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井上稔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

井上 稔(いのうえ みのる、1936年4月16日 -)は日本画家京都府京都市生まれ。日展会友(出品委嘱)、朴土グループメンバー。

略歴

[編集]
  • 1936年(昭和11年)4月16日、野々内保太郎・きぬの次男として京都市に生まれる。父保太郎(1902~1985)は島根県出西村出雲市)生まれ、中村大三郎門下の日本画家。稔の兄野々内良樹(1930~2009)ものちに日本画家となり、弟野々内宏(1938~)も日本画家という日本画一家に育つ。のち稔は井上姓となる。
  • 1946年(昭和21年)3月、京都市立第三錦林小学校卒業。4月、京都市立岡崎中学校に入学。
  • 1950年(昭和25年)3月、京都市立岡崎中学校卒業。4月、京都府立鴨沂高等学校に入学。映画部に入部、上映会などを行う。部長も勤める。
  • 1954年(昭和29年)3月、京都府立鴨沂高校卒業。4月、京都学芸大学(現京都教育大学)特修美術科日本画に入学。
  • 1957年(昭和32年)第13回日展に《校倉》(島根県庁蔵)が、初入選(この時は野々内姓)。
  • 1959年(昭和34年)3月、京都学芸大学特修美術科日本画卒業。4月、同専攻科(現京都教育大学大学院)に進む。全関西美術展に《風景》出品、佳作賞受賞。兄良樹、加藤美代三下保昭福本達雄三谷青子らとともに朴土社結成。
  • 1960年(昭和35年)3月、京都学芸大学専攻科美術修了。西山英雄に師事。第3回日展に《船》入選。
  • 1961年(昭和36年)4月、兄 良樹の跡を受けて大阪 豊中の市立第四中学校の美術科教員となる(~70年)。
  • 1962年(昭和37年)4月、第14回京展に《花》出品、読売新聞社賞受賞。第5回日展に《校倉》入選。
  • 1963年(昭和38年)第2回現代美術京都秀作展に前年の《花》(京展)を推薦出品。京都日本画新人展《華》(奈良県立万葉文化館蔵)推薦出品。第6回日展に《花と船》入選。この年から、朴土社に参加。
  • 1964年(昭和39年)第3回現代美術京都秀作展に前年の《花と船》(日展)を推薦出品。6月9日~13日、東京 西村画廊で開催の第6回朴土社展に《花のある風景》《舟と花》出品(同月、京都 京都府ギャラリーで開催)。
  • 1965年(昭和40年)3月13日~18日、朴土社小品画展を大阪 三越で開催、出品。5月21日~28日、東京 銀座松屋で開催の、第7回朴土グループ展(この年から朴土社から朴土グループと改める)に《ある風景》(富山展では《ガスタンクのある風景》と改題)《肥後橋》出品(同月、京都府ギャラリーで開催)。
  • 1966年(昭和41年)6月7日~10日、京都府ギャラリーで開催の第8回朴土グループ展に《丘の家》出品(同月、富山郷土博物館、7月8日~13日、東京 銀座松屋でも開催)。第9回日展に《丘の家》入選。
  • 1967年(昭和42年)第2回日春展に《花と校倉》入選。4月8日~13日、大阪 高麗橋三越で開催の朴土グループ小品に出品。6月8日~12日、京都府ギャラリーで開催の第9回朴土グループ展に《花のある風景》出品(7月7日~12日、東京 銀座松屋で開催)。第10回日展に《花と風景》入選。
  • 1968年(昭和43年)第3回日春展に《窓辺の花》(《窓辺の静物》と改題、左部のみ現存)出品。4月27日~5月2日、朴土グループ展を大阪 高麗橋三越で開催。7月20日~24日、東京 銀座松屋で開催の第10回朴土グループ展に《花と風景》出品(同月、京都府ギャラリーで開催)。第11回日展に《たそがれ》入選。この年、《窓辺の花》を描く。
  • 1969年(昭和44年)3月15日~20日、朴土グループ日本画小品展を大阪 三越で開催。5月15日~18日、京都府ギャラリーで開催の'69朴土グループ展(第11回展=通算12回展。以下通算で表記)に《白い花》出品。8月15日~21日、京都朴土グループ新作日本画展を石川 金沢大和百貨店で開催。改組第1回日展《校倉》(奈良県立万葉文化館蔵)入選。
