放課後 (東野圭吾)
『放課後』(ほうかご)は、東野圭吾による日本の長編推理小説、またそれを原作としたテレビドラマ。1985年に単行本が刊行され、1988年に文庫版が発売された。
概要
[編集]名門女子高を舞台に、女子高に勤務する教師・前島が女子高で起きた事件の真相に近づく様を描いた青春推理小説。第31回江戸川乱歩賞を受賞した東野圭吾の作家デビュー作であり、作品が発表された30年後の2015年、マイナビ会員を対象にした“好きな江戸川乱歩賞作品”を選ぶアンケートでも人気1位を獲得する[1]など根強い人気のある作品でもある。
作中では著者が大学時代に部のキャプテンをしていたアーチェリーが取り上げられている。タイトルは著者が金沢を旅行した時、駅の近くにあった喫茶店の名前からとられた[2]。
1986年には『木曜ドラマストリート』枠で山下真司主演でテレビドラマ化されている。
霜月かよ子作画で漫画化され、講談社の『別冊フレンド増刊』2010年1月号・3月号に前後編で掲載された[3]。
ストーリー
[編集]私立清華女子高等学校に勤務する教師で、アーチェリー部顧問の前島は、最近になって何者かに命を狙われ始めていた。前島は校長にも相談するが、校長は日和るばかりで事態は好転しない。前島の周囲に関わる生徒・高原陽子と杉田恵子は、前島とはそれぞれしこりを残していた。
だが、前島がアーチェリー部の練習に参加したある日、生徒指導部の村橋が教師用の更衣室の中で、青酸中毒により殺害された。男性用更衣室には中から心張り棒が引っ掛けられ、現場から行き来できる隣の女性用更衣室は施錠、更衣室は誰もが入るのが不可能な完全な密室となっていた。そして密室トリックの謎、真犯人や前島の命を狙う何者かの正体が明らかにされない中、体育祭で第2の殺人が発生する。
登場人物
[編集]- 前島
- 清華女子高教諭。担当科目は数学。技術職のサラリーマンから高校教師に転職した。徹底して授業に関すること以外の言葉を喋らないことから生徒には「マシン」と呼ばれている。アーチェリー部の顧問。
- 杉田恵子
- 清華女子高3年。アーチェリー部のキャプテン。前島とは親しく接するが合同合宿の際に前島とキスをしたことがある。通称ケイ。
- 高原陽子
- 清華女子高3年。学園の問題児で喫煙が見つかり停学になる。前島を二人だけの旅行に誘ったことがあるが、前島が誘いに乗らなかったことを機に前島に厳しい視線を向ける。家庭環境は複雑。
- 北条雅美
- 清華女子高3年。剣道部の主将で成績トップの優等生だが、学校のルールを破らないやり方で学校に反抗するある意味においての問題児。村橋と大きく対立していた。
- 村橋
- 清華女子高教諭。担当科目は数学。大学院出であり、かつては研究者になることを望んでいた。生徒指導部部長。最初の被害者。
- 竹井
- 清華女子高教諭。担当科目は体育。現役の槍投げ選手で、槍投げをする姿勢がギリシャ彫刻みたいだという理由で生徒から「ギリシャ」と渾名をつけられている。
- 栗原
- 清華女子高校長。ワンマン経営者。前島の父親とは戦時中の戦友の間柄。
- 麻生恭子
- 清華女子高教諭。担当科目は英語。おとなしそうな雰囲気とは裏腹に遊びの恋を好み、前島の同僚のプロポーズを断った一件から前島から快く思われていない。
- 大谷
- 清華女子高の事件を捜査している刑事。犬を連想させる目をしている。事件捜査で前島と何度も対面する。
- 前島裕美子
- 前島の妻。夫婦に子供はなく、現在近くのマーケットに働きに出ている。
テレビドラマ
[編集]1986年3月27日、フジテレビ系列『木曜ドラマストリート』枠で放送された。
キャスト
[編集]スタッフ
[編集]舞台
[編集]2024年11月16日に、サンケイホールブリーゼで、なにげに文士劇2024 旗揚げ公演が上演[4]。
脚注
[編集]- ^ 山田井ユウキ (2015年1月18日). “江戸川乱歩賞も受賞した傑作ミステリー「翳りゆく夏」「放課後」の魅力とは?”. マイナビニュース. 2015年1月18日閲覧。
- ^ “東野圭吾さん、原点は金沢に デビュー作「放課後」喫茶店から”. 北國新聞. (2012年8月16日) 2015年1月18日閲覧。
- ^ “東野圭吾の推理小説「放課後」を、霜月かよ子が描く”. コミックナタリー (2009年11月28日). 2015年1月18日閲覧。
- ^ “作家16名が学生服に身を包む、なにげに文士劇「放課後」ビジュアル&配役発表”. ステージナタリー. ナターシャ (2024年8月2日). 2024年8月4日閲覧。