名古屋拘置所
名古屋拘置所の外観(撮影:2014年8月24日) | |
所在地 | 日本・〒461-8586愛知県名古屋市東区白壁一丁目1番[1] |
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座標 | 北緯34度10分55.880秒 東経136度54分35.550秒 / 北緯34.18218889度 東経136.90987500度 |
現況 | 運用中 |
開設 | 1938年7月2日[2] |
管理運営 | 法務省矯正局・名古屋矯正管区[3] |
管轄 | 法務大臣 |
根拠法令 | 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 |
名古屋拘置所(なごやこうちしょ)は、法務省矯正局の名古屋矯正管区に属する拘置所[3]。所在地は愛知県名古屋市東区白壁一丁目1番[1]。
全国に8箇所(東京・立川・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡)ある拘置所のひとつ[3]である。また名古屋矯正管区内で唯一の拘置所である(拘置支所を除く)[3]。下部機関として一宮拘置支所[注 1]・半田拘置支所[注 2]がある。
歴史
[編集]1938年(昭和13年)5月に竣工し、同年7月2日に開所式・落成式が行われた[注 3][2]。1945年(昭和20年)に戦災で一部が焼失したが、1948年(昭和23年)に復旧した[4]。
その後、全面改築工事を行い[4]、大林組の工事により1983年(昭和58年)3月に竣工[5]。外塀のない高層都市型矯正施設は日本初で、全国の刑事施設に先駆けて全館空調設備(冷暖房)も設置したが、新収容棟建設に伴い2006年(平成18年)に調査を実施したところ、空調配管が設置以来20年以上にわたり使用されないまま老朽化し、使用不能な状態になっていることが判明した[6]。
2007年(平成19年)には新館増改築工事を、2008年(平成20年)には本館改築工事をそれぞれ竣工している[4]。総工事費(改修工事+新収容棟建設工事費)は約48億円[6]。
アクセス
[編集]被収容者
[編集]- 刑事被告人[4](東海3県の控訴・上告審の被告人を含む)
- A級受刑者およびW級(女子)受刑者[3](当所執行受刑者)[4] - 刑が確定した受刑者は移送先の刑務所が決定するまで、居室内で簡単な軽作業(紙加工など)を行う[8]。
設備
[編集]死刑場があり、死刑判決が確定した死刑確定者(死刑囚)が収監されている[9]。死刑(絞首刑)の執行は、1967年(昭和42年)より現拘置所で開始され、1983年(昭和58年)には新刑場が完成した[10]。刑場は東館の地下にあり、死刑囚が収容されている西館からは2階の渡り廊下を介して移動することとなっている[11]。
面会室は東館の2階にある[12]。
定員
[編集]収容定員は1,000名(未決743名+既決257名)だが、2020年11月10日時点での収容人数は全635名(未決357名+既決278名[注 4])である[13]。
不祥事
[編集]2008年1月4日には同拘置所の男性刑務官(40歳代 / 事情聴取中の2007年3月中旬に自殺)が、半田拘置支所の女性収容者にセクハラなどの不適切行為をしていたことが報道された[14]。また同年3月7日には、半田拘置支所の男性職員(当時40歳)が「2005年(平成17年)9月 - 2007年2月にかけて受刑者と格闘技をしたり、トランプで遊んだりした」などとして懲戒免職処分に処された[15]。
死刑確定者
[編集]主として名古屋高等裁判所(金沢支部を含む)管内6県[注 5]で死刑が確定した死刑囚(死刑確定者)を収監している[10]。2020年10月23日時点で[注 6]、死刑確定者は計11人(男性10人〈うち外国籍1人〉+女性1人)が収監されている[13]。
死刑囚は他の囚人と区別するため、下2桁「00」の呼称番号を付与され、西館の7 - 9階[注 7]に収容される[19]。また、死刑囚の独房に対する「捜検」という抜き打ち検査が定期的に実施されている[20]。
※は第一審・裁判員裁判の死刑囚。なお特記なき場合、「死刑確定日」は上告審判決の宣告日か、控訴・上告を取り下げた日を基準とする。
- 女MT - 富山・長野連続女性誘拐殺人事件(警察庁広域重要指定111号事件:1980年発生)の死刑囚[21]。戦後7人目の女性死刑囚[22]。上告中の1992年8月5日、金沢刑務所拘置区(石川県金沢市)から当所へ移送された[注 8][24]。1998年9月4日に最高裁で上告棄却判決を受け[21]、同年10月9日付で死刑が確定[25][26](死刑確定から26年2か月と9日経過)。
