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{{Redirect|色彩|[[坂本真綾]]の楽曲|幸せについて私が知っている5つの方法/色彩}} |
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{{Redirect|色彩}} |
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[[File:HLSColorSpace.png|thumb|220px|[[色相環]]]] |
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{{色}} |
{{色}} |
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'''色'''(いろ)は、[[可視光]]の組成の差によって[[クオリア|感覚質の差]]<!-- クオリアとはしない -->が認められる視知覚である色知覚、および、色知覚を起こす刺激である色刺激を指す<ref name=chijiiwa>『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会</ref>。 |
'''色'''(いろ、{{Lang-en|color}})は、[[可視光]]の組成の差によって[[クオリア|感覚質の差]]<!-- クオリアとはしない -->が認められる視知覚である色知覚、および、色知覚を起こす刺激である色刺激を指す<ref name="chijiiwa">『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会</ref>。 |
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色の認識には、光源・物体・視覚の三要素が必要である<ref>{{Cite book |和書 |author=松本 英恵|year=2019 |title=人を動かす「色」の科学|publisher=サイエンス・アイ新書|pages=21}}</ref>。 |
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[[色覚]]は、目を[[受容器]]とする[[感覚]]である[[視覚]]の[[機能]]のひとつであり、色刺激に由来する知覚である色知覚を司る。色知覚は、[[質量]]や[[体積]]のような機械的な[[物理量]]ではなく、[[音の大きさ]]のような[[心理物理量]]である。例えば、物理的な対応物が擬似的に存在しないのに色を知覚する例として、[[ベンハムの独楽]]がある。同一の色刺激であっても同一の色知覚が成立するとは限らず、前後の知覚や観測者の状態によって、結果は異なる。 |
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色と光に何らかの関係があることは古くから知られており、[[アリストテレス]]は「色は光と闇、白と黒の間から生じる」と述べている<ref name="matsumoto20">{{Cite book |和書 |author=松本 英恵|year=2019 |title=人を動かす「色」の科学|publisher=サイエンス・アイ新書|pages=20}}</ref>。しかし、色の本質が明らかになるのは20世紀になってからである<ref name="matsumoto20" />。現代科学では色は目の前にあるというより色彩の認識として存在すると考えられている<ref name="matsumoto20" />。 |
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類語に'''色彩'''(しきさい)があり、[[日本工業規格]]<ref group="注">JIS Z 8105 1961</ref> においては色と同義語である<ref>『新編色彩科学ハンドブック』日本色彩学会 東京大学出版会</ref>ものの、彩り、傾向などを指す語として知られる<ref>『広辞苑 第六版』岩波書店</ref><ref group="注">他方で、[[日置隆一]]は『新編色彩科学ハンドブック』において、「[[物体]]という[[概念]]が付随」すると主張している。</ref> ことから、日常語のみならず、色を狭義に捉えようとする、[[科学]]、[[工業]]などの[[文脈]]においても広く色の語が用いられている<ref group="注">『新編色彩科学ハンドブック』などの参考文献を参照。ただし、著書の表題のように例外もある。</ref>。 |
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[[色覚]]は、目を[[受容器]]とする[[感覚]]である[[視覚]]の[[機能]]のひとつであり、色刺激に由来する知覚である色知覚を司る。色知覚は、[[質量]]や[[体積]]のような機械的な[[物理量]]ではなく、[[音の大きさ]]のような[[心理物理量]]である。例えば、物理的な対応物が擬似的に存在しないのに色を知覚する例として、[[ベンハムの独楽]]がある。同一の色刺激であっても同一の色知覚が成立するとは限らず、前後の知覚や観測者の状態によって、結果は異なる。 |
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== 色と色覚 == |
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[[ファイル:CRT phosphors.png|right|thumb|320px|赤・緑・青の[[蛍光]]物質の発光スペクトル。カラー[[ブラウン管]]の「加法三原色」(additive primary colors) に使われているもの]] |
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[[ファイル:Spectrum4websiteEval.png|thumb|320px|[[スペクトル]]([[色収差]])]] |
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[[物理学]]的には、[[光学]]を基礎とし、色の変化は、物体と物体を照らす光との相関を用いて説明される。物体に[[入射]]する何らかの波長の光が観測者の方向へ[[反射]]([[鏡面反射|正反射]]・[[拡散反射|乱反射]]を含む)する際に、その物体の[[物性]]に応じた特定の波長のみが反射されそれ以外は[[吸光|吸収]]される(=波長に応じ[[反射率]]が異なる)という現象が起こる。観測者には反射された光だけが届くため、その波長に基づき判断される色が、「その物体の色」として認識される(つまり、光そのものに色という性質はなく、光を受けた[[器官]]が色を作っている)。 |
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== 色の様相 == |
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またそのように観測者に届く光とそれに対する認識とに左右されるため、一般的な色は、人間の[[視覚]]即ち[[可視光線]]の範囲内を基準として表現されている。逆に言えば、可視光線の範囲を超えた波長の光について観測すると、可視光域で見た場合に比べて全く別の「色」や模様になっている物体もある。例えば[[チョウ]]の羽根の模様は[[紫外線]]領域では人の肉眼で見る場合とはまた異なる鮮やかな模様を描き出し、真っ黒に焼け焦げた[[新聞紙]]などは[[赤外線]]領域のある波長では燃えた紙とインクが燃えた部分とで反射率が異なるため書かれていた元の内容を読むことが出来る。 |
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=== 色の分類 === |
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==== 物理学上の分類 ==== |
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色は物理学上では光源色と物体色に大きく分けられる<ref name="matsumoto26">{{Cite book |和書 |author=松本 英恵|year=2019 |title=人を動かす「色」の科学|publisher=サイエンス・アイ新書|page=26}}</ref>。 |
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; 光源色 |
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: 太陽や電球、ネオンサインなどのように光源が発する光の色のことを光源色という<ref name="matsumoto26" />。 |
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; 物体色 |
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: 物体に光を当てた時に認識できるその物の色のことを物体色という<ref name="matsumoto26" />。物体色には表面色(反射色)と透過色がある。表面色(反射色)は[[リンゴ]]の表面の赤色のように物体に光が当たった際に特定の波長の光のみが反射されることでもたらされる(白の場合はすべての光を反射し、黒の場合はすべての光を吸収する)<ref name="matsumoto26" />。透過色は[[メロンソーダ]]の緑色のように半透明の物体を光が通過する際に吸収されずに透過した特定の波長の光によってもたらされる<ref name="matsumoto26" />。 |
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==== 色彩学上の分類 ==== |
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[[生理学]]的に言うと、[[網膜]]内にある3種類の[[錐体細胞]]が吸収する可視光線の割合が色の感覚を生む。これらの錐体細胞は、それぞれ長波長・中波長・短波長に最も反応する[[タンパク質]](オプシンタンパク質)を含み、順に'''L錐体・M錐体・S錐体'''と呼ばれる。[[霊長類]]におけるL錐体とM錐体はかつて2種類だった色刺激の受容器の片方が[[進化]]の過程で分岐したものであるとされており、分光感度特性が近い。錐体が3種類あることはそのまま3種の波長特性を構成する元となるので、'''L , M , S '''の各錐体を'''赤・緑・青'''でなぞらえることもある。 |
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炎や電球が写り込んだ写真では実際にそこから光を放射しているように見えるなど、実際の色の認識は光源色と物体色では説明できないことが知られている<ref name="matsumoto30">{{Cite book |和書 |author=松本 英恵|year=2019 |title=人を動かす「色」の科学|publisher=サイエンス・アイ新書|page=30}}</ref>。そのため色彩学では面色と表面色という色の見え方の違いが重要とされている<ref name="matsumoto30" />。 |
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; 面色 |
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: 視界に入る一面が青空のときのように位置関係や距離が不明瞭で奥行きのない二次元の色の見え方<ref name="matsumoto30" />。 |
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; 表面色 |
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: 通常、物体の表面に現れているもので位置関係や距離などが明瞭に認識できる色の見え方<ref name="matsumoto30" />。 |
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ある人が視覚を通して受け取る光の波長が変化すると、それに伴って変化する視覚経験の内容が色であると言える。ただし、正常の色覚を持つ者以外に、正常の色覚をもつ人と色知覚が部分的に整合しない人([[色覚異常]]<ref group="注">錐体細胞の数が健常者よりも少ないために色が異なって見える。</ref>)、[[色覚異常#先天色覚異常の分類のまとめ|1色覚]](全色盲)や[[全盲]]など色覚を持たない人もいるため、この事例にも例外がある。しかしながらこの事態に限っては、色覚特性があっても知覚可能な波長にあっては事情は同様である。また、1色覚であっても、波長の長短の知覚が成立する場合があり、どちらかといえば長波長を好む傾向がある。 |
