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小野泰輔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
小野 泰輔
おの たいすけ
2021年9月撮影
生年月日 (1974-04-20) 1974年4月20日(50歳)
出生地 日本の旗 日本 東京都目黒区
出身校 東京大学法学部卒業
前職 アクセンチュア従業員
藤島正之衆議院議員秘書
明豊ファシリティワークス株式会社従業員
熊本県副知事
所属政党無所属→)
日本維新の会
配偶者
公式サイト 小野たいすけオフィシャルサイト

選挙区 比例東京ブロック東京1区
当選回数 1回
在任期間 2021年11月5日[1] - 2024年10月9日
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小野 泰輔(おの たいすけ、1974年4月20日[一次資料 1] - )は、日本政治家日本維新の会所属の元衆議院議員(1期)。熊本県副知事(2期)を務めた。

来歴

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生い立ち

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東京都目黒区出身[2]。幼少期に兵庫県明石市などに居住したのち[2]、1983年に小平市に転居。1987年に小平市立小平第九小学校、1990年に小平市立小平第三中学校を卒業[一次資料 2]

1993年私立海城高校を卒業後、1994年東京大学文科一類に入学し[一次資料 2]、当時大学教授だった蒲島郁夫のゼミに参加[3]

1999年東京大学法学部を卒業すると、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)に入社[一次資料 2]

2000年から2002年には衆議院議員の藤島正之自由党)の公設秘書を経験し[一次資料 2]、2002年から2008年まで明豊ファシリティワークス株式会社に勤めた[一次資料 3]

熊本県副知事

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2008年、東大のゼミの恩師である蒲島が熊本県知事選挙へ出馬した際に選挙を手伝い、蒲島の当選後、同県政策調整参与に就任[4]

2012年6月21日、当時全国最年少かつ熊本県政史上最年少の38歳で、同県に2人いる副知事の1人に起用された[2][4]

2015年11月、肺癌が見つかり、手術のため12月18日から療養[5]。同年末に熊本市内の病院で右肺の一部切除手術を受け、翌2016年1月11日に公務復帰した[5]

2016年6月、小野の副知事再任を求める人事案が県議会で同意され、2期目の任期が開始[6][7]

11月、熊本地震からの観光分野の復興を議論する「熊本観光復興会議」で座長を務めた[8]

2020年6月に2期目の副知事任期を満了したのち、3期目も続投する意向だったが、同年の知事選で再選し「知事は3期まで」という不文律がある熊本県政界で異例の4期目に入った蒲島から「副知事の任期は2期8年が適切」との考えを伝えられ、経験を生かす別の道を模索することになる[4]

2020年東京都知事選挙への出馬

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都知事選での街頭演説(中央)。左は日本維新の会幹事長の馬場伸幸(2020年6月25日、蒲田駅

2020年6月2日午後、熊本市内のホテルで記者会見を開き、6月20日の副知事の任期満了に伴い、7月5日に投開票が行われる予定の東京都知事選挙へ無所属で出馬することを表明した[9]

6月7日午後、小野は大阪市内のホテルで日本維新の会代表の松井一郎、幹事長の馬場伸幸と会談し、東京維新の会代表の柳ヶ瀬裕文と共に推薦を要請した[10]。松井から「無茶な戦いだと思うけれど、負けると分かっていてもやらないといけない戦いがある」と励まされたことで、小野は号泣したという[11]

6月8日、都知事選への立候補に伴い、熊本県副知事を同日付で辞職し、熊本県庁で記者会見を行った[12]。小野は「熊本地震など困難な仕事が多かったが、悩みながらも一生懸命頑張ってきた」、と2期8年を振り返った[12]

6月9日、東京都庁において、柳ヶ瀬と東京維新の会副代表兼政調会長の音喜多駿、同代表代行石井苗子の同席のもと記者会見を開き、東京維新の会の支部推薦だけでなく、日本維新の会の本部推薦を得たことを発表した[13]。また、現職の小池都知事の学歴に関する報道を受けて、小野は東京大学法学部の学位記(卒業証書)のコピーを持参しており、会見終盤に学位記を手に写真撮影を行った[11]

選挙期間中、柳ヶ瀬や馬場らとともに、国民民主党前原誠司元外相も小野の応援に入った[14]。前原は松下政経塾時代、小野が支えた蒲島に師事を仰いでいたこともあって、小野への支持を訴えた[15]

