コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「女性差別」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
出典不明の個人的な感想文をWP:NOTESSAYに基づき再度差し戻す
m 外部リンクの修正 http:// -> https:// (www.asahi-net.or.jp) (Botによる編集)
 
(76人の利用者による、間の120版が非表示)
1行目: 1行目:
{{discrimination sidebar}}
{{半保護}}
{{feminism sidebar}}
{{Pathnav|性差別|frame=1}}
'''女性差別'''(じょせいさべつ)とは、[[女性]]に対する[[性差別]]である。'''男尊女卑'''(だんそんじょひ)とも呼ばれる。対義語は[[男性差別]]という。女性差別撤廃を目指す思想や運動を[[フェミニズム]]という


==事例==
'''女性差別'''(じょせいさべつ)とは、[[女性]]に対する一連の[[性差別]]の総称である。対義語は[[男性差別]]。
===日本===
日本は、男女格差が世界で最も大きい国の一つとされ、[[世界経済フォーラム]]が世界男女格差レポートにて公表している[[ジェンダー・ギャップ指数]]では[[G7]]で最下位、[[G20]]で[[サウジアラビア]]、[[トルコ]]に次いでワースト3位である<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/3258262?act=all 男性を「ソクラテスみたい」と褒めるべし 日本の女性誌の助言に冷笑] AFP BB NEWS 2019年12月5日</ref>{{Efn|ただし、[[立教大学]]の[[本川裕]]は、日本の女性の幸福度が男性を上回る程度が世界最高峰にあることを看過しており、ミスリーディングだとしている<ref>[[本川裕]]、[https://president.jp/articles/-/44903 世界120位「女性がひどく差別される国・日本」で男より女の幸福感が高いというアイロニー] PRESIDENT Online 2021年4月7日、2023年8月10日閲覧</ref>。}}。


日本の女性労働者の待遇改善問題は、[[裁判所]]による[[政策]]形成の歴史とも重なる。すなわち、[[行政府]]が男女の雇用機会均等に向けて動かない中で、裁判所が[[判例]]を通じて[[性差別]]を是正していった事例として挙げられる<ref name="saibantosyakai">『裁判と社会―司法の「常識」再考』著:ダニエル・H・フット 訳:溜箭将之 NTT出版 2006年10月 ISBN 9784757140950</ref> 。
== 日本の事例 ==
司法による格差是正の動きは、1950年代後半から1960年代に始まった。当時、労働に関する法令としては[[労働基準法]]があったが、労働基準法は[[賃金]]について女性を理由とした差別を禁止していたのみであり、採用や[[解雇]](例えば、当時は女性の早期退職は社会では当然の慣行となっていた)といった、その他の労働面における差別を訴える法律が存在しなかったそして、賃金についても、企業は女性を男性と異なる職に就けることによって、差別化を行っていた<ref name="saibantosyakai"/>。


こうした状況の中、まず[[日本国憲法第14条]]([[法の下の平等]])を理由とした格差是正が試みられた。しかし、[[私人間効力]]ない(私人間には憲法が直接は適用されない)ことを理由にこの動きは失敗した<ref name="saibantosyakai"/>。ところが、裁判所は1966年の[[住友セメント事件]]で[[民法 (日本)|民法]]90条([[公序良俗違反]])<small>([[私人間効力]]の間接効力を参照)</small>を利用することによってこの状況を打破した<ref name="saibantosyakai"/>。この動きは全国に広がり、各地の裁判所で民法90条を使用して女性の早期退職、結婚退職、出産退職が是正されていった<ref name="saibantosyakai"/>。国会で[[雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律|男女雇用機会均等法]]を制定したのは、1985年のことであった<ref name="saibantosyakai"/>。
=== 歴史 ===
日本の女性労働者の待遇改善問題は、[[裁判所]]による[[政策形成]]の歴史とも重なる。すなわち、[[行政府]]が男女の雇用機会均等に向けて動かない中で、裁判所が[[判例]]を通じて[[性差別]]を是正していった事例として挙げられる<ref name="saibantosyakai">『裁判と社会―司法の「常識」再考』著:ダニエル・H・フット 訳:溜箭将之 NTT出版 2006年10月 ISBN:9784757140950</ref> 。