  • 1970年(昭和45年)第5回日春展に《静物のある風景》入選。5月19日~24日、会場を京都府立文化芸術会館に移し、'70朴土グループ展(13回展)を開催、《花》《倉》出品。第2回日展に《朝》(奈良県立万葉文化館蔵)入選。
  • 1971年(昭和46年)第6回日春展に《景》入選。6月8日~13日、京都府立文化芸術会館で開催の'71朴土グループ展―生―(14回展)に《生の幻想》《祈》出品。7月3日~8日、大阪 三越で開催の朴土グループ日本画展に《野》《渚の春》出品。第1回京都同時代展に《景》出品。第3回日展に《晴れゆく》入選。
  • 1972年(昭和47年)第7回日春展に《霽れる》入選。5月16日~21日、京都府立文化芸術会館で開催の'72朴土グループ展(15回展)に《星空》《景》出品。第2回京都同時代展に《朝靄》出品。第4回日展に《ひまわり》(奈良県立万葉文化館蔵)出品。この年、《華(ひまわり)》を描く。
  • 1973年(昭和48年)第8回日春展に《朝》入選。第3回京都同時代展に《朝》出品。京都府立文化芸術会館で'73朴土グループ展(16回展)を開催、《夜明け》《倉》出品。第5回日展に《想》(奈良県立万葉文化館蔵)入選。
  • 1974年(昭和49年)第9回日春展に《森の詩》入選。京都府立文化芸術会館で開催の'74朴土グループ展(17回展)に《花と塔》《夜の海》(いずれも奈良県立万葉文化館蔵)《森の中の花》出品。第4回京都同時代展《森と・・・・・》出品。
  • 1975年(昭和50年)京都府立文化芸術会館で開催の'75朴土グループ展(18回展)に《白木蓮》《牡丹》出品。第5回京都同時代展に《想》出品。第27回京展に《白い花》(福知山市役所大江支所蔵)出品、市長賞受賞。第7回日展に《白い花》入選。
  • 1976年(昭和51年)第11回日春展に《華》入選。5月11日~16日、京都府立文化芸術会館で開催の'76朴土グループ展(第19回展)に《朝霞》《白い花》出品。第6回京都同時代展に《華の中》出品。雑誌『形象』38号(形象社)に中井慎吾「現代美術のホープ 井上稔」掲載される。第8回日展に《華》(奈良県立万葉文化館蔵)出品。
  • 1977年(昭和52年)第12回日春展に《浄》入選。5月3日~8日、京都府立文化芸術会館で開催の'77朴土グループ展(第20回展)に《金堂》《蓮》出品。第9回日展に《浄》(奈良県立万葉文化館蔵)入選。
  • 1978年(昭和53年)第13回日春展に《浄》(奈良県立万葉文化館蔵)出品、奨励賞受賞。5月23日~28日、京都府立文化芸術会館で開催の'78朴土グループ展(第21回展)に《想Ⅰ》《想Ⅱ》出品。第10回日展に《想》出品。
  • 1979年(昭和54年)第14回日春展に《白宇》入選。5月15日~20日、京都府立文化芸術会館で開催の'79朴土グループ展(第22回展)に《爽》《浄》出品。第31回京展に《浄》(奈良県立万葉文化館蔵)出品、須田賞受賞。第11回日展に《浄》出品、特選となる。
  • 1980年(昭和55年)第15回日春展に《想》入選。4月29日~5月4日、京都府立文化芸術会館で開催の'80朴土グループ展(23回展)に《遙》《浄》出品。10月8日、母きぬ没。第12回日展に《宙》入選。
  • 1981年(昭和56年)第16回日春展に《映》入選。5月19日~24日、京都府立文化芸術会館で開催の'81朴土グループ展(24回展)に《夜明け》《蓮》出品。第13回日展に《廃船》入選。この頃、《花と倉》を描く。
  • 1982年(昭和57年)5月4日~9日、京都府立文化芸術会館で開催の'82朴土グループ展(25回展)に《朧》《宙》出品。第14回日展に《浄韻》(奈良県立万葉文化館蔵)出品、特選となる。この年、《大和三山》)を描く。
  • 1983年(昭和58年)5月3日~8日、京都府立文化芸術会館で開催の'83朴土グループ展(26回展)に《想》《寂光》出品。「大矢十四彦・井上稔二人展」(東京 北辰画廊、京都高島屋、新潟 大和)開催。第15回日展に《浄》入選。
  • 1984年(昭和59年)第19回日春展に《皎》出品。京都府立文化芸術会館で開催の'84朴土グループ展(27回展)に《想》《浄韻》出品。日展出品委嘱となる。第16回日展に《浄心》出品。
