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ブランドン・フィリップス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブランドン・フィリップス
Brandon Phillips
シンシナティ・レッズ時代
(2016年4月25日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ノースカロライナ州ローリー
生年月日 (1981-06-28) 1981年6月28日(43歳)
身長
体重
6' 0" =約182.9 cm
200 lb =約90.7 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 二塁手三塁手
プロ入り 1999年 MLBドラフト2巡目
初出場 2002年9月13日
最終出場 2018年9月30日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
WBC 2013年

ブランドン・エミル・フィリップスBrandon Emil Phillips, 1981年6月28日 - )は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州ローリー出身の元プロ野球選手二塁手)。右投右打。

愛称はダット・ドュードDat Dude[1]。妻はWWEに所属する女子プロレスラージェイド・カーギル[2]

経歴

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プロ入り前

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1996年アトランタオリンピックでは野球競技でバットボーイを務めていた[3]ジョージア州レダン高等学校英語版時代はバスケットボール野球をプレーした。好きな野球選手はシンシナティ・レッズ遊撃手だったバリー・ラーキン[4]

プロ入りとエクスポズ傘下時代

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1999年MLBドラフト2巡目(全体57位)でモントリオール・エクスポズから指名され、プロ入り。

インディアンス時代

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2002年6月27日にバートロ・コローンティム・ドリュー英語版とのトレードで、リー・スティーブンスグレイディ・サイズモアクリフ・リーらと共にクリーブランド・インディアンスへ移籍した[5]。同年9月13日にメジャーデビュー。マイナーでは遊撃手だったが、メジャーの遊撃手はオマー・ビスケルがいたため二塁手へ転向された。

2003年はレギュラーとして112試合に出場し、打率.208、6本塁打、33打点を記録した。

2004年はAAA級バッファロー・バイソンズで135試合に出場して、打率.303、4本塁打、50打点、14盗塁盗塁を記録したが、メジャーではシーズン終盤の6試合のみの出場にとどまった。

2005年もシーズンの大半をAAA級バッファローで過ごし、メジャーでは6試合の出場に終わった。

レッズ時代

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2006年4月7日にシンシナティ・レッズへ移籍した[5]。再び二塁手のレギュラーとなり、自身初の満塁本塁打を打つなど打率.276、17本塁打、75打点、25盗塁を記録した。

2007年は7月3日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦ではサヨナラ満塁本塁打を打った。9月5日には28号本塁打を打ち、ジョー・モーガンが保持していたレッズの二塁手のシーズン本塁打記録を更新[6]。9月27日には「30-30」を達成。二塁手での達成はアルフォンソ・ソリアーノに次ぐMLB史上2人目[4]。シーズン終了後、年俸調停権を得たフィリップスは、2008年の年俸として420万ドルを要求。これに対し、球団は270万ドルを提示したが、2008年2月15日に年俸調停を避け、4年総額2,700万ドル(5年目の2012年は球団オプション)で契約延長した[7]

2008年の打撃成績は前年より低下して打率.261にとどまり、レギュラーシーズン最後の17試合を右手人差し指の故障で離脱したが、初めてゴールドグラブ賞を受賞。4月10日から7月8日にかけて二塁手としてフレディ・サンチェスに次ぐ78試合連続無失策を記録したり、二塁手としてリーグ1位の守備率.990を記録[8]

2009年は3年連続で20本塁打以上を記録。他の部門では、二塁打(30本)・打点(98打点)・四球(44四球)で自己最高の数字 (当時) を記録した。

2010年は3年ぶりにシーズン100得点以上を記録。前年に自己最高の数字を記録した二塁打と四球は更に増えたが、本塁打は20本を下回り、打点もレギュラー定着以降で最低の59打点に留まった。また、盗塁も初めて20を下回ったばかりか、盗塁死が自己最悪の12に上ったため、盗塁成功率は57%という低い数字だった。

2011年は自身初の打率.300を記録。またシーズン終了後には2年連続3度目のゴールドグラブ賞を受賞する。一方で盗塁数は14と、レッズに移籍してから自己最低の数字に終わる。シーズン終了後に球団はフィリップスのオプションを行使し、2012年もレッズでプレーすることとなった。

2012年4月10日に2017年まで6年7250万ドルで契約延長を行った[9]