女性労働問題については、パート労働者の待遇改善の歴史とも重なる。[[非正規雇用]]を参照されたい<ref name="kintou">[[水町勇一郎]]『均等待遇の国際比較とパート活用の鍵―ヨーロッパ、アメリカ、そして日本』2004年10月、[[独立行政法人]] [[労働政策研究・研修機構]]</ref>。
司法による格差是正の動きは、1950年代後半から1960年代に始まった。当時、労働に関する法令としては[[労働基準法]]があったが、労働基準法は[[賃金]]について女性を理由とした差別を禁止していたのみであり、[[採用]]や[[解雇]](例えば、当時は女性の早期退職は社会では当然の慣行となっていた)といった、その他の労働面における差別を訴える法律が存在しなかったそして、賃金についても、企業は女性を男性と異なる職に就けることによって、差別化を行っていた<ref name="saibantosyakai"/>。


以下では、日本における事例を挙げる。なお、[[戦前]]においては、参政権や教育を受ける権利も議論となっていた。[[戦後]]においても、差別を助長する服装指導、頭髪指導を実施している[[中学校]]や[[高等学校]]も存在する。[[女性参政権]]、[[男女共学]]、[[性差別]]なども参照。
こうした状況の中、まず[[日本国憲法第14条]]([[法の下の平等]])を理由とした格差是正が試みられた。しかし、[[私人間効力]]としないことを理由にこの動きは失敗した<ref name="saibantosyakai"/>。ところが、裁判所は1966年の[[住友セメント事件]]で[[民法 (日本)|民法]]90条([[公序良俗違反]])<small>([[私人間効力]]の間接効力を参照)</small>を利用することによってこの状況を打破した<ref name="saibantosyakai"/>。この動きは全国に広がり、各地の裁判所で民法90条を使用して女性の早期退職、結婚退職、出産退職が是正されていった<ref name="saibantosyakai"/>。
* [[最高裁判所 (日本)|最高裁]]が男女別[[定年制]]を無効とした[[判例]]

