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ボーイ・ジョージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボーイ・ジョージ
2013年
基本情報
生誕 (1961-06-14) 1961年6月14日(63歳)
出身地 イングランドの旗 イングランドベクスリー・ロンドン特別区
ジャンル ニューロマンティック[1]レゲエ[2]

ボーイ・ジョージ(Boy George、1961年6月14日 - )は、ロンドン生まれのアイルランド系イギリス人ミュージシャン[3]。本名はジョージ・アラン・オダウド(George Alan O'Dowd)。カルチャー・クラブヴォーカリストとして知られ、ソロ歌手やミュージカル俳優としても活動している。ポップ・アイコンの一人であり、ゲイ・アイコンとしても有名[4][5]

略歴

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1961年、ジェレマイア・オダウドとダイナ・オダウドの間に男4人女1人の5人兄弟の真ん中として誕生[6]。父ジェレマイアは気性が荒い面があり、非常に暴力的な人物だったと振り返っている[7]。またジョージは他の兄弟が夢中になるものには夢中になれなかった[6]。ジョージは自身の家族について機能不全にもなることもあるが、一方で家族のことを愛しており、大家族で生まれ育ったことと絶え間ない彼らのサポートにより本来の自分を思い返すことができるとも語った[6]

1982年、カルチャー・クラブのヴォーカリストとしてデビュー。奇抜なメイク、深みのある低音ボイスを特徴とした歌声で「君は完璧さ」「タイム」「カーマは気まぐれ」「ミス・ミー・ブラインド」といったヒットを連発。1980年代第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンを牽引した。

1984年にはバンド・エイドに当時の人気スターの一人として参加した、バンド・エイドが発表した「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」では、ジョージの深みのある歌声を確認することができる。この時期、ギネスブックの「最高のコマーシャル出演料」の項目において、日本のテレビで放映されるコマーシャルの出演料の150万ドルが世界一と認定されていたことがある[8]

しかし、ジョージのヘロイン中毒などもあり、1986年にカルチャー・クラブは最初の活動休止を余儀なくされる。それからソロ活動を開始し、1987年にアルバム『ソールド』をリリース。先行シングルの「エヴリシング・アイ・オウン」は2週に渡って全英1位を記録[9]。翌年には『告白への扉』、その9か月後には『ボーイフレンド』を発表するなど精力的なアルバムリリースを続ける。

1990年にはJesus Loves Youとしての活動を開始、同名義のアルバムとしては『ザ・マーター・マントラス』一作のみをリリース。アルバムからはAfter the LoveBow Down MisterGenerations of Loveなどのシングルが生まれた。

1992年に、アカデミー賞脚本賞を受賞した同名映画の主題歌となったカバー曲「ザ・クライング・ゲーム」(プロデュースはペット・ショップ・ボーイズ)がヒット。

1995年、カルチャー・クラブでの栄光と挫折を中心に描いた自伝「Take it like a man」を発表(未邦訳)。のちにジョージの自伝とリー・バウリーの本を元にした、ミュージカル「Taboo」がロンドンとブロードウェイで上演され(ロンドン版とブロードウェイ版では、舞台の内容が多少異なっている)、トニー賞では作曲賞にノミネートされるなどした[10]。また英国では自伝を脚色して、2010年にTVドラマ化(「Worried About the Boy」)もされている。

カルチャー・クラブは、1998年11月に活動を再開するが、翌1999年12月には再び活動を休止する。

2002年にはジョン・レノンポール・マッカートニーロビー・ウィリアムズらとともに100名の最も偉大な英国人に選出[11]

2016年

2014年1月、ソロの音楽活動を本格的に再開し、アルバム『ディス・イズ・ホワット・アイ・ドゥ』を発表。またUKツアーとUSAツアーも行われた。アルバムは批評家から大きな賞賛を浴びた[12]

同年からはカルチャー・クラブとしての活動も再開させる。

2015年、アイヴァー・ノヴェロ賞で英国音楽への長年の功績を称える特別功労賞を受賞[13]

2016年、人気オーディション番組『ザ・ヴォイス』の審査員に就任。

2018年、『アティテュード・アワード』のミュージック・アイコン賞を受賞[14]

2023年には新たな自伝『カルマ』(Karma: My Autobiography)を発表[15]

2024年からはミュージカル版の『ムーラン・ルージュ』にハロルド・ジドラー役で出演、ブロードウェイへの出演は『Taboo』の舞台化以来20年ぶりだった[10][16]

