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ソッタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソッタ
各種表記
ハングル 섰다
発音 ソッタ
2000年式 seotda
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ソッタは、韓国で行われている花札の遊戯である。おいちょかぶと同系のゲームであるが、特殊役が非常に多く、ポーカーに似た賭けのしかたをするのが特徴である。

概要

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トゥジョン。左は裏面。右は8種類の「将」

朝鮮では日本の花札がはいってくる以前から、中国の牌九の牌と同じ構成の「コルペ(骨牌)」や、独特なスート構成を持つ「トゥジョン(闘牋)」(朝鮮語版記事)という紙牌があった。トゥジョンの由来は明らかでないが、18世紀以降流行していた80枚の細長いカードで、動物の名前のついた8つのスートがあり、各スートは1から9までと「将」の10のランクよりなっていた。トゥジョンでもっとも人気があった賭博はカードのランクの合計の1の位がもっとも大きいものが勝つというものであった[1]。1900年ごろに花札が朝鮮に流入すると、これらのゲームは徐々に花札に駆逐されていった。

トゥジョンを使った「トッリョデギ(돌려대기)」[2]というゲームは、中国の牌九を使ったゲーム「闘牛」と似ており、5枚の手札から3枚を10の倍数にして捨て、のこり2枚でペアを作る(ペアがなければ2枚の合計の1の位を比較する)ゲームであった。これをそのまま花札で行うようにしたのが「トリジッコテン(도리짓고땡)」で、日本では「五枚株」と呼ばれている。ソッタはトリジッコテンに似ているが、より簡易化されており、役などに日本の同系のゲームである「おいちょかぶ」の影響がみられる。

「ソッタ(섰다)」という名前は賭けに出る時の「ソッタ(섰다、立った)」という掛け声に由来する[3]。よく「섯다」と呼ばれるが、正しい名称は同音の「섰다」である[4]

日本では「かちかち」(せった・じゅんじゅん・とっと等とも呼ぶ)という名前で同じ系統のゲームが行われている。

ルール

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2人から10人までで遊ぶことができる。

おいちょかぶのような親と子の勝負ではなく、ポーカーのように降りていないメンバー全員のうちでもっとも強い札を持つものが勝つ。

使用する道具

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花札のうち、柳と桐およびカス札を除いた20枚。

ほかにチップを用意する。

カードを配る

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カードはひとりあたり2枚くばる。おいちょかぶのような3枚めはない。

賭け

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各自は手札を見て、親から順に反時計回りに賭けを行う。賭けのやりかたはポーカーに似ており、以下の方法がある。賭け金をひきあげる(レイズ)するとき、その額は現在の賭け金の額以上にしなければならない。

  • ダイ:降りる。ポーカーのフォールドにあたる。
  • チェック:オープニングビッドが行われる前に、賭けずに次の人にパスする。
  • ピン(삥)[5]:最小額の賭け金をかける
  • コール:前の人と賭け金を同じにする
  • タダン(따당):賭け金を倍額にひきあげる
  • ハーフ:前の人と同額を賭けた上で、ポットに出ている賭け金の半額を上乗せする。たとえば2人が100ずつ賭けている時に、次の人が「ハーフ」をする場合は、(100×3)×0.5 = 150 を上乗せするので、250を賭けることになる。ほかに、1/4を上乗せする「クォーター」や、全額を上乗せする「フル」もある。

以上を、降りていない全員の賭け金の額が等しくなるまでおこなう。

勝負

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2枚の札の組み合わせによって勝負をつける。もっとも強い手のものがポットの賭け金を総取りする。

役のことを「チョクポ(족보)」という。多くの役があるが、強い順に羅列する。

クァンテン

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2枚がともに光札のときの役を「クァンテン(グァンテン、광땡)」という。柳と桐を除いているので、光札は全部で3枚しかない。

