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大相撲平成29年5月場所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

大相撲平成29年5月場所(おおずもうへいせい29ねん5がつばしょ)は、2017年5月14日から5月28日まで両国国技館で開催された大相撲本場所

幕内最高優勝は、横綱白鵬翔(15戦全勝・6場所ぶり38回目)

場所に関する話題・記録など

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  • 番付発表は2017年(平成29年)5月1日
  • 平成28年5月場所で横綱・白鵬が優勝して以来、白鵬の優勝が無くなってからこの場所で1年となり、白鵬に1年ぶりの優勝が期待された。
  • 横綱・稀勢の里が1937年夏場所の双葉山以来80年ぶりとなる初優勝からの3連覇を目指すとあって、その取組に期待された[1]
    • その稀勢の里はこの場所東の正横綱の地位で迎えている。4横綱の番付で横綱昇進2場所目に東正横綱は1962年初場所の大鵬以来[2]
  • 初場所(小結)で11勝、春場所(関脇)で12勝と2場所連続で三役で二桁勝利を挙げている関脇・髙安が昨年九州場所以来2回目の大関昇進に挑むとあって、その取組に期待された[3]
  • 2007年9月場所14日目以来で、平成以降7回目の台覧相撲。皇太子夫妻での観戦は1993年5月場所中日以来となる[2]
  • この場所初日、鶴竜と稀勢の里が黒星スタート。2場所連続で2横綱が初日に敗れるのは2009年11月場所以来[2]
  • 場所3日目終了時点で十両に全勝は旭秀鵬1人。2011年5月技量審査場所以来。一方、十両は全敗もいなくなった。3日目終了時点で十両全力士が1勝以上しているのは、昭和以降初めて[2]
  • 場所12日目、貴ノ岩の休場で日馬富士が不戦勝。2日連続で結びの一番が不戦は不戦勝制度導入以降初めて[2]

番付・星取表

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番付 西
四股名 成績 結果 四股名 成績 結果
稀勢の里 6勝5敗4休 横綱 鶴竜 1勝4敗10休
日馬富士 11勝4敗 横綱 白鵬 15戦全勝 優勝
照ノ富士 12勝3敗 優勝次点 大関 豪栄道 9勝6敗
玉鷲 10勝5敗 関脇 髙安 11勝4敗 技能賞
琴奨菊 7勝8敗 関脇
御嶽海 8勝7敗 殊勲賞 小結 嘉風 8勝7敗 技能賞
千代の国 2勝13敗 前頭1 遠藤 6勝9敗
隠岐の海 3勝12敗 前頭2 千代翔馬 5勝10敗
大栄翔 4勝11敗 前頭3 碧山 4勝11敗
栃煌山 6勝9敗 前頭4 宝富士 3勝12敗
貴ノ岩 5勝7敗3休 前頭5 正代 10勝5敗
豪風 4勝11敗 前頭6 9勝6敗
北勝富士 10勝5敗 前頭7 貴景勝 11勝4敗
松鳳山 6勝9敗 前頭8 蒼国来 5勝10敗
逸ノ城 8勝7敗 前頭9 9勝6敗
栃ノ心 12勝3敗 優勝次点 前頭10 宇良 11勝4敗
荒鷲 7勝8敗 前頭11 石浦 8勝7敗
德勝龍 8勝7敗 前頭12 琴勇輝 6勝9敗
豊響 4勝11敗 前頭13 大翔丸 8勝7敗
阿武咲 10勝5敗 敢闘賞 前頭14 千代大龍 9勝6敗
妙義龍 4勝11敗 前頭15 魁聖 7勝8敗
豊山 4勝11敗 前頭16

