新字 (辞典)
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『新字』(にいな)は、天武天皇の命を受けた坂合部磐積により編纂された日本最初の辞典。
概要
[編集]『日本書紀』巻第29(天武天皇11年3月13日条)に「肇めて新字一部四十四巻を造らしむ」とあり[1]、682年に完成した辞書であることが窺える[注 1]。これは伝本も逸文も存在しないため、いかなる内容であったかなどの詳細は一切不明であるが、現存している木簡に字書らしき記載が確認できることから[3]、「書名からして漢字字書の類であろう」と推測される[4]。
『釈日本紀』が引用する私記によると、「現在図書寮にある書で、その字体は梵字に頗る似ている。未だその字義の準拠する所がつまびらかではない」と説明されている。
『新字』の性格については、漢字のうちいわゆる国字を載せたものとする説、漢字の訓の注釈を定めたものとする説、天武天皇期の修史事業のために、古語の正確な表記のために制定されたものとする説などがある。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 沖森卓也 (2015), pp. 29–30.
- ^ 犬飼隆 (2000), p. 16.
- ^ 沖森卓也 (2023), p. 12.
- ^ 倉島節尚 (2015), p. 16.
参考文献
[編集]- 図書
- 沖森卓也 編『図説日本の辞書100冊』武蔵野書院、2023年9月。ISBN 978-4-8386-0660-3。
- 論文
- 犬飼隆「日本の辞書の起源」『月刊しにか』第11巻第3号、大修館書店、2000年3月、16-21頁。
- 沖森卓也「上代の辞書:『新字』は存在したか」『悠久』第139号、おうふう、2015年2月、27-41頁。
- 倉島節尚「古辞書とは」『悠久』第139号、おうふう、2015年2月、16-26頁。