同年には映画『ARGYLLE/アーガイル』のサウンドトラックにアリアナ・デボーズナイル・ロジャーズと組んだ新曲「エレクトリック・エナジー」で参加[17]。更に自身を含む80年代アーティストの姿をジョージが描いた絵画の個展も開催した[18]

現在もカルチャー・クラブとしてのライヴ公演のほか、ソロとしても定期的にライヴ公演を開催。更に自分のレーベルBGP Recordsから自身が60歳になったことを記念して60曲の新曲を順次配信リリースする試みを行うなど盛んな活動を行っている。また伝記映画の制作も進められている。

人物

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2016年

イギリスのテレビ番組ではコメンテーターとしても活躍し、歯に衣着せぬ切れ味鋭い発言をしている。

料理好きで、料理の写真やレシピがTwitterなどで紹介されている。

セクシャリティ

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ボーイ・ジョージがカルチャークラブにいたとき、彼の両性具有の外見から、彼のセクシュアリティについての様々な憶測があった。ジョーン・リバーズはインタビューで「あなたは、男性を好むの、それとも女性を好むの?」と質問すると、ジョージは「ああ、両方さ。」と答えた。1985年、バーバラ・ウォルターズから性的指向について尋ねられたとき、ジョージは彼がバイセクシュアルであり、過去にはさまざまなガールフレンドやボーイフレンドがいたと述べた。彼はインタビュアーに、セックスよりも「素敵なお茶」を好むという有名な、よく引用される返答をした。

ジョージは1995年の自伝『Take It Like a Man』で、彼は実際にはバイセクシュアルではなく「ゲイ」であり、パンク・ロック歌手のカーク・ブランドンやカルチャークラブのドラマーであるジョン・モスと秘密の関係にあったと述べた。彼は、カルチャークラブのために書いた曲の多くは「モスとの関係について」であると証言している。

2006年、サイモン・ジョージ監督のエピソードドキュメンタリー「少年ジョージの狂気」で、ジョージはカメラに「同性愛者」であると宣言した。2008年のドキュメンタリー 『Living with Boy George』で、彼はゲイであることを最初に両親に話したときの様子などを語っている[19]

2007年4月、彼はノルウェー人の男性を手錠を使って監禁し、で殴打した容疑で逮捕された。ジョージは手錠をかけたことは認めたものの、他の容疑については否認した[20]。だが、被害者のヌード写真の所有などを根拠に、2008年12月陪審員は有罪の評決を出した。弁護士はボーイ・ジョージの長年の薬物使用が原因と弁護したが、2009年1月裁判官禁固15ヶ月の実刑判決を言い渡した。2008年7月、アメリカでののツアーと、ニューヨーク市衛生局主催の無料コンサートでの演奏を計画していたが監禁事件で本国イギリスで起訴されていることを理由に、アメリカ入国を拒否された。2009年5月、所内での真摯で勤勉な態度を理由に4か月での出所が認められ出所した。

ディスコグラフィ

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オリジナル・アルバム

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タイトル 概要
1987 Sold
1988 Tense Nervous Headache(邦題:告白への扉
1989 Boyfriend
1991 The Martyr Mantras Jesus Loves You名義
1995 Cheapness and Beauty
1998 The Unrecoupable One Man Bandit
2002 U Can Never B2 Straight
Taboo - Original London Cast サントラ
2010 Ordinary Alien
2014 This Is What I Do
2018 Life カルチャー・クラブと共同名義