組み合わせ 役名 説明

サムパルグァンテン(삼팔(38)광땡) 桜に幕と芒に月の組み合わせで、最強である。

イルパルグァンテン(일팔(18)광땡) 松に鶴と芒に月の組み合わせ

イルサムグァンテン(일삼(13)광땡) 松に鶴と桜に幕の組み合わせ

クァンテンの高低は、3・8>1・8=1・3の順であり、1・3、1・8クァンテンは「暗行御史」に負ける。

テン

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2枚が同じ月であった場合を「テン(땡)」といい、クァンテンの次に強い役である。テンどうしでは、月数の大きいほうが強い。最強は紅葉(10月)のペアで、これを「チャンテン(장땡)」という。「チャン」とはトゥジョンの「将」のこと。1月のテンは「ピンテン(삥땡)」という。 ピンテンから9テンまではテンジャビに敗れ、チャンテンは敗れない。

組み合わせ 役名

チャンテン(장땡)

クテン(구땡)

パルテン(팔땡)

チルテン(칠땡)

ユクテン(육땡)

オテン(오땡)

サテン(사땡)

サムテン(삼땡)

イテン(이땡)

ピンテン(삥땡)またはイルテン(일땡)

それ以外の役

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以下の役はテンの次に強い。強いほうから順に記す。

組み合わせ 役名 説明

(1例)

アッリ(알리) 松(1月)+梅(2月)

(1例)

トクサ(독사) 松(1月)+藤(4月)。日本でいうシッピンにあたる。

(1例)

クッピン(구삥) 松(1月)+菊(9月)

(1例)

チャンピン(장삥) 松(1月)+紅葉(10月)

(1例)

チャンサ(장사) 藤(4月)+紅葉(10月)

(1例)

セリュク(세륙) 藤(4月)+牡丹(6月)

クッ

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役がない場合は、2枚の月の合計の1の位で比較する。これを「クッ(끗)」という。合計の1の位が9の場合を「カボ(가보)[6]」といって、もっとも強い。0の場合は「マントン(망통)」という。

特殊役

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どの特殊役を認めるかで地域差がある。

組み合わせ 役名 説明

テンジャビ(땡잡이) 桜に幕と萩に猪の組み合わせ。ピン(1)テンから9テンまでに勝つが、勝つことができるテンが出ていない場合は勝利していない。チャンテンとクァンテンには負ける。

暗行御史(アメンオサ、암행어사) 藤に時鳥と萩に猪の組み合わせ。1・8クァンテンと1・3クァンテンに勝つが、そのいずれも出ていない場合は勝利していない。3・8クァンテンには負ける。

(1例)

クサ(구사)またはサグ(사구) 藤(4月)と菊(9月)の組み合わせ。テン以上の役を持つ人がいないときに、その回の勝負を流すことができる。その回に出たチップは次回の勝者のものになる。テン以上の役を持つ人があれば、負ける。

モントングリクサ(멍텅구리 구사) 藤に不如帰と菊に盃の組み合わせ。クァンテンの役を持つ人がいないときに、その回の勝負を流すことができる。クァンテン以上の役を持つ人があれば、負ける。

脚注・出典

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  1. ^ Culin, Stewart (1895). Korean games with notes on the corresponding games of China and Japan. University of Pennsylvania. p. 126. https://archive.org/details/koreangameswith01culigoog 
  2. ^ 金欑根(1926)『朝鮮賭博要覧』p.16 では「チクテンイ」と呼んでいる。ただし役については記述されていない
  3. ^ 『朝鮮語辞典』1993 小学館
  4. ^ 国立国語院標準国語大辞典
  5. ^ ソッタで「ピン」とは数字の1を意味する(日本語からの借用)。
  6. ^ 日本語の「かぶ」に似ているが、上記キューリンの著書にもこの名が見え、キューリンが引用しているリデルらによる1880年刊の韓仏辞典p.132でもカボを偶然のゲーム(Jeu de hasard)としている

文献

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外部リンク

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