**[[伊豆シャボテン公園]]事件<small>[[1975年|昭和50年]]8月29日</small>
なお、国会で[[雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律|男女雇用機会均等法]]を制定したのは、1985年のことであった<ref name="saibantosyakai"/>。
**[[日産自動車事件]]<small>[[1981年|昭和56年]]3月24日</small>
==== 過去の事例 ====
**放射線影響研究所事件<small>[[1990年|平成2年]]5月28日</small>
以下では、日本における事例を挙げる。なお、[[戦前]]においては、参政権や教育を受ける権利も議論となっていた。[[女性参政権]]、[[男女共学]]、[[性差別]]なども参照。
* [[1981年]](昭和56年)3月24日、[[那覇地方裁判所|那覇地裁]]において[[トートーメー]]継承問題(女性に財産相続権が認められない慣習)を違憲とする判決が下る。
* [[最高裁判所|最高裁]]が男女別[[定年制]]を無効とした[[判例]]<br>・[[伊豆シャボテン公園]]事件<small>[[1975年|昭和50年]]8月29日</small> ・[[日産自動車事件]]<small>[[1981年|昭和56年]]3月24日</small> ・放射線影響研究所事件<small>[[1990年|平成2年]]5月28日</small>
* [[1981年]](昭和56年)3月24日、[[那覇地方裁判所|那覇地裁]]においてトートーメー継承問題(女性に財産相続権が認められない慣習)を違憲とする判決が下る。* [[1985年]](昭和60年)6月第102回[[国会]][[外務委員会]]において、外務[[政務次官]][[森山眞弓]]が[[小金井]]カントリー倶楽部での[[コンペ]]参加を女性であるという理由で断られた件について、大変に遺憾である旨の答弁を行った。<br />また、当時の[[外務大臣 (日本)|外務大臣]][[安倍晋太郎]]はこの事実を直前に知り、強い遺憾の意を示すために同コンペの参加を見送ったと述べている<ref>[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/102/1110/10206041110015c.html 参議院会議録情報]</ref>。<br />ちなみに、第102回国会において[[女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約]]締結を承認している。
* [[1985年]](昭和60年)6月第102回[[国会]][[外務委員会]]において、外務[[政務次官]][[森山眞弓]]が[[小金井カントリー倶楽部]]での[[コンペ]]参加を女性であるという理由で断られた件について、大変に遺憾である旨の答弁を行った。また、当時の[[外務大臣 (日本)|外務大臣]][[安倍晋太郎]]はこの事実を直前に知り、強い遺憾の意を示すために同コンペの参加を見送ったと述べている<ref>[https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=110213968X01519850604 参議院会議録情報]</ref>。またこの年の第102回国会において[[女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約]]締結を承認している。
<!--*[[1992年]](平成4年) [[防衛大学校]]本科学生に初めて女性の入学が許可される。日本初の[[セクハラ]]訴訟で上司の不法行為を認定。<small>[[福岡地方裁判所|福岡地裁]]4月16日</small>-->
<!--*[[1992年]](平成4年) [[防衛大学校]]本科学生に初めて女性の入学が許可される。日本初の[[セクハラ]]訴訟で上司の不法行為を認定。<small>[[福岡地方裁判所|福岡地裁]]4月16日</small>-->
* [[1995年]]([[平成]]7年)8月、[[住友金属工業]]の女性社員4人が昇給・昇進で差別されたとして訴訟を起こす。<br>やがて訴訟は他の住友グループ各社にも広がる。内訳は[[住友電気工業]](2人)[[住友化学]](3人)[[住友生命]](12人)。<br />10年以上続いた一連の裁判は、[[2006年]]4月の住友金属工業と原告との[[和解]]をもって終止符が打たれた。
* [[1995年]]([[平成]]7年)8月、[[住友金属工業]]の女性社員4人が昇給・昇進で差別されたとして訴訟を起こす。<br>やがて訴訟は他の住友グループ各社にも広がる。内訳は[[住友電気工業]](2人)[[住友化学]](3人)[[住友生命保険|住友生命]](12人)。<br />10年以上続いた一連の裁判は、[[2006年]]4月の住友金属工業と原告との[[和解]]をもって終止符が打たれた。
* 日本では、夫婦は婚姻時に同姓とする民法の規定があり選択的[[夫婦別姓]]制度は導入されていないが、これは日本国憲法に定められた男女同権に反するものであり[[違憲]]ではないかとの議論がある。民法の規定は、夫又は妻の氏のいずれを称するかを夫婦の選択にゆだねているものの、実際には妻の側が改氏する割合が全体の96.1%<ref>[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei14/ 平成26年(2014)人口動態統計の年間推計]、厚生労働省</ref> であり、これは女性の[[間接差別]]に当たり、[[男女平等]]に反する<ref name="gakujutu2014">[https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t193-5.pdf 提言 男女共同参画社会の形成に向けた民法改正] [[日本学術会議]]</ref><ref name="rengoukai">[http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/bessei_kongaishi_FAQ131105.pdf 「選択的夫婦別姓・婚外子の相続分差別 Q&A」日本弁護士連合会]</ref><ref name="nikkei20151105">「原告『女性を間接差別』 国側『同姓は広く浸透』夫婦別姓認めぬ規定、最高裁で弁論」、日経新聞、2015年11月5日</ref><ref>民法改正を考える会、「よくわかる民法改正」、朝陽会</ref><ref name="jokoku20140604">[https://www.asahi-net.or.jp/~dv3m-ymsk/jyokokuriyuu_2014.pdf 上告理由書、平成26年(ネオ)第309号上告提起事件、2014年6月4日]</ref><ref name="hps20151224">[https://www.huffingtonpost.jp/keiko-fukuzawa/same-surname_b_8872170.html 「『夫婦同姓強制は合憲』判決はなぜ『鈍感』か?」、HUFF POST SOCIETY、2015年12月24日。]、</ref>、との主張もある。また、[[日本]]を含む130カ国の賛成で[[国連]]で[[1979年]]に採択された「[[女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約]]」では選択的夫婦別氏の導入が要求されている<ref name="gakujutu2014" /><ref name="rengoukai" /><ref name="jokoku20140604" /><ref name="hps20151224"/><ref>[http://biz-journal.jp/2015/11/post_12367.html 「『再婚禁止と夫婦別姓規定』最高裁判決に注目集まる 憲法を軽視してきた永田町の『非常識』」、Business Journal、2015年11月13日]</ref><ref>[http://www.theguardian.com/world/2015/dec/16/japanese-court-rules-married-women-cannot-keep-their-surnames "Japan upholds rule that married couples must have same surname "], The Guardian, December 16, 2015.</ref><ref name="jan20151224">[http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35794 「選択的夫婦別姓 国民的議論を深めよう」]、日本農業新聞、2015年12月24日。</ref>。


