- ^ アストロは球一を除いて全員が右投げ右打ちである。球四郎が右腕負傷により左腕で投げるのが唯一の例外。また球一も左腕負傷時は右腕で投げられ、日本シリーズで堀内恒夫に変装した際は、右投げで阪急打線を4イニング失点0に抑えている。事実上、投手陣は両投げの二枚看板と言える。
- ^ a b c d e 球一、球四郎、球六はそれぞれ伊集院兄弟との対比で兄弟がいない事が語られており、球二は天涯孤独、球五は孤児、球三郎の兄・大門も血が繋がらない義兄である。本編において超人には、常人である兄弟の存在が確認されておらず、超人の資格の一環である可能性がある。
- ^ a b c 少年ジャンプ掲載時のプロフィールより。
- ^ 豊福きこう『ブラックジャック89.5%の苦悩』第四章による計算値。ボブ・フェラーの実際の記録による球速158.68km/hと、その作中での表現「球速0.3秒」に基づく。
- ^ 持ち球である秘球・魔球はドロップに属する「落ちる変化球」を主体とし、身体負担から投球数が制限されがちであったが、最終型に当たるファントム魔球においては落差45cmを実現しながらも投球回数制限がなくなったようで、ビクトリー戦内で披露を含め21球投げている(22球目は疲労から変化せず)。ただし連投により威力が弱まる性質があり、球四郎とバロンには本塁打を浴びている。
- ^ a b 『アストロ球団メモリアル』内のインタビューにおいて中島は「自分は関西弁が嫌いだが、初代球二に関してはすぐ消えるキャラクターだから敢えて喋らせた」と述べている。
- ^ 超人の中に囲まれていても偽者とバレなかった程、野球の才能は高く、むしろ通常に既存球団と契約した方が大成し金を稼げたと思われる(ただしアストロの強大な宿敵となった公算も大きいが)。にもかかわらず、真の捕手であるチビ球二の覚醒前にチームの体裁を構築できた点において、彼がアストロに捧げた功績は計り知れないほど大きい。
- ^ 掲載プロフィールによると、座ったままライナーでバックスクリーンまで投げられる。また頭脳プレイは巨人・森をしのぐともあるが、作中では判断ミスも目立ちそこまでの印象は受けない。ロッテ戦まではバッテリー間のサインが存在せず球一主導で投げていた点からも、球二が采配に関わる機会が少なかった事が見受けられるが、逆にどんな球でもノーサインで捕逸せずに捕れる事実が超人捕手としての本領なのかもしれない。その後、超人の驕りを反省したのか、ビクトリー戦ではバッテリー間で盛んなサイン交換が行われている。
- ^ 相手となった対象は、無七志、金田監督、観客、モンスタージョー、球七と多岐に渡る。
- ^ 何故か鹿児島出身でない点については太田出版の『アストロ球団メモリアル』でも指摘されている。陣家の嫡子として誕生しているため、陣夫人が東京で出産したと推測される。なお球三郎は陣流拳法総本山・地獄門を球六と訪れた際、「父や母をうばいさった地獄門」と述懐しているが、これが実親の陣夫妻、継親の伊集院夫妻の何れを指すのかは不明である。
- ^ 高三の夏まで高校に在籍していた描写は、球三郎の境遇変遷の期間を非常に狭めている。レース事故より蘇生してアストロに移籍した期日が同年の12月9日と確定しているため、レーサーとしてはほんの数ヶ月しか活動できない。
- ^ 前注から導かれる矛盾点の一つ。球三郎のレーサー活動は1972年(昭和47年)内後半に限定されるが、同年の日本グランプリは5月3日開催であり、球三郎の参加は不可能である。
- ^ この順応の早さには、陣流拳法後継者の一人として幼少時より兄と共に修行を重ねた恩恵も寄与していると考えられる。
- ^ 唯一、アザそのものが誌面に露出する事がなかった超人である。掲載プロフィールでは「右足」と明記されているが、ロッテ戦・ビクトリー戦における超人結集時のアザの疼きの際は、左脚を抱える描写が見られる。なおパチスロ版の画面表示においてのみ、右足ソックスの破れ目からアザが露出するカットが描かれている。
