コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

カワサキモータース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
川崎重工業 > カワサキモータース
カワサキモータース株式会社
Kawasaki Motors, Ltd.
種類 株式会社
略称 カワサキ、Kawasaki、KMC
本社所在地 日本の旗 日本
673-8666
兵庫県明石市川崎町1番1号
設立 2021年2月12日
業種 輸送用機器
法人番号 7140001120470
代表者 代表取締役 伊藤 浩
資本金 10億円
売上高 3,639億4,400万円
(2024年3月期)[1]
営業利益 409億200万円
(2024年3月期)[1]
経常利益 397億400万円
(2024年3月期)[1]
純利益 339億7,900万円
(2024年3月期)[1]
純資産 1,258億4,600万円
(2024年3月期)[1]
総資産 2,698億3,700万円
(2024年3月期)[1]
従業員数 単体:2,176名
連結:9,325名(2021年10月1日現在)
支店舗数 3拠点(兵庫県明石市、兵庫県加古川市、東京都港区)
主要株主 川崎重工業株式会社 100%
主要子会社 株式会社カワサキモータースジャパン
株式会社ケイテック
株式会社テクニカ
ユニオン精機株式会社
株式会社オートポリス
新日本ホイール工業株式会社
外部リンク https://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/corp/
テンプレートを表示

カワサキモータース株式会社: Kawasaki Motors, Ltd.)は、兵庫県明石市に本社を置き、オートバイサイド・バイ・サイド・ビークル全地形対応車水上オートバイ汎用エンジンなどを製造販売する企業。川崎重工業の100%子会社。

2021年10月1日付けで川崎重工業の社内カンパニー「モーターサイクル&エンジンカンパニー」が分離・独立して発足した[2]川崎重工グループで唯一のB2C事業を担う[3]

オートバイメーカーとしてのコーポレートカラーライムグリーンとしている。

解説

[編集]
KLX250(自衛隊仕様)
Ninja H2R。スーパーチャージャーを搭載。

飛燕などの軍用機を製造していた川崎航空機工業(第1次)は、敗戦後の1946年5月31日に社名を川崎産業と変更。明石工場は明石空襲で被災して壊滅状態にあったが、明石工場の疎開工場として戦時中に設置した播州歯車工場(滝野)と高槻工場が生き残っており、変速機用の歯車を製造・供給し、次いで二輪車向けのエンジンを試作していた[4]

川崎産業は1950年3月1日に川崎都城製作所を設立し、同年5月1日には川崎機械工業と川崎岐阜製作所を設立して解散。歯車の製造・供給は川崎機械工業によって行われた。なお、川崎都城製作所は1951年3月31日に解散したが、会社清算中の1953年9月21日に社名を川崎航空機工業(第2次)と変更して存続することになった。

1953年1月に播州歯車工場で2ストロークエンジン、同年2月に高槻工場で4ストロークエンジンの生産がそれぞれ開始された[4]。同年には川崎機械工業製の2ストロークエンジンを搭載した大日本機械工業の電光号が発売されたが、大日本機械工業は同年中に富士自動車傘下となり、電光号の販売を中止して東京瓦斯電気工業製のエンジンを搭載するDNB号に変更することが決まると、電光号の設計者たちが独立して同年12月15日に明発工業が設立された。「明発」は「明石の発動機」を表している。また、同年10月には同根の川崎岐阜製作所も川崎機械工業製の2ストロークエンジンを搭載したバイクスクーター「川崎号」を発売したが、高額で十分な販売網もないため200台しか売れなかった[4]

川崎機械工業は1954年3月15日に川崎岐阜製作所とともに川崎航空機工業に吸収合併された。明発工業も同年7月に社名を川崎明発工業と変更したが、ブランド展開は「明発」だった(1957年から「メイハツ」)。川崎航空機工業(明石)が製造する発動機を川崎明発工業(東京)へ供給する体制から、川崎航空機工業での一貫生産体制へシフトするのは1960年[5]、同年9月19日に明石工場内に二輪車組立工場(第24工場)が完成し、同年11月には250cc以上を主力とする目黒製作所と業務提携を結んで500ccまでのフルラインが整った(メイハツの主力は125ccだった)。カワサキブランド第1号機は1961年発売のカワサキ・B7とされており[6]、明石での一貫生産体制確立後に東京工場を閉鎖した川崎明発工業は同年5月に社名をカワサキ自動車販売と変更し、「カワサキ」と「メグロ」の販売会社となった。