==日本外の事例==
===韓===
祖先祭祀の方法などが女性差別的であるという意見がある<ref>2006年4月3日付[[しんぶん赤旗]]</ref>。


また、[[未亡人]]や[[離婚]]した女性への差別は、[[先進国]]や[[アラブ諸国]]と比べても、[[大|韓国]]著しいという調査がある<ref>「未亡人・離婚女性への差別、韓国が最も過酷」『中央日報』2008年6月25日付配信</ref>。
===欧州===
イスラム教信者の移民が増えた結果、「[[処女]]でないことを理由とした結婚の無効」など「(従来の欧州の価値観からみて)これは女性差別だ」と指摘状況が起きている<ref name="20080609sankei">山口昌子「【緯度経度】「処女性」は結婚の条件?」『産経新聞』産経新聞社、2008年6月9日付配信</ref>。

女性労働問題については、パート労働者の待遇改善の歴史とも重なる。[[非正規雇用]]を参照されたい<ref name="kintou"> [[水町勇一郎]]『均等待遇の国際比較とパート活用の鍵―ヨーロッパ、アメリカ、そして日本』2004年10月、[[独立行政法人]] [[労働政策研究・研修機構]]</ref>。


===中国===
===中国===
米[[ニューヨーク・タイムズ]]は、中国女性の社会的地位についての記事を掲載し、中国における職場や家庭内での性差別、愛人などの横行が、女性の選択余地のなさを反映していると指摘した<ref name="China">[http://www.epochtimes.jp/jp/2010/12/html/d39091.html 困惑する中国女性 増える性差別=ニューヨーク・タイムズ紙] 大紀元 2010年12月9日</ref>。
[[社会主義]]国家となり、[[中華人民共和国|中国]]は男女平等を標榜している。求人の際に女性は「未婚のみ」と条件が付けられることが行われている<ref name="20080411nikkeibo">遠藤誉「第5回 <A女>の影に潜む「隠婚族」の女たち 「仕事にマイナスになるから」結婚をひた隠す」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年4月11日付配信</ref>。また、「隠婚族」という言葉がある<ref name="20080411nikkeibo"/>。


ChinaHR.comが行ったアンケートによると、6割近い女性が求職中に企業側から性差別を受けたことがあり、この割合は男性求職者をはるかに超えるという。そのほか、求職者が女性の場合は婚姻の有無や年齢、外見などへの要求が厳しいとされている<ref name="China"/>。
===韓国===
祖先祭祀の方法などが女性差別的であるという意見がある<ref>2006年4月3日付[[しんぶん赤旗]]</ref>。