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無色の紙のように、全波長において高い反射率で乱反射する物体は白と呼ばれる。一方、全波長において反射がほとんど無い場合、その色は黒と呼ばれる。完全な[[黒体]]は、例えば中空の物体に微小な開口部を設けることで実現できる。この場合、中空の部分に入った光はほとんど吸収され外に出てこないので、反射率はほぼゼロになる。 |
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=== 色にまつわる見解 === |
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色を説明する場合に、様々な色彩理論を[[集合]]的に概説する場合がある。代表的なものに三原色と反対色性がある。色彩にまつわる現象は様々あり、[[照度]]や[[輝度]]、[[反射率]]の変化に従って、見える色も変化する。[[ベツォルト・ブリュッケ現象]]や[[アブニーシフト]]など様々な見解が知られている。 |
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==== 三種の錐体細胞と三原色 ==== |
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[[ファイル:Cone-response.png|thumb|320px|人間の[[錐体細胞]] (S, M, L) と[[桿体細胞]] (R) が含む視物質の吸収スペクトル]] |
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人間の視覚が色を認識する際には、その光の分光分布を直接計っているのではなく、[[眼球]]の[[錐体細胞]]に含まれる3つの色素が光を吸収する割合を計っているに過ぎない。そのため、独立した複数の色を合成する事で人間に別の色を感じさせる事ができる。 |
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例えば、黄の波長の光は、赤の波長の光と緑の波長の光の組み合わせによってほぼ同じ刺激を与えることが可能であり、黄は赤と緑の組み合わせの光として表現出来る。そしてこの場合、黄の波長だけが眼球に入っている場合と、赤の波長と緑の波長が組み合わされて眼球に入っている場合を人間は区別できない。 |
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[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]、[[印刷]]、[[絵具]]など、色を表現する[[メディア]]は様々である。これらを[[光源]]、若しくは、透過光及び反射光に着眼して分類した場合、特徴的な色の傾向が異なる。これを便宜的に色に着眼してグルーピングして、[[加法混合]]と[[減法混合]]、[[RGBW]]と[[CMYK]]、[[RGB]]と[[CMY]]など、いくつかに分けて説明する場合がある。 |
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原色はどの色なのかと問う人がいるが、実際に選択される[[塗料]]や[[インク]]、あるいは[[カラーフィルター]]その他が形成する「原色」の色合いが、常に特別に優越される色合いだという訳ではない。減法混合においては彩度が高い状態において明るいものにある種の優位性が伴う。効果的に色を表現できる着色材料は重宝されるが、一定の方向性、共通性はあってもその色相や色調は一致しない。原色の説明はあくまで単純化された抽象論に過ぎない。その上、理想的な原色は実在しない。 |
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==== 色の混合 ==== |
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ここで挙げるのはあくまで、一般的な色覚を持つ人間を基準にした色の混合の様態である。二色型の色覚を持つ人は、2つの完全な[[原色]]<ref group="注">ただし、完全な原色は実在しない。</ref>でその人が知覚可能な全ての色を合成することができると考えられており、4つないしそれ以上の錐体(もしくはそれに相当するもの)を持つ生物にとっては、4つないしそれ以上の「原色」が必要になる。また、[[ヘビ]]の赤外線検知器であるピットの情報は脳の視覚野に入っており、視覚情報として処理されていることが証明されている。つまり、ピットを持つヘビ([[マムシ]]など)にとっては温度情報もまた原色の一つであろう。人間は[[偏光]]を[[ハイディンガーのブラシ]]と呼ばれる現象を除いてほとんど知覚できないが、水中生物の一部や[[昆虫]]など、知覚できる生物が存在する。それらは透明なものを偏光の回転程度の違いにより見ることができたり、曇り空でも太陽の正確な方向がわかると考えられている。そのような生物には、人間が実際の色に近いと判断する写真も、実物と明らかに異なる色合いに見えると考えられる。 |
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===== 加法混合 ===== |
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[[ファイル:AdditiveColorMixiing.svg|thumb|200px|[[色光の三原色]]による[[加法混合]]]] |
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有色の光線によって色を演出する場合、光を加える形で色を合成する([[加法混合]])。このとき、積極的な発光によらない、黒さ(暗さ)を表現できる仕組みが求められる。この結果、効率的に光の透過を抑えることが出来る[[塩素]]を含む顔料が採用される場合が多くなる。 |
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白色の光を合成するための波長を「'''光の三原色'''」や「'''色光の三原色'''」と言い、下記の三色を用いる。カラーフィルターを用いる場合に採用される[[顔料]]の一例を上げると、赤がPigment Red 254に少量のPigment Orange 71、緑がPigment Green 36に少量のPigment Yellow 138、青がPigment Blue 15:6に少量のPigment Violet 23、などである。これはあくまで例であり、これ以外の顔料の組み合わせは使用されている。以前は「橙」「緑」「紫」の組み合わせも試みられたが成功しなかった。カラーフィルターのスペクトルは下記の波長とは性格が異なり、一致しない。 |
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* {{Color|red|■}} [[赤]](波長: 625-740 [[ナノメートル|nm]] [[周波数]]: 405-480 [[テラヘルツ|THz]]) |
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* {{Color|#00FF00|■}} [[緑]](波長: 500-565 nm 周波数: 530-600 THz) |
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* {{Color|blue|■}} [[青]](波長: 450-485 nm 周波数: 620-665 THz) |
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===== 減法混合 ===== |
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[[ファイル:SubtractiveColorMixing2.png|thumb|200px|[[色料の三原色]]による[[減法混合]]]] |
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一方、物体の表面を'''特定の色'''にするために[[インク]]等を塗る場合、元の光を遮る形で色を合成する([[減法混合]])。その合成の元になる色は一般に「'''色の三原色'''」や「'''色料の三原色'''」と言われ、[[シアン]]、[[マゼンタ]]、[[イエロー]]の三色(下掲)を用いる。この三つの材料を混合すれば、光の三原色の場合と反対に黒を作ることが出来る。しかし、この三色によって白を構成することは出来ない。 |
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故に、[[印刷]]等に用いる場合には白色素材の表面に使用することが前提となる上、白色の併用が必要になる場合もある。また、透明性の高い着色材(colorant)を使用しても、三原色の重ねや混合で成立する黒は理想とは異なり、純黒にはならない。このため、より自然に色を現す目的で黒色の着色材が併用され、これは一般に[[CMYK]](Cyan, Magenta, Yellow, Key plate) と呼ばれる。 |
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* {{Color|#00AEEF|■}}[[シアン (色)|シアン]] (緑味の青、藍)(例えば、[[フタロシアニン]]青、Pigment Blue 15:3) |
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* {{Color|#EC008C|■}}[[マゼンタ]](赤紫、紅)(例えば、[[キナクリドン]]赤、Pigment Red 122<ref group="注">印刷技術で多用されるアゾ赤よりも色相的にマゼンタに近い。出典 :『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5</ref>) |
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* {{Color|#FFF200|■}}[[黄色|イエロー]](黄) (例えば、[[アゾ]]黄、Pigment Yellow 74やPigment Yellow 128など<ref>[http://www.dic-global.com/ja/r_and_d/review/pdf/dic_r_and_d_2002_review03.pdf インクジェット用顔料インキにおける顔料分散]</ref>) |
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==== 反対色性 ==== |
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光の混合においては、橙と[[青]]によって[[マゼンタ]]などの[[紫]]の色相が得られ、橙と[[緑]]を混ぜると[[黄色|黄]]の色相を得ることが可能である。<!--色彩と色相を区別-->このとき、紫には元の赤味も青味もあるが、黄においてこの印象は寡少である。黄には元の色彩(赤、緑)がないと主張する人がいる。しかし、現実に得られる黄は赤気味であったり、緑気味であったりする。赤気味でも緑気味でもない「理想の黄」が現実に得られるとは断言できない。また、黄と青から白を作る場合も、元の色味が極度に減少する。このような色味を打ち消しあう性質を'''反対色性'''、色自体についてはもう一方の色の[[反対色]]、[[補色]]という。ただし補色という語は厳密な反対色を意味しない場合が多い。 |
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反対色性は網膜から大脳へ効率的に色情報を伝達しようとするために生じると考えられている。なぜなら、それぞれの色は錐体応答間でも高い相関があるからである。そのため、相関が低くなるよう線形変換し、冗長性を低減している。 |
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=== 色覚の認知と比較 === |
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同一の[[個体]]の色覚は、ふつう安定していると考えられている。光源が多少変化しても同じ物体の色が同様に見えるのは、色覚の恒常性があるからである。 |
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複数の個体間で知覚される色がどのような色であるかを直接すり合わせることは出来ないが、人間同士であれば[[言語]]や[[カラーチャート]]を用いて[[情報交換]]することが可能である。他方で、人間が様々な生物の色覚を知ろうとする試みがあり、色覚の有無や性質が研究されている。 |
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==== 色覚の恒常性 ==== |
