ジテルペン
ジテルペン (Diterpene) は、4つのイソプレン単位によって構成され、C20H32の分子式を持つテルペンである。ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)より誘導される。ジテルペンは、レチノール、レチナール、フィトール等の生理的に重要な化合物の骨格になっている。
ただし、レチノールおよびレチナールはC40のカロテノイド(テトラテルペノイド)が2つに分解して生成したもので、GGPPから直接合成されたものではない。
生合成
[編集]ジテルペンは通常ファルネシルピロリン酸(FPP)のプレニル化によって生じるGGPPを前駆体として作られる[1][2]。
この鎖状骨格は以下の単環式構造へ変換される(ラブダン骨格は協奏的環化によって生成する)。
ジテルペノイドの例
[編集]- アビエチン酸
- アフィジコリン
- カフェストール
- センブレンA
- フェルギノール
- フォルスコリン
- グアナカステペンA
- カーウェオール
- ラブダン
- ラゴキリン
- スクラレン
- ステマレン
- ステビオール
- タキサジエン(パクリタキセルの前駆体)
- チアムリン
その他
[編集]- Dodonaea petiolarisは、ent-3β-acetoxy- 15,16-epoxylabda-8(17),13(16),14-trien-18-oic acid (C22H28O6)及びそのエナンチオマーを生成する[3]。
- Spirostachys africanaは、乳液中で下剤作用を持つexcoecarinを生成する。
- Salvia divinorumは、向精神性作用を持つサルビノリンAを生成する。
基本骨格
[編集]フィタン
フィタン |
プレニルビスアボラン
プレニルビスアボラン |
ラブダン
ラブダン |
ハリマン
ハリマン |
グナファラン
グナファラン |
コレンサン
コレンサン |
ent-クレロダン
クレロダン |
アビエタン
アビエタン | 3,16-シクロアビエタン | 19(4→3)-アベオ-13,16-シクロアビエタン | 17(15→16)-アベオアビエタン | 17(15→16),19(4→3)-ビスアベオアビエタン |
イセテキサン
イセテキサン |
トタラン
トタラン |
ナギラクトン
5-エチル-1,1,4a-トリメチル-6-(2-メチルプロピル)-デカヒドロナフタレン | ナギラクトン |
ピマラン
ピマラン | イソピマラン |
ロサン
ロサン |
エリトロキシラン
エリトロキシラン |
パラグアラン
パラグアラン |
デバダラン
デバダラン |
カッサン
カッサン | ボウアカパン |
クレイスタンタン
クレイスタンタン |
イソクレイスタンタン
イソクレイスタンタン |
イソコパラン
イソコパラン | エスポギアン |
ポドアルパン類
カウランおよびフィロクラダン
カウラン | フィロクラダン |
ギンコリドおよびビロバリド
ビロバリド | ギンコリド |
ベイエラン
ベイエラン |
ビラノバン
ビラノバン |
アチサン
アチサン |
トラキロバン
トラキロバン |
ヘルビフルバン
ヘルビフルバン |
アコニタン
アコニタン |
ヘテラチサン
ヘテラチサン |
アフィジコラン
アフィジコラン |
ジベレラン
ジベレラン |
ジバン
ジバン |
ロイコトール
ロイコトール |
グラヤノトキサン
グラヤノトキサン |
センブラン
センブラン |
バスマン
バスマン |
オイニセラン
オイニセラン |
アベスチナン
アベスチナン |
エスフェラン
エスフェラン |
ブリアナン
ブリアナン |
ドラベラン
ドラベラン |
ネオドラベラン
ネオドラベラン |
ドラスタン
ドラスタン |
シアタン
シアタン |
エスフェロアン
エスフェロアン |
ベルコサン
ベルコサン |
ネオベルコサン
ネオベルコサン |
ホモベルコサン
ホモベルコサン |
ネオホモベルコサン
ネオホモベルコサン |
カスバン
カスバン |
ラチラン
ラチラン |
ラムノフォラン
ラムノフォラン |
ダフナン
ダフナン |
チグリアン
チグリアン |
インゲナン
インゲナン |
ジャトロファン
ジャトロファン |
ジャトロフォラン
ジャトロフォラン |
クロトフォラン
クロトフォラン |
フシコカン
フシコカン |
バルパラン
バルパラン |
ムリナン
ムリナン |
エスパタン
エスパタン |
ベルチシラン
ベルチシラン |
タキサン
タキサン | 11(15→1)-アベオタキサン |
トリネルビタン
トリネルビタン |
ケンパン
ケンパン |
アンフィレクタン
アンフィレクタン |
シクロアンフィレクタン
シクロアンフィレクタン |
アドシアン
アドシアン |
ネオアンフィレクタン
ネオアンフィレクタン |
キセニカン
キセニカン |
キセニアフィラン
キセニアフィラン |
ビシダン
ビシダン |
エレマン
エレマン |
プレニルオイデスマン
プレニルオイデスマン |
プレニルゲルマクランおよびプレニルシクロゲルマクラン
プレニルゲルマクラン | プレニルシクロゲルマクラン |
ロバン
ロバン |
パキジクチアン
パキジクチアン |
プレニルアロマデンドラン
プレニルアロマデンドラン |
セルラタン
セルラタン |
ビフロラン
ビフロラン |
デシピアン
デシピアン |
サクラタン
サクラタン |
オブツサン
オブツサン |
エスフェノロバン
エスフェノロバン |
ソルダリシン
ソルダリシン |
出典
[編集]- ^ Paul M. Dewick (2009). Medicinal natural products: a biosynthetic approach. John Wiley and Sons. ISBN 0470741686, 9780470741689
- ^ J. D. Connolly, Robert Alfred Hill (1991). Chapman & Hall. ed. Dictionary of Terpenoids, Volume 1. ISBN 041225770X, 9780412257704
- ^ PR Jefferies, TG Payne, CL Raston and AH White (1981). “The chemistry of Dodonaea spp. VIII. Isolation and crystal structure of a diterpene acid from Dodonaea petiolaris”. Australian Journal of Chemistry 34 (5): 1001 - 1007. doi:10.1071/CH9811001.