副業
副業(ふくぎょう)は収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。兼業、サイドビジネスともよばれる。副業は就労形態によって、アルバイト(常用)、日雇い派遣、在宅ビジネス、内職などに分類される。また、収入形態によって給料収入、事業収入、雑収入に分類される。
概要
日本では労働者が勤務時間外の時間に行う副業を雇用主が禁じることは、日本国憲法第22条に定められた職業選択の自由に反しているとする考え方が一般的であるが、従来から日本の民間企業では就業規則で従業員の副業を禁止しているところが多い。
副業は収入を得るだけでなく、ビジネススキルの向上にも役立つ場合がある。
副業禁止規定
公務員
公務員については原則として副業が禁止されている。
また以下の特別職公務員についても原則として副業が禁止されている。
- 自衛隊員(自衛隊法第62条)
- 防衛省職員(防衛省設置法第39条)
- 外務職員(外務公務員法第3条)
- 国会職員(国会職員法第21条)
- 裁判所職員(裁判所職員臨時措置法)
- 特定独立行政法人役員(独立行政法人通則法第54条)
- 特定独立行政法人職員(独立行政法人通則法第59条)
- 特定地方独立行政法人役員(地方独立行政法人法第50条)
- 特定地方独立行政法人職員(地方独立行政法人法第53条)
- 裁判官(裁判所法第52条)
- 内閣危機管理監・内閣官房副長官補・内閣広報官・内閣情報官(内閣法第15条~第18条)
- 内閣総理大臣補佐官[1](内閣法第19条)
- 防衛大臣補佐官[1](防衛省設置法第7条)
- 国会議員公設秘書(国会議員の秘書の給与等に関する法律第21条の2)
- 人事官(国家公務員法第6条・第103条)
- 人事委員会委員・公平委員会委員(地方公務員法第9条の2・第38条)
- 公正取引委員会委員長・公正取引委員会委員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第37条)
- 証券取引等監視委員会委員長・証券取引等監視委員会委員(金融庁設置法第16条)
- 中央労働委員会公益委員[1](労働組合法第19条の6)
- 社会保険審査会委員長・社会保険審査会委員(社会保険審査官及び社会保険審査会法第29条)
- 中央更生保護審査会委員長・中央更生保護審査会委員[1](更生保護法第8条)
- 労働保険審査会委員[1](労働保険審査官及び労働保険審査会法第35条)
- 原子力委員会委員長・原子力委員会委員[1](原子力委員会設置法第11条)
- 原子力規制委員会委員長・原子力規制委員会委員(原子力規制委員会設置法第11条)
- 地方財政審議会委員(総務省設置法第15条)
- 土地鑑定委員会委員[1](地価公示法第18条)
- 公害等調整委員会委員長・公害等調整委員会委員[1](公害等調整委員会設置法第11条)
- 公害健康被害補償不服審査会委員[1](公害健康被害の補償等に関する法律第123条)
- 食品安全委員会委員[1](食品安全基本法第32条)
- 運輸安全委員会委員長・運輸安全委員会委員[1](運輸安全委員会設置法第12条)
- 運輸審議会委員[1](国土交通省設置法第21条)
- 電気通信紛争処理委員会委員[1](電気通信事業法第150条)
- 国家公務員倫理審査会会長[1]・国家公務員倫理審査会委員[1](国家公務員倫理法第18条)
- 情報公開・個人情報保護審査会委員[1](情報公開・個人情報保護審査会設置法第4条)
- 公認会計士・監査審査会会長、公認会計士・監査審査会委員[1](公認会計士法第37条の6)
- 総合科学技術会議議員[2](内閣府設置法第33条)
上記の公務員は許可なく営利を目的とする私企業を営んだり、その企業で地位を得たり、あるいは報酬(収入)が発生するいかなる事務にも従事してはならないと規定されている。許可の主体は国家公務員の場合は人事院又は任命権者、地方公務員の場合は人事委員会又は任命権者、裁判官の場合は最高裁判所、国会議員公設秘書の場合は国会議員である。また、公務員の副業は、職務遂行上で得た秘密の保持(守秘義務)、信用失墜行為の禁止などの面からも制限されることになる。
検査官、収用委員会委員、内閣法制局長官、宮内庁長官、内閣総理大臣秘書官、国務大臣秘書官、人事院総裁秘書官、会計検査院長秘書官、内閣法制局長官秘書官、宮内庁長官秘書官、侍従長、東宮大夫、式部官長、侍従次長、宮務主管、皇室医務主管、侍従、女官長、女官、侍医長、侍医、東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、東宮侍医長、東宮侍医、宮務官、侍女長については法律で副業を直接禁止する規定はない。ただし、職務専念義務に違反する場合には免職を含めた処分が下される可能性がある。
