ニッカーボッカー・グローリー
ニッカーボッカー・グローリー(英語: knickerbocker glory)は、イギリスのデザート[1][2][3]。
概要
[編集]背の高いガラス容器にアイスクリーム、フルーツ、フルーツシロップまたはチョコレートソース、生クリームを入れて層をなしたデザートである[1][2][4]。日本で言うところのパフェがイメージとしては近い[2][3]。
多くのイギリス人にとっては、子供時代の夏期休暇を思い起させる、ノスタルジックな食べ物である[2][3][5]。
名称について
[編集]名称を日本語に直訳すると「膝下丈ズボン(ニッカーボッカーズ)の栄光」となる[3]。
- 19世紀のニューヨーク市で氷を販売していた業者名が「ニッカーボッカー」で回りまわってデザート名になった[4]。
- ニューヨーク市のニッカーボッカーホテルが由来[5]。
- Lyon's bakeryが経営していたカフェは洋服の名前をつけていろいろなアイスクリームを提供していた‐例として「Plus four(プラス・フォー、ひざ下4インチ丈のズボン)」、「Charlie Chaplin Waistcoat(チャーリー・チャップリンのウェストコート)」などで、その中の1つがニッカーボッカー・グローリーだった[6]。
などといった説もあるが、名称の由来については不明[4][6]。
J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッターと賢者の石』にも登場しており、松岡佑子による邦訳書では「チョコレート・アイスクリーム」と翻訳されていた[3]。生活習慣に深く根ざした単語は他言語に翻訳しがたいのが常ではあり、中でも食べ物はカタカナで音訳しようが和訳しようが、食べたことのない人には分からないため、「特にニッカーボッカー・グローリーは曲者だった」と松岡は語っている[3]。
歴史
[編集]上述のように発祥は不明であるが、1920年代に登場したデザートである[6]。
かつてはどこのレストランでもデザート・メニューとして提供していた人気メニューであったが、カジュアルにアイスクリームを歩きながら食べることが普及した今では、「時代遅れ(Out of fashion)」のデザートとなっている[1]。
2019年時点のロンドンではフォートナム&メイソン2階のアイスクリーム・パーラーくらいでしか提供されていない[1][2]。
出典
[編集]- ^ a b c d 五月ギャンブル (2013年7月22日). “イギリスの夏のノスタルジックなアイスクリーム・デザート、『ニッカーボッカー・グローリー』”. ELLE. 2024年9月23日閲覧。
- ^ a b c d e マクギネス真美 (2019年7月4日). “英国流 夏の味わい方”. 英国ニュースダイジェスト. 2024年9月23日閲覧。
- ^ a b c d e f マクギネス真美 (2016年7月21日). “ニッカーボッカー・グローリー”. 英国ニュースダイジェスト. 2024年9月23日閲覧。
- ^ a b c 羽根則子「ニッカーボッカー・グローリー」『イギリス菓子図鑑お菓子の由来と作り方 :伝統からモダンまで、知っておきたい英国菓子135選』(増補改訂)誠文堂新光社、2019年、149頁。ISBN 978-4416619711。
- ^ a b ラッシャー貴子 (2023年3月17日). “黒澤映画の名作に英国らしさをやわらかく吹き込んだ『生きるLIVING』”. ニューズウィークジャパン. 2024年9月30日閲覧。
- ^ a b c yasuda mariko (2017年6月17日). “第114話 Knickerbocker glory/ 99 Flake~ニッカーボッカーグローリー/ナインティナインフレイク~”. あぶそる~とロンドン. 2024年9月30日閲覧。
外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、ニッカーボッカー・グローリーに関するカテゴリがあります。