7月5日に投開票が行われ、小野は612,530票を獲得したものの、4位で落選した。また、得票率が9.99%と供託金返還ラインにわずか738票満たなかったため、供託金を没収された。だが、都心3区港区千代田区中央区)では、小野の得票数が立憲民主党などが支援した宇都宮健児を上回って2位となった[16]。小野は地盤がない東京での1ヶ月程度の活動で約61万2千票を獲得したことに関して、選挙後にツイッターで「維新の皆さんに支えられ、ここまで戦えた」と投稿した[16]

第49回衆議院議員総選挙で当選

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2020年10月27日、第49回衆議院議員総選挙東京1区(千代田区、港区の一部、新宿区の一部)から日本維新の会公認候補として立候補することを発表した[17]

2021年10月31日の投開票の結果、選挙区の得票数では当選した自民党山田美樹や次点で比例復活した立憲民主党海江田万里には及ばず4人中3位となったが、重複立候補した比例東京ブロックで復活し、初当選した[18]

2022年12月、小選挙区の区割り変更に伴い、次期衆院選では新たな区割りとなった東京7区(港区、渋谷区)に国替えし、維新の次期総選挙支部長となった[19]

2024年10月27日投開票の第50回衆議院議員総選挙では、小選挙区では4人中3位で落選し、重複立候補した比例東京ブロックにおいても惜敗率54.7%で次点となり、再選できなかった[20]

総選挙落選後、党に対し東京7区支部長の再任を辞退する意向を申し出た[21]。拠点を熊本に移すことを自身のSNSで表明している[22]

政策・主張

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  • 2008年に県政策調整参与就任した後は、川辺川ダム計画の白紙撤回など重要政策について蒲島知事に提言し、蒲島は同年、計画の白紙撤回を表明[23]。小野は副知事退任時の会見で、印象深い出来事に川辺川ダム問題を挙げ、「(表明当日まで)知事と2人でぎりぎりまで表明文を手直しした。非常に難しい判断だった」と述べた[24]
  • 熊本県副知事就任後、同県のPRキャラクターである「くまモン」の著作権を県が買い取り、利用許諾を受けた場合は無償で使用できるようにした[4]
  • 表現の自由を守る観点から、青少年健全育成条例による不健全図書の指定基準を明確化し、図書の審査を行う青少年健全育成審議会を全面公開とすることを掲げている[一次資料 4]
  • 都知事選では、「身を切る改革」として自身の知事報酬・期末手当・退職金を一律50%カットすることを掲げたほか[11]、上下水道や都営交通などの一部民営化の検討、統合型リゾート(IR)の積極的な誘致を掲げた[25]。また、2021年に延期された東京五輪・パラリンピックについて、「感染症対応への時間を確保しながら、より完全な形で開催するため」に2024年への延期も視野に、国際オリンピック委員会(IOC)などと再交渉していくとした[11]
  • 憲法改正に賛成。憲法9条への自衛隊の明記については、どちかといえば賛成。
  • 日本の防衛力強化について、どちらかといえば賛成。

文書通信交通滞在費の問題提起 

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2021年11月10日の初登院後、小野が議員会館の部屋に戻ると、机の上に分厚い現金の札束が入った封筒が置かれていた。その中身は、10月31日分(1日分)の歳費と11月分の歳費全額、10月分の文書通信交通滞在費(文通費)100万円、11月分の上半期の文通費50万円であった。文通費は日割りで支給する仕組みがなかったため、同年10月31日の衆院選で初当選した新人議員にも10月分の満額100万円が支払われていたのである[26]

11月12日の特別国会後、小野は文章投稿サイトで、国会議員に支給されたこの「文通費」の問題点を指摘した。小野は歳費が日割りであるのに対し、10月31日の1日しか議員としての身分が発生していない新人議員に文通費が満額100万円支給されたことを疑問視して、「働いていないのに、全額もらっているものを、そのまま受け取るのは、私自身もそんなのでいいんだろうか」と発言。その結果、小野の問題提起が話題となり、文通費見直しに向けた議論のきっかけを作った[27]

