ニューヨーク市の橋とトンネル
ニューヨーク市の港湾および水路は、以前は貿易の中心となっていた。しかし、現在は水上交通が一般的ではなくなり、かわって橋やトンネルが中心となっている。2,000以上の橋・トンネルは、市内の至る所で、交通を分断することなく通じている。ニューヨーク市交通課、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社、メトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティ(MTA)、ニューヨーク州交通課、ニューヨーク市環境保護課(DEP)、アムトラック及びニューヨーク市公園課は、ネットワークの管轄を行っている。
市の主な橋のほとんどや、いくつかのトンネルは、記録をつくっている。1927年開通のホランド・トンネルは、世界初の乗り物用トンネルである。また、ブルックリン橋、ウィリアムズバーグ橋、ジョージ・ワシントン橋、ヴェラザノ・ナローズ橋は、それぞれ1883年[1]、1903年[2]、1931年[3]、1964年[4]の開通当時、世界最長の吊り橋だった。
橋
[編集]ニューヨークの横断施設の歴史は、1693年に遡る。この年、キングス橋として知られる橋が、マンハッタンとブロンクスの間にあるスパイテン・ダイヴィル川に建設された。石と木から造られていたこの橋は、1917年に崩壊した。最も古い現存する橋は、ハーレム川でマンハッタンとブロンクスを結ぶハイ・ブリッジである[5]。この橋は、クロトン水道システムの一部として、市内に水を供給するために構築された。
10本の橋と1本のトンネルは、歴史的な建築物として認証されている。1927年に開通したホランド・トンネルは、最初の換気された自動車用水底トンネルとして、1993年にアメリカ合衆国国定歴史建造物となった。ジョージ・ワシントン、ハイ・ブリッジ、ヘルゲート、クイーンズボロ、ブルックリン、マンハッタン、マコンブ・ダム、キャロル・ストリート、ユニバーシティ・ハイツ、ワシントン橋も同様に歴史的な建築物となっている[5]。
ニューヨークでは、自動車、トラック、地下鉄車両、自転車、歩行者など、さまざまなものが渡ることができる橋がある。ニューヨーク市とニュージャージー州フォートリーとの間のハドソン川に架かるジョージ・ワシントン橋は、世界で最も交通量の多い橋である[6][7]。ジョージ・ワシントン橋、ヴェラザノ・ナローズ橋、ブルックリン橋は、世界で最も美しい橋とされることもある。他に、2本の線路、8本の車線、1つの歩道があり、重要な機能を果たすウィリアムズバーグ橋も有名である。
水系別橋一覧
[編集]イースト川
[編集]南から北へ順に:
名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ブルックリン橋 | 1883 | 1825 m | 最古の吊り橋 |
マンハッタン橋 | 1909 | 2089 m | ニューヨーク市地下鉄:B D N Q系統 |
ウィリアムズバーグ橋 | 1903 | 2227.48 m | ニューヨーク市地下鉄:J M Z系統 |
エド・コッチ・クイーンズボロ橋 | 1909 | 1135.0 m | NY-25 59丁目橋としても知られる |
ルーズベルト・アイランド橋 | 1955 | 876.91 m | 東側のみ、マンハッタンには接していない |
ロバート・F・ケネディ橋 | 1936 | 1569.72 m | I-278 トライボロー橋としても知られる |
ヘルゲート橋 | 1916 | 5181.6 m | 鉄道のみ |
ライカーズ・アイランド橋 | 1966 | 1280.16 m | ライカーズ島からクイーンズへの接続のみ |
ブロンクス=ホワイトストーン橋 | 1939 | 1149.10 m | I-678 |
スロッグスネック橋 | 1961 | 886.97 m | I-295 |
ハーレム川
[編集]南から北へ、東から西へ順に:
名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ワーズ・アイランド橋 | 1951 | 285.6m | 歩行者・自転車専用 |
ロバート・F・ケネディ橋 | 1936 | 1569.72 m | トライボロー橋としても知られる |
ウィルズ・アベニュー橋 | 1901 | 979 m | |
3番街橋 | 1898 | ||
パーク・アベニュー橋 | 1954 | メトロノース鉄道専用 | |
マディソン・アベニュー橋 | 1910 | 577 m | |
145丁目橋 | 1905 | 489 m | |
マコンブ・ダム橋 | 1895 | 774 m | |
ハイ・ブリッジ | 1848 | 600 m | ニューヨーク市で現存する最古の橋。修理のため閉鎖中 |
アレクサンダー・ハミルトン橋 | 1963 | 724 m | I-95 US-1 |
ワシントン橋 | 1888 | 723.9 m | |
ユニバーシティ・ハイツ橋 | 1908 | 82 m | |
ブロードウェイ橋 | 1962 | ハーレム・シップ・キャナル橋としても知られる ニューヨーク市地下鉄:1系統 | |
ヘンリー・ハドソン橋 | 1936 | 673 m | ヘンリー・ハドソン・パークウェイ |
スパイテン・ダイヴィル橋 | 1899 | 鉄道専用 |
ハドソン川
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ジョージ・ワシントン橋 | 1931 | 1450.85 m | I-95、US-1、US-9、US-46 1日当たりの通行量は280,718台(2010年)[8] |
ニューヨーク湾