- 男MN(旧姓:S) - フィリピン人2女性殺害事件(発生:1998年)の死刑囚[27]。2000年3月1日に津地裁で死刑判決を受け、控訴中の同年4月17日に三重刑務所から移監された[28]。2004年12月14日に最高裁で上告棄却判決を受け、2005年1月21日付で死刑が確定[28][29][30](死刑確定から19年10か月と27日経過)。
- 男YM - 古美術商ら2人殺害事件(発生:1994年・1995年)の死刑囚[31]。2006年2月24日に最高裁で上告棄却判決を受け[31]、同年3月27日付で死刑確定[32](死刑確定から18年8か月と21日経過)。
- 男TY - 静岡・愛知2女性殺害事件(発生:1996年・1997年)の死刑囚[31]。2006年3月2日に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[31](死刑確定から18年9か月と16日経過)。
- 男MK - マニラ連続保険金殺人事件(発生:1994年 - 1996年)の死刑囚[33]。2007年1月30日に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[33](死刑確定から17年10か月と18日経過)。計3人の死刑が確定したが、残る死刑囚2人のうち、1人(MKの双子の兄MA)は2016年1月に病死し、もう1人(男SE)は確定後に大阪拘置所へ移送された[注 9][33]。
- 男HK - 三重連続射殺事件(発生:1994年)の死刑囚[36]。2007年7月5日に最高裁で上告棄却判決を受け、同月21日付で死刑が確定[37](死刑確定から17年4か月と27日経過)。
- 男KA - 大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件(発生:1994年)の少年死刑囚(事件当時19歳)[38]。下記HMとともに、2011年3月10日に最高裁で上告棄却判決を受け[38]、同年4月1日付で死刑が確定[39][40](死刑確定から13年8か月と17日経過)。このほか、共犯KM(事件当時19歳)も同所に収監されていたが[41]、確定後に東京拘置所へ移送された[42]。
- 男HM - 上記KAと同じく、大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件の少年死刑囚(事件当時18歳)[38]。上告審判決宣告日および死刑確定日はKA(および東京拘置所に移送されたKM)と同一[38]。
- 男KY - 愛知交際2女性殺害事件(発生:1999年・2003年)の死刑囚[43]。2011年11月29日に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[43](死刑確定から13年と19日経過)。
- ※男LS - 蟹江一家3人殺傷事件(発生:2009年)の死刑囚[44]。中国国籍[45]。2018年9月6日に最高裁で上告棄却判決を受け[44]、同年10月3日付で死刑が確定[46](死刑確定から6年2か月と15日経過)。
- ※堀慶末[注 10] - 碧南市パチンコ店長夫婦殺害事件(発生:1998年)の死刑囚[44]。2019年7月19日に最高裁で上告棄却判決を受け[44]、同年8月8日に死刑が確定[注 11][51](死刑確定から5年4か月と10日経過)。
過去の死刑囚
[編集]同所にて死刑を執行された、あるいは過去に収監されていた死刑囚(獄死した死刑囚・恩赦を受け減刑された死刑囚・冤罪により釈放された死刑囚)のうち、代表的な者を記載する。
- 奥西勝 - 名張毒ぶどう酒事件(発生:1961年)の死刑囚[52]。1972年6月に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[52]。2012年6月に肺炎のため本所から八王子医療刑務所へ移送され[53]、同所で2015年10月に病死[52]。
- 木村修治[注 12] - 名古屋女子大生誘拐殺人事件(発生:1980年)の死刑囚[54]。1987年7月に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[54]。1995年12月21日に死刑執行[54]。
- 半田保険金殺人事件(発生:1979年 - 1983年)の死刑囚2人