2013年開幕前の2月27日に第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)アメリカ合衆国代表に選出された[10]。同大会では2番セカンドのレギュラーとして出場した。シーズンでは2年ぶりにオールスターのメンバーに選出された。この年は1番秋信守と3番ジョーイ・ボットが4割以上の出塁率を残していたため、シーズン途中から2番にボット、4番ジェイ・ブルースが3番になり、フィリップスが4番を任された。4番に座ってからは打点が伸びたが、打率は3割近くから急落し、最終的に打率.261、18本塁打、103打点、5盗塁、OPS0.706という成績を記録。100打点を超えたのは自身初で、リーグ4位の数字だった。その一方で4番に座ったことで走る機会が激減し、8年ぶりに盗塁が2ケタを割り込んだ。守備では151試合で守りに就き、9失策守備率.987という成績を記録、2年ぶりにゴールドグラブ賞に選出された。またシーズン中にはフィリップスの出塁率の低さをTwitterで指摘した記者に罵詈雑言を浴びせるという失態を演じた[11]

2014年は、左手の親指を手術した事もあり、一定期間故障者リスト入りした[12]。この影響もあって121試合の出場に留まり、2005年以来9年ぶりに規定打席到達を逃した。打撃成績も低調で、打率.266、8本塁打、51打点、2盗塁に留まった。

2015年は148試合に出場し、再び規定打席に到達した。打率.294、12本塁打、70打点を記録。また、19二塁打はレギュラー定着後で初の20未満ながら、ちょうど通算300二塁打を達成。6シーズンぶりの20盗塁超えとなる23盗塁を記録。これはリーグ10位タイの数字だった。

2016年は、141試合の出場で打率.291、11本塁打、64打点、14盗塁を記録。

ブレーブス時代

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2017年2月12日にアンドリュー・マッキラハン英語版カルロス・ポルトゥオンドとのトレードで、アトランタ・ブレーブスへ移籍した。学生時代をジョージア州で過ごしたため、「(地元の)ブレーブスでプレーする夢が叶った」とコメントした[13]。シーズンでは5月22日のピッツバーグ・パイレーツ戦で通算200本塁打を達成した[14]。200本塁打・200盗塁を達成した二塁手は史上6人目[15][16]。しかし、オジー・アルビーズがメジャーに昇格して正二塁手として起用されたことに伴い、控えとなったが、8月2日以降より三塁手にコンバートされた[17]

エンゼルス時代

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2017年8月31日にトニー・サンチェスとのトレードで、ロサンゼルス・エンゼルスへ移籍した[18]。9月1日のテキサス・レンジャーズ戦で移籍後初出場した[19]。オフの11月2日にFAとなった[20]

レッドソックス時代

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2018年6月27日にボストン・レッドソックスとマイナー契約を結び[21]、7月5日に傘下のAAA級ポータケット・レッドソックスへ配属された[22]。9月4日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[23]。背番号は「0」に決まったが、これによりフィリップスがレッドソックスの球団史上初めて着用した選手となった。ワールドシリーズ優勝の翌日の10月29日にFAとなった[22]

独立リーグ時代

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2019年6月25日に、弟が監督を務める独立リーグ・パシフィック・アソシエーションヴァレーホ・アドミラルズ英語版と契約した[24]。4試合に出場、打率308、1本塁打、3打点の成績を残し、7月4日に退団した[25]

メキシカンリーグ時代

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2019年7月16日にメキシカンリーグメキシコシティ・レッドデビルズと契約。36試合に出場し打率.267、3本塁打、15打点を記録した。10月5日にFAとなった[22]

独立リーグ時代

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2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により開催中止となったフロンティアリーグワシントン・ワイルドシングスらが代替開催したリーグ「Yinzer Baseball Confederacy」の「Baseball Brilliance Sox」でプレーした[26][27]。10試合に出場し、打率.128、2本塁打、6打点を記録した[28]

2021年5月19日、この年からアトランティックリーグに加盟したレキシントン・レジェンズの共同オーナーとなり[29]、5月31日に選手としてもチームと契約した[30][22]。この年は54試合に出場し、打率.276、14本塁打、52打点を記録した。

