ジェームズ・ピーブルス
Philip James Edwin Peebles ジェームズ・ピーブルスOM FRS | |
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ジェームズ・ピーブルス(2010) | |
生誕 |
Phillip James Edwin Peebles 1935年4月25日(89歳) カナダ・マニトバ州ウィニペグ |
国籍 |
カナダ アメリカ合衆国 |
研究分野 |
理論物理学 現代宇宙論 |
研究機関 |
プリンストン大学 プリンストン高等研究所 |
出身校 |
マニトバ大学 プリンストン大学 |
博士論文 | Observational tests and theoretical problems relating to the conjecture that the strength of the electromagnetic interaction may be variable (1962) |
博士課程 指導教員 | ロバート・H・ディッケ |
博士課程 指導学生 | マーガレット・ゲラー |
主な業績 | 宇宙マイクロ波背景放射 |
主な受賞歴 |
ノーベル物理学賞 (2019年) エディントン・メダル (1981年) ハイネマン賞天体物理学部門 (1982年) ブルース・メダル (1995年) 王立天文学会ゴールドメダル (1998年) グルーバー賞 (2000年) ハーヴェイ賞 (2001年) ショウ賞 (2004年) クラフォード賞 (2005年) ディラック・メダル (2013年) |
プロジェクト:人物伝 |
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フィリップ・ジェームズ・エドウィン・ピーブルス(Phillip James "Jim" Edwin Peebles、1935年4月25日 - )は、カナダ系アメリカ人理論物理学者であり、プリンストン大学アルバート・アインシュタイン名誉教授を務める宇宙論研究者である[1][2]。
1970年以来、彼は世界を代表する理論宇宙論学者であると広く認められており、宇宙初期におけるビッグバン元素合成、ダークマター、宇宙マイクロ波背景放射、宇宙の大規模構造形成の理解に貢献した。
彼の宇宙論研究への貢献に対し、2019年にノーベル物理学賞を受賞した[3][4]。
研究歴
[編集]ピーブルスは、1935年4月25日にカナダのマニトバ州ウィニペグで生まれ、マニトバ大学を卒業した。1958年秋に彼はマニトバを去り、プリンストン大学に入学した。彼はここでロバート・H・ディッケに師事し、博士号を取得した[5]。この後、彼は変わらずプリンストン大学に在籍している。
ピーブルスは、ビッグバン宇宙論に多くの重要な貢献を果たした。ディッケやその他の先駆者(ジョージ・ガモフ、ラルフ・アルファ、ロバート・ハーマンらに遅れること約20年)らと共に、ピーブルスは宇宙マイクロ波背景放射の存在を予言した。ピーブルスは、ビッグバン元素合成、ダークマター、ダークエネルギー研究への貢献だけでなく、1970年代から宇宙の大規模構造の研究で世界の先頭を走っていた。ショウ賞の受賞にあたっては、「彼は、理論的にも観察的にも宇宙論におけるほとんどすべての現代的研究の基礎を築き、高度に観念的な分野を精密な科学へと変化させた」ことが授賞理由とされた[6]。
彼の3冊の教科書 (Physical Cosmology, 1971; Large Scale Structure of the Universe, 1980; Principles of Physical Cosmology, 1993) は、この分野の標準的な参考文献となっている。
ピーブルスは多くの基礎的かつ斬新な概念を導入し、これらは後の世代の研究者によって盛んに研究されている。例えば、1987年にピーブルスは初期宇宙の進化についてΛ-CDMモデルのようにエキゾチックな暗黒物質を必要としないprimordial isocurvature baryon modelを提唱した[7]。1970年代には、ダークマター研究の基礎を作ることに貢献した[8]。また、エレミア・オストライカーとともに、銀河形成の安定性に関するOstriker-Peebles criterionを提唱した。
賞歴
[編集]- エディントン・メダル (1981)
- ハイネマン賞天体物理学部門 (1982)
- 王立協会フェロー (1982)[9]
- ヘンリー・ノリス・ラッセル講師職 (1993)
- ブルース・メダル (1995)
- オスカル・クライン記念講座 (1997)
- 王立天文学会ゴールドメダル (1998)
- グルーバー賞 (2000), 同時受賞:アラン・サンデージ
- ハーヴェイ賞 (2001)
- ショウ賞天文学部門 (2004)
- クラフォード賞 (2005), 同時受賞: ジェームズ・エドワード・ガン、マーティン・リース (2005)
- Hitchcock Professorship (2006)
- ICTPのディラック・メダル (2013)
- Member of the Order of Manitoba (2017)
- ノーベル物理学賞 (2019)
エポニム
[編集]出典
[編集]- ^ “Princeton University Physics Department”. 2011年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月8日閲覧。
- ^ “Princeton University News” (2000年8月21日). 2016年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月8日閲覧。
- ^ “2019年のノーベル物理学賞、欧米の研究者ら3氏に 宇宙論の業績で”. AFPBB News (2019年10月8日). 2020年7月30日閲覧。
- ^ “The Nobel Prize in Physics 2019”. 2019年10月8日閲覧。
- ^ Peebles, P.J.E. (2012). “Seeing Cosmology Grow”. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 50 (1): 1-28. doi:10.1146/annurev-astro-081811-125526. ISSN 0066-4146.
- ^ “Announcement-The Shaw Laureate in Astronomy 2004”. Shaw Foundation. 2019年10月8日閲覧。
- ^ Hu 1994.