- 勝田清孝[注 13] - 7人連続殺人(発生:1972年 - 1981年)および警察庁広域重要指定113号事件(発生:1981年 - 1982年)の死刑囚[56]。1994年1月に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[56]。2000年11月30日に死刑執行[56]。
- 男NTおよびKY - ともにドラム缶女性焼殺事件(発生:2000年)の死刑囚。2人とも2006年6月に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[57]。2009年1月29日に死刑執行[57]。
- 男BK - 名古屋市中区栄スナックバー経営者殺害事件(発生:2002年)の死刑囚。2007年3月に最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[58]。2013年2月21日に死刑執行[58]。
- 男KT - 闇サイト殺人事件(発生:2007年)の死刑囚。2009年3月に名古屋地裁で死刑判決を受け、同年4月に控訴を取り下げ死刑確定[59]。2015年6月25日に死刑執行[58]。碧南市パチンコ店長夫婦殺害事件で2019年に死刑が確定した堀慶末は同事件の共犯で、碧南事件への関与が判明する前(2012年7月)に闇サイト事件で無期懲役が確定していた[47]。
- 高岡暴力団組長夫婦射殺事件(発生:2000年)の死刑囚2人 - 2人とも2009年(1月・3月)に相次いで最高裁で上告棄却判決を受け死刑確定[60]。しかし1人(1月に死刑確定)は同年5月2日に入院先の病院で病死し[61]、もう1人(3月に死刑確定)も2014年7月16日に本所で病死[62]。
- オウム真理教事件の死刑囚(教団の元幹部) - 2018年3月14日に東京拘置所から移送され[63]、同年7月26日に死刑執行[64]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 一宮拘置支所の所在地:愛知県一宮市大和町苅安賀1469番地[1]。
- ^ 半田拘置支所の所在地:愛知県半田市住吉町5丁目1番地[1]。
- ^ 『官報』(昭和13年6月29日:第3445号)によれば「施行:1938年(昭和13年)7月1日より」となっている[2]。
- ^ 既決が定員をオーバーしているのは、コロナ禍などで刑務所による受刑者の受け入れが遅れていることが原因とされる[13]。
- ^ 名古屋矯正管区の管轄区域[16]。名古屋高裁本庁管内の東海地方3県(愛知県〈名古屋地裁・高裁〉および岐阜県〈岐阜地裁〉・三重県〈津地裁〉)・金沢支部管内の北陸地方3県(石川県〈金沢地裁〉および富山県〈富山地裁〉・福井県〈福井地裁〉)[17]。
- ^ 『年報・死刑廃止』 (2020) における死刑囚のデータは、2020年9月27日時点のものである[18]。
- ^ 未決拘禁者を収容する棟[13]。
- ^ 1992年3月31日に名古屋高裁金沢支部で控訴棄却(第一審・富山地裁の死刑判決を支持)の判決を受けている[23]。
- ^ 大阪拘置所へ移送された死刑囚SEは、上告中の2004年7月末時点では[34]、共犯2人(MKおよび病死したMA)とともに名古屋拘置所に収監されていた[35]。
- ^ 堀は闇サイト殺人事件(2007年8月に発生)で強盗殺人罪などに問われ、2012年7月に無期懲役が確定したが、翌月(2012年8月以降)に碧南事件などへの関与が発覚して強盗殺人罪・同未遂罪(2人死亡・1人負傷)で起訴された[47]。上告中の2019年5月にインパクト出版会より実名で著書『鎮魂歌』(レクイエム)を出版した[48][49]。
- ^ 2019年8月7日付で最高裁決定(上告棄却判決に対する堀の訂正申立を棄却する決定)が出された[50]が、その決定が堀の下に送達された時点をもって正式な死刑確定となるため。
- ^ 著書『本当の自分を生きたい。』がある[54]。
- ^ 著書『冥晦に潜みし日々』がある[56]。
出典
[編集]- ^ a b c d “施設所在地及び面会受付時間一覧(平成29年12月1日現在)”. 法務省 公式ウェブサイト. 法務省 (2017年12月1日). 2020年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月31日閲覧。
