フランクリン (キャラクター)
フランクリン | |
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ピーナッツのキャラクター | |
初登場 | 1968年7月31日 |
最後の登場 | 1999年11月5日(コミック・ストリップ) |
作者 | チャールズ・M・シュルツ |
声 | 以下を参照 |
詳細情報 | |
別名 | フランクリン・アームストロング |
種族 |
ヒト アフリカ系アメリカ人 |
性別 | 男性 |
フランクリン(英: Franklin)は、チャールズ・M・シュルツのコミック・ストリップ『ピーナッツ』に登場する、初のアフリカ系アメリカ人のキャラクターである[1]。1968年7月31日に初登場し、ペパーミントパティやマーシーと一緒に学校に通っている。
フランクリンの初出は1968年7月31日掲載分であり、この回ではチャーリー・ブラウンと浜辺にいた[2]。フランクリンは、チャーリー・ブラウンの「君の家族も一緒にビーチに来ているのか」という質問に答える形で、自分の父親がベトナム戦争の兵士であることを明かす[3]。それに対してチャーリー・ブラウンは「僕のパパは床屋さんだよ。パパも戦争に行っていたけど、どの戦争かは知らないよ」と話していた[3]。その後、フランクリンはチャーリー・ブラウンを訪ね、チャーリー・ブラウンの他の友人たちがとても奇妙であることを発見した。最後に登場したのは、シュルツが亡くなる前年の1999年である[4]。
登場までの経緯
[編集]1968年4月15日、ロサンゼルスの教員ハリエット・グリックマンがシュルツに手紙を書き、『ピーナッツ』に黒人のキャラクターを登場させるよう求めた[5]。4月26日、シュルツは「この件について仲間の漫画家たちと考えたことはあるが、黒人の友人をひいきすることを懸念している」と返事を出した[6][1][7]。 それでも、グリックマンはシュルツと手紙を重ね、その中では『ピーナッツ』のファンである友人たちにも相談すると伝えたほか、彼らからの賛同の声があったことも記した[7]。AFPBBによると、この時点ではシュルツは黒人のキャラクターを作ってもよいか確信が持てなかったとされている[7]。そして、1968年7月上旬、グリックマンはシュルツから「7月29日の週の漫画を見てほしい」という手紙を受け取る。そして、同年7月31日、フランクリンはデビューを果たす[7]。
人物
[編集]初登場時のフランクリンは、チャーリー・ブラウンの家の近所にある奇妙なものに戸惑っていた。特にライナスは、かぼちゃ大王に夢中になっていた。シュルツは、フランクリンが初めて登場した1968年7月31日、ビーチでチャーリー・ブラウンと出会ったことについて、「学校が違うため、それまで会ったことがなかった」とした上で、「しかし、ボール遊びが楽しかったため、チャーリー・ブラウンがフランクリンを招待してくれた」と語っている[8]。フランクリンは旧約聖書を引用し、不安や執着はなかった[8]。また、フランクリンとチャーリー・ブラウンは、おじいさんの話をするのが好きだった。 フランクリンの肌の色は、『ピーナッツ』のキャラクターを使った絵辞典『チャーリー・ブラウン・ディクショナリー』の中で、電話で話している写真を見せながら「黒」の定義に言及されており、電話の色が黒であることを示している。説明文には、「黒はフランクリンの肌色を指すこともあり、ニグロの人とも言われている」とも書かれている[4]。
アニメやテレビ番組では、フランクリンはダンスが得意なキャラクターとして設定されている。『がんばれ!スヌーピー』ではマーシーをリードしてワルツを踊り、『フラッシュダンスだよ チャーリーブラウン』では手の込んだブレイクダンスを披露し、『スプリングトレーニングだよ チャーリーブラウン』では、別のブレイクダンスのナンバーを(ラップもしながら)披露している。また、フランクリンには音楽的な才能があり、時折、楽器を演奏する姿が見られる。ホリデー・スペシャル『ハッピーニューイヤー、チャーリー・ブラウン!』では、ペパーミント・パティの新年会でギターを弾いている姿が描かれている。
メディア
[編集]コミック・ストリップの永遠のキャラクターであるフランクリンは、テレビアニメ『ピーナッツ』のスペシャル番組や映画にも頻繁に登場している。1972年に公開された映画『スヌーピーの大冒険』で、スヌーピーのお別れパーティーでの無表情な役が彼のデビュー作となった。初めて声を出したのは、1973年のスペシャル番組『恋する時間はないよ、チャーリーブラウン』で、トッド・バービーが声を担当した。
1992年に放送された『サタデー・ナイト・ライブ』の「ウィークエンド・アップデート」の解説で、「フランクリンは25年間、一言もしゃべっていない」と誇張して語ったクリス・ロックは、小学校のクラスで唯一の黒人生徒だった自身の幼少期の経験を語った。シュルツの死後、2000年2月に放送された『サタデー・ナイト・ライブ』のコールド・オープニングでは、ティム・メドウスが成長したフランクリンを演じ、『ナイトライン』でシュルツを「チャールズ・シュルツは、人種に関係なく、私たちはみんな同じだと理解していた。頭は体と同じくらい大きく、横を向くと口が消えてしまう。」と讃えた。
1994年に放送されたテレビアニメ『You're in the Super Bowl, Charlie Brown』では、フランクリンの苗字はアームストロングで、フルネームはフランクリン・アームストロングとなっている[9]。 この苗字が付けられるきっかけとなったのは、ビデオ作品の制作にあたって登場人物に苗字を表記する必要が出てきたものの、フランクリンには苗字がないことにシュルツが気づいたことである[9]。そこで、彼は漫画『ジャンプ・スタート』の作者であるアフリカ系アメリカ人の漫画家ロブ・アームストロングから苗字を取ることを思いつく[9]。アームストロングはシュルツよりはるかに若かったものの、仕事上でシュルツのことを知っていた。そして、シュルツは電話でアームストロングの苗字をフランクリンに使ってもよいかと尋ね、ロブ・アームストロングは許可した[9]。 なお、シュルツはこのアニメーションを正統なものとは考えておらず、この苗字は原作漫画および他の特別番組にも一切出てこないため、外典とされている。
