テイクオーバーターゲット
テイクオーバーターゲット | |
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品種 | サラブレッド |
性別 | 騸(セン) |
毛色 | 鹿毛 |
生誕 | 1999年9月27日 |
死没 | 2015年6月20日(16歳没) |
父 | Celtic Swing |
母 | Shady Stream |
母の父 | Archregent |
生国 | オーストラリア |
生産者 | Meringo Stud Farm |
馬主 |
Joe Janiak Ben Janiak |
調教師 | Joe Janiak(オーストラリア) |
競走成績 | |
生涯成績 |
41戦21勝 オーストラリア:29戦18勝 イギリス:8戦1勝 日本:2戦1勝 シンガポール:2戦1勝 |
獲得賞金 |
約391万オーストラリア・ドル(換算値) 238万1700オーストラリア・ドル +15万1255ポンド +1億2285万4000円 |
テイクオーバーターゲット (Takeover Target) はオーストラリアの競走馬。主なG1勝利は2004年のサリンジャーステークス、2006年のライトニングステークス、ニューマーケットハンデキャップ、スプリンターズステークス、2007年のドゥームベン10000、2009年TJスミスステークス、グッドウッドハンデキャップ(いずれも10歳の最高齢で優勝)の7勝した。後の国際G1になる2006年のキングズスタンドステークス(ヨーロッパ生まれの競走馬以外で初優勝)、2008年クリスフライヤーインターナショナルスプリント(当時国内G1。シンガポールの国際及び国内G1で最高齢9歳で優勝)の当時国内G1とG2で優勝した。2012年にオーストラリア競馬名誉の殿堂に選定された。
※北半球に位置する日本の競馬では、1月1日から12月31日を1シーズンとするが、南半球に位置するオーストラリアでは8月1日から翌年7月31日までを1シーズンとするため、年齢表記も8月1日で切り替わる。本馬はオーストラリアの競走馬であるので、以下、本稿での年齢表記は同国での表記に従う。よって、1月から7月の年齢については日本での表記と異なり、日本より1歳若い表記となる。
来歴
[編集]2003年/2004年 - 2004年/2005年シーズン
[編集]すでに3歳の暮れを迎えていた2003年7月18日にオーストラリア・ニューサウスウェールズ州で行われたセリ市「ウインター・サラブレッド・セール」で、馬主兼調教師のジョセフ・ジャニアック(Joseph Janiak、1947年6月13日[1] - )によって1250オーストラリア・ドル(約11万円[1])の安値で購入された[2][1]。膝の故障を抱えていた[1]ためデビューは4歳の2004年4月[1]と遅かったが、以来7連勝でG1優勝馬に登りつめた[1]。なお、その後は4連敗する。
2005年/2006年シーズン
[編集]シーズン開始後に2連敗し、前シーズンから合計で6連敗を喫する[1]が、2005年12月のG3競走に6馬身差で勝利[1]すると、2006年グローバル・スプリント・チャレンジ(以下GSC)初戦のライトニングステークス (G1) まで3連勝し[1]、G1競走2勝目を挙げ、オークレイプレートの3着[1]をはさんで、ニューマーケットハンデキャップを制しG1競走3勝目を挙げる[1]。その後は国内では走らず、イギリスに初の国外遠征を行い、GSCの第3戦・キングズスタンドステークス (G2) と第4戦・ゴールデンジュビリーステークス (G1) に中3日で出走し、その20日後にはジュライカップ (G1) にも出走し、それぞれ1着・3着・7着でイギリス遠征を終えた[1]。
2006年/2007年シーズン
[編集]GSCの総合優勝を目指し、シリーズ第5・6戦が行われる日本に遠征し、初戦となったセントウルステークスで先行してシーイズトウショウの2着になると、スプリンターズステークスではスタートして先頭に立つとそのまま逃げ切り、2着のメイショウボーラーに2馬身2分の1差で勝利し[3]、シリーズ最終戦の香港スプリントを待たず、2006年GSCの総合優勝を決めた[3][4]。
11万円という破格の安値で購入された本馬はこれまで3億円あまりを稼ぎ、出走を予定していた香港スプリントに勝利した場合、同競走の1着賞金である684万香港ドル(約1億300万円)に加え、GSCのボーナス100万アメリカドル[4](約1億1700万円)の合計約2億2000万円をさらに獲得することができたが、レース当日の薬物検査で禁止薬物である黄体ホルモン(ステロイドホルモンの一種)が検出されたため[5]、出走取消となった[5][4]。帰国後は5つのレースで走り、ドゥームベン10000を制した[6]。国内の競馬シーズンが終わるとふたたびイギリスへ遠征し、キングズスタンドステークス (G2) では4着、ゴールデンジュビリーステークス (G1) では2着となった。
2007年/2008年シーズン