また、内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、大臣政務官、内閣官房副長官については法律で副業を直接禁止する規定はないが、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範で原則として副業が禁止されている。
公務員以外
公務員以外でも一部の役職や職員については原則として副業が禁止されている。
- 日本銀行総裁・日本銀行副総裁・日本銀行審査委員・日本銀行理事・日本銀行職員(日本銀行法第26条・第32条)
- 危険物保安技術協会役員(消防法第16条の29)
- 小型船舶検査機構役員(船舶安全法第25条の21)
- 高圧ガス保安協会役員(高圧ガス保安法第59条の18)
- 軽自動車検査協会役員(道路運送車両法第76条の21)
- 日本中央競馬会役員(日本中央競馬会法第14条)
- 国家公務員共済組合連合会役員(国家公務員共済組合法第33条)
- 日本電気計器検定所役員(日本電気計器検定所法第16条)
- 日本下水道事業団役員(日本下水道事業団法第19条)
- 沖縄振興開発金融公庫役員(沖縄振興開発金融公庫法第13条)
- 農水産業協同組合貯金保険機構役員(農水産業協同組合貯金保険法第30条)
- 自動車安全運転センター役員(自動車安全運転センター法第22条)
- 原子力発電環境整備機構役員(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第50条)
- 地方公共団体金融機構役員(地方公共団体金融機構法第23条)
- 日本年金機構役員[1](日本年金機構法第24条)
- 全国健康保険協会役員[1](健康保険法第7条の15)
- 日本私立学校振興・共済事業団役員[1](日本私立学校振興・共済事業団法第16条)
- 原子力損害賠償支援機構役員[1](原子力損害賠償支援機構法第29条)
- 日本政策金融公庫取締役[1]・日本政策金融公庫執行役[1]・日本政策金融公庫監査役[1](株式会社日本政策金融公庫法第8条)
- 国際協力銀行取締役[1]・国際協力銀行執行役[1]・国際協力銀行監査役[1](株式会社国際協力銀行法第8条)
- 商工組合中央金庫常務従事取締役(株式会社商工組合中央金庫法第20条)
- 預金保険機構理事長・預金保険機構理事(預金保険法第30条)
- 農林中央金庫理事・農林中央金庫監事[1](農林中央金庫法第24条の5)
- 郵便認証司(郵便法第63条)
上記の役職員は許可なく営利を目的とする私企業を営んだり、その企業で地位を得たり、あるいは報酬(収入)が発生するいかなる事務にも従事してはならないと規定されている。許可の主体は所管の国務大臣である。また、上記の役職員の副業内容は、職務遂行上で得た秘密の保持(守秘義務)、信用失墜行為の禁止などの面からも制限される場合もある。
例外
上記の例外許可を受けた場合のほか、以下のようなケースでも副業が認められている。
- 営利性の乏しい活動
- 禁止されている「営利目的の企業」に該当しないとして、許可を要さず副業が認められているもの。ただし、実際の営利性の判断は、個々の状況により異なってくる可能性がある。
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 常勤の場合に限る。
- ^ 国会同意人事である「科学又は技術に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者 」が常勤議員となった場合の他に、「各省大臣、法律で国務大臣をもってその長に充てることとされている委員会の長の他、関係する国の行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が指定する者」が常勤議員となった場合が対象となる。
- ^ a b 人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 昭和31年8月23日職職-599
- ^ 行政実例 昭和26年5月14日 地自公発204号
- ^ 行政実例 昭和26年6月20日 地自公発255号
- ^ 行政実例 昭和26年5月14日 地自公発203号