- ^ 名前の順が適用されれば当然二塁手となるが、本編ではもちろん球四郎が二塁を守った局面はない。厳密に言えば番外編最終局面で球一が合流した際、唯一9人全員のプレイとなるので二塁手に入った可能性はあるが、特にその描写も説明も描かれなかったため断定はできない。球四郎の右腕が完治していなかった場合(少なくとも投手としては左で投げていた)左投げの二塁手となってしまうため、ハンデを負う可能性が考えられる。
- ^ 学生服以外の私服姿は、番外編での帰国シーンでのみ確認できる。
- ^ 野生の強さを持つ球四郎の力量が一族に恐れられた一面もある。
- ^ この行動は、自らがボール形のアザを持つ事による「アストロ球団の枷」から外れ、縁を断ち切る願いも内包されていた。
- ^ 結成後は真剣・備前長船を帯刀する。
- ^ 大門の道場を訪ねた際、腹部に収めた書物は『我が闘争』であったが、一方でロッテ戦に乱入した際は『原子物理学』(集英大・後藤広喜著)と『量子力学』の二冊であった。中島はこの内『量子力学』をアインシュタインの関連書と捉え、(ナチスとユダヤによる)矛盾した二面性のキャラクターを与えたと『アストロ球団メモリアル』内のインタビューにて述懐している。しかし実際のアインシュタインは量子力学自体については「神はサイコロを振らない」と懐疑的な立場を取っていたため、この認識は誤りと言える。
- ^ 三段ドロップ、スカイラブ投法、無七志の殺人L字ボールを再現しているが、投球に両腕を使用するスカイラブはともかく、三段ドロップとL字ボールを乱入時は左投げで再現していた。更にビクトリー時代は三段ドロップを右投げでも再現しており、球四郎の器用さが窺える。また球六は右投げからの三段ドロップ(これは沢村、シュウロと同じバージョン)と初めて相対した筈だが、「球一のとクセが全く同じ」と意に介さない反応で打ち返していた。ちなみに事前特訓時にはジャコビニ流星打法もコピーしている(左打席)。
- ^ 負傷した右腕がどの程度回復したのかは説明がないため不明である。試合後の描写では日常レベルに関しては問題無いようで、本人も巨人軍に入団してアストロに一矢報いる意思を見せていた。3年後の番外編においてもバッティングやグラブによる捕球は通常にこなしている。問題は投球で、左でしか投げられないとなれば不利とされる「左投げの二塁手」が生じる可能性がある。ちなみに、本編ラストのイメージカットでは坊主頭で右での投球という珍しい姿を見せていた。
- ^ a b 球五と球六には対を成す共通要素が多い。球五が長島直伝であるのに対し、球六も嘗て巨人軍の名遊撃手であった荒巻の支配下を経ており、言わば巨人軍の光と闇を背負った存在である。また二人とも「アストロ=宇宙」の名に相応しい各打法を開発しており(球五=物理系、球六=天文系)「いぶし銀」の形容を受けるのもこの二人である。終盤まで内野手不足により内野連携がほぼ取れなかったアストロだが、三遊間は奇妙な縁で繋がっている。
- ^ 俊足の代名詞である球七を除けば、メンバー内で唯一「俊足」と形容されている。
- ^ ただしビクトリー戦でアストロで唯一人ホームを踏んでいない。
- ^ 球六の特異な体質により、普段は赤銅色の肌に隠れてアザが見えないが、最高に奮い立った時、肌が蒼白に変化しアザが出現する。加えて場所が背中という事もあり、自ら超人だという事自体に気付いていなかったと見られる節もあり、超人の判定が遅れる原因ともなった。
- ^ 作画・中島の母の出身地であり、従兄弟たちが暮らす島であった。また原作者・遠崎にも縁の深い土地であり、上京前に中学校教師として赴任、野球部監督を務めていた。また遠崎は後に屋久杉を題材とした児童書を出版している。[1]
- ^ ファイナル大魔球により破壊された一本の後にも数回打席が回ってきたが、控えがあったのか通常のバットに戻ったのかは詳細不明である。