- ^ a b c “レファレンス事例詳細(Detail of reference example) - 昭和10年代にあった、名古屋拘置所がいつできたのか知りたい”. レファレンス協同データベース. 国立国会図書館 (2015年6月4日). 2020年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月31日閲覧。
- ^ a b c d e “刑事施設一覧(平成25年1月15日現在)” (PDF). 法務省 公式ウェブサイト. 法務省 (2013年1月15日). 2020年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月31日閲覧。
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- ^ a b “名古屋拘置所 交通手段” (PDF). 法務省 公式ウェブサイト. 法務省. 2020年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月31日閲覧。
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- ^ 「【二月二十一日 ある死刑囚の記録】 面会室のむうちゃん」『中日新聞』中日新聞社、2014年2月11日。オリジナルの2014年3月3日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c d 死刑制度廃止委員会 委員 市川哲宏 (2020年11月). “死刑事件についての勉強会 名古屋拘置所の状況 会報「SOPHIA」令和2年11月号より”. 愛知県弁護士会. 2021年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月19日閲覧。
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- ^ 「【二月二十一日 ある死刑囚の記録】 コンベヤーが迫る」『中日新聞』中日新聞社、2014年2月14日。オリジナルの2014年3月3日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 年報・死刑廃止 2020, p. 252.
- ^ 『読売新聞』1998年9月5日東京朝刊一面1頁「富山・長野の連続誘拐殺人 M被告の死刑確定 最高裁が上告棄却」(読売新聞東京本社)
- ^ 『北日本新聞』1992年4月1日朝刊一面1頁「富山・長野連続誘拐殺人控訴審 ○○被告無罪 M被告は死刑 名高裁金沢支部 1審支持、共謀否定 単独犯行と認める M被告きょう上告」(北日本新聞社)
- ^ 『中日新聞』1992年8月28日朝刊第一社会面31頁「連続女性誘拐 M被告 名古屋に移監」(中日新聞社)
- ^ 富山・長野連続女性誘拐殺人事件の死刑囚(女性)による第3次再審請求を棄却する決定 - 富山地方裁判所刑事部決定 2015年(平成27年)3月30日 『D1-Law.com』(第一法規法情報総合データベース)判例体系 判例ID:28231497、平成26年(た)第2号「【事案概要】被告人が、みのしろ金目的拐取、殺人、死体遺棄、拐取者みのしろ金要求被告事件で受けた単独犯での死刑判決との確定判決に対して再審請求をした事案において、刑訴法435条6号にいう「原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき」場合とは、法定刑の軽い他の犯罪を認めるべきときをいい、弁護人が主張する、単独犯行ではなく、共同正犯の一人にとどまると認めるべき場合はこれに含まれないとして、再審請求が棄却された事例。 (D1-Law)」。
- 裁判官:田中聖浩(裁判長)・奥山雅哉・吉岡恵
- ^ 富山・長野連続女性誘拐殺人事件の死刑囚(女性)による第4次再審請求を棄却する決定 - 富山地方裁判所刑事部決定 2017年(平成29年)3月23日 『D1-Law.com』(第一法規法情報総合データベース)判例体系 判例ID:28251100、平成28年(た)第1号、『みのしろ金目的拐取、殺人、死体遺棄、拐取者みのしろ金要求被告事件』「【事案概要】若い女性を狙って誘拐して家人に身の代金を要求し、その憂慮に乗じて金員を入手しようと企て、2週間足らずの間に18歳の女子高校生及び20歳の女子会社員を連続して拐取し、殺害して死体を遺棄するなどした被告人に対し、被告人を死刑とした確定判決に対し、被告人が再審請求した件につき、再審請求が棄却された事例。 (D1-Law)」。
- 裁判官:後藤隆(裁判長)・松井修・永田大貴
- ^ 年報・死刑廃止 2020, p. 256.