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ヴェラザノ・ナローズ橋 | 1964 | 2039.1 m | I-278 |
ニュータウン・クリーク
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
コスキアスコ橋 | 1939 | 1,835 m | I-278 |
プラスキ橋 | 1954 | 860 m | マクギネス・ブルバード |
J・J・バーン記念橋 | 1987 | 55 m | グリーンポイント・アベニュー橋としても知られる |
グランド・ストリート橋 | |||
メトロポリタン・アベニュー橋 |
その他
[編集]ブロンクス
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ハッチンソン川(川上にある) | |||
ペラム橋 | 1908 | 海岸道路 | |
ハッチンソン・リバー・パークウェイ橋 | |||
ウェストチェスター・クリーク | |||
ユニオンポート橋 | |||
ブロンクス川 | |||
イースタン・ブルバード橋 | I-278 | ||
ペラム湾 | |||
シティ・アイランド橋 | 1901 | シティ・アイランド・アベニュー |
ブルックリン
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ミル・ベイシン | |||
ミル・ベイシン橋 | |||
ゴワナス運河 | |||
ユニオン・ストリート橋 | |||
キャロル・ストリート橋 | |||
3丁目橋 | |||
9丁目橋 | ニューヨーク市地下鉄:F G系統 | ||
ハミルトン・アベニュー橋 | |||
ロッカウェイ入り江 (ブルックリンとクイーンズ) | |||
マリン・パークウェイ=ギル・ホッジス記念橋 | 1937 | 1226 m |
クイーンズ
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ダッチ・キルズ | |||
ボーデン・アベニュー橋 | |||
ハンターズ・ポイント・アベニュー橋 | |||
ジャマイカ湾 | |||
クロス・ベイ復員軍人記念橋 | 1970 | ||
ヨセフ・P・アッダッボ記念橋 | |||
グラッシー・ベイ地下鉄橋 | ニューヨーク市地下鉄:A系統 ハワード・ビーチからブロード・チャンネル。 | ||
サウス・チャンネル地下鉄橋 | ニューヨーク市地下鉄:A SR ブロード・チャンネルからロッカウェイへの旋開橋 | ||
102丁目橋 | ラッセル・ストリートのハミルトン・ビーチとハワード・ビーチを結ぶ。レニハンズ・ブリッジとしても知られる。 | ||
ホートリー・クリーク橋 | ハワード・ビーチの163番街、99丁目と、向かいのラウ・コート、デーブンポート・コートにあるハミルトン・ビーチを結ぶ | ||
ロッカウェイ入り江 (ブルックリンとクイーンズ) | |||
マリン・パークウェイ=ギル・ホッジス記念橋 | 1937 | 1226 m |
スタテンアイランド
[編集]名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
アーサー・キル | |||
ゴーサルズ橋 | 1928 | 2164.08 m | I-278 |
アーサー・キル吊り上げ式可動橋 | 1959 | 170.08 m | CSXとM&Eの鉄道線 |
アウター横断橋 | 1928 | 3093 m | NJ 440/NY 440 |
キル・ヴァン・クル | |||
ベイヨン橋 | 1931 | 1761.74 m | NY 440/NJ 440 |
トンネル
[編集]イースト川やハドソン川の真下を走る各トンネルは、最初に計画されたときは、驚異的だった。ホランド・トンネルは、機械で換気される最初の乗り物用トンネルとして、1927年に盛大なファンファーレと共に開通した。1940年には、市内の都市の混雑を和らげるため、クイーンズ=ミッドタウン・トンネルが開通した。トンネルは、軌間よりも幅の広い自動車も通行できるよう、ホランド・トンネルよりも1.5フィート広く設計された。ヒュー・L・ケアリー・トンネルがブルックリン=バッテリー・トンネルとして1950年に開通した当時、世界最長の水面下の乗り物用トンネルであり、現在も記録を保持している。リンカーン・トンネルは、マンハッタン・ミッドタウンの中心部からニュージャージー州の各地を接続する3本のトンネルである。車線は3レーンであり、ラッシュ・アワーには4レーンとなる。
4本の水面下にあるトンネルは、全てオーレ・シングスタッドが建設した。ホランド・トンネルのもともとの技術長であったクリフォード・ミルバーン・ホランドが死去し、後継者のミルトン・H・フリーマンが引き継いで、ホランド・トンネルを完成させた。
イースト川
[編集]南北を結ぶ。
名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ブルックリン-バッテリートンネル | 1950 | 2,779 m (9,117 ft) | I-478 |
ジョレールモン・ストリート・トンネル | 1908 | レキシントン・アベニュー線 ニューヨーク市地下鉄:4 5系統 | |
モンタギュー・ストリート・トンネル | 1920 | ブロードウェイ線 ニューヨーク市地下鉄:N R W 系統 | |
クラーク・ストリート・トンネル | 1919 | 1,800 m (5,900 ft) | ブロードウェイ-7番街線 ニューヨーク市地下鉄:2 3系統 |
クランベリー・ストリート・トンネル | 1933 | 8番街線 ニューヨーク市地下鉄:A系統 | |
ラトガース・ストリート・トンネル | 1936 | 6番街線 ニューヨーク市地下鉄:F <F> 系統 | |