求人の際に女性は「未婚のみ」と条件が付けられることが行われている<ref name="20080411nikkeibo">遠藤誉「第5回 <A女>の影に潜む「隠婚族」の女たち 「仕事にマイナスになるから」結婚をひた隠す」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年4月11日付配信</ref>。また、「隠婚族」という言葉がある<ref name="20080411nikkeibo"/>。
また、[[未亡人]]や離婚した女性への差別は、先進国や[[アラブ諸国]]と比べても、韓国はひどいという調査がある<ref>「未亡人・離婚女性への差別、韓国が最も過酷」『中央日報』2008年6月25日付配信</ref>。


===ロシア===
== 著名人の女性差別発言・行動 ==
[[ロシア連邦]]では労働法により、船長、列車やトラックの運転手、大工、潜水士など38業界、456種類の専門職に女性が就くことを禁止している。旧[[ソビエト連邦]]以来、こうした職業に伴う危険や健康リスクから女性を保護するための規制とされているが、不満を抱いて訴訟を起こす女性もいる<ref>[http://www.amnesty.or.jp/news/2017/0909_7045.html ロシア連邦:雇用差別と闘う女性航海士][[アムネスティ]]国際事務局(2017年9月9日)</ref><ref>[https://www.nna.jp/news/show/71043 ロシアの女性、456職種で就業制限=世銀調査][[エヌ・エヌ・エー|NNAアジア経済ニュース]](2015年9月15日)</ref>。
*[[石原慎太郎]](現[[東京都知事]])「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」(2001年11月)<ref>
[http://homepage3.nifty.com/hanishihara/ 「石原発言に怒る会」(石原裁判原告団)ホームページ]</ref>
:→都知事側があくまでも発言の非を認めない態度に終始したため、原告113名が慰謝料を求めて損害賠償請求訴訟を提起したが、[[裁判所]]は発言の違法性と不適切性は認めたものの、都知事の発言は女性全体への[[侮辱]]にすぎず、原告ら個々人の名誉を傷つけたものではないとして請求を棄却している。尚「[[おばあさん仮説]]」に基づいた発言であるが、実態は全く異なる。[[ババア発言|石原慎太郎東京都知事「ババァ発言」事件]]も参照。
*[[柳澤伯夫]](元[[厚生労働大臣]])「女性の数は決まっている。(機械と言っちゃ申し訳ないけど)産む[[機械]]、[[装置]]の数は決まっているから、あとは一人頭でがんばってもらうしかない」(2007年1月)


== 脚注 ==
=== ヨーロッパ ===
[[イスラム教徒|イスラム教信者]][[移民]]が増えた結果、「[[処女]]でないことを理由とした[[結婚]]の無効」など従来の欧州の[[価値観]]からみて女性差別と指摘され問題が起こった<ref name="20080609sankei">山口昌子「【緯度経度】「処女性」は結婚の条件?」『産経新聞』産経新聞社、2008年6月9日付配信</ref>。{{see also|イスラームと女性}}
<div class="references-small"><references/></div>