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人間が光線の波長そのものを知覚しているのではなく三種類の錐体の出力比を知覚していることを述べた。これだけでは例えば、極端に黄色い照明の下では全てのものが黄色く見えてしまうはずだが、実際には色味のある照明の下でもその照明に支配されない認識が得られる。これを色覚の恒常性という。 |
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人間の視覚には慣れや知識などによる補正があり、多少の光源の色度の違いは補正される。このため昼と夕方とでは日光の波長分布が違うにもかかわらず、物体は同じ色に見える。[[太陽光]]と異なる波長分布を持つ照明下でも「白色」のものは白色と感じられる。例えば、「[[白熱灯]]」の波長分布はその名に反してかなり赤に偏っているが、その照明下でも白い紙は白く見える。周囲の色々なものの見え方からそのときの照明条件を推定し、その推定に従って色の見え方を補正していると考えられる<ref>[http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/25-7/index-25-7.html 色の恒常性 - 脳の世界:京都大学霊長類研究所・行動発現分野(旧URL)]<br />[http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/25-7/index-25-7.html 色の恒常性 - 脳の世界:中部学院大学 三上章允(新URL)]</ref>。 |
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太陽光と同じ波長分布の光が最も自然な白色とされるが、それより青成分の強い光を「爽やかな白」と感じる人が多い。故に多くの[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]上に表現される白色は純白より青味が強い色になっている。そのような青味の白も極端でなければ、日常的に白を吟味していないような多くの人の眼には「青」でなく「爽やかな白」と感じられる。 |
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夜間など十分な光の得られない環境では、錐体の機能、特にL錐体の機能が低下する。そのため夜間には赤と黒の識別が困難になるのだが、そのような環境にあっても赤色であると知っているものは赤く見える場合がある。例えば、黒く塗った林檎を暗い環境下で見せると赤く見える、といったことが起こる。 |
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太陽光線の波長分布は季節や時刻によって異なる。また、周囲に反射した光によっても影響される。例えば周りが青い物ばかりならば反射光によって環境光は青さが増す。だが、周囲の色に引きずられて物の色が違って見えては困るであろう。色の恒常性は、そのような場合でも出来るだけ一定の色覚を保つために発達したとの考えは、ある自然さを持っている。ただし、この補正にも限度があり、極端に偏った波長分布では補正しきれない。 |
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==== 色覚の共有 ==== |
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同じ組成の光を受けた場合でも、それをどのように知覚するかは人それぞれの目と脳の相関関係によって異なるので、複数の人間が全く同一の色覚を共有しているわけではない。同様に、ある人が同じ物を見ても右目と左目では角度や距離が異なり、見えた色も一致しない。他者の色知覚を経験する手段は存在せず、同一の色知覚を共有することも不可能である。 |
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また、知覚した色をどのような色名で呼ぶかは学習によって決定される事柄であり、例えば緑色を見て二人の人間が異なる知覚を得たとしても、二人ともそれを「緑」と呼ぶので、色覚の違いは表面化しない。 |
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色覚の違いが表面化するのは、複数の色の区別に困難が生じるなどの場合である。大多数の人間とはっきり異なる判断をおこすものの[[色覚特性]]を指して、その生理については[[色覚異常]]、機能については[[色覚障害]]と呼ぶ。 |
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いわゆる[[バリアフリー]]と呼ばれる動向において、色覚異常の者に対する配慮が必要であるという意見がある。他方で、眼科学においては、1型色覚および2型色覚に代表される多くのケースでは、日常生活に大きな支障をきたしていないという考え方が定説とされている<ref>[http://www.skk-health.net/me/13 目と健康 No,13 特集:色覚の異常]</ref>。 |
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[[標準化団体 (コンピュータと通信)|標準化団体]]である[[World Wide Web Consortium|W3C]] は、[[HyperText Markup Language|HTML]] の色使いは色覚異常に配慮したコントラストを保つべきだとして綱領を出している<ref>[http://www.kanzaki.com/docs/html/color-check 色の組み合わせチェック - 読みやすい前景色と背景色]</ref>。HTML は 16,777,216 色(2<sup>3×8</sup> 色)が表現出来るが、環境に依って見え方は左右される。256 色環境で [[Microsoft Windows|Windows]] と [[Macintosh]] に共通する 216 色(6<sup>3</sup> 色)の事を[[ウェブカラー]]と言い、この 216 色は見え方が環境の違いに左右され難いため、使用が推奨されている。 |
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==== 様々な生物の色覚 ==== |
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===== 脊椎動物 ===== |
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[[脊椎動物]]には、色覚を持つものが多いが、色覚が弱いものや、全く持たないものも少なくない。[[脊椎動物]]の[[色覚]]は、[[網膜]]の中にどのタイプの[[錐体細胞]]を持つかによって決まる。[[魚類]]、[[両生類]]、[[爬虫類]]、[[鳥類]]には4タイプの錐体細胞を持つものが多い([[4色型色覚]])。よってこれらの生物は長波長域から短波長域である近紫外線までの色を認識できるものと考えられている<ref name=nig/>。 |
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; [[哺乳類]] |
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: 2億2500万年前に最古の[[哺乳類]]の[[アデロバシレウス]]が出現した。哺乳類の多くは2色型色覚か、色覚を持たない(実は色覚を持っているがその感度が低い)というものも多い。哺乳類の祖先である古代の爬虫類は4色型であったが、[[中生代]]の哺乳類は夜や暗い所で活動することが主であったため、わずかな光でも見えるよう[[桿体細胞]]が発達し、その代わりに2色型色覚になったり、色覚そのものを失ったとされる。従来、[[偶蹄目]]([[ウシ]]、[[イノシシ]]など)は色盲とされていたが、現在では2色型色覚を持つことが判明している。もっとも、2色型なので赤から緑にかけての色を見分けるのは難しいようである。また、[[食肉目]]([[ネコ]]、[[イヌ]]など)も同様に色覚を持つことが近年分かったが、その感度が弱いためにあまり利用されてはいないと考えられている。 |
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: [[霊長類]]の[[狭鼻下目]]([[ヒト]]のほか、[[チンパンジー]]、[[オランウータン]]、[[ニホンザル]]などを含む)が[[広鼻下目]]から分岐したのは3000-4000万年前と言われている<ref name=kyoto>三上章允[http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/official/tokyo2004/mikami.pdf 霊長類の色覚と進化]2004年9月18日。[http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/official/tokyo2004/ 京都大学霊長類研究所 東京公開講座「遺伝子から社会まで」]のレジュメ</ref><ref>Surridge et al. Trends Ecol. Evol. 18, 198-205, 2003</ref>。ほとんどの[[哺乳類]]は錐体細胞を2タイプ([[2色型色覚]])しか持たない。哺乳類の祖先は4タイプ全ての錐体細胞を持っていたが、初期の哺乳類は主に夜行性であったため、色覚は生存に必須ではなかった。結果、4タイプのうち2タイプの錐体細胞を失い、青を中心に感知するS錐体と赤を中心に感知するL錐体の2錐体のみを保有するに至った。これは赤と緑を十分に区別できないいわゆる「赤緑色盲」の状態である。[[ヒト]]を含む[[旧世界]]の[[霊長類]]([[狭鼻下目]])の祖先は、約3000万年前、[[X染色体]]にL錐体から変異した緑を中心に感知する新たなタイプの錐体(M錐体)視物質の遺伝子が出現し、X染色体を2本持つメスのみの一部が3色型色覚を有するようになり、さらに[[ヘテロ接合体]]のメスにおいて[[相同組換え]]による遺伝子重複の変異を起こして同一のX染色体上に2タイプの錐体視物質の遺伝子が保持されることとなりX染色体を1本しか持たないオスも3色型色覚を有するようになった。3色型色覚は果実等の発見に有利だったと考えられる。狭鼻下目の[[マカクザル]]に[[色盲]]がヒトよりも非常に少ないことを考慮すると、[[ヒト]]の祖先が狩猟生活をするようになったことで3色型色覚の優位性が低くなり、2色型色覚の淘汰圧が下がったと考えられる<ref name=nig>岡部正隆、伊藤啓 「[http://www.nig.ac.jp/color/barrierfree/barrierfree1-4.html 1.4 なぜ赤オプシン遺伝子と緑オプシン遺伝子が並んで配置しているのか]「第1回色覚の原理と色盲のメカニズム」 『細胞工学』7月号をWEBに掲載。</ref><ref name=kyoto/>。色盲の出現頻度は狭鼻下目の[[カニクイザル]]で0.4%、[[チンパンジー]]で1.7%である<ref name=kyoto/>。広鼻下目の[[ヨザル]]は1色型色覚であり[[ホエザル]]は狭鼻下目と同様に3色型色覚を再獲得している<ref>[http://www.jinrui.ib.k.u-tokyo.ac.jp/kawamura/studyBackground.html 研究の背景] {{リンク切れ|date=2012年11月}}</ref>が、これらを除き残りの新世界ザル(広鼻下目)はX染色体を2本持つメスのみの一部が3色型色覚を有し、オスは全て色盲である。これは狭鼻下目のようなX染色体上での相同組換えによる遺伝子重複の変異を起こさなかったためである<ref name=kyoto/>。ヒトは上記のような初期哺乳類と[[霊長目]][[狭鼻下目]]の祖先のX染色体の遺伝子変異を受け継いでいるため、M錐体を欠損したX染色体に関連する赤緑色盲が伴性[[劣性遺伝]]をする。男性ではX染色体の赤緑色盲の遺伝子を受け継いでいると色盲が発現し、女性では2本のX染色体とも赤緑色盲の遺伝子を受け継いでいる場合に色盲が発現する<ref>岡部正隆、伊藤啓 「[http://www.nig.ac.jp/color/barrierfree/barrierfree1-6.html 1.6 女性で赤緑色盲が少ない理由]「第1回色覚の原理と色盲のメカニズム」 『細胞工学』7月号をWEBに掲載。</ref>。なお、日本人では男性の4.50%、女性の0.165%が先天赤緑色覚異常で、白人男性では約8%が先天赤緑色覚異常であるとされる。 |
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: 最近の研究では、[[有袋類]]には3色型色覚が広がっている可能性がある<ref>Arrese, C. A., Oddy, A. Y., Runham, P. B., Hart, N. S., Shand, J., Hunt, D. M., * Beazley, L. D. (2005). Cone topography and spectral sensitivity in two potentially trichromatic marsupials, the quokka (''Setonix brachyurus'') and quenda (''Isoodon obesulus''). Proceedings of the Royal Society of London Series B, 272, 791-796</ref>。 |
