セセリチョウ科
セセリチョウ科 Hesperiidae | |||||||||||||||||||||
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吸蜜中のイチモンジセセリ(Parnara guttata)
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Hesperioidea Latreille, 1809 Hesperiidae Latreille, 1809[1] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Skipper Skipper butterfly | |||||||||||||||||||||
亜科 | |||||||||||||||||||||
セセリチョウ科(セセリチョウか、Hesperiidae)はチョウ目(鱗翅目)セセリチョウ上科内のひとつの分類単位。またセセリチョウ(挵蝶)はセセリチョウ科に含まれる蝶の総称ないし俗称(セセリチョウを標準和名とする蝶はいない)。
アゲハチョウ上科(典型的なチョウ)やシャクガモドキ上科と共に、チョウ (Rhopalocera) に分類される。
特徴
[編集]他のチョウ(特にアゲハチョウ上科)との違いには以下のようなものがある。
- 触角はアゲハチョウ上科の特徴である棍棒状とも言えるが、典型的な棍棒状ではなく、先端が鉤状に尖り後方に反り返っている。2本の触角の根元は大きく離れている。
- 前翅の翅脈は全て中室から出て、途中で分岐しない。アゲハチョウ上科では分岐する。
- 胴体が太く短く、頭部が大きく、翅が小さく、脚が短い。全体的にずんぐりした体型である。
- 胴部が太いのは、翅を動かすための胸部の筋肉が多いからで、羽ばたきと飛行は素早く力強い。アゲハチョウ上科の「ヒラヒラ」と形容される飛び方とは異なるため、昆虫に詳しくない人はガと勘違いしていることも多い。
- 小型から中型。大型種はいない。
- 幼虫には食草の葉を巻く・折り曲げる等して巣を作るものが多く、巣の中で体の向きを変えやすいよう、頭部が細い。
- 昼行性と夜行性の中間で、主に早朝や夕方の薄明時に飛ぶ。
分類
[編集]セセリチョウ上科セセリチョウ科に分類される。セセリチョウ上科はセセリチョウ科のみが属する単型である。
7亜科、567属、4000種に分類され、7亜科のうち2亜科はいくつかの族に分けられる (Warren et al. 2008[2]; 2009[3])。
種のうち半分以上は南米産。日本には4亜科37種がいる。
- アオバセセリ亜科 Coeliadinae Evans, 1937
- アオバセセリ、オキナワビロウドセセリ、キバネセセリ、タイワンアオバセセリ、テツイロビロウドセセリ など
- チャマダラセセリ亜科 Pyrginae Burmeister, 1878
-
- ミヤマセセリ族 Erynnini - ヒメチャマダラセセリ、ミヤマセセリ など
- チャマダラセセリ族 Pyrgini - チャマダラセセリ など
- Achlyodidini
- Carcharodini
- オオトガリセセリ族 Pyrrhopygini
- シロシタセセリ族 Tagiadini - コウトウシロシタセセリ、ダイミョウセセリ など
- キコモンセセリ族 Celaenorrhini
- オナガセセリ亜科 Eudaminae Mabille, 1877
- 日本にはいない - オナガセセリ
- ラッフルズセセリ亜科 Euschemoninae Waterhouse[4] & Lyell, 1914
- オーストラリアに1種のみ - ラッフルズセセリ
- チョウセンキボシセセリ亜科 Heteropterinae Aurivillius, 1925
- カラフトタカネキマダラセセリ、ギンイチモンジセセリ、タカネキマダラセセリ など
- キマドセセリ亜科 Trapezitinae Waterhouse[5] & Lyell, 1914
- オーストラリアに分布
- セセリチョウ亜科 Hesperiinae Latreille, 1809
-
- ホシチャバネセセリ族 Aeromachini - コチャバネセセリ、ホシチャバネセセリ など
- Erionotini ? - オオシロモンセセリ、ギンイチモンジセセリ、クロセセリ、クロボシセセリ、バナナセセリ、ホソバセセリ など
- キマダラセセリ族 Taractrocerini - キマダラセセリ、ネッタイアカセセリ など
- スジグロチャバネセセリ族 Thymelicini - カラフトセセリ、スジグロチャバネセセリ、ヘリグロチャバネセセリ など
- Anthoptini
- Calpodini
- Baorini - イチモンジセセリ、オオチャバネセセリ、オガサワラセセリ、チャバネセセリ、トガリチャバネセセリ、ヒメイチモンジセセリ、ミヤマチャバネセセリ、ユウレイセセリ など
- Monicini
- アカセセリ族 Hesperiini - アカセセリ、アサヒナキマダラセセリ、コキマダラセセリ、ヒメキマダラセセリ など
Erionotini は不確実なグループで、Warren et al. は族として認めず incertae sedis(族不明)としているが、しばしば Erionotini と呼ばれる。
かつては、オナガセセリ亜科とラッフルズセセリ亜科をチャマダラセセリ亜科に含めることが多かった。また、以下のような亜科を認めることもあった。
- オオトガリセセリ亜科 Pyrrhopyginae Mabille, 1877
- 南米に分布。Tamyrididae Burmeister, 1878 とも。現在はチャマダラセセリ亜科オオトガリセセリ族 Pyrrhopygini。
- イトランセセリ亜科 Megathyminae Comstock & A.B.Comstock, 1895
- 北米・中米に分布。現在はセセリチョウ亜科Erionotiniの一部。
系統
[編集]これらの系統関係は以下のとおり (Warren et al. 2008)。チャマダラセセリ亜科の単系統性は疑わしく、所属する族がばらばらに表れている(アオバセセリ亜科とオナガセセリ亜科の間の7つの族)。
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種の保全状況評価
[編集]本科の多数の種が国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[6]。
本科の多数の種が、日本の環境省と各都道府県でレッドリストの指定を受けている[7]。
おもな種の画像
[編集]-
コヒゲセセリ
Hylephila phyleus -
チャバネセセリ
Pelopidas mathias -
ダイミョウセセリ
Daimio tethys -
キマダラセセリ
Potanthus flavus -
コキマダラセセリ
Ochlodes venatus -
ミヤマセセリ
Erynnis montanus
脚注
[編集]- ^ “Hesperiidae Latreille, 1809” (英語). ITIS. 2012年5月29日閲覧。
- ^ Warren, A. D.; Ogawa, J. R.; Brower, A. V. Z. (2008), “Phylogenetic relationships of subfamilies and circumscription of tribes in the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea)”, Cladistics 24: 642–676
- ^ Warren, A. D.; Ogawa, J. R.; Brower, A. V. Z. (2009), “Revised classification of the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) based on combined molecular and morphological data”, Systematic Entomology 34: 467–523
- ^ ジョージ・ロバート・ウォーターハウス(1810-1888)哺乳類、昆虫学、またはチャールズ・オーウェン・ウォーターハウス(1843-1917)昆虫学者(甲虫類)またはグスタヴァス・アソール・ウォーターハウス(1877-1950)昆虫学者(オーストラリアの蝶類など)
- ^ ジョージ・ロバート・ウォーターハウス(1810-1888)哺乳類、昆虫学、またはチャールズ・オーウェン・ウォーターハウス(1843-1917)昆虫学者(甲虫類)またはグスタヴァス・アソール・ウォーターハウス(1877-1950)昆虫学者(オーストラリアの蝶類など)
- ^ “Hesperiidae in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2.” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2012年5月29日閲覧。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(セセリチョウ科)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年5月29日閲覧。
参考文献
[編集]- 猪又敏男(編・解説)、松本克臣(写真)『蝶』山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年6月。ISBN 4-635-06062-4。
外部リンク
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