[編集]帰国後は休養し、12月1日のアローフィールドスタッドスプリント、12月22日のレザーシャープクオリティハンデキャップ(準重賞)を連勝、その後ヴィリエステークス (G2) に出走し、2着となった。続く4月26日のTJスミスステークス (G1) では3着に入った。国内のシーズン終了後、ふたたび国外遠征を決行。シンガポールへ遠征し、5月18日のクリスフライヤー国際スプリントを制した。その後イギリスへ遠征し、キングズスタンドステークス (G1) は2着、ゴールデンジュビリーステークス (G1) は4着という結果だった。
2008年/2009年シーズン
[編集]帰国し、休養したのち11月29日のウインターボトムステークス (G2) に出走、ひさびさの勝利を挙げた。続く12月13日のスカヒルステークス (G3) も勝利した。休養をはさみ、年が明けて4月18日に施行されたTJスミスステークス (G1) に出走。主戦のJ.フォード騎手からN.ローウィラー騎手に乗り替わってのレースとなったが勝利を収め[7]、G1・7勝目を挙げた。続く5月2日のグッドウッドハンデキャップ (G1) では鞍上がフォードに戻って出走、ここでも勝利し[7]G1・8勝目を挙げた。その後シンガポールに遠征して、5月17日のクリスフライヤー国際スプリントに出走したが8着[7]と敗れた。7月10日にはジュライカップに出走するも7着に敗れ、レース後管骨の骨折が判明[8][7]し、そのまま現役引退となった[9]。なお、2010年に一時復帰が模索された[7]が、関節が摩耗していたために断念している。
引退後
[編集]2015年6月20日に事故の為、安楽死処分されたことが報じられた[10]。
競走成績
[編集]出走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離 | 着順 | 騎手 | 着差 | 1着(2着)馬 |
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2004.04.23 | クインビヤン | 未勝利 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 7馬身 | (Ras Tafari) | |
2004.05.06 | ワガワガ | 一般競走 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 7馬身 | (Devour) | |
2004.05.19 | ケンジントン | 一般競走 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 3馬身 | (Bibury Court) | |
2004.06.05 | ローズヒル | 一般競走 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 6馬身 | (Spinjester) | |
2004.06.24 | ゴスフォード | ペースセッターS | 準重 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 3/4馬身 | (Mustard) |
2004.07.14 | グラフトン | ラモーニーH | 準重 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 2馬身 | (Devil) |
2004.10.30 | フレミントン | サリンジャーS | G1 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 1 1/2馬身 | (Recurring) |
2005.04.30 | ドゥームベン | ブリスベンターフクラブC | G2 | 芝1200m | 4着 | J.フォード | 2馬身 | Spark of Life |
2005.05.21 | ドゥームベン | ドゥームベン10000 | G1 | 芝1350m | 3着 | J.フォード | クビ | Red Oog |
2005.06.11 | イーグルファーム | ストラドブロークH | G1 | 芝1400m | 10着 | J.フォード | 3 1/2馬身 | St.Basil |
2005.06.25 | イーグルファーム | カールトンドラフトS | G3 | 芝1200m | 2着 | J.フォード | アタマ | Poetic Papal |
2005.10.29 | フレミントン | サリンジャーS | G1 | 芝1200m | 4着 | J.フォード | 5馬身 | Glamour Puss |
2005.11.05 | フレミントン | エイジクラシック | G2 | 芝1200m | 7着 | S.アーノルド | 10馬身 | Glamour Puss |
2005.12.10 | ドゥームベン | サマーS | G3 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 6馬身 | (Picardi Run) |
2005.12.24 | ドゥームベン | ドゥームベンS | 準重 | 芝1350m | 1着 | J.フォード | 3馬身 | (Impaler) |