|||
: [[鰭脚類]]と[[クジラ類]]は1色型色覚である<ref>Sternberg, Robert J. (2006): Cognitive Psychology. 4th Ed. Thomson Wadsworth.</ref>。 |
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; [[鳥類]] |
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: 鳥類では色覚が、種や雌雄の識別、さらに餌を探すときなどに幅広く役立てられているようである。これは、色彩が豊かなものや、雌雄で著しく外見が異なるものが多いことからも容易に想像できるであろう。爬虫類由来の4色型色覚を持ち、人間でいう[[紫外線]]の領域まで認識できる。 |
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; [[爬虫類]] |
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: 哺乳類や鳥類へ分岐した過去の爬虫類は一般的に4色型色覚を持っていたようだが、現在の爬虫類では3色型や2色型、色覚を持たないものもいる。一部の亀にとっては独立した光が4つ存在しており、四色性である。この亀が持っている光受容器は広い範囲の波長を一様に吸収できるようになっているため、細胞自身に波長を区別する能力はない。しかし、特定の光が透過できる4種類の油で被膜しているため、色を区別できる。 |
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; [[両生類]] |
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: 色覚を持つものが多いが、一方で持たないものも多い。4色型色覚を持っているといわれているが、維持されているかどうかは不明である。 |
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; [[魚類]] |
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: [[硬骨魚類]]では一般的に3色型の色覚を持つ。ある種の[[魚類]]は4種類の[[錐体細胞]]を持つ。したがって、4原色の色覚を持つと考えられている。 |
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===== 無脊椎動物 ===== |
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; [[節足動物]] |
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: [[昆虫]]は一般的に色覚を持つが、[[アリ]]や[[カマキリ]]は色覚を持たない。蜂は黒色の物体に対して攻撃的になる。蚊は黒色を好む。蟻は白色の物に集まる習性がある。昆虫のほか、[[エビ]]や[[カニ]]などは色覚を持つと認められている。 |
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; [[軟体動物]] |
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: [[オウムガイ]]は、10種類の色覚を持つ。 |
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== 色の様相 == |
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=== 色の三属性 === |
=== 色の三属性 === |
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色の見えは光源や物体によって変化するが、色味とその濃淡([[強度]])や明暗を具えている点で共通する。これは、'''[[色相]]''' |
色の見えは光源や物体によって変化するが、色味とその濃淡([[強度]])や明暗を具えている点で共通する。これは、'''[[色相]]'''({{en|Hue}})・'''[[彩度]]'''({{en|Saturation・Chroma}})・'''[[明度]]'''({{en|Value・Brightness}})と呼ばれる。色相・彩度・明度は合わせて'''色の三属性'''と呼ぶ<ref name="chijiiwa" />。[[色空間]]の一つ'''[[HSV色空間]]'''({{lang-en-short|HSV model}})は、この三つの成分からなる。 |
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白や灰色、黒の[[グレースケール]]は、明度で区別され、色相を含まず彩度が0である。このような色を'''無彩色'''と呼ぶ。グレースケール以外の色は三属性すべてを持つ'''有彩色'''である<ref>{{Cite book|和書 |
白や灰色、黒の[[グレースケール]]は、明度で区別され、色相を含まず彩度が0である。このような色を'''無彩色'''と呼ぶ。グレースケール以外の色は三属性すべてを持つ'''有彩色'''である<ref>{{Cite book|和書 |
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|chapter=3 色の世界を知る |
|chapter=3 色の世界を知る |
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|page=34 |
|page=34 |
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}}</ref>。しかしながら実際には、白や黒、グレーであってもふつう幾らかの彩度を示す<ref>[http://www.daicolor.co.jp/color/color_01.html 大日精化工業株式会社 色彩用語解説]</ref>ので、いわゆる白や黒、グレーをして、色の三属性を一つしか持たない色とするのは不適切である。 |
}}</ref>。<!-- 「しかしながら実際には、白や黒、グレーであってもふつう幾らかの彩度を示す<ref>[http://www.daicolor.co.jp/color/color_01.html 大日精化工業株式会社 色彩用語解説]</ref>ので、いわゆる白や黒、グレーをして、色の三属性を一つしか持たない色とするのは不適切である」灰色、黒をほかの色の混合で表現している場合には、見た目には灰色、黒のように感じても彩度がある色についての議論を混同している可能性がある。URLは次のように変更になっている。http://www.daicolor.co.jp/rd/color/glossary/index.html。--> |
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[[血色]]などは[[体調]] |
[[血色]]などは[[体調]]などに対する[[反応]]に過ぎず、色ではない。上記の様に、色の三属性を全てを具えたものが色であり、「色には明度が無い」とか「白や黒は色ではない」などと主張している人たちが、志向しているものは色ではない。 |
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==== 色相 ==== |
==== 色相 ==== |
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{{ |
{{Main|色相}} |
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色相は'''[[赤]]''' |
色相は'''[[赤]]'''・'''[[オレンジ色|橙]]'''・'''[[黄色|黄]]'''・'''[[緑]]'''・'''[[青]]'''・'''[[紫]]'''といった色の様相の相違である。「[[ピンク色]]」「[[レモン色]]」「[[ライムグリーン|ライム色]]」「[[空色]]」「赤茶色」「薄紫色」「[[肌色]]」「[[水色]]」などの色合いを表現する[[名詞]]と知覚内容を表す[[述語]]、そして、[[固有色名]]は色相を表現する[[語彙]]ではない。 |
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色相は特定の[[波長]]が際立っていることによる変化であり、際立った波長の範囲によって、[[定性的]]に記述できる。ただし、常に同じ[[帯域]]が同じ色に見える訳ではない。 |
色相は特定の[[波長]]が際立っていることによる変化であり、際立った波長の範囲によって、[[定性的]]に記述できる。ただし、常に同じ[[帯域]]が同じ色に見える訳ではない。連続して変化していく色味を円環上に並べたものを'''[[色相環]]'''と言う。白、黒、グレーを除く全ての色は、色相環に配置される色相のいずれかに属する。 |
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色相の連続的な変化を示す例を3つ挙げる。 |
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{|cellpadding="6" cellspacing="3" |
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|色相の連続的な変化 |
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==== 彩度 ==== |
==== 彩度 ==== |
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{{See also|彩度}} |
{{See also|彩度}} |
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彩度は色の鮮やかさを意味する。物体の分光反射率が平坦になる程、彩度は低くなる。また、色相によって彩度が高いときの明度が異なる。彩度の変化を示す例を3つ挙げる。 |
彩度は色の鮮やかさを意味する。物体の分光反射率が平坦になる程、彩度は低くなる。また、色相によって彩度が高いときの明度が異なる。 |
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彩度の連続的な変化を示す例を3つ挙げる。 |
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|彩度の連続的な変化 |
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==== 明度 ==== |
==== 明度 ==== |
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{{Main|明度}} |
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明度は色の明るさを意味する。明度の高低は、物体の[[反射率]]との相関性が高い。光の明暗に関して、明るさ (brightness, luminousity) があるが同様の知覚内容を指していると言える。 |
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明度は色の明るさを意味する。明度の高低は、物体の[[反射率]]との相関性が高い。光の明暗に関して、明るさ (brightness, luminousity) があるが同様の知覚内容を指していると言える。色相に属さず、明度の違いによって区別される、白、黒、グレーなどの色を[[無彩色]]という。対して、色味を僅かでも持つ色は[[有彩色]]と呼ばれる。[[純色]]の中では、ニュートラルな黄色が最も明度が高く、ニュートラルな青は最も明度が低い。 |
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明度の連続的な変化を示す。 |
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{|cellpadding="6" cellspacing="3" |
{|cellpadding="6" cellspacing="3" |
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|明度の連続的な変化 |
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|} |
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=== 特殊な色 === |