- ^ a b フィリピン人2女性殺害事件の死刑囚による交通不許可処分取消請求訴訟の判決文 - 名古屋地方裁判所民事第9部判決 2006年(平成18年)3月23日 、平成17年(行ウ)第41号、『交通不許可処分取消請求事件』「死刑判決が確定し,名古屋拘置所に在監中の原告が,同人の洗礼に立ち会った教父母に,?礼状を発信するとともに,?面会することの許可を求める旨の願せんを提出したところ,名古屋拘置所長が,いずれも許可しない旨の告知を行ったことから,原告が,上記告知は違法な行政処分であると主張して,これらの取消しを求めるとともに,国家賠償法1条に基づき,精神的苦痛の慰謝料50万円の支払を求めたところ,?の願せんは,監獄法に基づく申請権を行使したものではなく,後に作成されるであろう信書の発信を申請した場合における名古屋拘置所長の感触を事実上尋ねたものにすぎず,また,?の接見の申請権は,在監者に接見することを希望する外部者のみが有するのであって,原告のした願せんは,本件教父母が原告との面会を申請した場合における名古屋拘置所長の感触を事実上尋ねたものにすぎないとして,本件不許可の各告知はいずれも行政処分性を有しないものであることを理由に却下し,慰謝料請求については,本件各告知によって原告の具体的な権利利益が侵害されたと認めることはできないとして棄却された事案」。
- 裁判官:加藤幸雄(裁判長)・舟橋恭子・片山博仁
- 主文
- 名古屋拘置所長が,原告に対して平成17年6月10日にした,教父母との交通(礼状の発信と面会)を不許可とする告知の取消しを求める訴えをいずれも却下する。
- 原告のその余の請求を棄却する。
- 訴訟費用は原告の負担とする。
- 原告:フィリピン人2女性殺害事件の死刑囚M
- ^ フィリピン人2女性殺害事件の死刑囚による損害賠償請求訴訟の判決文 - 名古屋地方裁判所民事第6部判決 2007年(平成19年)7月27日 、平成16年(ワ)第3369号、『損害賠償請求事件』「拘置所に収容された死刑囚が民事事件の受訴裁判所から通知文書を受けて取下書及び準備書面を提出するに当たり拘置所長に郵券の恵与を求めたのに対し,拘置所長がこれを不許可とした事案について,受訴裁判所からの通知文書の内容を踏まえて,同不許可処分が刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等に関スル法律施行規則134条1項に違反し国家賠償法上違法であるとされた事例」。
- 裁判官:内田計一(裁判長)・安田大二郎・高橋正典
- 主文
- 被告は,原告に対し,2万円及びこれに対する平成18年7月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
- 原告のその余の請求を棄却する。
- 訴訟費用は,これを20分し,その19を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
- この判決は,同判決が被告に送達された後14日間経過したときは,1項に限り仮に執行することができる。ただし,被告が1万円の担保を供するときは,その仮執行を免れることができる。
- 原告:フィリピン人2女性殺害事件の死刑囚M
- ^ フィリピン人2女性殺害事件の死刑囚による損害賠償請求訴訟の判決文 - 名古屋地方裁判所民事第4部判決 2018年(平成30年)6月22日 、平成29年(ワ)第3934号、『損害賠償請求事件』。
- 裁判官:末吉幹和(裁判長)・飯塚隆彦・西ヶ谷恵
- 主文
- 被告は,原告に対し,1万円及びこれに対する平成28年12月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
- 原告のその余の請求を棄却する。
- 訴訟費用は,これを20分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
- 原告:フィリピン人2女性殺害事件の死刑囚M
- ^ a b c d 年報・死刑廃止 2020, p. 257.