  • 1985年(昭和60年)第20回日春展に《月影》出品。4月30日~5月5日、京都府立文化芸術会館で開催の'85朴土グループ展(28回展)に《浄池》出品。第17回日展に《宙》委嘱出品。12月5日、父 野々内保太郎没。
  • 1986年(昭和61年)第21回日春展に《夕》出品。5月20日~25日、京都府立文化芸術会館で開催の'86朴土グループ展(29回展)に《古都月影》出品。京の四季展に《真如堂春宵》(京都府蔵)出品。第18回日展に《古都の詩》(奈良県立万葉文化館蔵)入選。兄 良樹、日展会員となる。
  • 1987年(昭和62年)第22回日春展に《古寺月明》出品。5月12日~17日、京都府立文化芸術会館で開催の'87朴土グループ展(30回展)に《月明》(当館蔵)出品。第19回日展に《月明り》委嘱出品。
  • 1988年(昭和63年)第23回日春展に《雪の朝》出品。5月10日~15日、京都府立文化芸術会館で開催の'88朴土グループ展(31回展)に《室生》出品。第20回日展に《室生》委嘱出品。 
  • 1989年(平成元)1月21日、師 西山英雄没。第24回日春展に《岩船寺》出品。5月16日~21日、京都府立文化芸術会館で開催の'89朴土グループ展(32回展)に《桜花》出品。第21回日展に《宙》委嘱出品。 
  • 1990年(平成2年)第25回日春展に《宙》出品。5月8日~13日、京都府立文化芸術会館で開催の'90朴土グループ展(33回展)に《岩船寺雪晨》(奈良県立万葉文化館蔵)出品。8月、雑誌『美の散策』75号(毎日アート出版)にインタビュー記事《奈良・大和路風景に夢を託して・・・・》掲載。8月16日~24日、東京 ギャラリー毎日で《井上稔個展》開催。《岩船寺》・《大和路の春》など11点を出品。第22回日展に《雪の朝》委嘱出品。
  • 1991年(平成3年)第26回日春展に《古寺雪晨》出品。5月14日~19日、京都府立文化芸術会館で開催の'91朴土グループ展(34回展)に《雪の日》(奈良県立万葉文化館蔵)出品。第23回日展に《室生寺雪晨》(奈良県立万葉文化館蔵)入選。
  • 1992年(平成4年)第27回日春展に《御室宵桜》出品。5月12日~17日、京都府立文化芸術会館で開催の'92朴土グループ展(35回展)に《室生寺の春》(南都銀行蔵)出品。第24回日展に《校倉》出品。
  • 1993年(平成5年)第28回日春展に《雪の室生》出品。5月18日~23日、京都府立文化芸術会館で開催の'93朴土グループ展(36回展)に《清水寺》出品。第25回日展に《清水寺》委嘱出品。 
  • 1994年(平成6年)第29回日春展に《雪の校倉》出品。5月17日~22日、京都府立文化芸術会館で開催の'94朴土グループ展(37回展)に《雪の塔》《春の譜》出品。第26回日展に《浄韻》委嘱出品。
  • 1995年(平成7年)第30回日春展に《新薬師寺》出品。5月16日~21日、京都府立文化芸術会館で開催の'95朴土グループ展(38回展)に《浄夜》出品。現代京都の日本画展に《雪の浄瑠璃寺》出品。全関西美術展審査員を務める。第27回日展に《大仏殿》(奈良県立万葉文化館蔵)委嘱出品。
  • 1996年(平成8年)第31回日春展に《東大寺》出品。5月14日~19日、京都府立文化芸術会館で開催の'96朴土グループ展(39回展)に《浄瑠璃寺の春》《浄瑠璃寺の秋》出品。奈良県立万葉文化館のため、万葉歌《斑鳩の 因可の池の 宜しくも 君を言はねば 思ひそわがする》(巻12-3020 作者未詳)に取材して《斑鳩夕景》(奈良県立万葉文化館蔵)を制作。第28回日展に《浄瑠璃寺》委嘱出品。
  • 1997年(平成9年)第32回日春展に《古寺静晨》出品。5月13日~18日、京都府立文化芸術会館で開催の'97朴土グループ展(40回展)に《大和・雪》《大和・芒》出品。第29回日展に《大和・浄宇》委嘱出品。
  • 1998年(平成10年)第33回日春展に《野ぼとけ》出品。5月19日~24日、京都府立文化芸術会館で開催の'98朴土グループ展(41回展)に《塔の朝》出品。「西山英雄の画業をたどる―38人の門下生―展」に《斑鳩秋韻》出品。第30回日展に《塔韻》委嘱出品。この年、《新緑の頃》を描く。
  • 1999年(平成11年)第34回日春展に《浄宇》出品。5月18日~23日、京都府立文化芸術会館で開催の'99朴土グループ展(42回展)に《古塔の里》《塔への道》出品。第31回日展に《室生桜花》(奈良県立万葉文化館蔵)委嘱出品。