2006.02.04 | フレミントン | ライトニングS | G1 | 芝1000m | 1着 | J.フォード | アタマ | (God's Own) |
2006.02.25 | コーフィールド | オークレイプレート | G1 | 芝1100m | 3着 | J.フォード | 4馬身 | Snitzel |
2006.03.11 | フレミントン | ニューマーケットH | G1 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 1/2馬身 | (Snitzel) |
2006.06.20 | アスコット | キングススタンドS | G2 | 芝5f | 1着 | J.フォード | ハナ | (Benbaun) |
2006.06.24 | アスコット | ゴールデンジュビリーS | G1 | 芝6f | 3着 | J.フォード | 2 1/2馬身 | Les Arcs |
2006.07.14 | アスコット | ジュライC | G1 | 芝6f | 7着 | J.フォード | 1 3/4馬身 | Les Arcs |
2006.09.10 | 中京 | セントウルS | G2 | 芝1200m | 2着 | J.フォード | 0.5秒 | シーイズトウショウ |
2006.10.01 | 中山 | スプリンターズS | G1 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 0.4秒 | (メイショウボーラー) |
2007.04.14 | ランドウィック | オールエイジドS | G1 | 芝1400m | 5着 | J.フォード | 4 1/4馬身 | Bentley Biscuit |
2007.05.12 | ドゥームベン | BTCカップ | G1 | 芝1200m | 2着 | J.フォード | 短首 | Bentley Biscuit |
2007.05.26 | ドゥームベン | ドゥームベン10000 | G1 | 芝1350m | 1着 | J.フォード | 1/2馬身 | (Gold Edition) |
2007.06.20 | アスコット | キングススタンドS | G2 | 芝5f | 4着 | J.フォード | 2 1/2馬身 | Miss Andretti |
2007.06.24 | アスコット | ゴールデンジュビリーS | G1 | 芝6f | 2着 | J.フォード | アタマ | Soldier's Tale |
2007.12.01 | ランドウィック | アローフィールドスタッドスプリント | 芝1200m | 1着 | J.フォード | アタマ | (Dance Hero) | |
2007.12.22 | ランドウィック | レザーシャープクオリティ | 準重 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | ハナ | (Alverta) |
2008.01.05 | ランドウィック | ヴィリエS | G2 | 芝1200m | 2着 | J.フォード | 1位入選降着 | Honor in War |
2008.04.26 | ランドウィック | TJスミスS | G1 | 芝1200m | 3着 | J.フォード | 2 3/4馬身 | Apache Cat |
2008.05.18 | クランジ | クリスフライヤーインターナショナルスプリント | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 1/2馬身 | (Magnus) | |
2008.06.21 | アスコット | キングススタンドS | G1 | 芝5f | 2着 | J.フォード | 1/2馬身 | Equiano |
2008.06.24 | アスコット | ゴールデンジュビリーS | G1 | 芝6f | 4着 | J.フォード | 4 1/4馬身 | Kingsgate Native |
2008.11.29 | 豪アスコット | ウィンターボトムS | G2 | 芝1200 | 1着 | J.フォード | ハナ | (Apache Cat) |
2008.12.13 | 豪アスコット | スカヒルS | G3 | 芝1400m | 1着 | J.フォード | 3 3/4馬身 | (Tarzi) |
2009.04.18 | ランドウィック | TJスミスS | G1 | 芝1200m | 1着 | N.ローウィラー | 2 3/4馬身 | (Northern Meteor) |
2009.05.02 | モーフェットビル | グッドウッドH | G1 | 芝1200m | 1着 | J.フォード | 1馬身 | (I am Invincible) |
2009.05.17 | クランジ | クリスフライヤーインターナショナルスプリント | 芝1200m | 8着 | J.フォード | Sacred Kingdom | ||
2009.07.10 | アスコット | ジュライC | G1 | 芝6f | 7着 | J.フォード | Fleeting Spirit |
エピソード