- ^ 名古屋地方裁判所民事第5部判決 2015年(平成27年)10月30日 『訟務月報』第66巻第2号187頁、『D1-Law.com』(第一法規法情報総合データベース) 判例ID:28251642、平成27年(ワ)第1154号、『損害賠償請求事件』「【事案概要】死刑確定者でありA拘置所に収容中のXが、種々の書面への書込行為が、不正書込に当たるとして、A拘置所長および職員から懲罰等を受けたことは、刑事収容施設法に違反する違法行為であると主張して、国家賠償法により損害賠償請求を行った件に対し、Xの請求が棄却された事例。 (D1-Law.com)」。
- 判決主文:
- 原告の請求を棄却する。
- 訴訟費用は、原告の負担とする。
- 原告:X(古美術商ら2人殺害事件の死刑囚Y)
- 裁判官:齋藤清文
- 判決主文:
- ^ a b c 年報・死刑廃止 2020, p. 259.
- ^ 年報・死刑廃止 2004, p. 299.
- ^ 年報・死刑廃止 2004, p. 296.
- ^ 年報・死刑廃止 2020, p. 260.
- ^ 名古屋高等裁判所刑事第2部決定 2019年(平成31年)1月31日 『D1-Law.com』(第一法規法情報総合データベース)判例体系 判例ID:28271092、平成29年(く)第5号「被告人が、被害者Aを拳銃で射殺のうえ、同人の払戻請求書を偽造するなどして1000万円を詐取し、さらに掘削機を用いて用いて被害者Aの死体を埋めて遺棄し、被害者Bを射殺し、同人の自動車等を強取し、掘削機を用いて死体を埋めて遺棄したとされる恐喝、強盗殺人、死体遺棄、有印私文書偽造、同行使、詐欺、窃盗被告事件(死刑判決が確定)について、再審請求を棄却する決定に対する即時抗告が棄却された事例。」。 - 三重連続射殺事件の主犯である死刑囚Hによる第2次再審請求を棄却する決定に対する即時抗告を棄却する決定。
- 決定主文:本件即時抗告を棄却する。
- 裁判官:髙橋徹(裁判長)・後藤隆・入江恭子
- 請求人:死刑囚H・K(三重連続射殺事件の主犯)
- ^ a b c d 年報・死刑廃止 2020, p. 265.
- ^ 大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件の死刑囚KA(事件当時19歳)による再審請求の棄却決定文 - 名古屋高等裁判所刑事第2部決定 2013年(平成25年)8月19日 『TKCローライブラリー』(LEX/DBインターネット)文献番号:25501625、平成25年(お)第1号、『再審請求審』「平成6年に大阪、愛知、岐阜の3府県で男性4人が相次ぎ殺害された木曽川・長良川連続リンチ殺人事件で、強盗殺人罪などで死刑が確定した元少年3人のうち、死刑囚KAの再審請求について、上申書(請求人作成の上申書)及びJ鑑定は、刑事訴訟法435条6号にいう無罪あるいは原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したときに当たらないとして、請求を棄却する決定をした事例。」。
- 決定内容:請求人(死刑囚KA)の再審請求棄却
- 裁判官:柴田秀樹(裁判長)・新井紅亜礼・石井寛
- ^ 大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件の死刑囚HMによる国家賠償請求訴訟の判決文 - 名古屋地方裁判所民事第8部判決 2014年(平成26年)3月7日 『判例時報』第2253号9頁、『TKCローライブラリー』(LEX/DBインターネット)文献番号:25540380、『D1-Law.com』(第一法規法情報総合データベース)判例ID:28230739、平成21年(ワ)第6146号、『国家賠償請求事件』。
- 判決内容:請求棄却
- 裁判官:片田信宏(裁判長)・中久保朱美・山根良実
- ^ 東京地方裁判所民事第38部判決 2016年(平成28年)2月23日 『判例タイムズ』第1429号160頁、『判例時報』第2316号77頁、『TKCローライブラリー』(LEX/DBインターネット)文献番号:25535808、平成26年(行ウ)第25805号、『国家賠償請求事件』。