優勝争い

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3場所連続優勝の期待がかかる横綱稀勢の里は、先場所に負傷した左胸の影響が残り、初日いきなり嘉風に不覚を取った。その後は2日目・3日目と連勝はしたが、4日目に遠藤に敗れ、序盤に2敗を喫した。その後は中日まで4連勝をして6勝2敗として立ち直ったかに見えたが、勝った相撲は苦戦が続いた。その後も9日目に栃煌山に、10日目に琴奨菊にそれぞれ敗れ、9日目・10日目と連敗して6勝4敗となったところで、「左大胸筋損傷、左上腕二頭筋損傷で約1カ月の加療が必要」との診断書を日本相撲協会に提出し、翌11日目から休場となった[4]。横綱鶴竜は、初日御嶽海に、2日目千代の国に敗れて連敗スタート。翌日遠藤に引き落としで勝利し、3日目にして初白星を得たが、4日目に嘉風に敗れ、序盤に3敗を喫して1勝3敗となった所で、「左足関節離断性骨軟骨炎で今後約1カ月のリハビリテーション加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会に提出し、翌5日目から休場となった[5]。角番の大関豪栄道は、2日目髙安に、3日目嘉風に敗れ序盤で2敗を喫した。その後は7日目まで4連勝をして立ち直ったかに見えたが中日から再び崩れて、11日目を終わって6勝5敗と一進一退の成績だった。しかし、その後は連勝して13日目に角番を脱出し、9勝でこの場所を終えた。休場明けの横綱白鵬は、久しぶりに好調を堅持して連戦連勝。5場所ぶりの優勝を目指す横綱日馬富士も好調を堅持して連戦連勝。先場所稀勢の里に逆転優勝を許し、雪辱に燃える大関照ノ富士は初日・2日目と連敗スタートだったが、その後は連戦連勝。今場所が大関とりの場所となる関脇高安も6日目玉鷲に敗れたのみで引き続き好調を堅持した。上位陣ではこの4人が今場所の優勝争いを演じた。

9日目を終えて全勝で横綱日馬富士・横綱白鵬が並び、1敗で関脇高安、2敗で大関照ノ富士と平幕の正代栃ノ心宇良が追うという展開だった。翌10日目は全勝の白鵬と1敗の高安が対戦し、熱戦の末寄り倒しで白鵬が勝利して白鵬は全勝を守り、高安は2敗に後退した。しかし、全勝の日馬富士と2敗勢は全員勝ったため、全勝で白鵬・日馬富士、1敗がいなくなって2敗で5人が追うという展開に変わり、両横綱の一騎打ちの様相がかなり強くなった。翌11日目は平幕で2敗の正代と宇良が対戦し、送り出しで宇良が勝って2敗を守った。全勝の白鵬と他の2敗勢は全員勝ったが、横綱日馬富士が御嶽海に寄り切りで敗れて初黒星。11日目を終えて白鵬が初めて単独トップに立ち、1敗で日馬富士・2敗で照ノ富士・高安・栃ノ心・宇良が追うという展開に変わり、白鵬が一歩抜け出した形となった。翌12日目は平幕で2敗で追う栃ノ心が貴景勝掬い投げで敗れ3敗に後退。しかし、他の全勝・1敗・2敗勢は全員勝ち、全勝の白鵬を1敗の日馬富士と2敗の照ノ富士・高安・宇良が追うという展開だった。翌13日目は全勝の白鵬は玉鷲に勝って全勝を守った。平幕で2敗で追う宇良がに敗れて3敗に後退した。2敗の照ノ富士は栃煌山に勝って2敗を守った。また、この日1敗の日馬富士と2敗の高安が対戦し、2敗の高安が叩き込みで勝利し、日馬富士が2敗に後退した。13日目を終えて全勝で白鵬、1敗がいなくなって2敗で日馬富士・照ノ富士・高安が追うという展開に変わり、白鵬と後続力士との差が2つに開き、白鵬が断然有利な状況に変わった。翌14日目。まず高安が正代に寄り倒しで敗れ3敗に後退した。そして全勝の白鵬-2敗の照ノ富士の対戦を迎えた。白鵬が勝てば38回目の優勝、照ノ富士が勝てば優勝争いは明日に持ち越しという状況だったが、寄り切りで白鵬が勝利。1年ぶり39回目の優勝を14日目に決めた。翌日も白鵬は日馬富士を熱戦の末寄り切りで破り、13回目の全勝優勝を飾った[6]。優勝争いに絡んだ上位陣の最終的な成績は、日馬富士は14日目・千秋楽と連敗し11勝4敗、照ノ富士は3日目から11連勝をするなどして12勝3敗、大関昇進がかかる高安は13日目日馬富士を破った後14日目・千秋楽と連敗し11勝4敗に終わった。また、高安は直近3場所で合計34勝[7]を挙げ、大関昇進の目安となる「直近3場所で三役33勝」に届き、場所後大関に昇進することとなった[8]