2022年は40試合に出場して打率.250、4本塁打、18打点を記録したが、球団が新たなオーナーグループに売却されたこともあり、シーズン終了後に退団した。

プレースタイル

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コンタクト技術に長けて三振率も低いが、早打ちであまり四球を選ばないため、打率に対して出塁率が非常に低い。これまで打率2割8分以上を5度記録しているが、出塁率3割5分以上は1度しか記録しておらず、2013年には野球記者との出塁率に関するツイッター上のやり取りが問題となった[11]

レッズ移籍2年目の2006年から2012年までの6年間で、DRSは+51、UZRは+62.0を記録している[31]。しかし、2012年以降は、RFでリーグ平均未満を記録している。2013年から2016年の4年間で、DRSは+5だった[32]

2016年終了時点で、レッズの球団史上9位の通算1774安打、現役二塁手で2位の4646補殺を記録している[33]

詳細情報

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年度別打撃成績

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O
P
S
2002 CLE 11 36 31 5 8 3 1 0 13 4 0 0 1 0 3 0 1 6 0 .258 .343 .419 .762
2003 112 393 370 36 77 18 1 6 115 33 4 5 5 1 14 0 3 77 12 .208 .242 .311 .553
2004 6 24 22 1 4 2 0 0 6 1 0 2 0 0 2 0 0 5 1 .182 .250 .273 .523
2005 6 9 9 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 .000 .000 .000 .000
2006 CIN 149 587 536 65 148 28 1 17 229 75 25 2 4 6 35 3 6 88 19 .276 .324 .427 .751
2007 158 702 650 107 187 26 6 30 315 94 32 8 2 5 33 4 12 109 26 .288 .331 .485 .816
2008 141 609 559 80 146 24 7 21 247 78 23 10 0 6 39 6 5 93 13 .261 .312 .442 .754
2009 153 644 584 78 161 30 5 20 261 98 25 9 2 8 44 3 6 75 21 .276 .329 .447 .776
2010 155 687 626 100 172 33 5 18 269 59 16 12 6 1 46 1 8 83 14 .275 .332 .430 .762
2011 150 675 610 94 183 38 2 18 279 82 14 9 5 6 44 3 9 85 15 .300 .353 .457 .810
2012 147 623 580 86 163 30 1 18 249 77 15 2 3 4 28 2 8 79 19 .281 .321 .429 .750
2013 151 666 606 80 158 24 2 18 240 103 5 3 4 9 39 6 8 98 19 .261 .310 .396 .706
2014 121 499 462 44 123 25 0 8 172 51 2 3 2 6 23 1 6 74 13 .266 .306 .372 .678
2015 148 623 588 69 173 19 2 12 232 70 23 3 1 3 27 1 4 68 13 .294 .328 .395 .723
2016 141 584 550 74 160 34 1 11 229 64 14 8 2 6 18 3 8 68 17 .291 .320 .416 .736
2017 ATL 120 499 470 68 137 27 1 11 199 52 10 8 1 1 19 1 8 57 19 .291 .329 .423 .753
LAA 24 105 102 13 26 7 0 2 39 8 1 0 1 0 2 0 0 16 2 .255 .269 .382 .652
'17計 144 604 572 81 163 34 1 13 238 60 11 8 2 1 21 1 8 73 21 .285 .319 .416 .735
2018 BOS 9 27 23 4 3 0 0 1 6 2 0 0 0 0 4 0 0 7 1 .130 .259 .261 .520
MLB:17年 1902 7992 7378 1005 2029 368 35 211 3100 951 209 84 39 62 420 34 92 1092 224 .275 .320 .420 .740
  • 2018年度シーズン終了時

表彰

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MLB

記録

[編集]
MiLB
MLB

背番号

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  • 61(2002年)
  • 7(2003年 - 2005年)
  • 4(2006年 - 2017年)
  • 0(2018年)