目黒製作所は1962年に社名をカワサキメグロ製作所と変更し、1964年に川崎航空機工業に吸収された。そして、川崎航空機工業も1969年4月1日に川崎車輛とともに川崎重工業に吸収合併された。

モーターサイクル部門は2007年には川崎重工業の売上高のうち最大の約3割を占めるようになり、大型二輪車の販売台数は第2位[7]となった。二輪車全体におけるカワサキの販売シェアは長らく日本の4大オートバイメーカーのうち4位だったが、軽二輪125cc超250cc以下)については2013年2月の月間新車販売台数でシェアが2位となった[8][9]

2008年(平成20年)9月からの平成18・19年国内二輪車排出ガス規制全面施行で、規制への対応を行った車両を除き日本国内向け一般市販車両全車種の生産終了を公表し、大幅に日本向けのラインアップは減少させた[10]が、2010年(平成22年)現在では規制に対応させ発売する車両数を徐々に増やしている。日本国内への正規販売は販売子会社であるカワサキモータースジャパンが行っている。

日本国外では1986年(昭和61年)にインドバジャージ・オートと技術提携が結ばれ、ライセンス生産や共同開発製品などを行っている。2012年(平成24年)には中国・ロンシンモーターと事業提携が結ばれ、合弁会社によるカワサキブランドの二輪車の中国国内における製造・販売を開始することとなっていたが2013年1月16日に合意に至らず円満解消となった[11]。2019年(令和元年)には、欧州法人を通じて休眠状態であったビモータと合弁会社を設立することを発表している[12]

2001年4月1日より社内カンパニー制が導入され、当初は「汎用機カンパニー」、2010年4月1日の改編後は「モーターサイクル&エンジンカンパニー」が事業を担ってきたが、2021年10月1日付けで「カワサキモータース株式会社」として分社された[2][13]。これに伴いビモータキムコといった海外メーカーとの関係強化も図るとしている[3]

レース活動

[編集]

カワサキレーシングチームとしてレース活動を行っている。

サーキット

[編集]
カワサキでスーパーバイク5連覇を達成したジョナサン・レイ
チームグリーントレーラー(鈴鹿サーキットパドックにて)

カワサキのロードレースで最も成功を収めたのはスーパーバイク世界選手権(WSBK)で、2015年~2020年(平成27年~令和2年)までの間、ZX-10Rでマニュファクチャラーズチャンピオンとライダースチャンピオン(ジョナサン・レイ)を6連覇した。これは同選手権最多連覇記録である。カワサキワークスとしては2024年シーズンを最後に撤退するが、代わってカワサキ傘下のビモータが翌2025年よりWSBKに参戦する。カワサキはビモータにエンジン供給を行う他、チームメンバーの大半もビモータに移籍する[14]

ロードレース世界選手権(MotoGP、旧WGP)には1970年代後半~1980年代前半に中排気量クラスに参戦し、250ccクラスを4連覇して350ccクラスでも3度タイトルを獲得した。最高峰クラスには2003年(平成15年)からZX-RRで参戦し、2008年(平成20年)までメーカーチームとして参加、2009年(平成21年)まで他チームへの車両提供を行っていた。しかしこちらはタイトルはおろか1勝も挙げることができずに終わっている。

FIM世界耐久選手権(EWC)ではカワサキ・フランスを母体とするチームが古くからタイトル争い常連であり、日系の各メーカーと互角の戦いを繰り広げている。

北米のロードレースでは1960年代から活躍しており、70~80年代のAMAスーパーバイクでタイトルを連覇している。1969年のデイトナ200で、緑色のカラーリングの「チームグリーン」として参戦したのが、現在のブランドカラーの起源となっている。

