六百間
六百間(ろっぴゃっけん)は、2人または3人で競技を行う花札遊戯のひとつ。
概要
[編集]六百間の発祥は九州と言われており、九州地方、中国地方、大韓民国、旧満州で主に遊ばれていた。花札といえば花合わせやこいこいではなく、この六百間を連想する地域もある。競技方法は花合わせと似ているが、600点を獲得した競技者を勝者とする。
人数
[編集]2人。ただし、広島県や岡山県など地方によっては3人でも遊ばれる。
遊び方
[編集]親は各競技者に手札として4枚ずつ裏向きに配り、場札として4枚を表向きに置く。そしてもう1度同様に配る(「手八の場八」という)。
※3人の場合は手札4枚ずつ、場札3枚配った後、手札3枚ずつ、場札3枚配る(「手七の場六」あるいは「場六の手七」という)。
競技者は順に、花合わせと同じ要領で手札から1枚取り出して場に出す。この時、同じ札種(植物、月)の札が場札にあれば、2枚は得点となり、相手に分かりやすい様に自分の目の前に置く。なければ出した手札は場札に加える。その後、山札をめくって場に出し、同様にめくった山札と同じ札種(植物、月)の札が場札にあれば、2枚は得点となり、自分の目の前に置く。なければ引いた山札は場札に加える。こうして、全員の手札がなくなるまで行ない、獲得した札の点数と出来役の点数の合計を自分の得点とする。これを繰り返し、先に600点獲得した競技者が勝者となる(地域によっては700点を獲得した競技者が勝者としている地域もある。その際後述の四光、七短の点数は700点である)。
札点
[編集]- 光札(「松に鶴」、「桜に幕」、「芒に月」、「柳に小野道風」、「桐に鳳凰」)と「梅に鴬」の計6枚=各50点
- 種札(「梅に鴬」を除き、桐の色違いのカス札を含む) 計9枚=各10点
- 短冊札 計10枚=各10点
- カス札 計23枚=各0点
※ただし、「菊に盃」、「紅葉に鹿」を50点札としている地方もある。
出来役
[編集]出来役の点数は地方により異なる。大三と小三の点数は、ここに書いてあるのとは逆になっていることが多い。
役名 | 説明 | 点数 | 組み合わせ |
---|---|---|---|
四光 | 松に鶴・桜に幕・芒に月・桐に鳳凰の4枚 | 600点 | |
七短 | 短冊10枚(柳を含む)のうち任意の7枚 | 600点 | |
猪鹿蝶 | 萩に猪・紅葉に鹿・牡丹に蝶の3枚 | 300点 | |
松桐坊主 | 松に鶴・芒に月・桐に鳳凰の3枚 | 150点 | |
鉄砲 | 桜に幕・芒に月・菊に盃の3枚
(強力な火縄銃も雨で使えないことから) |
300点 | |
花見て一杯 | 桜に幕・菊に盃の2枚 | 100点 | |
月見て一杯 | 芒に月・菊に盃の2枚 | 100点 | |
大三(おおざん) | 松に鶴・梅に鶯・桜に幕の3枚 | 150点 | |
小三(こざん) | 松・梅・桜の短冊3枚 | 100点 | |
青短 | 牡丹・菊・紅葉の短冊3枚 | 100点 | |
草短 | 藤・杜若・萩の短冊3枚 | 100点 | |
シマ | 松、梅、桜、藤、薄、紅葉、桐の同種札4枚 | 50点 | |
雨シマ(ゾロ)
霙(みぞれ) |
柳4枚 | 200点 |
このうち四光と七短(場合によって総ガス)は無条件で勝者となる。この2役をイチコロまたはバッサリと呼ぶ場合もある。
四光は、四光になるもの以外の光札を(五光以上)取った場合は四光にならない、七短は、短冊札を(7枚丁度ではなく)8枚以上取った場合は七短にならない というルールを採用することもある。
月見・花見・鉄砲は、それを取ったものの札に柳が含まれていると「雨流れ」といって無効になる、というルールを採用することもある。そのとき松に鶴があると復活する、とすることもある。
シマになるものを取った場合は、同種札4枚の内の1枚のカス札を光札と同等の扱い(点数)にする。
終了まで30点以下に押さえると、「フケる(流し)」と言って、勝負を流し、もう一回仕切りなおしできる。ただし、雨と桐は点数に入らない。また、相手が四光を作った時に限り、流すことは出来ない。
手札を配られた時点で、以下の手役ができていたときは、それをさらしてからプレーする地域もある。
- 同種札三枚(200点)
- すべてカス(総ガス、400点)
その他
[編集]- 鬼札
- 「柳に小野道風」札を鬼札と呼び、カス札以外の点数がある札ならどれでも取れる(柳札以外でも可)。手札から出す場合は、カス札以外の点数札を取ってくることが出来る。山札からめくった場合は、場札に点数札があるならどれでも取ることが出来る。また、必ずしも鬼札として使用する必要はなく、通常の札としても使用できる。地方によっては「ガジ」、「ガジる」ともいう。
- ビキ
- 配札後、場札に同月札が3枚ある場合は「ビキ」といい、3枚の札をまとめておき、その同月札の残り1枚を場に出した競技者が3枚を全て取れる。
- 呼び方について
- 「藤」を「くろまめ」、「萩」を「あかまめ」、「柳」を「雨」、「芒」を「坊主」と呼ぶことがある。
- 点数を○○点とは呼ばず、○○間(ケン)と呼ぶことがある。
文献
[編集]- 竹村一・著『花札ゲーム28種』〈大泉書店〉 ISBN 4-2780-4524-7. 50 - 56ページにて掲載。