[編集]本馬を管理するジョセフ・ジャニアックは調教師ながらタクシードライバーでもあった[11][1]。オーストラリアでは、専業調教師として生活できるのはごく一部の人間だけであり、ほとんどの場合ほかの職業と兼業するのが普通である。ジャニアックも例外ではなく、一時期は朝はパン屋、昼は馬の調教、夜はタクシードライバーとして生活するほど苦しく、調教師を辞めることすら考えたほどである。しかしテイクオーバーターゲットの賞金で、馬を厩舎に10頭所有できるほどになった[11][1]。ジャニアックは「テイクが人生を変えてくれた」と語っている。
血統表
[編集]テイクオーバーターゲットの血統(ミスタープロスペクター系/アウトブリード) | (血統表の出典) | |||
父 Celtic Swing 1992 黒鹿毛 イギリス |
父の父 *ダミスターDamister 1982 黒鹿毛 アメリカ |
Mr. Prospector | Raise a Native | |
Gold Digger | ||||
Batucada | Roman Line | |||
Whistle a Tune | ||||
父の母 Celtic Ring 1984鹿毛 イギリス |
Welsh Pageant | Tudor Melody | ||
Picture Light | ||||
Pencuik Jewel | Petingo | |||
Fotheringay | ||||
母 Shady Stream 1994 栗毛 オーストラリア |
Archregent 1981 鹿毛 カナダ |
Vice Regent | Northern Dancer | |
Victoria Regina | ||||
Respond | *カナディアンチャンプ | |||
Reply | ||||
母の母 Merry Shade 1989芦毛 オーストラリア |
Spectacular Spy | Spectacular Bid | ||
Lassie Dear | ||||
Parasol | Sostenuto | |||
Mary Poppins F-No.22-b[12] |
父・セルティックスウィング(Celtic Swing、おもな勝ち鞍:1995年ジョッケクルブ賞)の父であるダミスターは、2001年スプリンターズステークスを制したトロットスターを輩出している。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n “セントウルステークス(GII)外国馬プロフィール テイクオーバーターゲット号(日本中央競馬会、2006年9月1日)”. 2007年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年4月17日閲覧。
- ^ 本馬が購入されたセリの結果 Archived 2007年9月28日, at the Wayback Machine. - William Inglis and Son Limited〜ロット番号284を参照
- ^ a b “過去GI成績 第40回 スプリンターズステークス”. 競走成績データ. 日本中央競馬会 (2006年). 2012年3月29日閲覧。
- ^ a b c “テイクオーバーターゲットに罰金300万円”. netkeiba.com (2007年1月22日). 2012年3月29日閲覧。
- ^ a b 本馬の出走取消を伝える記事 - 日経ラジオ社
- ^ “テイクオーバーターゲット復活のV”. 新着情報. Japan Horse Navigation System (2007年5月30日). 2012年3月29日閲覧。
- ^ a b c d e “テイクオーバーターゲット、11歳も現役続行(オーストラリア)[その他]”. 海外競馬ニュース. ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (2010年10月14日). 2012年3月29日閲覧。
- ^ ジュライカップ後の記事 - Racing and Sports
- ^ 引退を伝える記事 - Sporting Life
- ^ 死亡を伝える記事
- ^ a b “Interview with Joseph Janiak, trainer of Takeover Target” (英語). News & Photo. 日本中央競馬会 (2006年9月30日). 2012年3月29日閲覧。
- ^ 血統表 - Pedigree Online Thoroughbred Database
参考文献
[編集]- セントウルステークス(GII)外国馬プロフィール テイクオーバーターゲット号(日本中央競馬会、2006年9月1日) - ウェイバックマシン(2007年2月20日アーカイブ分)
- ニューマーケットHの結果を伝える記事 - Australian Breeding & Racing Magazine〜4番目の記事を参照
- GSC概要 - グローバル・スプリント・チャレンジ(日本語)
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post