14丁目トンネル | 1924 | カナーシー線 ニューヨーク市地下鉄:L系統 | |
イースト・リバー・トンネル | 1910 | 1,204 m (3,949 ft) | ニューヨーク・トンネル・エクステンションの一部 アムトラックとロングアイランド鉄道(北東回廊) |
クイーンズ-ミッドタウントンネル | 1940 | 1,955 m (6,414 ft) | I-495 |
スタインウェイ・トンネル | 1915 | フラッシング線 ニューヨーク市地下鉄:7 <7>系統 | |
53丁目トンネル | 1933 | クイーンズ・ブルバード線 ニューヨーク市地下鉄:E M系統 | |
60丁目トンネル | 1920 | ブロードウェイ線 ニューヨーク市地下鉄:N R W系統 | |
63丁目トンネル | 1989 | 960 m (3,140 ft) | 上層: 63丁目線 ニューヨーク市地下鉄:F <F>系統 下層: グランド・セントラル・ターミナルへのLIRRが開通予定 |
ハーレム川
[編集]南から北へ順に:
名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
レキシントン・アベニュー・トンネル | 1918 | レキシントン・アベニュー線 ニューヨーク市地下鉄:4 5 6 <6>系統 | |
149丁目トンネル | 1905 | 195 m (641 ft) | ホワイト・プレーンズ・ロード線 ニューヨーク市地下鉄:2系統 |
コンコース・トンネル | 1933 | コンコース線 ニューヨーク市地下鉄:B D系統 |
ハドソン川
[編集]南から北へ順に:
名称 | 開通年 | 長さ | 解説 |
---|---|---|---|
ダウンタウン・ハドソン・チューブ | 1909 | 1,720 m (5,650 ft) | モントゴメリー=コートランド・トンネル ポート・オーソリティー・トランス・ハドソン |
ホランド・トンネル | 1927 | 南トンネル: 2,551 m (8,371 ft) 北トンネル: 2,608 m (8,558 ft) |
I-78 |
アップタウン・ハドソン・チューブ | 1908 | 1,700 m (5,500 ft) | Hホーボーケン=モートン・トンネル ポート・オーソリティー・トランス・ハドソン |
ノース・リバー・トンネル | 1910 | 1,900 m (6,100 ft) | ニューヨーク・トンネル・エクスペディションの一部 アムトラックとニュージャージー・トランジット(北東回廊) |
リンカーン・トンネル | 南トンネル: 1957 中トンネル: 1937 北トンネル: 1945 |
南トンネル: 2,440 m (8,006 ft) 中トンネル: 2,504 m (8,216 ft) 北トンネル: 2,281 m (7,482 ft) |
NJ 495/I-495 |
他の橋とトンネル
[編集]- マレー・ヒル・トンネル(マンハッタン)
- バッテリー・パーク・アンダーパス
- コブル・ヒル・トンネル
- 1番街アンダーパス(マンハッタンの42丁目から47丁目)
- トリニティ・プレイス橋(マンハッタン)
橋とトンネルの利用
[編集]ミッドタウンとロウアー・マンハッタンへの午前5時から午前11時までの平均交通量。
- クイーンズボロ橋: 31,000
- リンカーン・トンネル: 25,944
- ブルックリン橋: 22,241
- ウィリアムズバーグ橋: 18,339
- クイーンズ=ミッドタウン・トンネル: 17,968
- ホランド・トンネル: 16,257
- ブルックリン=バッテリー・トンネル: 14,496
- マンハッタン橋: 13,818
出典
[編集]- ^ “NYC DOT - Brooklyn Bridge”. 2012年2月24日閲覧。
- ^ “NYC DOT - Williamsburg Bridge”. 2012年2月24日閲覧。
- ^ “History - George Washington Bridge - The Port Authority of NY & NJ”. 2012年2月24日閲覧。
- ^ “Verrazano-Narrows Bridge”. 2012年2月24日閲覧。
- ^ a b “NYC DOT - Frequently Asked Questions about Bridges”. 2012年2月24日閲覧。
- ^ “Port Authority of New York and New Jersey - George Washington Bridge”. 2010年3月25日閲覧。
- ^ George Washington Bridge turns 75 years old: Huge flag, cake part of celebration, Times Herald-Record, October 24, 2006. "The party, however, will be small in comparison to the one that the Port Authority of New York and New Jersey organized for 5,000 people to open the bridge to traffic in 1931. And it won't even be on what is now the world's busiest bridge for fear of snarling traffic."
- ^ “2008 NYSDOT Traffic Data Report”. New York State Department of Transportation. 2010年2月27日閲覧。