もっとも、[[キリスト教]]もまた、本来強烈な[[男尊女卑]]を教義の中核に置いていたことが指摘されている<ref>{{Cite web|date=2021-04-25|url=https://domei-nakahara.com/2021/04/25/男と女について第一コリント11章2~16節/|title=男と女について|publisher=中原キリスト教会|accessdate=2023-09-20}}</ref><ref>松本暉男『近代日本における家族法の展開』弘文堂、1975年、169-171頁、中村敏子『女性差別はどう作られてきたか』集英社〈集英社新書〉、2021年p. 21-29</ref>。聖書上の根拠としては、[[コリントの信徒への手紙一]]11章9節、[[エフェソの信徒への手紙]]5章22節などが知られる<ref>栗生武夫『婚姻立法における二主義の抗争』弘文堂書房、1928年、32頁</ref>。特に[[1804年]]の[[フランス民法]]典婚姻法はキリスト教的男尊女卑の典型的な現れであった<ref>栗生武夫『[{{NDLDC|1272589|32}} 婚姻立法における二主義の抗争]』弘文堂書房、1928年、34頁</ref>。[[フランス革命]]政府が女性の権利を著しく制限していると批判した[[オランプ・ド・グージュ]]は1793年に処刑され、女性の参政権は20世紀中葉まで拒否され続けた<ref>[[辻村みよ子]]・齊藤笑美子『ジェンダー平等を実現する法と政治 フランスのパリテ法から学ぶ日本の課題』花伝社、2023年20-22頁</ref>。現在では改正されたものの、[[フランス法]]の男尊女卑は[[21世紀]]のフランス社会になお影響を残していると言われている<ref>"[https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ab05eb2178483336670d5889a25078338140ae04 2日に一人の割合で女性が配偶者に殺される国フランス]"、[[Yahoo!ニュース]]2019年12月6日、2023年8月10日閲覧</ref>。
== 外部リンク ==

*[http://www.ajwrc.org/jp/ アジア女性資料センター - 国境を越えてともに行動する女性たちのエンパワメントのために]
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
52行目: 57行目:
* [[女人禁制]]
* [[女人禁制]]
* [[性差別]]
* [[性差別]]
** [[男尊女卑]]
** [[男性差別]]
** [[男性差別]]
** [[間接差別]]
** [[間接差別]]
* [[男女同権]]
* [[男女同権]]
* [[男女共同参画社会]]
* [[男女共同参画社会]]
* [[夫婦別姓]]
* [[世界女性会議]]
* [[世界女性会議]]
* [[国際女性デー]]
* [[国際女性デー]]
* [[女性学]]
{{multicol-break}}
{{multicol-break}}
* [[女性参政権]]
* [[女性参政権]]
68行目: 72行目:
* [[女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約]](女子差別撤廃条約)
* [[女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約]](女子差別撤廃条約)
{{multicol-break}}
{{multicol-break}}
* [[ミニズム]] - [[ェミニズム]]
* [[ンダー]][[ジェンダーリー]]
** [[弱者男性]]
* [[ジェンダー]]
** [[ジェンダーフリー]]
* [[ミソジニー]]
* [[ミソジニー]]
* [[ルッキズム]]
* [[セクシャルハラスメント]]
* [[セクシャルハラスメント]]
* [[ドメスティックバイオレンス]]
* [[ドメスティックバイオレンス]]
* [[育児休暇]]
* [[育児休暇]]
* [[姦通罪]]
* [[ピンク税]]

{{multicol-end}}
{{multicol-end}}
{{フェミニズム}}

{{嫌がらせ}}
{{嫌がらせ}}


{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:しよせいさへつ}}
{{DEFAULTSORT:しよせいさへつ}}
[[Category:ジェンダー]]
[[Category:ミソー]]
[[Category:性差別]]
[[Category:性差別]]
[[Category:女性]]
{{Socprb-stub}}
[[Category:女性学]]

[[de:Misogynie]]
[[en:Misogyny]]
[[es:Misoginia]]
[[fi:Naisviha]]
[[fr:Misogynie]]
[[it:Misoginia]]
[[nl:Misogynie]]
[[tr:Kadın düşmanlığı]]
[[zh:女性貶抑]]

2024年8月10日 (土) 19:03時点における最新版

女性差別(じょせいさべつ)とは、女性に対する性差別である。男尊女卑(だんそんじょひ)とも呼ばれる。対義語は男性差別という。女性差別撤廃を目指す思想や運動をフェミニズムという。

事例

[編集]

日本

[編集]

日本は、男女格差が世界で最も大きい国の一つとされ、世界経済フォーラムが世界男女格差レポートにて公表しているジェンダー・ギャップ指数ではG7で最下位、G20サウジアラビアトルコに次いでワースト3位である[1][注釈 1]