  • 2000年(平成12年)第35回日春展に《旅の道標》出品。5月9日~14日、京都府立文化芸術会館で開催の2000朴土グループ展(43回展)に《栄山寺》(奈良県立万葉文化館蔵)《室生新緑》出品。第32回日展に《大和栄山寺》委嘱出品。
  • 2001年(平成13年)第36回日春展に《魚梆》出品。5月1日~6日、京都府立文化芸術会館で開催の'01朴土グループ展(44回展)に《東大寺》(奈良県立万葉文化館蔵)出品。第33回日展に《東大寺・朝》(奈良県立万葉文化館蔵)委嘱出品。
  • 2002年(平成14年)第37回日春展に《想》出品。5月21日~26日、京都府立文化芸術会館で開催の'02朴土グループ展(45回展)に《畝傍山》《香具山》《耳成山》(3作品とも奈良県立万葉文化館蔵)出品。第34回日展に《飛鳥の里》(奈良県立万葉文化館蔵)委嘱出品。
  • 2003年(平成15年)第38回日春展に《新緑の頃》(外務省蔵)出品、外務省買上げとなる。5月6日~11日、京都府立文化芸術会館で開催の'03朴土グループ展(46回展)に《室生緑晨》《室生夕靄》出品。第35回日展に《古塔の朝》(奈良県立万葉文化館蔵)委嘱出品。
  • 2004年(平成16年)第39回日春展に《花の頃》出品。5月11日~16日、京都府立文化芸術会館で開催の'04朴土グループ展(47回展)に《朝霞》《黄昏》(いずれも奈良県立万葉文化館蔵)《雪の日》出品。7月30日~8月15日、「日本画《京の今日》展~伝統からの挑戦~(前期)」(京都府京都文化博物館、会期は7月30日~9月5日)に《塔遠望》出品。第36回日展に《室生朝霞》委嘱出品。
  • 2005年(平成17年)第40回日春展に《古塔朝靄》出品。5月10日~15日、京都府立文化芸術会館で開催の'05朴土グループ展(48回展)に《寧楽東大寺》《大仏殿遠望》《塔の朝》(奈良県立万葉文化館蔵)出品。5月26日~7月24日、奈良県立万葉文化館で「花・鳥・風景―野々内良樹・井上稔・野々内宏兄弟展」開催、作品25点を展示。第37回日展に《古都寧楽》出品。この年、《東大寺遠望》を描く。
  • 2006年(平成18年)第41回日春展に《春の日》出品。5月9日~14日、京都府立文化芸術会館で開催の'06朴土グループ展(49回展)に《朝靄》《明日香》《夕靄》出品。第38回日展に《大和多武峰》委嘱出品。
  • 2007年(平成19年)第42回日春展に《朝》出品。5月8日~13日、京都府立文化芸術会館で開催の'07朴土グループ展(50回展)に《明日香心象》(奈良県立万葉文化館蔵)《室生》《夕陽》出品。これをもって、グループでの展覧会開催を終わる。5月31日~7月29日、奈良県立万葉文化館で「創立50回記念朴土グループ回顧日本画展―西山英雄門下の画家たち―」が開催される。6月3日、奈良県立万葉文化館で美術講演会の講師を務める。第39回日展に《経堂》委嘱出品。
  • 2008年(平成20年)第43回日春展に《大和へ》出品。5月8日~5月25日、奈良県立万葉文化館で「明日香を描いた日本画展」開催、《石舞台遠望》出品。第40回日展に《薄暮》委嘱出品。
  • 2009年(平成21年)第44回日春展に《朧》出品。展・22に《大和秋色》出品。第41回日展に《雪の朝》委嘱出品。
  • 2010年(平成22年)第45回日春展に《塔の春》出品。展・22に《斑鳩心象》出品。第42回日展《浄宇霧杳》委嘱出品。
  • 2011年(平成23年)1月6日~3月6日、奈良県立万葉文化館で「井上稔展-奈良に魅せられて-」[1][2]を開催、作品56点を展示。3月6日、奈良県立万葉文化館にて美術講演会の講師をつとめる。

参考文献

[編集]
  • 中井慎吾「現代美術のホープ 井上稔」『形象』38号、形象社、1976年
  • 『奈良県立万葉文化館展覧会だより』7号、財団法人奈良県万葉文化振興財団、2005年
  • 「朴土グループのあゆみ」『奈良県立万葉文化館展覧会だより』23号、財団法人奈良県万葉文化振興財団、2007年
  • 『井上稔展 ―奈良に魅せられて―』奈良県立万葉文化館、2010年[3]
  • 福田道宏「井上稔の画業と人となり」『井上稔展 ―奈良に魅せられて―』奈良県立万葉文化館、2010年