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キノリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キノリン
キノリンの構造式
分子模型
一般情報
IUPAC名 キノリン(許容慣用名)
ベンゾ[b]ピリジン(系統名)
別名 1-アザナフタレン、1-ベンズアジン
分子式 C9H7N
分子量 129.16
形状 無色油状
CAS登録番号 [91-22-5]
SMILES C1(N=CC=C2)=C2C=CC=C1
性質
密度 1.09 g/cm3,
融点 -15 °C
沸点 238 °C
pKb 9.5
屈折率 1.62683 (20℃)

キノリン (quinoline) は分子式 C9H7N、分子量 129.16 の複素環式芳香族化合物の一種である。その構造を、1-アザナフタレン1-ベンズアジンベンゾ[b]ピリジンと表すこともできる。無色で吸湿性の油状物質で、強い臭いをもつ。

水にはわずかしか溶けないが、多くの有機溶媒に容易に溶ける。光が当たる場所で長期保存すると、キノリンは黄色に、さらに褐色へと変色する。

キノリンは色素、高分子、農薬の製造において、合成中間体として用いられる。保存剤、消毒剤、溶媒としても利用される。

キノリンは有毒である。キノリンの蒸気に短時間さらされると、鼻、眼、喉に炎症を生じ、めまいと吐き気を催す。長期間さらされた場合の影響ははっきりと知られてはいないが、肝臓の損傷との関係が疑われている。

毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている[1]

消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する[2]

存在と合成法

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キノリンは、コールタールの中に発見され、そこから1834年にF.ルンゲによる最初の抽出が行われた。

キノリンは以下に示す手法で合成できる。

Combes 合成
アニリンと 1,3-ジケトンから生じるイミンを酸で環化させる。
Combes 合成
Conrad-Limpach 合成
アニリンとβ-ケトエステルを用いる。
Conrad-Limpach 合成
Doebner-Miller 反応
アニリンとα,β-不飽和カルボニル化合物を用いる。
Doebner-Miller 反応
Friedländer 合成
2-アミノベンズアルデヒドアセトアルデヒドを用いる。
Friedländer 合成
Skraup 合成
ニトロベンゼン硫酸のもとに、グリセロールとアニリンに硫酸鉄(II)を作用させる[3]。詳細はスクラウプのキノリン合成を参照。
Skraup 合成
Povarov 合成
アニリン、ベンズアルデヒドと活性アルケンを用いる。
Camps 合成
o-(アシルアミノ)アセトフェノンを塩基により環化させる。
Camps合成
Knorr 合成
β-ケトアニリドから酸のもとで (1H)-キノリン-2-オンを得る。
Gould-Jacobs 反応
アニリンとエトキシメチレンマロン酸エステルとの縮合環化。

参考文献

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  1. ^ 毒物及び劇物指定令(昭和40年1月4日政令第2号)第2条第22号の4 - e-Gov法令検索
  2. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  3. ^ Clarke, H. T.; Davis, A. W. Org. Synth., Coll. Vol. 1, p.478 (1941); Vol. 2, p.79 (1922). オンライン版

関連項目

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