国内の全日本ロードレース選手権(JRR)や全日本モトクロス選手権(JMX)では、ディーラー系チームの「チームグリーン」がワークス格として参戦していたが、2020年を持ってチーム母体を川崎重工業(現カワサキモータース)へ移管の上、ロードレースから撤退した[15]鈴鹿8耐の優勝は日本4大メーカーで最も少なく、通算で2回(1993年、2019年)のみである。

オフロード

[編集]
2014年スーパークロスマシンのKX450F

モトクロス世界選手権(MXGP)では90年代~2000年代に、250ccと125ccクラスで合計5度のライダースタイトルを獲得している。F1王者のキミ・ライコネンは引退後の2022年、自身のアイスワン・レーシングをハスクバーナからカワサキに切り替え、モトクロス世界選手権のファクトリーチームとして活動している[16]。女性部門(Women's MX)では2023年現在最も多くのライダースタイトルを獲得したブランドとなっている。

ラリーレイドではバハ1000において1988~1996年に9連覇を果たしている[17]。1996年の優勝を最後にファクトリー参戦から撤退した[18]が、2009年にセミワークス体制で復帰[19]。2014年大会で、長らく覇権を築いていたホンダを破って通算10度目の総合優勝を果たした[20]

ダカール・ラリーにはワークス体制の参戦はないが、プライベーターや欧州法人による参戦が見られ、1991年のステージ1で、史上1度のみステージ勝利・ラリーリーダーを記録したことがある[21]

北米AMAモトクロス/AMAスーパークロスではジェフ・ワードリッキー・カーマイケルジェームス・スチュワート、ライアン・ビロポート、イーライ・トマックといったスターたちの活躍で多数のタイトルを獲得し、2007年は全3クラス(450/250東/250西)を制覇した[22]。また日本人ライダーの下田丈がカワサキのKX250に乗り、日本人として初めてAMAモトクロス、AMAスーパークロス、AMAスーパーモトクロスでの優勝を果たしている。

前述のとおり国内のカワサキファクトリーチームはロードレースから撤退する一方で、モトクロスの参戦は継続している。

アメリカのATVレースにも参戦していた[23]

00年代にスズキとの提携により、モトクロッサーの相互OEM供給や共同開発を行っていたこともあった[24]

製品

[編集]

オートバイ(現行車種)

[編集]
外観 車名 排気量 タイプ 備考
125cc以下
Z125プロ 124cc ネイキッド
125cc超250cc以下
ニンジャ250 248cc スポーツ
Z250 248cc ネイキッド
ニンジャZX-25R SE 248cc スポーツ
KX250 249cc オフロード
250cc超400cc以下
ニンジャ400 398cc スポーツ
Z400 398cc ネイキッド
エリミネーター 398cc アメリカン
ニンジャZX-4R SE 399cc スポーツ
ニンジャZX-4RR 399cc スポーツ
400cc超1000cc以下
KX450 449cc オフロード
ニンジャ7ハイブリッド 451cc スポーツツアラー
Z650 649cc ネイキッド
Z650RS 649cc ネイキッド
ニンジャ650 649cc スポーツ
ニンジャZX-6R 636cc スポーツ
ヴェルシス650 649cc ツアラー
W800 773cc ネイキッド
MEGURO K3 773cc ネイキッド
Z900 948cc ネイキッド
Z900RS
Z900RS CAFE
Z900RS SE
948cc ネイキッド/カフェレーサー
ニンジャZX-10R 998cc スポーツ
ニンジャH2 SX/SX SE 998cc
スーパーチャージャー
ツアラー
Z H2 998cc
スーパーチャージャー
スポーツ
1000cc超
Z1000 1043cc ネイキッド
ニンジャ1000SX 1043cc スポーツツアラー
電動車
ニンジャe-1 ネイキッド
Z e-1 ストリートファイター

過去に生産されたオートバイの車種

[編集]
125cc以下
125cc超250cc以下
250cc超400cc以下
400cc超750cc以下
750cc超
競技車両

コンセプトカー

[編集]