- ^ de Swart, J. G. et al. (2017). “How dark matter came to matter”. Nature Astronomy 1 (3). arXiv:1703.00013. Bibcode: 2017NatAs...1E..59D. doi:10.1038/s41550-017-0059. ISSN 2397-3366.
- ^ “Phillip Peebles biography”. 王立協会. 2019年10月8日閲覧。
- ^ “(18242) Peebles = 1995 WO10 = 2102 T-2 = T/2102 T-2”. MPC. 2021年8月13日閲覧。
参考文献
[編集]- Davis, M.; Peebles, P. J. E. (1983). “A survey of galaxy redshifts. V – The two-point position and velocity correlations”. Astrophys. J. 267: 465. Bibcode: 1983ApJ...267..465D. doi:10.1086/160884.
- Dicke, R. H.; Peebles, P. J. E.; Roll, P. G.; Wilkinson, D. T. (1965). “Cosmic Black-Body Radiation”. Astrophys. J. 142: 414. Bibcode: 1965ApJ...142..414D. doi:10.1086/148306.
- Fukugita, M.; Hogan, C. J.; Peebles, P. J. E. (1998). “The cosmic baryon budget”. Astrophys. J. 503 (2): 518. arXiv:astro-ph/9712020. Bibcode: 1998ApJ...503..518F. doi:10.1086/306025.
- Groth, E. J.; Peebles, P. J. E. (1977). “Statistical Analysis Of Catalogs Of Extragalactic Objects. 7. Two And Three Point Correlation Functions For The High-Resolution Shane-Wirtanen Catalog Of Galaxies”. Astrophys. J. 217: 385. Bibcode: 1977ApJ...217..385G. doi:10.1086/155588.
- Ostriker, J. P.; Peebles, P. J. E. (1973). “A Numerical Study of the Stability of Flattened Galaxies: or, can Cold Galaxies Survive?”. Astrophys. J. 186: 467. Bibcode: 1973ApJ...186..467O. doi:10.1086/152513.
- Peebles, P. J. E. (1966). “Primordial Helium Abundance and the Primordial Fireball. I”. Phys. Rev. Lett. 16 (10): 410. Bibcode: 1966PhRvL..16..410P. doi:10.1103/PhysRevLett.16.410.
- Peebles, P. J. E. (1966). “Primordial Helium Abundance and the Primordial Fireball. II”. Astrophys. J. 146: 542. Bibcode: 1966ApJ...146..542P. doi:10.1086/148918.
- Peebles, P. J. E.; Dicke, R. H. (1968). “Origin of the Globular Star Clusters”. Astrophys. J. 154: 891. Bibcode: 1968ApJ...154..891P. doi:10.1086/149811.
- Peebles, P. J. E. (1969). “Origin of the Angular Momentum of Galaxies”. Astrophys. J. 155: 393. Bibcode: 1969ApJ...155..393P. doi:10.1086/149876.
- Peebles, P. J. E.; Yu, J. T. (1970). “Primeval adiabatic perturbation in an expanding universe”. Astrophys. J. 162: 815. Bibcode: 1970ApJ...162..815P. doi:10.1086/150713.
- Peebles, P. J. E. (1971). Physical Cosmology. Princeton: Princeton University Press
- Peebles, P. J. E. (1980). The large-scale structure of the universe. Princeton: Princeton University Press
- Peebles, P. J. E. (1982). “Large-scale background temperature and mass fluctuations due to scale-invariant primeval perturbations”. Astrophys. J. 263: L1. Bibcode: 1982ApJ...263L...1P. doi:10.1086/183911.
- Peebles, P. J. E. (1993). Principles of Physical Cosmology. Princeton: Princeton University Press
- Ratra, B.; Peebles, P. J. E. (1988). “Cosmology with a time-variable cosmological 'constant'”. Astrophys. J. 325: L17. Bibcode: 1988ApJ...325L..17P. doi:10.1086/185100.
- Ratra, B.; Peebles, P. J. E. (1988). “Cosmological consequences of a rolling homogeneous scalar field”. Phys. Rev. D 37 (12): 3406. Bibcode: 1988PhRvD..37.3406R. doi:10.1103/physrevd.37.3406.
- Ratra, B.; Peebles, P. J. E. (2003). “The cosmological constant and dark energy”. Rev. Mod. Phys. 75 (2): 559–606. arXiv:astro-ph/0207347. Bibcode: 2003RvMP...75..559P. doi:10.1103/RevModPhys.75.559.
伝記
[編集]- Hu, Wayne (28 June 1994). "The Nature versus Nurture of Anisotropies". arXiv:astro-ph/9406071。
著書
[編集]- 『ピーブルス先生の量子力学』 二間瀬敏史 訳 2022年 丸善出版 ISBN 978-4-621-30707-6
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 20世紀アメリカ合衆国の天文学者
- 21世紀アメリカ合衆国の天文学者
- カナダの天文学者
- 宇宙学者
- ノーベル物理学賞受賞者
- アメリカ合衆国のノーベル賞受賞者
- カナダのノーベル賞受賞者
- 王立天文学会ゴールドメダル受賞者
- ショウ賞受賞者
- ハイネマン賞天体物理学部門受賞者
- ブルース・メダル受賞者
- ディラック・メダル (ICTP) 受賞者
- オスカル・クライン記念講座講演者
- プリンストン大学の教員
- 王立協会フェロー
- カナダ王立協会フェロー
- 米国科学アカデミー会員
- アメリカ芸術科学アカデミー会員
- アメリカ物理学会フェロー
- アメリカ哲学協会会員
- アメリカ科学振興協会フェロー
- カナダ勲章受章者
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