2022年4月15日、国会法や歳費法などを改正する関連法が成立し[28]、これにより日割り支給に改められた一方、名称が「調査研究広報滞在費」となり支給目的も拡大し、目的外使用が常態化している実態を合法化する内容になった[28]。日割り支給を問題提起していた小野自身も文通費を事務所の維持費や私設秘書の人件費に充てており、小野は「文通費とは関係がないといった批判もある」とした上で、「必要なことには堂々と使い、領収書を公開して逃げずにその必要性を訴えていけばいい。公開した上で、国民の判断を仰ぐことが大切だ」と述べた[29]

人物

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旧統一教会との関係

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2022年8月2日、日本維新の会国会議員団が発表した「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)および関連団体との関わりについての調査」において、世界平和統一家庭連合関係者が多数関係している熊本県ピースロードの実行委員として名義を貸したことが明らかになった[32]

著書

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  • 『わずか3週間で61万票とった男: 東京都知事選の3週間でフォロワー数が3万人に! 「#こたえて小野たいすけ」で見せた男気と誠意』(金風舎)2020/10/15
  • 『挑戦力 挑む力 向き合う覚悟』 (金風舎) 2021/2/28

選挙

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当落 選挙 執行日 年齢 選挙区 政党 得票数 得票率 定数 得票順位
/候補者数
政党内比例順位
/政党当選者数
2020年東京都知事選挙 2020年7月5日 46 ーー 無所属 61万2530票 9.99% 1 4/22 /
比当 第49回衆議院議員総選挙 2021年10月31日 47 東京都第1区 日本維新の会 6万230票 23.70% 1 3/4 2/2
第50回衆議院議員総選挙 2024年10月27日 50 東京都第7区 日本維新の会 4万7196票 22.92% 1 3/4 3/2