サイド・バイ・サイド・ビークル(日本国外)

[編集]

全地形対応車(日本国外)

[編集]

水上オートバイ

[編集]
カワサキ・ULTRA 300X
ジェットスキーをする人

商標の普通名称化がおきている「ジェットスキー」はカワサキの登録商標である。

  • 800 SX-R
  • X-2
  • STX
  • STS
  • ULTRA
  • SX
  • X-4
  • SuperSport
  • TS
  • ZXi
  • SC
  • JETMATE
  • JS

汎用エンジン

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f カワサキモータース株式会社 第4期決算公告
  2. ^ a b 社史 資料 9 組織変遷”. 川崎重工業. 2024年6月3日閲覧。
  3. ^ a b “バイク専門メーカー「カワサキモータース」10/1発足 ビモータやキムコとも関係強化へ”. のりものニュース (メディア・ヴァーグ). (2021年6月1日). https://trafficnews.jp/post/107623 2021年9月20日閲覧。 
  4. ^ a b c 水川侑「二輪自動車産業における寡占体制形成(4) 第5章 目黒製作所・川崎航空機工業の成長と発展」『専修経済学論集』第43巻第2号、専修大学経済学会、2008年12月、39-83頁、CRID 1390853649755192192doi:10.34360/00000623ISSN 038643832024年6月4日閲覧 
  5. ^ “カワサキ創成期を支えた人たち 今なお、強い絆で会合続ける①”. 二輪車新聞 (二輪車新聞社). (2020年4月21日). https://www.nirin.co.jp/_ct/17342015 2024年5月28日閲覧。 
  6. ^ History”. カワサキモータース. 2024年5月28日閲覧。
  7. ^ 二輪車新聞 2006年度国内新車販売台数
  8. ^ 軽二輪車新車販売台数、11カ月連続プラス、カワサキがシェア2位に…2月 Response
  9. ^ 2013年2月軽二輪車新車販売確報 全国軽自動車協会連合会
  10. ^ 特に、第1種原動機付自転車道路交通法に規定する原動機付自転車に該当する車両)に至っては、2000年までに完全に撤退している。
  11. ^ 中国二輪車事業における隆鑫通用動力股份有限公司との提携協議終結
  12. ^ 川崎重工、伊高級二輪メーカーと合弁”. 日本経済新聞 (2019年11月6日). 2019年11月12日閲覧。
  13. ^ グループビジョン2030・進捗報告会”. 川崎重工業. p. 44 (2021年6月1日). 2021年6月1日閲覧。
  14. ^ ビモータが2025年からSBKに復帰。カワサキZX-10RRのエンジンを使用も、ライムグリーンのKRTは今季限りに - オートスポーツ・2024年4月25日
  15. ^ Kawasaki Team GREENが全日本ロードから撤退。モトクロスは川崎重工業に母体を移し活動継続オートスポーツweb 2023年9月7日閲覧
  16. ^ F1を引退したキミ・ライコネン、カワサキのモトクロス世界選手権ファクトリー参戦チームの代表にResponse.jp 2023年9月7日閲覧
  17. ^ List of BAJA 1000 WINNER RIDER PLANET USA 2023年10月9日閲覧
  18. ^ KAWASAKI IS RETURNING TO BAJA DIRT BIKE 2023年10月22日閲覧
  19. ^ Baja 1000: Series Motorcycle pre-event notes 1motorsports.com 2023年10月22日閲覧
  20. ^ Kawasaki wins Baja 1000CANADA MOTO GUIDE 2023年10月22日閲覧
  21. ^ HISTORIC BOOK 2023年9月9日閲覧
  22. ^ RACING HISTORYカワサキモータース公式サイト(英語版) 2023年9月7日閲覧
  23. ^ Kawasaki Announces 2007 ATV Racing Team Off Road.com 2023年9月9日閲覧
  24. ^ スズキ・川重、モトクロスバイクを共同開発 Response.jp 2023年10月1日閲覧

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]