三賞は、殊勲賞は2横綱(鶴竜と日馬富士)を破った御嶽海が初受賞、敢闘賞は新入幕で10番を挙げた阿武咲が初受賞、技能賞は終盤まで優勝争いに絡み、13日目には横綱日馬富士を破った髙安が2回目の受賞、2横綱(稀勢の里・鶴竜)1大関(豪栄道)を破った嘉風が3回目の受賞となった。

各段優勝 ・三賞

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※四股名は2017年5月場所当時のもの。

タイトル 四股名 地位 成績 部屋 出身 回数・備考
幕内最高優勝 白鵬翔 西横綱2 15戦全勝 宮城野部屋 モンゴルウランバートル 6場所ぶり38回目
三賞 殊勲賞 御嶽海久司 東小結 8勝7敗 出羽海部屋 長野県木曽郡上松町 初受賞
敢闘賞 阿武咲奎也 東前頭14枚目 10勝5敗 阿武松部屋 青森県北津軽郡中泊町 初受賞
技能賞 髙安晃 西関脇 11勝4敗 田子ノ浦部屋 茨城県土浦市 2回目
嘉風雅継 西小結 8勝7敗 尾車部屋 大分県佐伯市 3回目
十両優勝 錦木徹也 東十両4枚目 10勝5敗 伊勢ノ海部屋 岩手県盛岡市 初優勝
幕下優勝 大岩戸義之 西幕下34枚目 7戦全勝 八角部屋 山形県鶴岡市
三段目優勝 若隆景渥 西三段目63枚目 7戦全勝 荒汐部屋 福島県福島市 村田との優勝決定戦に勝利
序二段優勝 美浜海裕太 西序二段67枚目 7戦全勝 玉ノ井部屋 千葉市美浜区 露草との優勝決定戦に勝利
序ノ口優勝 炎鵬友哉 東序ノ口9枚目 7戦全勝 宮城野部屋 石川県金沢市

脚注

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  1. ^ 稀勢の里、3場所連続優勝へ「集中して」 宿禰神社で土俵入り、日本経済新聞、2017年5月12日、2017年8月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『大相撲中継』2017年6月18日号 pp.86-87.
  3. ^ 大関昇進に再び挑む夏場所 大相撲・髙安晃(上)、日本経済新聞、2017年5月13日、2017年8月11日閲覧。
  4. ^ 稀勢の里が休場=左上腕などのけが-大相撲夏場所、時事通信、2017年5月24日、2017年8月13日閲覧。
  5. ^ 横綱鶴竜が休場 左足首負傷、夏場所4日目で3敗目、日本経済新聞、2017年5月18日、2017年8月13日閲覧。
  6. ^ 白鵬が1年ぶり優勝を全勝優勝で飾る「ただ今、帰りました」、スポーツ報知、2017年5月28日、2017年8月13日閲覧。
  7. ^ 初場所(3場所前)小結で11勝、春場所(2場所前)関脇で12勝、今場所(直前場所)関脇で11勝の合計34勝。
  8. ^ 高安、大関昇進が正式決定 「正々堂々精進します」、朝日新聞デジタル、2017年5月31日、2017年8月13日閲覧。
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