日本の女性労働者の待遇改善問題は、裁判所による政策形成の歴史とも重なる。すなわち、行政府が男女の雇用機会均等に向けて動かない中で、裁判所が判例を通じて性差別を是正していった事例として挙げられる[3]

司法による格差是正の動きは、1950年代後半から1960年代に始まった。当時、労働に関する法令としては労働基準法があったが、労働基準法は賃金について女性を理由とした差別を禁止していたのみであり、採用や解雇(例えば、当時は女性の早期退職は社会では当然の慣行となっていた)といった、その他の労働面における差別を訴える法律が存在しなかった。そして、賃金についても、企業は女性を男性と異なる職に就けることによって、差別化を行っていた[3]

こうした状況の中、まず日本国憲法第14条法の下の平等)を理由とした格差是正が試みられた。しかし、私人間効力がない(私人間には憲法が直接は適用されない)ことを理由にこの動きは失敗した[3]。ところが、裁判所は1966年の住友セメント事件民法90条(公序良俗違反私人間効力の間接効力を参照)を利用することによってこの状況を打破した[3]。この動きは全国に広がり、各地の裁判所で民法90条を使用して女性の早期退職、結婚退職、出産退職が是正されていった[3]。国会で男女雇用機会均等法を制定したのは、1985年のことであった[3]

女性労働問題については、パート労働者の待遇改善の歴史とも重なる。非正規雇用を参照されたい[4]

以下では、日本における事例を挙げる。なお、戦前においては、参政権や教育を受ける権利も議論となっていた。戦後においても、差別を助長する服装指導、頭髪指導を実施している中学校高等学校も存在する。女性参政権男女共学性差別なども参照。

韓国

[編集]

祖先祭祀の方法などが女性差別的であるという意見がある[16]

また、未亡人離婚した女性への差別は、先進国アラブ諸国と比べても、韓国は著しいという調査がある[17]

中国

[編集]

ニューヨーク・タイムズは、中国女性の社会的地位についての記事を掲載し、中国における職場や家庭内での性差別、愛人などの横行が、女性の選択余地のなさを反映していると指摘した[18]

ChinaHR.comが行ったアンケートによると、6割近い女性が求職中に企業側から性差別を受けたことがあり、この割合は男性求職者をはるかに超えるという。そのほか、求職者が女性の場合は婚姻の有無や年齢、外見などへの要求が厳しいとされている[18]

求人の際に女性は「未婚のみ」と条件が付けられることが行われている[19]。また、「隠婚族」という言葉がある[19]

ロシア

[編集]

ロシア連邦では労働法により、船長、列車やトラックの運転手、大工、潜水士など38業界、456種類の専門職に女性が就くことを禁止している。旧ソビエト連邦以来、こうした職業に伴う危険や健康リスクから女性を保護するための規制とされているが、不満を抱いて訴訟を起こす女性もいる[20][21]

ヨーロッパ

[編集]

イスラム教信者移民が増えた結果、「処女でないことを理由とした結婚の無効」など従来の欧州の価値観からみて女性差別と指摘される問題が起こった[22]

もっとも、キリスト教もまた、本来強烈な男尊女卑を教義の中核に置いていたことが指摘されている[23][24]。聖書上の根拠としては、コリントの信徒への手紙一11章9節、エフェソの信徒への手紙5章22節などが知られる[25]。特に1804年フランス民法典婚姻法はキリスト教的男尊女卑の典型的な現れであった[26]フランス革命政府が女性の権利を著しく制限していると批判したオランプ・ド・グージュは1793年に処刑され、女性の参政権は20世紀中葉まで拒否され続けた[27]。現在では改正されたものの、フランス法の男尊女卑は21世紀のフランス社会になお影響を残していると言われている[28]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ただし、立教大学本川裕は、日本の女性の幸福度が男性を上回る程度が世界最高峰にあることを看過しており、ミスリーディングだとしている[2]