- ^ 名古屋地方裁判所民事第9部判決 2014年(平成26年)8月28日 『判例時報』第2274号15頁、『D1-Law.com』(第一法規法情報総合データベース)判例体系 ID:28223827、『TKCローライブラリー』文献番号:25504634、平成24年(行ウ)第11号/平成24年(ワ)第1785号、『国家賠償請求事件』。
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- 原告:堀慶末
- 原告訴訟代理人弁護士:大野鉄平
- 被告:国
- 判決主文:
- 被告は、原告に対し、3万3000円及びこれに対する令和3年8月3日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
- 原告のその余の請求を棄却する。
- 訴訟費用は、これを10分し、その9を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
- 裁判官:西村修(裁判長)・山岸秀彬・梁川将成
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- ^ 「地下鉄サリン23年 執行準備か分離目的か オウム死刑囚移送に広がる観測」『産経ニュース』産業経済新聞社、2018年3月20日、1面。オリジナルの2020年8月30日時点におけるアーカイブ。2020年8月30日閲覧。
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- ^ a b 年報・死刑廃止 2019, p. 259.
- ^ a b 年報・死刑廃止 2019, p. 264.
参考文献
[編集]- 年報・死刑廃止編集委員会 著、(編集委員:岩井信・江頭純二・菊池さよ子・菊田幸一・笹原恵・島谷直子・高田章子・永井迅・安田好弘・深田卓) / (協力:フォーラム90実行委員会・国分葉子) 編『無実の死刑囚たち 年報・死刑廃止2004』(第1刷発行)インパクト出版会、2004年9月20日。ISBN 978-4755401442 。
- 村野薫『死刑はこうして執行される』(第1刷発行)講談社〈講談社文庫〉、2006年1月15日、141-142頁。ISBN 978-4062753043。
- 死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90 著、(編集委員:可知亮、国分葉子、高田章子、中井厚、深瀬暢子、安田好弘、深田卓 / 協力=福島みずほ事務所、死刑廃止のための大道寺幸子基金) 編『死刑囚90人 とどきますか、獄中からの声』(発行)インパクト出版会、2012年5月23日。ISBN 978-4755402241 。
- 年報・死刑廃止編集委員会 著、(編集委員:岩井信・可知亮・笹原恵・島谷直子・高田章子・永井迅・安田好弘・深田卓) / (協力:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90・死刑廃止のための大道寺幸子基金・深瀬暢子・国分葉子・岡本真菜) 編『オウム大虐殺 13人執行の残したもの 年報・死刑廃止2019』(初版第1刷発行)インパクト出版会、2019年10月25日、259頁。ISBN 978-4755402982 。
- 年報・死刑廃止編集委員会 著、(編集委員:岩井信・可知亮・笹原恵・島谷直子・高田章子・永井迅・安田好弘・深田卓) / (協力:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90・死刑廃止のための大道寺幸子基金・深瀬暢子・国分葉子・岡本真菜) 編『コロナ禍のなかの死刑 年報・死刑廃止2020』(第1刷発行)インパクト出版会、2020年10月10日。ISBN 978-4755403064。 NCID BC03101691。国立国会図書館書誌ID:030661462 。
外部リンク
[編集]座標: 北緯35度10分55.88秒 東経136度54分35.55秒 / 北緯35.1821889度 東経136.9098750度