- ^ 当初、シュウロの分析によると「長打力はない」と評価されていたが、実際はバント以外のヒッティングでも、外野を抜ける長打を毎試合連発している。このためアストロ打線は事実上切れ目がなく、相手側の魔球や超守備で防ぐ手がない場合、毎イニングが大量得点のチャンスであり、ブラック戦と番外編では10得点以上のビッグイニングが発生してしまっている。
- ^ ベンチ内に収まらず、外で一人ベンチスペースの外枠に肘をかけて寛ぐような状態であるため、当然ベンチ内での超人同士の会話には参加できず、攻撃回での描写は極端に少ない。また他の超人たちと一緒の構図に収めづらいため一人省略されたり、劇中の重要な瞬間を見守る全員を同時に多数のコマ毎に割り振られて描かれるカット(たとえば「球一と氏家の相打ち」「ビクトリー戦の最後の一球」など)でもなぜかコマが充てがわれず、描かれるのが「球八以外のナイン全員」になる場合があった。
- ^ 球一が倒れた際に軽い気持ちで志願してマウンドに登るも、坂本の2ランホーマーを浴び萎縮、その後もストライクが入らず四球を連発して1イニング計4点を失った。
- ^ 打線の中軸である球一・球三郎に次いで、試合内での本塁打を複数記録している。打順が上である球五・球六に本塁打の描写がなかったのに対して十分派手な活躍と言える。
- ^ 作中、この名で呼ばれた事はない。チーム全員をアストロナインと称するのが定着しており、重用を避けていると考えられる。
- ^ 奇しくもこの試合では、当初不在だった球一と一番打者の球七、2人を除いた7人が、二番以降で名前の数字順に並ぶ打順になってしまっている。
- ^ ロッテ戦とビクトリー戦に超人集結によるアザの疼きがあったことから、両戦とも観客席で傍観していた事が窺われる。ビクトリー戦においては三塁側スタンドから、ボール内にメッセージを仕込んで一塁側のアストロベンチまで送り飛ばしている。
- ^ このパフォーマンスは上野球太(初代球二)が初登場時に見せた超美技と共通要素が多い。球九郎の試技は空中跳躍が加わっているものの、球太の場合は投球フォームからコースと球種を見抜き、打者のフォームから打球の落下位置まで予測する技が備わっていた。直後にシュウロは球一(後の球五)に対して「今ぐらいの離れ業も君の隠れた才能を持ってすれば出来ない事ではない」と加えており、超人の基本的潜在能力が証明された形ともなっている。
- ^ 戦時中に子供であった事から40前後と思われる。
- ^ ビクトリー戦の際には、「A」の頭文字を彫り込んだ真珠を入場券代りに用い、メッセージカードと共にジェット・ヘリで全国各地にばら撒く太っ腹ぶりを見せている。ただしこの時期はシュウロの不在期間であり、球一主導で行った可能性が大きい。
- ^ 日本滞在の際は、同じ西新宿の京王プラザホテル1526号室を居とし、未出現の超人4名を募って交通渋滞を引き起こしたり、同ビル屋上からヘリコプターを離陸させ隣区画のアストロ球場に出かけたりと、やりたい放題であった。また狙ったのかは分からないが、最終章でのアストロ抹殺会議が行われたのも同じ京王プラザであり、球場内ホスピタル入院中だった超人たちの目と鼻の先で忌まわしい決定が下された事になる。(ちなみに最初の対アストロ極秘会議が開催された地は、当時飯田橋で営業していたホテルグランドパレス2101号室であった。)球四郎は涙しながらアストロ球場敷地を西へ半周し、即時に超人たちの元へ駆けつけた位置関係となる。
- ^ a b ボロ切れで作ったグローブとボール、裸足という劣悪な環境であった中、三段ドロップの伝授まで行われている。
- ^ 定義上は屋内野球場とされているが外殻が完全開放可能で開放型球場と同等の運営が可能のため、天然土と自然芝が採用されている。場内整備(グラウンド整地)は整地用グラウンドレーキを懸架したヘリコプターにより地上に作業員を置かない半自動工程を行っているため、土と芝の良質さに反して試合中のイレギュラーバウンドが目立ち、特に三塁前とレフト守備位置のイレギュラーは両試合で発生している。