出典

[編集]
  1. ^ 男性を「ソクラテスみたい」と褒めるべし 日本の女性誌の助言に冷笑 AFP BB NEWS 2019年12月5日
  2. ^ 本川裕世界120位「女性がひどく差別される国・日本」で男より女の幸福感が高いというアイロニー PRESIDENT Online 2021年4月7日、2023年8月10日閲覧
  3. ^ a b c d e f 『裁判と社会―司法の「常識」再考』著:ダニエル・H・フット 訳:溜箭将之 NTT出版 2006年10月 ISBN 9784757140950
  4. ^ 水町勇一郎『均等待遇の国際比較とパート活用の鍵―ヨーロッパ、アメリカ、そして日本』2004年10月、独立行政法人 労働政策研究・研修機構
  5. ^ 参議院会議録情報
  6. ^ 平成26年(2014)人口動態統計の年間推計、厚生労働省
  7. ^ a b 提言 男女共同参画社会の形成に向けた民法改正 日本学術会議
  8. ^ a b 「選択的夫婦別姓・婚外子の相続分差別 Q&A」日本弁護士連合会
  9. ^ 「原告『女性を間接差別』 国側『同姓は広く浸透』夫婦別姓認めぬ規定、最高裁で弁論」、日経新聞、2015年11月5日
  10. ^ 民法改正を考える会、「よくわかる民法改正」、朝陽会
  11. ^ a b 上告理由書、平成26年(ネオ)第309号上告提起事件、2014年6月4日
  12. ^ a b 「『夫婦同姓強制は合憲』判決はなぜ『鈍感』か?」、HUFF POST SOCIETY、2015年12月24日。
  13. ^ 「『再婚禁止と夫婦別姓規定』最高裁判決に注目集まる 憲法を軽視してきた永田町の『非常識』」、Business Journal、2015年11月13日
  14. ^ "Japan upholds rule that married couples must have same surname ", The Guardian, December 16, 2015.
  15. ^ 「選択的夫婦別姓 国民的議論を深めよう」、日本農業新聞、2015年12月24日。
  16. ^ 2006年4月3日付しんぶん赤旗
  17. ^ 「未亡人・離婚女性への差別、韓国が最も過酷」『中央日報』2008年6月25日付配信
  18. ^ a b 困惑する中国女性 増える性差別=ニューヨーク・タイムズ紙 大紀元 2010年12月9日
  19. ^ a b 遠藤誉「第5回 <A女>の影に潜む「隠婚族」の女たち 「仕事にマイナスになるから」結婚をひた隠す」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年4月11日付配信
  20. ^ ロシア連邦:雇用差別と闘う女性航海士アムネスティ国際事務局(2017年9月9日)
  21. ^ ロシアの女性、456職種で就業制限=世銀調査NNAアジア経済ニュース(2015年9月15日)
  22. ^ 山口昌子「【緯度経度】「処女性」は結婚の条件?」『産経新聞』産経新聞社、2008年6月9日付配信
  23. ^ 男と女について”. 中原キリスト教会 (2021年4月25日). 2023年9月20日閲覧。
  24. ^ 松本暉男『近代日本における家族法の展開』弘文堂、1975年、169-171頁、中村敏子『女性差別はどう作られてきたか』集英社〈集英社新書〉、2021年p. 21-29
  25. ^ 栗生武夫『婚姻立法における二主義の抗争』弘文堂書房、1928年、32頁
  26. ^ 栗生武夫『婚姻立法における二主義の抗争』弘文堂書房、1928年、34頁
  27. ^ 辻村みよ子・齊藤笑美子『ジェンダー平等を実現する法と政治 フランスのパリテ法から学ぶ日本の課題』花伝社、2023年20-22頁
  28. ^ "2日に一人の割合で女性が配偶者に殺される国フランス"、Yahoo!ニュース2019年12月6日、2023年8月10日閲覧

関連項目

[編集]