代表歴

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脚注

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  1. ^ Braves Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月19日閲覧
  2. ^ Emma Kershaw (2024年4月20日). “Who Is Jade Cargill's Husband? All About Former MLB Star Brandon Phillips”. People. 2024年6月8日閲覧。
  3. ^ World Baseball Classic: Brandon Phillips will play for the United States in the World Baseball Classic
  4. ^ a b Sheldon, Mark (2007年9月27日). “Good company: Phillips in 30-30 club” (英語). MLB.com. 2009年5月13日閲覧。
  5. ^ a b Brandon Phillips Transactions” (英語). Baseball-Reference.com. 2009年5月13日閲覧。
  6. ^ Sheldon, Mark (2007年9月5日). “Rookies Votto, Shearn shine in win Phillips adds record homer as Reds power past Mets” (英語). MLB.com. 2009年5月13日閲覧。
  7. ^ Associated Press (2008年2月16日). “Reds, Phillips agree to deal, avoid arbitration hearing” (英語). ESPN.com. 2009年5月13日閲覧。
  8. ^ Sheldon, Mark (2008年11月5日). “Phillips picks up first Gold Glove Award” (英語). MLB.com. 2009年5月13日閲覧。
  9. ^ Cincinnati Reds, Brandon Phillips agree to six-year contract ESPN
  10. ^ Team USA final roster for WBC announced[リンク切れ] USABaseball.com (2013年2月22日) 2015年3月27日閲覧
  11. ^ a b 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2014』廣済堂出版、2014年、374頁頁。ISBN 978-4-331-51809-0 
  12. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2015』廣済堂出版、2015年、389頁頁。ISBN 978-4-331-51921-9 
  13. ^ Reds deal Phillips to Braves for Minors arms”. Atlanta Braves (2017年2月12日). 2017年2月13日閲覧。
  14. ^ Inciarte's 5 hits, pair of HRs back Folty in win MLB.com (英語) (2017年5月23日) 2017年5月28日閲覧
  15. ^ 過去にクレイグ・ビジオライン・サンドバーグジョー・モーガンロベルト・アロマーイアン・キンズラー
  16. ^ メジャーの二塁手では6人目 フィリップスが通算200本塁打&200盗塁”. スポーツニッポン (2017年5月23日). 2017年6月18日閲覧。
  17. ^ Veteran Phillips accepts switch to third base MLB.com (英語) (2017年8月2日) 2017年8月12日閲覧
  18. ^ Angels acquire INF Brandon Phillips from Atlanta MLB.com (英語) (2017年8月31日) 2017年9月1日閲覧
  19. ^ Angels' new-look lineup impresses vs. Rangers MLB.com (英語) (2017年9月2日) 2017年9月4日閲覧
  20. ^ Key free agents for all 30 MLB teams MLB.com (英語) (2017年11月5日) 2017年12月30日閲覧
  21. ^ Ian Browne (2018年6月27日). “Sox sign Phillips to Minor League deal” (英語). MLB.com. 2018年9月5日閲覧。
  22. ^ a b c d MLB公式プロフィール参照。2021年6月8日閲覧。
  23. ^ Ian Browne (2018年9月5日). “Phillips back; Devers off disabled list” (英語). MLB.com. 2018年9月5日閲覧。
  24. ^ Admirals to sign Brandon Phillips”. Vallejo Admirals (2019年6月25日). 2022年4月7日閲覧。
  25. ^ Adios Amigo! Brandon Phillips leaves Admirals”. Vallejo Admirals (2019年7月4日). 2022年4月7日閲覧。
  26. ^ KYLE DAWSON (2020年8月8日). “Steel City, Road Warriors Clinch Series Wins in Semis”. The Washington Wild Things. 2021年6月8日閲覧。
  27. ^ Dave Clark (2020年7月11日). “Brandon Phillips homers for Baseball Brilliance Sox at Washington Wild Things Park”. Cincinnati.com. 2021年6月8日閲覧。
  28. ^ 2020 Baseball Brilliance Statistics”. Baseball-Reference.com. 2021年6月8日閲覧。
  29. ^ Brandon Phillips Joins Shea Family Lexington Legends Ownership Group”. Milb.com (2021年5月19日). 2021年6月8日閲覧。
  30. ^ Lexington Legends Sign Future MLB Hall of Famer Brandon Phillips”. Milb.com (2021年5月31日). 2021年6月8日閲覧。
  31. ^ Brandon Phillips » Statistics » Batting | FanGraphs Baseball
  32. ^ Brandon Phillips Stats | Baseball Reference.com
  33. ^ “レッズの顔! 守備の名手フィリップスが電撃トレード”. ベースボールチャンネル. (2017年2月13日). https://www.baseballchannel.jp/mlb/27036/ 2017年2月26日閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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