- ^ 球場内の設備において最も早急に見直しが必要とされるのが、グラウンド周囲のフェンス材質である。当球場のフェンスは胸の高さ付近で上下2層になっており、上層は硬質材と思われる素材で形成され衝突時の衝撃が大きい事が画面から窺われており、ビクトリー戦ではとうとうフェンス激突に端を発する死亡事故が発生してしまった。また下層(胸下の高さ)にはガラス?のような光沢感をもつ素材が枠に嵌められており、アクシデントが生じなかった事自体が奇跡である。守備プレイヤーに超人的跳躍を持つ者が多くその跳躍の足掛かりにもなるため硬質材を採用していると思われるが、人命優先に立ち衝撃の柔らかい材質に変更していく事が急務である。
- ^ バックスクリーン側のフェンス後方に常に医療用緊急車両と医師が格納待機しており、選手の負傷時にはグラウンド上の車内で軽度の治療と、直結の手術設備まで迅速な搬送が可能。なお相手チームの選手が負傷・死亡の際は利用された描写が無い。
- ^ 敷地内には地下4階建てのバックアップ設備が含まれ、その区画幅は300mに達する。(そもそも外殻屋根の収納部も地下である。)以下、明らかにされた地下設備を列挙する。地下2階・コンピューター室、打撃特訓場、バンアレン特訓場。地下3階・映像分析用ミキサールーム、地下(重力)特訓場。地下4階・シャワー室。階層不明・シュウロ用監督室、審判団控室。地上階との移動はエレベーターを利用するが、グラウンド上にも数基存在し、両軍ベンチボックスはそれ自体が地下1階との連絡用エレベーターとして機能する。(アストロは一塁側を使用)他にもネクストバッターズサークル等を利用した円周型エレベーターも存在する。
- ^ 観客用のサービスに巨大3面テレビスクリーン(グラウンド中央に格納された投影装置により映写も可能)、確認用ビデオフィルムカメラ5台、大気の動きにも感応する超高速度カメラ3面を常設。またスコアボールド中央に組み込まれた電光掲示板は地下2階コンピュータと連動しデータを遠隔表示。スコアボールド両翼に表示される選手名表示は、右側(アストロ)は下の名までフルネーム表示(素人3人を含む)だが、左側ビジターチームは一部(外国籍等)を除いて苗字のみの表示になる不公平なバグが発生する。さらにスコアボールド最上部にはフラッグポール3本と、この球場の象徴とも言える「沢村栄治の銅像」が後部シェルター込みで奉られているが、何故か省略され描かれない事が多々発生している。もしかしたら何らかの機能で格納出来るのかも知れない。
- ^ 世界初のドーム球場は1965年建設のヒューストン・アストロズ用フランチャイズとして建設された「アストロドーム」であるがこれは固定式ドームであり、8年後に建設されたアストロ球場はそれに次ぐ早さでありながら開閉式ドームという、世界に数十年先立つ技術の象徴であった。主なドームの建築年を以下に示す。1988 東京ドーム、1989 スカイドーム(カナダ・トロント、開閉式)、1993 福岡ドーム(開閉式)。
- ^ アストロ球場の天蓋開閉メカニズムで特筆すべき点は、その開閉機構と動作の速さにある。現在運用されている開閉ドームの殆どが屋根の水平移動により位置を重ねる事で開口面積を取る方式を採用しているが、アストロ球場は周囲の地下部に分割収納されていた天蓋(描写により異なるが10数枚程度)を出現させ、天頂部でカメラの絞りの形状に組み合わせ閉じるという他に類を見ない設計である(開放はこの逆手順となる)。この機構による開閉スピードは驚異的で、ものの数分で工程が完了(現在技術水準では約20分)するため、ロッテ戦では3回裏に雨が上がり次第天蓋を開き、ビクトリー戦では試合中に通算2往復の閉蓋と開放(2回表〜2回裏、4回裏〜5回表)を実施し、その都度短い中断で作業を済ませている。なお2回裏・球三郎の打席においてはドームを閉めていたにも関わらず、左翼ポール際の大飛球が「風に流されて」ファウルになる珍事が発生している。(特攻で死んでいった、氏家の戦友たちの怨念が起こしたオカルト的奇跡なのかも知れない? そもそもアストロ球団の成立自体がオカルト要素を含む世界観なので否定は出来ない。)