=== 特殊な色 === |
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[[ |
[[File:Gallium1 640x480.jpg|thumb|180px|right|[[ガリウム]] の結晶。<br>分光反射率はよく似通っているが、光の経路や[[光度 (光学)|光度]]によって色は異なる。]] |
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[[ |
[[File:SHAKUDO.jpg|thumb|180px|色上げ前の赤銅の板。]] |
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蛍光色や[[金属光沢]]を有する色は特殊な色として挙げることができる。なお、ここに掲げる色、特に特定条件における特定の部分の色を色の三属性で指定することは可能だが、指定される条件への依存度が大きく、色の指定としては有効ではない。 |
蛍光色や[[金属光沢]]を有する色は特殊な色として挙げることができる。なお、ここに掲げる色、特に特定条件における特定の部分の色を色の三属性で指定することは可能だが、指定される条件への依存度が大きく、色の指定としては有効ではない。 |
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金属の粉末で金属光沢を有する粉末を顕色成分とする塗料などの色を金属色と称することがある。金属光沢は、金物一般に特有な、滑らかな表面に見られる光を反射する性質のことである。 |
金属の粉末で金属光沢を有する粉末を顕色成分とする塗料などの色を金属色と称することがある。金属光沢は、金物一般に特有な、滑らかな表面に見られる光を反射する性質のことである。 |
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== 色 |
== 色彩 == |
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類語に{{読み仮名|'''色彩'''|しきさい}}がある。光の刺激による[[視覚]]系の[[感覚]]で物体の表面がある部分の[[波長]]の[[光]]を[[反射 (物理学)|反射]]することによる「物体色」と、[[光源]]から発する一定の波長の光による「光源色」とに大別される。[[デザイン]]の対象となるのはおもに物体色で、その見え方は、[[色相]]・[[明度]]・[[彩度]]の[[三属性]]で表される。 |
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人間には感知し易い色と知覚し難い色がある。色が人の注意を引きやすく目立つ度合いを、色の[[誘目性]]と呼ぶ。無彩色よりも有彩色、寒色系よりも暖色系のほうが誘目性が高い。 |
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[[日本産業規格]](JIS)<ref group="注">{{Cite jis|Z|8105|2000|name=色に関する用語}}11頁。</ref>においては色と同義語である<ref>『新編色彩科学ハンドブック』日本色彩学会 東京大学出版会</ref>ものの、彩り、傾向などを指す語として知られる<ref>『広辞苑 第六版』岩波書店</ref><ref group="注">他方で、[[日置隆一]]は『新編色彩科学ハンドブック』において、「[[物体]]という[[概念]]が付随」すると主張している。</ref>ことから、日常語のみならず、色を狭義に捉えようとする、[[科学]]、[[工業]]などの[[文脈]]においても広く色の語が用いられている<ref group="注">『新編色彩科学ハンドブック』などの参考文献を参照。ただし、著書の表題のように例外もある。</ref>。 |
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色は人の奥行き感や距離の判断に影響を与える。暖色系の色は実際よりも飛び出して見える[[進出色]]、寒色系の色は引っ込んで見える[[後退色]]である傾向がある。また、一般に無彩色よりも有彩色が進出して見える。さらに、背景の色との関連もあり、背景が明るい場合は暗いほど、背景が暗ければ明るいほど、進出して見える。 |
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ある対象の地域・地区・施設などの色彩に関する計画を周辺の自然環境、人工環境に配慮して行うことを色彩計画という。 |
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赤や黄等暖色系の色および白色は実寸より物が大きく近くに見える[[膨張色]]で、他の色より知覚し易い。日本の児童の帽子やランドセルカバーが黄色なのは、知覚し易い色を採用する事で自動車事故を減らす狙いがあるからである。反対に、青や黒等の寒色系の色は実寸より物が小さく遠くに見える[[収縮色]]である。実際に黒色の自動車は他の色に比べて事故が多く、そのためバスやタクシーの車体は黒色を避けているものが多い。{{疑問点|date=2015年5月}}また、囲碁の[[碁石]]も黒石と白石が同じ大きさだと黒石の方が小さく見えてしまうので、黒石を一回り大きく作っている。 |
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自然、地形、景観的特長を把握するとともに、対象の種別を考慮して計画を進めていく必要がある。また、計画される色彩が整備内容と整合するか、心理的な印象と整合するかなどの検証も求められる。 |
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人間が暗闇で見え難い色は、茶・黒・青・紫であり、見え易い色は、黄・白・オレンジの順番である。 |
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景観対象がもつ色彩的構成がその景観の印象を決定づけるような場合の表現を色彩景観と呼ぶが、「[[空]]」などはその典型例であり、落ち着いた[[景観]]、華やぐような景観など、人の感情に訴える風景を生み出すうえで色彩の果たす役割は大きい。 |
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乳幼児は赤色を強く認識するので、乳幼児の玩具は赤色を基調に作られている。老人性白内障に罹ると水晶体が黄色く濁り、波長の短い青色緑色系統の色は黒っぽく見えるようになる<ref name="toli-feb3">[http://www.toli.co.jp/housetopics/main_topic_feb3.html インテリアセミナーレポート「高齢者の視界と色の視認性」(東リ)] (1999.02)</ref>。このため老人はガスコンロの青い炎が見え難く、火傷や火事を起こし易い。{{要出典範囲|子供部屋を黄色にすると、[[知能指数]]が高い子供が育つという説がある|date=2010年5月}}。 |
|||
また、2つ以上の色を組み合わせて「間 (ま)」をつくり出すことを色彩調和と呼び、「まとまりのある美しさ」人の[[感情]]の快・不快に関係し、色彩調和論も著者の数だけの法則があるといわれている。 |
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安定した[[元素]]である[[炭素]]を[[素材]]とする[[墨]]や[[複写機]]の[[トナー]]の[[複写]]や[[コピー]]で描いた文字、図形や絵画などは[[紫外線]]に対して耐光性があり、また[[空気]]中や[[水]]中の[[酸素]]による[[酸化]]によって色褪せ、退色や変色することは少ない。[[木簡]]の文字はその典型例である。 |
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== 色と色覚 == |
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他方で、[[玩具]]や[[アニメ]]、[[美術]]のように、[[生理学|生理]]的な弁別が容易で単純な色を多用する[[分野]]・[[領域]]がある。多くの[[印刷]]や[[塗装]]と異なり、明るく鮮やかな色を多用するとか、色素の濃度を高くしたり塗料を厚く塗ったりして、色の飽和度を高くしたり、色素の存在比を大きくして生理的な弁別の容易さを高めるなどした結果、変わった色になっている場合が多い。[[絵具]]などは[[消費]]量が少なく、使用法が厳密でない上に[[消費者]]によって随分異なる為、[[原料]]の品質が低く、色が良くない<ref group="注">牛骨や石膏などの美術教材が良くないことや、市販の写真用のレンズが産業用レンズより良くないことに似ている。</ref>。[[ターナー]]や[[ゴッホ]]、[[ピカソ]]や[[シャガール]]など著名な画家達が[[色覚異常]]だったとの説もある。 |
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[[File:CRT phosphors.png|right|thumb|320px|赤・緑・青の[[蛍光]]物質の発光スペクトル。カラー[[ブラウン管]]の「加法三原色」に使われているもの]] |
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[[File:Spectrum4websiteEval.png|thumb|320px|[[スペクトル]]]] |
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{{Main|色覚}} |
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[[物理学]]的には、[[光学]]を基礎とし、色の変化は、物体と物体を照らす光との相関を用いて説明される。物体に[[入射]]する何らかの波長の光が観測者の方向へ[[反射 (物理学)|反射]]([[鏡面反射|正反射]]・[[拡散反射|乱反射]]を含む)する際に、その物体の[[物性]]に応じた特定の波長のみが反射されそれ以外は[[吸光|吸収]]される(=波長に応じ[[反射率]]が異なる)という現象が起こる。観測者には反射された光だけが届くため、その波長に基づき判断される色が、「その物体の色」として認識される(つまり、光そのものに色という性質はなく、光を受けた[[器官]]が色を作っている)。 |
|||
またそのように観測者に届く光とそれに対する認識とに左右されるため、一般的な色は、人間の[[視覚]]すなわち[[可視光線]]の範囲内を基準として表現されている。逆に言えば、可視光線の範囲を超えた波長の光について観測すると、可視光域で見た場合に比べて全く別の「色」や模様になっている物体もある。例えば[[チョウ]]の羽根の模様は[[紫外線]]領域では人の肉眼で見る場合とはまた異なる鮮やかな模様を描き出し、真っ黒に焼け焦げた[[新聞紙]]などは[[赤外線]]領域のある波長では燃えた紙とインクが燃えた部分とで反射率が異なるため書かれていた元の内容を読むことが出来る。 |
|||
[[生理学]]的に言うと、[[網膜]]内にある3種類の[[錐体細胞]]が吸収する可視光線の割合が色の感覚を生む。これらの錐体細胞は、それぞれ長波長・中波長・短波長に最も反応する[[タンパク質]](オプシンタンパク質)を含み、順に'''L錐体・M錐体・S錐体'''と呼ばれる。[[霊長類]]におけるL錐体とM錐体はかつて2種類だった色刺激の受容器の片方が[[進化]]の過程で分岐したものであるとされており、分光感度特性が近い。なお、'''L , M , S '''の各錐体は以前'''赤・緑・青'''で呼ばれていたが、誤解を招くとしておおむね2000年代以降は専門家は赤・緑・青では呼ばなくなっている。 |
|||
ある人が視覚を通して受け取る光の波長が変化すると、それに伴って変化する視覚経験の内容が色であると言える。ただし、正常の色覚を持つ者以外に、正常の色覚をもつ人と色知覚が部分的に整合しない人([[色覚異常]]<ref group="注">錐体細胞の数が健常者よりも少ないために色が異なって見える。</ref>)、[[色覚異常#先天色覚異常の分類のまとめ|1色覚]](全色盲)や[[全盲]]など色覚を持たない人もいるため、この事例にも例外がある。しかしながらこの事態に限っては、色覚特性があっても知覚可能な波長にあっては事情は同様である。また、1色覚であっても、波長の長短の知覚が成立する場合があり、どちらかといえば長波長を好む傾向がある。 |
|||
無色の紙のように、全波長において高い反射率で乱反射する物体は白と呼ばれる。一方、全波長において反射がほとんど無い場合、その色は黒と呼ばれる。近似的な[[黒体]]は、例えば中空の物体に微小な開口部を設けることで実現できる。この場合、中空の部分に入った光はほとんど吸収され外に出てこないので、反射率はほぼゼロになる。 |
|||
=== 色にまつわる見解 === |
|||
色を説明する場合に、様々な色彩理論を[[集合]]的に概説する場合がある。代表的なものに三原色と反対色性がある。色彩にまつわる現象は様々あり、[[照度]]や[[輝度 (光学)|輝度]]、[[反射率]]の変化に従って、見える色も変化する。[[ベツォルト・ブリュッケ現象]]や[[アブニー効果]]など様々な見解が知られている。 |
