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セセリチョウ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セセリチョウ上科から転送)
セセリチョウ科 Hesperiidae
吸蜜中のイチモンジセセリParnara guttata)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
階級なし : チョウ Rhopalocera
上科 : セセリチョウ上科 Hesperioidea
: セセリチョウ科 Hesperiidae
学名
Hesperioidea Latreille1809
Hesperiidae Latreille1809[1]
英名
Skipper
Skipper butterfly
亜科

詳細は本文の分類参照

セセリチョウ科(セセリチョウか、Hesperiidae)はチョウ目(鱗翅目)セセリチョウ上科内のひとつの分類単位。またセセリチョウ(挵蝶)はセセリチョウ科に含まれる蝶の総称ないし俗称(セセリチョウを標準和名とする蝶はいない)。

アゲハチョウ上科(典型的なチョウ)やシャクガモドキ上科と共に、チョウ (Rhopalocera) に分類される。

セセリチョウと花

特徴

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他のチョウ(特にアゲハチョウ上科)との違いには以下のようなものがある。

  • 触角はアゲハチョウ上科の特徴である棍棒状とも言えるが、典型的な棍棒状ではなく、先端が鉤状に尖り後方に反り返っている。2本の触角の根元は大きく離れている。
  • 前翅の翅脈は全て中室から出て、途中で分岐しない。アゲハチョウ上科では分岐する。
  • 胴体が太く短く、頭部が大きく、翅が小さく、脚が短い。全体的にずんぐりした体型である。
  • 胴部が太いのは、を動かすための胸部の筋肉が多いからで、羽ばたきと飛行は素早く力強い。アゲハチョウ上科の「ヒラヒラ」と形容される飛び方とは異なるため、昆虫に詳しくない人はと勘違いしていることも多い。
  • 小型から中型。大型種はいない。
  • 幼虫には食草の葉を巻く・折り曲げる等してを作るものが多く、巣の中で体の向きを変えやすいよう、頭部が細い。
  • 昼行性夜行性の中間で、主に早朝や夕方の薄明時に飛ぶ。

分類

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セセリチョウ上科セセリチョウ科に分類される。セセリチョウ上科はセセリチョウ科のみが属する単型である。

7亜科、567属、4000種に分類され、7亜科のうち2亜科はいくつかのに分けられる (Warren et al. 2008[2]; 2009[3])。

種のうち半分以上は南米産。日本には4亜科37種がいる。

アオバセセリ亜科 Coeliadinae Evans, 1937
アオバセセリオキナワビロウドセセリキバネセセリタイワンアオバセセリテツイロビロウドセセリ など
チャマダラセセリ亜科 Pyrginae Burmeister1878
オナガセセリ亜科 Eudaminae Mabille1877
日本にはいない - オナガセセリ
ラッフルズセセリ亜科 Euschemoninae Waterhouse[4] & Lyell1914
オーストラリアに1種のみ - ラッフルズセセリ
チョウセンキボシセセリ亜科 Heteropterinae Aurivillius1925
カラフトタカネキマダラセセリギンイチモンジセセリタカネキマダラセセリ など
キマドセセリ亜科 Trapezitinae Waterhouse[5] & Lyell1914
オーストラリアに分布
セセリチョウ亜科 Hesperiinae Latreille1809

Erionotini は不確実なグループで、Warren et al. は族として認めず incertae sedis(族不明)としているが、しばしば Erionotini と呼ばれる。

かつては、オナガセセリ亜科とラッフルズセセリ亜科をチャマダラセセリ亜科に含めることが多かった。また、以下のような亜科を認めることもあった。

オオトガリセセリ亜科 Pyrrhopyginae Mabille1877
南米に分布。Tamyrididae Burmeister1878 とも。現在はチャマダラセセリ亜科オオトガリセセリ族 Pyrrhopygini
イトランセセリ亜科 Megathyminae Comstock & A.B.Comstock1895
北米中米に分布。現在はセセリチョウ亜科Erionotiniの一部。

系統

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これらの系統関係は以下のとおり (Warren et al. 2008)。チャマダラセセリ亜科の単系統性は疑わしく、所属する族がばらばらに表れている(アオバセセリ亜科とオナガセセリ亜科の間の7つの族)。

アゲハチョウ上科 Papilionoidea

セセリチョウ科

アオバセセリ亜科 Coeliadinae

ミヤマセセリ族 Erynnini

チャマダラセセリ族 Pyrgini

Achlyodidini

Carcharodini

オオトガリセセリ族 Pyrrhopygini

シロシタセセリ族 Tagiadini

キコモンセセリ族 Celaenorrhinini

オナガセセリ亜科 Eudaminae

ラッフルズセセリ亜科 Euschemoninae

チョウセンキボシセセリ亜科 Heteropterinae

キマドセセリ亜科 Trapezitinae

セセリチョウ亜科 Hesperiinae

ホシチャバネセセリ族 Aeromachini

Erionotini

キマダラセセリ族 Taractrocerini

スジグロチャバネセセリ族 Thymelicini

Anthoptini

Calpodini

Baorini

Monicini

アカセセリ族 Hesperiini

種の保全状況評価

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本科の多数の種が国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[6]

本科の多数の種が、日本の環境省と各都道府県レッドリストの指定を受けている[7]

おもな種の画像

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脚注

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  1. ^ Hesperiidae Latreille, 1809” (英語). ITIS. 2012年5月29日閲覧。
  2. ^ Warren, A. D.; Ogawa, J. R.; Brower, A. V. Z. (2008), “Phylogenetic relationships of subfamilies and circumscription of tribes in the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea)”, Cladistics 24: 642–676, http://www.butterfliesofamerica.com/docs/warrenetal-Cladistics.pdf 
  3. ^ Warren, A. D.; Ogawa, J. R.; Brower, A. V. Z. (2009), “Revised classification of the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) based on combined molecular and morphological data”, Systematic Entomology 34: 467–523 
  4. ^ ジョージ・ロバート・ウォーターハウス(1810-1888)哺乳類、昆虫学、またはチャールズ・オーウェン・ウォーターハウス(1843-1917)昆虫学者(甲虫類)またはグスタヴァス・アソール・ウォーターハウス(1877-1950)昆虫学者(オーストラリアの蝶類など)
  5. ^ ジョージ・ロバート・ウォーターハウス(1810-1888)哺乳類、昆虫学、またはチャールズ・オーウェン・ウォーターハウス(1843-1917)昆虫学者(甲虫類)またはグスタヴァス・アソール・ウォーターハウス(1877-1950)昆虫学者(オーストラリアの蝶類など)
  6. ^ Hesperiidae in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2.” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2012年5月29日閲覧。
  7. ^ 日本のレッドデータ検索システム(セセリチョウ科)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年5月29日閲覧。

参考文献

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  • 猪又敏男(編・解説)、松本克臣(写真)『蝶』山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年6月。ISBN 4-635-06062-4 

外部リンク

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