- ^ ドームの開閉権は基本的にホーム監督代行である球一が持っており、他の選手が開閉を希望する場合は球一に請求する形になる(球八、球三郎、大門)。このうち球八と大門に関しては、ドームを開いた直後に球場の規模を超える大飛球が飛び出し本塁打扱いとなっている。(もし大門が請求時に現在のドーム開放水準である20分掛けていたら、大門は本懐を遂げる前に絶命していたであろう。)またドーム開放後に、球一は炎天下の脱水症状によりマウンド上で倒れているが、ドームを閉めて緩和する策は取らなかった。
- ^ 本球場と京王プラザの位置関係は登場時の全景カットで明らかになっており、ホテル正面玄関に正対する区画「新宿区西新宿2-8-1」に位置し、区画内の西側にメインエントランスが設けられている。このためバックネット側が西側設定となり、場外ホームランが出た場合、打球は東の京王プラザ側へ落下する。これは公認野球規則2.01「本塁から投手板を経て二塁へ向かう線は、東北東に向かっていることを理想とする」(競技場の設定から抜粋、ファイル:日米の野球場の方位.png)に準拠した設計となっている。ただしこの場合大きな矛盾を生む要因が太陽の位置で、試合終盤の落日は両試合ともスタンド右翼後方の上空に描かれている事が多く、この方位に準拠すると球場の方位は真反対(本塁が東北東側)を向いてしまう事になり、議論の分かれるところである。(そもそも規則が1956年に、打者が正面から西日を受け打撃をする事を避けるため改正された。)
- ^ 始球式は投手・天地真理、打者・田中角栄。なお彼らを招待したVIP席は一般と区別されておりブロック全体がジャッキアップにより出現、各座席にはジェットヘリ機能が搭載され座席から立ち上がる事なく直接マウンドまで飛行移動可能、そのまま始球式となった。1970大阪万博直後の科学技術の粋が結集し、観客を沸かせた。
- ^ この地は後に東京都庁舎(1988年3月着工、1990年12月完成)が建設され、該当区画は現在、都議会議事堂となっている。
- ^ ブラック球団は全員背番号がない。一軍は胸に「BLACK」のみ、二軍は黒一色である。また「ふくしゅう」は一貫してひらがな表記である。
- ^ このとき捕手はファーストの守備をしているが、本来ならばルール違反。『捕手は、ホームプレートの直後に位置しなければならない(野球規則4.03(a))』
- ^ 後のビクトリー戦にて球二が同様の打撃を、ファイナル大魔球に対するバント攻撃として使用する。アナウンサーはこの打法を「ヤリ投げ打法」と称した。急激に掛かったドライブは三塁前のイレギュラーバウンドを誘いバロンの守備から一塁を陥れている。
- ^ この独特な軌道に三塁を守っていた球五は驚嘆するが、これは後に球五の持ち技となる「ウルトラシュート打法」と同質の技である。
- ^ 後にリョウ坂本が超人である可能性を躊躇して勝負を避ける球三郎だが、この時は容赦がなかった。
- ^ 描写上、常に服の右袖に腕が通っておらず隻腕と思われる。巨人軍を退団に追い込まれ、恨みを抱くに至った要因の可能性がある。
- ^ このため試合会場が平和台球場になったと思われる。また北海のベアーで言及された中西太も、この球場でのスター選手であった。
- ^ ジャコビニ流星打法を空中捕球できる程の守備力を讃えての称号と考えがちであるが、ヤンキース時代の守備関連はアストロ球場のコンピューターにもデータが無かったほど乏しいため、おそらくはその体格から付けられたと推定される。なお「ビッグフェンス」の読みは当初ルビが振られていたが、後年の単行本では省略されている。
- ^ 試合直前のアストロ球場コンピューターデータ上では5億円、金田監督のセリフでは5千万円と長年の間矛盾が生じていたが、後年の単行本でデータ側を5千万円に修正した物が発行され、契約金がリョウ坂本と同額ではなく1/10であった事が確定した。