|||
==== 三種の錐体細胞と三原色 ==== |
|||
[[File:Cone-response-en.png|thumb|320px|人間の[[錐体細胞]] (S, M, L) と[[桿体細胞]] (R) が含む視物質の吸収スペクトル]] |
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人間の視覚が色を認識する際には、その光の分光分布を直接計っているのではなく、[[眼球]]の[[錐体細胞]]に含まれる3つの色素が光を吸収する割合を計っているに過ぎない。そのため、独立した複数の色を合成する事で人間に別の色を感じさせる事ができる。 |
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例えば、黄の波長の光は、赤の波長の光と緑の波長の光の組み合わせによってほぼ同じ刺激を与えることが可能であり、黄は赤と緑の組み合わせの光として表現出来る。そしてこの場合、黄の波長だけが眼球に入っている場合と、赤の波長と緑の波長が組み合わされて眼球に入っている場合を人間は区別できない。各錐体の出力は、全波長にわたってその錐体に当たる光の量によって決まるためで、これを[[単一変数の原理]]と呼ぶ。 |
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[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]、[[印刷]]、[[絵具]]など、色を表現するメディアは様々である。これらを[[光源]]、もしくは、透過光および反射光に着眼して分類した場合、特徴的な色の傾向が異なる。これを便宜的に色に着眼してグルーピングして、[[加法混合]]と[[減法混合]]、[[RGBW]]と[[CMYK]]、[[RGB]]と[[CMY]]など、いくつかに分けて説明する場合がある。 |
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原色はどの色なのかと問う人がいるが、実際に選択される[[塗料]]や[[インク]]、あるいは[[カラーフィルター]]その他が形成する「原色」の色合いが、常に特別に優越される色合いだという訳ではない。減法混合においては彩度が高い状態において明るいものにある種の優位性が伴う。効果的に色を表現できる着色材料は重宝されるが、一定の方向性、共通性はあってもその色相や色調は一致しない。原色の説明はあくまで単純化された抽象論に過ぎない。その上、理想的な原色は実在しない。 |
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==== 色の混合 ==== |
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ここで挙げるのはあくまで、一般的な色覚を持つ人間を基準にした色の混合の様態である。二色型の色覚を持つ人は、2つの完全な[[原色]]<ref group="注">ただし、完全な原色は実在しない。</ref>でその人が知覚可能な全ての色を合成することができると考えられており、4つないしそれ以上の錐体(もしくはそれに相当するもの)を持つ生物にとっては、4つないしそれ以上の「原色」が必要になる。また、[[ヘビ]]が持つ赤外線検知器である[[ピット器官]]の情報は脳の視覚野に入っており、視覚情報として処理されていることが証明されている。つまり、ピット器官を持つヘビ([[ニホンマムシ|マムシ]]など)にとっては温度情報もまた原色の一つであろう。人間は[[偏光]]を[[ハイディンガーのブラシ]]と呼ばれる現象を除いてほとんど知覚できないが、水中生物の一部や[[昆虫]]など、知覚できる生物が存在する。それらは透明なものを偏光の回転程度の違いにより見ることができたり、曇り空でも太陽の正確な方向がわかると考えられている。そのような生物には、人間が実際の色に近いと判断する写真も、実物と明らかに異なる色合いに見えると考えられる。 |
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===== 加法混合([[RGB]]) ===== |
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[[File:AdditiveColorMixiing.svg|thumb|200px|[[色光の三原色]]による[[加法混合]]]] |
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有色の光線によって色を演出する場合、光を加える形で色を合成する([[加法混合]])。このとき、積極的な発光によらない、黒さ(暗さ)を表現できる仕組みが求められる。この結果、効率的に光の透過を抑えることが出来る[[塩素]]を含む顔料が採用される場合が多くなる。 |
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白色の光を合成するための波長を「'''光の三原色'''」や「'''色光の三原色'''」と言い、下記の三色を用いる。カラーフィルターを用いる場合に採用される[[顔料]]の一例を上げると、赤がPigment Red 254に少量のPigment Orange 71、緑がPigment Green 36に少量のPigment Yellow 138、青がPigment Blue 15:6に少量のPigment Violet 23、などである。これはあくまで例であり、これ以外の顔料の組み合わせは使用されている。以前は「橙」「緑」「紫」の組み合わせも試みられたが成功しなかった。カラーフィルターのスペクトルは下記の波長とは性格が異なり、一致しない。 |
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* <span style="color:#FF0000">R</span>:[[赤]](波長: 625-740 [[ナノメートル|nm]] [[周波数]]: 405-480 [[テラヘルツ|THz]]) |
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* <span style="color:#00FF00">G</span>:[[緑]](波長: 500-565 nm 周波数: 530-600 THz) |
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* <span style="color:#0000FF">B</span>:[[青]]([[紫]]みの[[青]]、[[群青色]])(波長: 450-485 nm 周波数: 620-665 THz) |
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===== 減法混合([[CMYK]]) ===== |
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[[File:Synthese-.svg|right|thumb|200px|[[色料の三原色]]による[[減法混合]]]] |
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一方、物体の表面を'''特定の色'''にするために[[インク]]などを塗る場合、元の光を遮る形で色を合成する([[減法混合]])。その合成の元になる色は一般に「'''色の三原色'''」や「'''色料の三原色'''」と言われ、[[シアン]]、[[マゼンタ]]、[[黄色|イエロー]]の三色(下掲)を用いる。この三つの材料を混合すれば、光の三原色の場合と反対に黒を作ることが出来る。しかし、この三色によって白を構成することは出来ない。 |
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故に、[[印刷]]などに用いる場合には白色素材の表面に使用することが前提となる上、白色の併用が必要になる場合もある。また、透明性の高い着色材(colorant)を使用しても、三原色の重ねや混合で成立する黒は理想とは異なり、純黒にはならない。このため、より自然に色を現す目的で黒色の着色材が併用され、これは一般に[[CMYK]](Cyan, Magenta, Yellow, Key plate) と呼ばれる。 |
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* <span style="color:#00AEEF">C</span>:[[シアン (色)|シアン]](緑みの青、藍)(例えば、[[フタロシアニン]]青、Pigment Blue 15:3) |
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* <span style="color:#EC008C">M</span>:[[マゼンタ]](赤紫、紅紫色、紅)(例えば、[[キナクリドン]]赤、Pigment Red 122<ref group="注">印刷技術で多用されるアゾ赤よりも色相的にマゼンタに近い。出典 :『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5</ref>) |
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* <span style="color:#FFF500">Y</span>:[[黄色|イエロー]](黄色)(例えば、[[アゾ]]黄、Pigment Yellow 74やPigment Yellow 128など<ref>[http://www.dic-global.com/ja/r_and_d/review/pdf/dic_r_and_d_2002_review03.pdf インクジェット用顔料インキにおける顔料分散]</ref>) |
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* <span style="color:#000000">K</span>:[[黒|ブラック]](黒) |
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==== 反対色性 ==== |
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光の混合においては、橙と[[青]]によって[[マゼンタ]]などの[[紫]]の色相が得られ、橙と[[緑]]を混ぜると[[黄色|黄]]の色相を得ることが可能である。<!--色彩と色相を区別-->このとき、紫には元の赤味も青味もあるが、黄においてこの印象は寡少である。黄には元の色彩(赤、緑)がないと主張する人がいる。しかし、現実に得られる黄は赤気味であったり、緑気味であったりする。赤気味でも緑気味でもない「理想の黄」が現実に得られるとは断言できない。また、黄と青から白を作る場合も、元の色味が極度に減少する。このような色味を打ち消しあう性質を'''反対色性'''、色自体についてはもう一方の色の[[反対色]]、[[補色]]という。ただし補色という語は厳密な反対色を意味しない場合が多い。 |
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反対色性は網膜から大脳へ効率的に色情報を伝達しようとするために生じると考えられている。なぜなら、それぞれの色は錐体応答間でも高い相関があるからである。そのため、相関が低くなるよう線形変換し、冗長性を低減している。 |
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=== 色覚の認知と比較 === |
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同一の[[個体]]の色覚は、ふつう安定していると考えられている。光源が多少変化しても同じ物体の色が同様に見えるのは、色の恒常性があるからである。 |
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複数の個体間で知覚される色がどのような色であるかを直接すり合わせることは出来ないが、人間同士であれば[[言語]]や[[カラーチャート]]を用いて[[情報交換]]することが可能である。他方で、人間が様々な生物の色覚を知ろうとする試みがあり、色覚の有無や性質が研究されている。 |
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==== 色の恒常性 ==== |
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{{Main|色の恒常性}} |
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人間が光線の波長そのものを知覚しているのではなく三種類の錐体の出力比を知覚していることを述べた。これだけでは例えば、極端に黄色い照明の下では全てのものが黄色く見えてしまうはずだが、実際には色味のある照明の下でもその照明に支配されない認識が得られる。これを'''色の恒常性'''という。 |