脚注

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出典

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  1. ^ 令和3年11月5日中央選挙管理会告示第28号(令和三年十月三十一日執行の衆議院比例代表選出議員の選挙における衆議院名簿届出政党等に係る得票数、当選人の数並びに当選人の住所及び氏名に関する件)
  2. ^ a b c “熊本県の小野泰輔副知事、都知事選に出馬を表明”. 東京新聞 TOKYO Web (中日新聞東京本社). (2020年6月3日). https://www.tokyo-np.co.jp/article/32949 2020年6月16日閲覧。 
  3. ^ 熊本県の 小野 泰輔 副知事が東京都知事選挙出馬へ」『FNNプライムオンライン』2020年6月2日。2020年6月7日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 都知事選に出るワケ 熊本知事から「タイムリミット」示された副知事の決断」『毎日新聞』毎日新聞社、2020年6月6日。2020年6月16日閲覧。
  5. ^ a b 取違剛「小野副知事:療養、肺がん手術へ 18日から3週間」『毎日新聞地方版』毎日新聞西部本社、2015年12月11日。2020年6月16日閲覧。
  6. ^ 中里顕「小野副知事:再任へ 知事が県議会提案」『毎日新聞地方版』毎日新聞西部本社、2016年6月7日。2020年6月16日閲覧。
  7. ^ 中里顕「県議会:補正予算など可決し閉会 副知事再任に同意」『毎日新聞地方版』毎日新聞西部本社、2016年6月11日。2020年6月16日閲覧。
  8. ^ 中里顕「熊本地震:観光復興会議で多数の案 宿泊施設の規制緩和、地元の「食」活用など」『毎日新聞地方版』毎日新聞西部本社、2016年11月10日。2020年6月16日閲覧。
  9. ^ 熊本県の小野泰輔副知事が東京都知事選挙 出馬を表明【熊本】」『FNNプライムオンライン』2020年6月2日。2020年6月7日閲覧。
  10. ^ 【独自】維新が都知事選に出馬表明の熊本県副知事を推薦へ 松井代表らが会談」『毎日放送』2020年6月7日。2020年6月7日閲覧。
  11. ^ a b c d 維新推薦で都知事選出馬予定の小野泰輔氏、東大卒業証書コピーを手に「疑われてる?」」『スポーツ報知』報知新聞社、2020年6月9日。2020年6月9日閲覧。
  12. ^ a b 小野・熊本県副知事が退任会見 都知事選に立候補 日本維新に推薦を要請」『毎日新聞』2020年6月8日。2023年1月20日閲覧。
  13. ^ 維新、元熊本副知事推薦 都知事選」『時事ドットコム』時事通信社(時事通信社)、2020年6月10日。2020年6月9日閲覧。
  14. ^ “【東京都知事選】野党、足並み揃わず…次期衆院選に課題”. 産経新聞. (2020年7月5日). https://www.sankei.com/article/20200705-CJVHCDVEAJLSZFX3VSCLI577CA/ 2020年7月6日閲覧。 
  15. ^ アゴラ編集部 (2020年7月3日). “小池知事と因縁…前原氏が小野氏応援。保守系野党再編?のざわめき”. アゴラ 言論プラットフォーム. 2024年11月9日閲覧。
  16. ^ a b 「維新の波」首都圏にじわり 都知事選で勢い、野党警戒」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年7月7日。2023年12月11日閲覧。
  17. ^ 都知事選で落選の小野泰輔氏、次期衆院選の東京1区に維新公認で出馬へ」『Yahoo! News』Yahoo!、2020年10月27日。2020年10月27日閲覧。
  18. ^ 元熊本県副知事の小野氏、比例東京で初当選 「日本に活力を」”. 熊本日日新聞. 2021年11月3日閲覧。
  19. ^ “「国替え」与野党とも火種 5増、熱帯びる議席争い―衆院・東京”. 時事通信. (2023年1月30日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2023012900184&g=pol 2023年7月26日閲覧。 
  20. ^ [TKUニュース 24.10.28 19:00 衆院選 元 熊本県副知事の小野 泰輔さん再選ならず]”. TKU テレビ熊本 (2024年10月28日). 2024年11月9日閲覧。
  21. ^ “衆院選落選の維新支部長125人中、再任は39人 再任辞退の前職も”. 朝日新聞. (2024年11月27日). https://www.asahi.com/articles/ASSCW35FZSCWUTFK004M.html 2024年12月3日閲覧。 
  22. ^ 小野泰輔”. X (formerly Twitter). 2024年11月18日閲覧。
  23. ^ “新副知事に38歳小野氏…熊本県”. くまもと経済. (2012年6月25日). http://www.kumamoto-keizai.co.jp/content/asp/dejikame/dejikame_detail.asp?PageID=20&Knum=14201&PageType=top 2020年7月6日閲覧。 
  24. ^ “小野氏が副知事辞職 幹部職員らにお礼”. 熊本日日新聞. (2020年6月9日). https://web.archive.org/web/20200610124008/https://this.kiji.is/642861004253480033?c=92619697908483575 2020年7月6日閲覧。 
  25. ^ “都知事選告示 小池都政を問う 五輪・コロナ対応焦点 来月5日投開票”. 毎日新聞. (2020年6月18日). https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200618/dde/001/010/034000c 2020年6月20日閲覧。 
  26. ^ 1日で100万円 常識外れの「とても受け取れない」文通費”. 毎日新聞. 2022年12月14日閲覧。
  27. ^ 文書通信交通滞在費100万円問題 小野 泰輔議員に聞く(熊本)”. FNN プライムオンライン. 2021年11月20日閲覧。[リンク切れ]
  28. ^ a b 「使途公開」領収書が焦点 現状追認、懸案先送り―文通費改正法成立”. 時事ドットコム. 2022年6月13日閲覧。
  29. ^ “維新の参院選公約 旧文通費、もろ刃の剣 使途公開義務化、世論を喚起/領収書に寝具や冷蔵庫、批判”. 毎日新聞. (2022年6月12日). https://mainichi.jp/articles/20220612/ddn/041/010/004000c 2022年6月13日閲覧。 
  30. ^ “「キャッチフレーズだけの政治は終わり」 浸透するか、小野泰輔氏”. 毎日新聞. (2021年6月27日). https://mainichi.jp/articles/20200629/k00/00m/040/131000c 2023年1月20日閲覧。 
  31. ^ 都知事選、熊本副知事と連携も 東京維新」『時事ドットコム』時事通信社(時事通信社)、2020年6月10日。2020年6月16日閲覧。
  32. ^ 日本維新の会「旧統一教会と関係があった13議員公表」に「スタートとしては良かった」の声…ひろゆきも「反省するのは大事」と評価」『Smart FLASH』2022年8月3日。2022年9月3日閲覧。

一次資料や記事主題の関係者による情報源

関連項目

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外部リンク

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