- ^ 日本プロ野球パ・リーグのDH制採用は1975年からであり、2年先駆けて用いられている。なお、実在の金田正一はDH制採用に当初難を示していた。
- ^ この試合は両球団の話し合いにより、正規のルールをある程度無視してもよい事になっていた。作中では「本来守備につけない」と書かれているが、実際のルールに則せば坂本が9番のまま野手となり、退いた得津に代わってピッチャー成田が1番打者となる。
- ^ この打席のみ様子を見たのか右打席に入って凡退(見送り三振)したが、本来の「消える打球」は左打席から放たれるシリーズ唯一の「左打ちのライバルキャラクター」である(左右両打と思われる知念を除く)。なお守備の際はグローブを着けず、真剣白刃取りや蹴り返し(キック)によるノーバウンド返球を多用するため投球機会がなく、投げる際の利き腕は不明。
- ^ 自らの左手を負傷させたコホーテクすい星打法と同系の「打球を発火させ捕球を阻む」打法である。だが球一は豪熱球を左の素手で掴み取り、格の違いを見せた。
- ^ ジャンプコミックス版・第5巻の巻末解説を担当している。「一瞬のカンが勝敗を決める!!」
- ^ 実は作品本編への初登場時も解説者としての立場である。長島がシュウロより三荻野球一を賭けた勝負を持ち込まれた際、悩んで不調になっていた時期の、大洋 - 巨人戦 NTV 解説者としての登場が初となる。史実ではこの年の11月17日ロッテ監督に就任しているため、同年12月12日の平和台球場、アストロ - ブラック戦への招待扱いで観客席に現れた時がロッテ監督としての初登場である。
- ^ 断末魔の「ア バ ヨ」は、連載時およびジャンプコミックスでは書かれておらず、後の単行本より追加された。
- ^ 密かに聴覚が戻った球三郎が盗塁を試みた際には、虚を突かれたせいか通常の捕球と送球を行ってしまっている。
- ^ 回想シーンで球三郎が小三の時 小六であったが、球三郎 中三の時は高二である。大門は高校を浪人した?
- ^ どの試合にも必ず一名登場する「グローブを着用しない体術系のライバルキャラクター」であり、その卓越した体術から両腕両脚を野球のプレイ及び殺人凶器として自在に活用してくる。なお捕球は両拳どちらでも行うが、送球と打席は右利きである。
- ^ ただしこの時、落雷を受けた樹の倒壊から咄嗟に球三郎を庇っており、顔に大傷を負う事となる。複雑な心理状態が垣間見えた局面である。
- ^ 死後、球三郎は彼の遺髪を得てバットのグリップに巻き込むようになった。しかし直後に一打席使用されたものの次の打席からはバットにグリップテープが無く(描写上省略しているのかも知れないが)最終打席に至っては凡打に終わった不甲斐なさからか、自らバットをたたき折ってしまっている。描写なしは番外編においても同様である。一方遺骸の方は球四郎の手により荼毘に付され、富士を臨む丘陵の上でバロン森と二人共用の墓碑に眠っている。
- ^ 肉体年齢である45歳を遥かに通り越して、しわくちゃな老人の姿となった。
- ^ ジャンプ連載時、球三郎のセリフにより初めてその名が語られた(太田出版の愛蔵版では3巻186ページに相当)際は、「高田雄一」と書かれていた。(誤植であったのか後で設定変更したのかは不明)そのため多くの単行本でも、この箇所の修正が行われていない。(ジャンプリミックス版では修正が確認されている。)
- ^ 彼に限らずビクトリー下位打線(6番・ベベ以降)は打率が悪く、全得点18の大半16を特定選手(球四郎・大門・バロン)の本塁打に頼った事で、全員複数安打によりどこからでも得点できたアストロとの地力差が付いてしまった。この傾向はロッテオリオンズも同様で、全得点16中12点がジョーと坂本の本塁打によって賄われている。アストロと対戦するチームに向けた課題と言える。
- ^ 本来このイニング先頭打者であったが、前イニングで3アウトになった沖田が再度打者に立ち出塁、続くバロンの2ランホーマーとなるため、打順が飛ばされてしまっている。