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人間の視覚には慣れや知識などによる補正があり、多少の光源の色度の違いは補正される。このため昼と夕方とでは日光の波長分布が違うにもかかわらず、物体は同じ色に見える。[[太陽光]]と異なる波長分布を持つ照明下でも「白色」のものは白色と感じられる。例えば、「[[白熱灯]]」の波長分布はその名に反してかなり赤に偏っているが、その照明下でも白い紙は白く見える。周囲の色々なものの見え方からそのときの照明条件を推定し、その推定に従って色の見え方を補正していると考えられる<ref>[http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/25-7/index-25-7.html 色の恒常性 - 脳の世界:京都大学霊長類研究所・行動発現分野(旧URL)]<br />[http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/25-7/index-25-7.html 色の恒常性 - 脳の世界:中部学院大学 三上章允(新URL)]</ref>。 |
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太陽光と同じ波長分布の光が最も自然な白色とされるが、それより青成分の強い光を「爽やかな白」と感じる人が多い。故に多くの[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]上に表現される白色は純白より青味が強い色になっている。そのような青味の白も極端でなければ、日常的に白を吟味していないような多くの人の眼には「青」でなく「爽やかな白」と感じられる。 |
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夜間など十分な光の得られない環境では、錐体の機能が低下する。暗所で働く桿体は錐体と比較して赤色光への感度が低いため夜間には赤と黒の識別が困難になるのだが、そのような環境にあっても赤色であると知っているものは赤く見える場合がある。例えば、黒く塗った林檎を暗い環境下で見せると赤く見える、といったことが起こる。 |
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太陽光線の波長分布は季節や時刻によって異なる。また、周囲に反射した光によっても影響される。例えば周りが青い物ばかりならば反射光によって環境光は青さが増す。だが、周囲の色に引きずられて物の色が違って見えては困るであろう。色の恒常性は、そのような場合でも出来るだけ一定の色覚を保つために発達したとの考えは、ある自然さを持っている。ただし、この補正にも限度があり、極端に偏った波長分布では補正しきれない。 |
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==== 色覚の共有 ==== |
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{{See also|逆転クオリア}} |
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同じ組成の光を受けた場合でも、それをどのように知覚するかは人それぞれの目と脳の相関関係によって異なるので、複数の人間が全く同一の色覚を共有しているわけではない。同様に、ある人が同じ物を見ても右目と左目では角度や距離が異なり、見えた色も一致しない。他者の色知覚を経験する手段は存在せず、同一の色知覚を共有することも不可能である。 |
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また、知覚した色をどのような色名で呼ぶかは学習によって決定される事柄であり、例えば緑色を見て二人の人間が異なる知覚を得たとしても、二人ともそれを「緑」と呼ぶので、色覚の違いは表面化しない。 |
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色覚の違いが表面化するのは、複数の色の区別に困難が生じるなどの場合である。大多数の人間とはっきり異なる判断をおこすものの[[色覚特性]]を指して、その生理については[[色覚異常]]、機能については[[色覚障害]]と呼ぶ。 |
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いわゆる[[バリアフリー]]と呼ばれる動向において、色覚異常の者に対する配慮が必要であるという意見がある。他方で、眼科学においては、1型色覚および2型色覚に代表される多くのケースでは、日常生活に大きな支障をきたしていないという考え方が定説とされている<ref>[https://www.skk-net.com/health/me/c01_13.html 目と健康 No,13 特集:色覚の異常]</ref>。 |
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[[標準化団体 (コンピュータと通信)|標準化団体]]である[[World Wide Web Consortium|W3C]] は、[[HyperText Markup Language|HTML]] の色使いは色覚異常に配慮したコントラストを保つべきだとして綱領を出している<ref>[http://www.kanzaki.com/docs/html/color-check 色の組み合わせチェック - 読みやすい前景色と背景色]</ref>。HTML は 16,777,216 色(2<sup>3×8</sup> 色)が表現出来るが、環境に依って見え方は左右される。256 色環境で [[Microsoft Windows|Windows]] と [[Macintosh]] に共通する 216 色(6<sup>3</sup> 色)の事を[[ウェブカラー]]と言い、この 216 色は見え方が環境の違いに左右され難いため、使用が推奨されている。 |
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== 色の作用、効果 == |
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*人間には感知し易い色と知覚し難い色がある。色の差の認識されやすさは色の[[視認性]]と呼ばれる。色が人の注意を引きやすく目立つ度合いを、色の[[誘目性]]と呼ぶ。一般に彩度が高い方が視認性と誘目性は高くなるとされる。寒色系よりも暖色系のほうが誘目性が高い。一般に、色相が離れているほどコントラストが強くなるため、視認性が高まる。 |
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*色は人の奥行き感や距離の判断に影響を与える。暖色系の色は実際よりも飛び出して見える[[進出色]]、寒色系の色は引っ込んで見える[[後退色]]である傾向がある。一般に、彩度が高い方は進出し、低ければ後退して見え、無彩色よりも有彩色が進出して見える。さらに、背景の色との関連もあり、背景が明るい場合は暗いほど、背景が暗ければ明るいほど、進出して見える。 |
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*隣接する色との対比で見え方が異なってくることを[[同時対比]]という。明度対比、彩度対比、色相対比、補色による彩度対比、[[色陰現象]]などがある。反対に、隣接する色に近似して見える現象を[[同化現象]](フォン=べゾルト効果)という。面積比が大きい場合、線が細い場合にその効果は大きくなる。 |
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*配色により、重なっている部分を透けているように見せることができる。これは、[[透明視]](セロファン効果)と言われる。 |
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*同じ色でも面積が大きくなると明るく彩度が高く見え、暗い色はより暗く感じる。また、線の太さが同じでも、明度を落とすと細い線のように見える。 |
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*実際より大きく見える色を「膨張色」、小さく見える「収縮色」という。赤や黄など[[暖色]]系の色および白色は膨張色で、他の色より知覚し易い。日本の児童の帽子やランドセルカバーが黄色なのは、知覚し易い色を採用する事で自動車事故を減らす狙いがあるからである。反対に、青や黒などの[[寒色]]系の色は収縮色である。実際に黒色の自動車は他の色に比べて事故が多く、そのためバスやタクシーの車体は黒色を避けているものが多い。{{疑問点|date=2015年5月}}また、囲碁の[[碁石]]も黒石と白石が同じ大きさの場合は黒石の方が小さく見えてしまうので、黒石を一回り大きく作っている。 |
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*人間が暗闇で見え難い色は、茶・黒・青・紫であり、見え易い色は、黄・白・オレンジの順番である。 |
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*乳幼児は赤色を強く認識するので、乳幼児の玩具は赤色を基調に作られている。老人性白内障に罹ると水晶体が黄色く濁り、波長の短い青色緑色系統の色は黒っぽく見えるようになる<ref name="toli-feb3">{{Wayback|url=http://www.toli.co.jp/housetopics/main_topic_feb3.html|title=インテリアセミナーレポート「高齢者の視界と色の視認性」(東リ)(1999.02)|date=20101019111930}}</ref>。このため老人はガスコンロの青い炎が見え難く、火傷や火事を起こし易い。 |
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*安定した[[元素]]である[[炭素]]を[[素材]]とする[[墨]]や[[複写機]]の[[トナー]]の[[複写]]や[[コピー]]で描いた文字、図形や絵画などは[[紫外線]]に対して耐光性があり、また[[空気]]中や[[水]]中の[[酸素]]による[[酸化]]によって色褪せ、退色や変色することは少ない。[[木簡]]の文字はその典型例である。他方で、[[玩具]]や[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]、[[美術]]のように、[[生理学|生理]]的な弁別が容易で単純な色を多用する[[分野]]・領域がある。多くの[[印刷]]や[[塗装]]と異なり、明るく鮮やかな色を多用するとか、色素の濃度を高くしたり塗料を厚く塗ったりして、色の飽和度を高くしたり、色素の存在比を大きくして生理的な弁別の容易さを高めるなどした結果、変わった色になっている場合が多い。[[絵具]]などは[[消費]]量が少なく、使用法が厳密でない上に[[消費者]]によって随分異なる為、[[原料]]の品質が低く、色が良くない<ref group="注">牛骨や石膏などの美術教材が良くないことや、市販の写真用のレンズが産業用レンズより良くないことに似ている。</ref>。[[ターナー]]や[[フィンセント・ファン・ゴッホ|ゴッホ]]、[[ピカソ]]や[[シャガール]]など著名な画家達が[[色覚異常]]だったとの説もある。 |
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== 文化における色 == |
== 文化における色 == |
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[[File:Colored pencils chevre.jpg|thumb|200px|[[色鉛筆]]。<br />[[美術]]において色は重要な要素である。]] |
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[[File:Netflix Panasonic remote controller 01.jpg|thumb|200px|[[データ放送#地上デジタル放送でのデータ放送|データ放送]]のコンテンツ選択時や[[双方向番組#デジタル放送の双方向機能|双方向番組]]の視聴者投票などで用いる、4色のボタン]] |
[[File:Netflix Panasonic remote controller 01.jpg|thumb|200px|[[データ放送#地上デジタル放送でのデータ放送|データ放送]]のコンテンツ選択時や[[双方向番組#デジタル放送の双方向機能|双方向番組]]の視聴者投票などで用いる、4色のボタン]] |
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一般に、色は、[[生活]]や[[文化]]、[[産業]]や[[商業]]、[[デザイン]]や[[視覚芸術]]の重要な要素であり、ある「様式」「作風」「文化」の特徴の一つに、特定の色の使用、特定の色の組み合わせ、色と結び付いた意味などが含まれている場合も多い。 |
