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ラザフォード (ロケットエンジン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラザフォード
Rutherford
原開発国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
設計者ロケット・ラボ
開発企業ロケット・ラボ
目的1段目・2段目兼用
現況生産中
液体燃料エンジン
推進薬LOX / RP-1
サイクル電動ポンプサイクル
ポンプ2 x 電動ポンプ
構成
燃焼室1
性能
推力 (vac.)5,800 lbf (26 kN)
推力 (SL)5,600 lbf (25 kN)
Isp (vac.)343 s (3.36 km/s)
Isp (SL)311 s (3.05 km/s)
寸法
乾燥重量35 kg
使用
エレクトロン
リファレンス
出典[1]

ラザフォード(Rutherford)は、アメリカニュージーランドの企業であるロケット・ラボ社が開発・製造する液体燃料ロケットエンジン[2]。同社のエレクトロンロケットに使用されている。名称はニュージーランド出身の実験物理学者、アーネスト・ラザフォードにちなむ。

ロケットに使用されるエンジンとしては世界初の電動ポンプサイクルを採用する。燃料にはケロシン (RP-1) と液体酸素 (LOX) を使用する。エレクトロンは1段目と2段目に同じエンジンを用いる構成を採り、1段目に9基、2段目に1基を使用する[3][4]。海面推力5,600 lbf (25 kN)、真空推力5,800 lbf (26 kN)、真空比推力343秒を発揮する[注 1][1]

2016年3月に飛行に向けた認定を取得し[5]2017年5月25日に初飛行した[6]

特徴

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ラザフォードは小型の液体燃料ロケットエンジンで、シンプルかつ安価で製造できることを意図して設計されている。このため、エレクトロンでも1段目と2段目のエンジンを統一し、調達・輸送の効率化とスケールメリットの追求を図っている(2段目はノズルを延長して真空中での使用に最適化したバージョン)[3][4]。さらに、コスト削減のため実用エンジンとしては世界で初めて電動ポンプサイクルを採用している[7]。また、製造には3Dプリンターを広範に活用しており、電子線溶解法を用いて燃焼室、インジェクター、ポンプおよびメイン推進薬バルブを製造している[8][9][10]

他の液体燃料ロケットエンジンと同様に、ラザフォードもタンクから燃焼室に推進剤を送り込むためにターボポンプを使用して昇圧している[7]。大量・高圧の推進剤をタンクに収めるとタンクの重量が嵩むため、ポンプを用いて昇圧するのである[11]

電動ポンプサイクルでは、燃料と推進剤のそれぞれを電動機で駆動される電動ポンプで供給する[11]。ラザフォードでは2台のブラシレスDCモーターリチウムポリマー電池で駆動している。これにより、一般的なガス発生器サイクルでは効率50%程度であるのに対し、効率95%程度を達成している[12]。一方で、電池の分だけエンジンの重量が嵩むという問題もある[11]

エンジン1基につき40,000回転・50 hp (37 kW) のモーターを2台搭載している[12]。1段目用の電池は、9基のエンジン(モーターは18台)に1MWを超える電力を供給する[13]

エンジンの冷却には再生冷却を採用しており、ポンプから吐き出された燃料は燃焼室とノズルに設けられた流路を通ってから燃焼室に噴射される。

脚注

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注釈

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  1. ^ 2017年当初は海面推力5,500 lbf (24 kN)。2020年8月にバッテリーの改良による性能アップを発表。

出典

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  1. ^ a b Rocket Lab Increases Electron Payload Capacity, Enabling Interplanetary Missions and Reusability” (英語). Rocket Lab (2020年8月4日). 2022年10月26日閲覧。
  2. ^ Rocket Lab Reveals First Battery-Powered Rocket for Commercial Launches to Space | Rocket Lab” (英語). 2017年5月25日閲覧。
  3. ^ a b Brügge, Norbert. “Electron NLV”. B14643.de. 20 September 2016閲覧。
  4. ^ a b Brügge, Norbert. “Electron Propulsion”. B14643.de. 20 September 2016閲覧。
  5. ^ Rutherford Engine Qualified for Flight”. Rocket Lab (March 2016). 19 September 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。19 September 2016閲覧。
  6. ^ “New Zealand space launch is first from a private site”. (2017年5月25日). http://www.bbc.com/news/world-asia-39971843 2017年5月25日閲覧。 
  7. ^ a b Propulsion”. Rocket Lab. 19 September 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。19 September 2016閲覧。
  8. ^ Bradley, Grant (15 April 2015). “Rocket Lab unveils world's first battery rocket engine”. The New Zealand Herald. http://www.nzherald.co.nz/business/news/article.cfm?c_id=3&objectid=11432396 20 September 2016閲覧。 
  9. ^ Grush, Loren (15 April 2015). “A 3D-Printed, Battery-Powered Rocket Engine”. Popular Science. 31 January 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。20 September 2016閲覧。
  10. ^ Propulsion”. Rocket Lab. 10 September 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。19 September 2016閲覧。
  11. ^ a b c Rachov, Pablo; Tacca, Hernán; Lentini, Diego (2013). “Electric Feed Systems for Liquid-Propellant Rockets",”. Journal of Propulsion and Power (AIAA) 29 (5): 1171–1180. doi:10.2514/1.B34714. https://www.aacademica.org/hernan.emilio.tacca/9.pdf 16 September 2016閲覧。. 
  12. ^ a b Rocket Lab Unveils Battery-Powered Turbomachinery”. Aviation Week & Space Technology (14 April 2015). 4 March 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。16 September 2016閲覧。
  13. ^ Rocket Lab Introduction” (PDF). Rocket Lab. 20 September 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。20 September 2016閲覧。

外部リンク

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