フランクリンは、2015年の『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』で脇役として再登場した。
2020年11月、BBC ラジオ 4では、シュルツが作ったフランクリンを題材にしたラジオ劇『フランクリン』が放送された[10]。
キャスト
[編集]原語版
[編集]- トッド・バービー (1973)
- ロビン・リード (1973)
- ダンカン・ワトソン (1975)
- ヴィニー・ダウ (1976)
- トム・ミュラー (1977)
- ロナルド・ヘンドリックス (1977)
- ロッキー・ライリー (1981)
- クリストファー・ドノホーン (1981–1982)
- ケビン・ブランド (1983)
- カール・スティーブン (1984–1986)
- ハキーム・アブドゥル・サマド (1988–1989)
- ショーン・メンデルソン (1992)
- チャーリー・ペイン (1994)
- ジェシカ・ヌワフォー (1996)
- コーリー・パドノス (2000)
- スティーブン・スカルプロ (2001)
- アンドレアス・グランシュニグ (2001)
- ジェイク・マイナー (2003)
- マー・マー (2015)
- カリール・ハリス (2016)
- クリスチャン・ダル・ドッソ (2019-)
日本語吹替版
[編集]- 西川幾雄 - テレビアニメ (1976, 1978 ,1981-1985)
- 白川澄子 - 『スヌーピーとチャーリー』『スヌーピーの大冒険』『スヌーピーの大冒険』それぞれ劇場公開時・テレビ放映版
- 龍田直樹 - 『スヌーピーとチャーリーブラウン』 - 1984年12月17日(木)17:04-18:00・2003年4月19日(土)10:00-11:30テレビ放映版
- 富沢美智恵 - テレビアニメ (1990)
- 加藤真央 - テレビアニメ (NHK-BS及びカトゥーン・ネットワーク)
- 矢尾幸子 - テレビアニメ (2015)
- 里村洋 - 『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』
キャラクターに対する反響
[編集]AFPBBによると、シュルツは後年、フランクリンは読者と新聞の編集者からはおおむね好意的に受け止められたと振り返ったとされている。 その一方、シュルツは1997年のインタビューで、南部の編集者から「黒人のキャラクターを出すのは構わないが、学校で見せないでくれ」という手紙を受け取ったことを明らかにしており、フランクリンがペパーミント・パティの前に座っている場面があったためだろうとしつつも、差出人に返事を出さなかったと述べている[11]。また、AFPBBによると、少なくとも一人の南部の編集者から白人のチャーリー・ブラウンと黒人のフランクリンが同じ学校に通うのはおかしいという指摘があったとされている[3]。
脚注
[編集]- ^ a b Wells, John (2014). American comic book chronicles : the 1960s, 1965-1969. Raleigh, North Carolina. ISBN 978-1-60549-055-7. OCLC 858898170
- ^ Peanuts and American culture : essays on Charles M. Schulz's iconic comic strip. Peter W. Y. Lee. Jefferson, North Carolina. (2019). ISBN 978-1-4766-7144-4. OCLC 1077788914
- ^ a b c “「ピーナッツ」初の黒人キャラ、フランクリン 読者の声から誕生し50年”. www.afpbb.com (2018年7月31日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “Peanuts: Harriet Glickman, Who Inspired Franklin's Creation, Passes Away” (英語). CBR (2020年3月28日). 2021年5月26日閲覧。
- ^ Ha, Thu-Huong. “The sweet story behind Peanuts’ groundbreaking first black character” (英語). Quartz. 2021年5月26日閲覧。
- ^ “Crossing the Color Line (in Black and White): Franklin in "Peanuts"” (英語). Hogan's Alley. 2021年5月26日閲覧。
- ^ a b c d “「ピーナッツ」初の黒人キャラ、フランクリン 読者の声から誕生し50年”. www.afpbb.com (2018年7月31日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b “The Learning Network” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2021年5月26日閲覧。
- ^ a b c d “'Peanuts' First Black Character Franklin Turns 50” (英語). NPR.org (2018年7月29日). 2021年5月26日閲覧。
- ^ “BBC Radio 4 - Drama, Franklin” (英語). BBC. 2021年5月26日閲覧。
- ^ Inge, M. Thomas (2000) (英語). Charles M. Schulz: Conversations. Univ. Press of Mississippi. ISBN 978-1-57806-305-5
外部リンク
[編集]- フランクリン - SNOOPY.co.jp
- フランクリン - Peanuts.com
- 『ピーナッツ』での初登場(1968年7月31日)
- キャラクターの作成についてのフランクリン - 2020 BBCラジオ4ドラマ