- ^ 投手の立場としてはアストロの打者全てがライバルとなるが、何故かL字投法を攻略した球三郎にではなく、直接対決は無きに等しかった球一個人を敵視する言動が多い。初代球二死亡の際、球一にバットで顔面を殴られてはいるが、それ以前から球一のパラシュート綱を切断したりと、奇妙な関係が始まっていた。
- ^ a b この設定はロッテ戦後に明らかになったが、端からブラフとして機能していない。ロッテ戦当日、無七志と知念は特訓先の日光・中島ホテルにて川上らと共にTV観戦していた事が明示されており、試合中のアザの疼き=超人結集には関与出来ない。
- ^ 後年発表されたパチスロ版では、意外な形で試合出場を果たす事になる。パチスロの頁参照。
- ^ 殺人L字投法の攻略が左右バッターボックスの切り替えにある事をいち早く見抜いていたのも、左右打席の概念を柔軟に切り替える事に馴染んでいた知念ならではの発想と言える。
- ^ 実在の正力は読売新聞グループ本社社主、株式会社よみうりランド取締役、日本テレビ放送網代表取締役副社長、報知新聞社社長を務めた大実業家である。また、ジャンプ初代編集長・長野規とは懇意の関係にあり、巨人軍の漫画化権を認め『侍ジャイアンツ』の掲載、さらにアニメ化への便宜を図っていた。これらへの忖度から、目立った悪役にはし辛かった可能性が考えられる。
- ^ 表記は「長島」「長嶋」の2通りあるが、本項では初出表記に倣い「長島」を採用する。なお単行本における表記は1999年の太田出版まで初出同様「長島」であるが、2003年のジャンプリミックスで「長嶋」に改められた。(但し一部「長島」表記も残っている。)
- ^ この他、初代球二(球太)も長島監督黄金時代の皮算用に加わっていたり、球三郎は川上より球界転向の誘いを受けていた。入団寸前の球四郎も含め、大半の超人が巨人入団の打診を受けていた形になる。
- ^ この時無七志は「ワンちゃんにケンカうるなんざ二十年はやいつーんだよ」と知念に突っ込みを入れているが、当の無七志も二年前に能登で王に無理やり勝負を挑んでいる。
- ^ その設定と容姿(顎が尖り耳が大きい)から江川卓がモデルと思われるが、先に球四郎の演説で江川本人の存在が示されており、この作中では別人として存在するようだ。
- ^ ジャンプコミックス版・第12巻の巻末解説を担当している。「アストロ球児たちのこころいき-」
- ^ 当時、江夏とは「黄金バッテリー」として活躍していたことから、江夏に変装した球一(当時・球児)の球を捕っていたのは彼である可能性が高い。
- ^ 「ひさびさにアストロ超人のネームが後楽園にきざまれました!!」とアナウンサーが告げるが、巨人戦を経験していないアストロはもちろん後楽園初参戦である。
- ^ 例えば、伊集院兄弟の確執の原因と和解が完全に省略されているので、球三郎を異常に憎んでいたはずの大門が、なぜ急に改心して切腹するのかが理解不能である。
- ^ ビクトリー戦で受ける右頬の傷は既に付いた状態になっている。また当ゲームでの球六の肌の色は強目の褐色に設定されており、シュウロの肌よりも濃く色黒である。「赤銅色の肌により普段はボール形のアザが見えない」設定を生かしたとも考えられるが、作者・中島によるカラーイラストでは球六の肌を他より意識的に濃くした物は確認されていない。
- ^ ただし打順はロッテ戦での物に準じ、最後に七番打者として球六を付け加えた形となっている。
- ^ ブラック球団のユニフォーム姿を披露したり、片手片足打法を対アストロで実戦使用したりと、知念関連では貴重なメディアと言える。
関連項目
[編集]- 南総里見八犬伝(本作品の設定に強い影響を与えている)
- アニマル球場(本作品以前に連載されたプロトタイプに相当する作品。遠崎史朗は編集者として参加)
- 球速0.25秒!(上記の次回作。原作の杉四郎は遠崎史朗の変名。ボブ・フェラーのプロットは本作と共通して用いられる。)