その他のアルバムや活動

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カルチャー・クラブでの活動は除く
タイトル 概要
1989 High Hat ベスト盤
1992 Spin Dazzle – The Best of Boy George and Culture Club ベスト盤
The Crying Game サントラ・テーマ曲
1993 At Worst... The Best of Boy George and Culture Club ベスト盤(ソロ名義、カルチャー・クラブ名義、Jesus Loves You名義のヒット曲を収録)
More Than Likely P.M. Dawn提供曲
1994 Human Beings Gaurangi提供曲
The Devil in Sister George EP EP盤
1996 Everything I Own ベスト盤
Love Is Leaving オリジナルシングル
1997 Police and Thieves Dubversive and Mica Paris提供曲
When Will You Learn オリジナルシングル
1999 Why Go? Faithless提供曲
Galaxy Mix DJ盤
2001 Essential Mix DJ盤
BoyGeorgeDj.com DJ盤
Lucky for Some DJ盤
2002 Classic Masters ベスト盤
Something Old, Something New – A More Protein Compilation DJ盤
A Night Out with Boy George – A DJ Mix DJ盤
A Night In with Boy George – A Chillout Mix DJ盤
Run Sash!提供曲
Auto-Erotic Dark Globe提供曲
2003 Psychology of the Dreamer Eddie Lock提供曲
Out of Fashion Hi-Gate提供曲
2005 Straight EP盤
2006 You Are My Sister Antony and the Johnsons提供曲
2007 You're Not the One Loverush UK!提供曲
Time Machine Amanda Ghost提供曲
Atoms Dark Globe提供曲
2009 American Heart Bliss提供曲
White Xmas オリジナルシングル
2010 Someone Else's Eyes Amanda Lear and Deadstar提供曲
Take Us to the Disco Bylli Crayone提供曲
Somebody to Love Me Mark Ronson and Andrew Wyatt提供曲
2012 Happy DJ Yoda提供曲
King of Queens EP盤
2013 Coming Home Dharma Protocol提供曲
2024 Electric Energy Ariana DeBose & Nile Rodgersとのコラボ・シングル

出演

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ カルチャー・クラブ・バイオ ユニヴァーサルMJ 2022年6月2日閲覧
  2. ^ カルチャー・クラブ レゲエ BBC 2022年6月2日閲覧
  3. ^ Power, Vicki (2018年7月30日). “CURIOUS GEORGE - Boy George investigates his traumatic family history and Irish roots” (英語). Express.co.uk. https://www.express.co.uk/showbiz/tv-radio/996034/boy-george-investigates-family-history-who-do-you-think-you-are-the-troubles 2018年10月31日閲覧。 
  4. ^ Stubbs, Dan (2018年11月23日). “Culture Club’s Boy George: the original gender-fluid pop icon versus the modern world”. NME. 2024年12月10日閲覧。
  5. ^ Fame is no monster for queer icon Boy George”. Dallas Voice (2024年8月16日). 2024年12月10日閲覧。
  6. ^ a b c McShane, Jennifer (2022年11月3日). “I’m A Celebrity: Who are Boy George’s brothers and sisters?”. Metro. 2024年11月7日閲覧。
  7. ^ Nankervis, Troy (2017年2月17日). “Viewers praise Boy George for ‘brave’ comments about domestic abuse in his family”. Metro. 2024年11月7日閲覧。
  8. ^ アラン・ラッセル, ed (1986). 世界記録事典 ギネスブック'87. 大出健. 講談社. p. 361. ISBN 4-06-202948-0 
  9. ^ EVERYTHING I OWN - Official Charts Company
  10. ^ a b McArdle, Tommy (23 November 2023). “Boy George to Make First Broadway Return in 20 Years for Moulin Rouge! Musical”. People.com. 23 September 2024閲覧。
  11. ^ Wells, Matt (2002年8月22日). “The 100 greatest Britons: lots of pop, not so much circumstance”. The Guardian. 2024年12月5日閲覧。
  12. ^ This Is What I Do by Boy George Reviews and Tracks”. Metacritic. 2024年12月10日閲覧。
  13. ^ Black Sabbath celebrate at Ivor Novello awards”. BBC (2015年5月21日). 2024年10月18日閲覧。
  14. ^ Brown, Steve (2018年10月9日). “Attitude Music Icons Award: Boy George and Culture Club”. Attitude. 2024年12月10日閲覧。
  15. ^ Perry, Simon (2024年1月9日). “Boy George Tells All About Addiction, Prison and Janet Jackson: His New Memoir's Biggest Revelations”. People. 2024年12月10日閲覧。
  16. ^ Boy George hits the stage for his first performance in Moulin Rouge as he returns to Broadway after 20 years” (12 February 2024). 11 September 2024閲覧。
  17. ^ Hernandez, Brian (2024年1月26日). “Bryan Cranston, Samuel L. Jackson and Catherine O'Hara Lip-Sync for Their Lives in 'Electric Energy' Music Video”. People. 2024年11月7日閲覧。
  18. ^ Whiddington, Richard. “Boy George’s First Art Collection Swarms With Famous Faces, Including His Own”. Artnet News. 2024年11月7日閲覧。
  19. ^ Living with... Boy George (TV 2008), IMDb
  20. ^ 共同通信社2008年12月5日付

関連項目

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  • LGBT
  • ロイ・ヘイ
  • IZAM - 日本の歌手、タレント、俳優。学生時代に見たボーイ・ジョージに影響を受けた事を公言している。

外部リンク

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