一般に、色は、[[生活]]や[[文化 (代表的なトピック)|文化]]、[[産業]]や[[商業]]、[[デザイン]]や[[視覚芸術]]の重要な要素であり、ある「様式」「作風」「文化」の特徴の一つに、特定の色の使用、特定の色の組み合わせ、色と結び付いた意味などが含まれている場合も多い。 |
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=== 色名 === |
=== 色名 === |
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{{Main|色名}} |
{{Main|色名}} |
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[[色名]]とは色の名のことである。基本色名、系統色名、固有色名などがある。あらゆる[[文化]]には、[[RGB]] や [[CMY]] と同一視出来ない、それぞれの文化的な'''[[原色]]'''がある。それはその文化の背骨となっている[[言語]]の中での、最も古い[[色名]]からたどれる。そのような色名は'''基本色名'''と呼ばれる。特別な名前が付けられた色や、また名前の付けられていないような色もあるが、それらは全て基本色名で言い換える事ができる。例えば、「蘇芳色(すおういろ)」は基本色名の「赤」と言い |
[[色名]]とは色の名のことである。基本色名、系統色名、固有色名などがある。あらゆる[[文化 (代表的なトピック)|文化]]には、[[RGB]] や [[CMY]] と同一視出来ない、それぞれの文化的な'''[[原色]]'''がある。それはその文化の背骨となっている[[言語]]の中での、最も古い[[色名]]からたどれる。そのような色名は'''基本色名'''と呼ばれる。特別な名前が付けられた色や、また名前の付けられていないような色もあるが、それらは全て基本色名で言い換える事ができる。例えば、「蘇芳色(すおういろ)」は基本色名の「赤」と言い換えることができるし、空の色や海の色などをまとめて「青」と呼べる。 |
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=== 色に対する一般的な印象 === |
=== 色に対する一般的な印象 === |
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{{出典の明記|section=1|date=2016年7月}} |
{{出典の明記|section=1|date=2016年7月}} |
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色彩は様々な感情を表現したり、事物を連想させることがある。国や文化などによって違いはあるが、一般的な印象は次のようなものである<ref>{{Cite book|和書 |
色彩は様々な感情を表現したり、事物を連想させることがある。国や文化などによって違いはあるが、一般的な印象は次のようなものである<ref>{{Cite book|和書|author=日本色彩研究所|title=色の百科事典|publisher=[[丸善]]|year=2005|ISBN=978-4621075425|pages=124-127}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=清野恒介|title=色彩用語事典|publisher=[[新紀元社]]|year=2009|ISBN=978-4775307113|pages=136-137}}</ref>。しかし、今日では[[喪服]]は黒が一般的だが江戸時代までは白が一般的だったように、時代や文化による影響も大きい。 |
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|author=日本色彩研究所 |
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|title=色の百科事典 |
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|year=2005 |
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}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |
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|author=清野恒介 |
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|title=色彩用語事典 |
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|pages=136-137 |
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}}</ref>。しかし、今日では[[喪服]]は黒が一般的だが江戸自体までは白が一般的だったように、時代や文化による影響も大きい。 |
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; [[白]] |
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: [[善]]、[[雪]]、[[無]]、[[保守]]、[[真理]]、[[清潔]]、[[純粋]]、[[無罪]]、[[無知]]、[[賛成]]など |
: [[善]]、[[雪]]、[[無]]、[[保守]]、[[真理]]、[[清潔]]、[[純粋]]、[[無罪]]、[[無知]]、[[賛成]]など |
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; [[黒]] |
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: [[夜]]、[[権威]]、[[悪]]、[[死]]、[[防衛]]、[[武勇]]、[[汚濁]]、 |
: [[夜]]、[[権威]]、[[悪]]、[[死]]、[[防衛]]、[[武勇]]、[[汚濁]]、有罪、[[炭]]、[[富裕層]]など |
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; [[茶色|栗]]([[茶色]]) |
; [[茶色|栗]]([[茶色]]) |
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: [[土壌|土]]、[[豊穣]]、[[糞]]、[[執着]]、[[田舎]]など |
: [[土壌|土]]、[[豊穣]]、[[糞]]、[[執着]]、[[田舎]]、[[秋]]など |
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; [[赤]] |
; [[赤]] |
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: [[血]]、[[生命]]、[[火]]、[[左翼]]、[[革命]]、[[力]]、[[愛]]、[[女]]、[[情熱]]、[[危険]]、[[熱暑]]、[[勇気]]、[[攻撃]]、[[敵]]、[[電気]]、[[太陽]]([[日本]])など |
: [[血]]、[[生命]]、[[火]]、[[左翼]]、[[革命]]、[[力]]、[[愛]]、[[女]]、[[情熱]]、[[危険]]、[[熱暑]]、[[勇気]]、[[攻撃]]、[[敵]]、[[電気]]、[[太陽]]([[日本]])など |
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; [[橙色|橙]] |
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: [[温暖]]、[[快活]]、[[陽気]]、[[幸福]]、[[誇り]]、[[野心]]、[[忍耐]]など |
: [[温暖]]、[[wikt:快活|快活]]、[[陽気]]、[[幸福]]、[[誇り]]、[[野心]]、[[忍耐]]など |
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; [[黄色|黄]] |
; [[黄色|黄]] |
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: [[太陽]]、[[穀類]]、[[電子]]、[[金]]、[[注意]]、[[臆病]]、[[活発]]、[[明快]]、[[乾燥]]、[[地下]]、[[王位]]、[[色欲]]など |
: [[太陽]]、[[穀類]]、[[電子]]、[[金]]、[[注意]]、[[臆病]]、[[活発]]、[[明快]]、[[乾燥]]、[[地下]]、[[王位]]、[[色欲]]など |
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: [[中立]]、[[不潔]]、[[陰鬱]]、[[不変]]、[[沈静]]など |
: [[中立]]、[[不潔]]、[[陰鬱]]、[[不変]]、[[沈静]]など |
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青は男、赤は女を意味するという認識は日本のみならず世界の国々が有しているという調査結果がある<ref>[ |
青は男、赤は女を意味するという認識は日本のみならず世界の国々が有しているという調査結果がある<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/E1309861537448/?p=2 男は青。女は赤。これって決まりごと?(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース] 反面、「男は青、女は赤」というイメージは、万国共通らしい。武蔵野大学のある教授が世界20カ国、約5000人を対象に「男女のイメージカラー」について調査したところ、「男は青、女は赤」という回答が最も多く得られたというのだ。</ref>。 |
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職種、階層、貧富を言い表す際にも色が用いられる |
職種、階層、貧富を言い表す際にも色が用いられることがある。例:[[ホワイトカラー]](事務職)・[[ブルーカラー]](肉体労働職)、ブルーブラッド(貴族。首筋が日焼けせず静脈が見える人間)・[[レッドネック]]([[白人]]の肉体労働者。屋外労働で首筋が赤く日焼けしていることから。アメリカ南部者)・[[ホワイトトラッシュ]](貧乏な白人。ただしレッドネックが白人の男を指すのに対し、こちらは女を限定することもある) |
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[[カラーギャング]]はそれまでのギャングと違い、互いの対立を色で示しあっている。 |
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色事やセクシーな意味合いに用いる色も各国によって大きく違う。 |
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: 日本では[[桃色]](ピンク)を例に挙げることが多い。桃の花の色合いが女性に好まれやすかったことや、中国から伝わった桃に関する謂れなどが由来しているという説もある。また、女性の尻を桃にたとえたり、紅潮した肌の色を桃色にたとえたことから性的な意味合いを持つ言葉が多く派生し、流布したといわれている。 |
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: アメリカでは主に青。『blue』には「憂鬱な・猥褻な」の意味を含むことから秘め事を連想させるといわれ、いわゆる[[ポルノ映画]]などは「ブルーフィルム(blue film)」「ブルームービー(blue movies)」と称される(一説には、昔アメリカでは、検閲が出版物などを検査する際、性的描写のある箇所を青鉛筆でチェックしていたのでblue filmと呼んだという説。他に当時モノクロだったフィルムを法律上の問題で青色に着色したからという説もある)。下ネタのことを「blue joke」と言う。 |
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: 中国では主に黄色。中国語で黄色には「堕落・猥褻」などのネガティブな意味があり、「黄色電影」はポルノ映画、「黄色書簡」は[[ポルノ雑誌]]を意味する。 |
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: スペインでは主に緑。スペイン語で緑は『Verde』。「卑猥な・エッチな」などの意味も含んでいる。「Libro verde(緑の本)」でポルノ関連の本、「Cine Verde(緑の映画)」でポルノ映画の意味になる。 |
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=== 政治における色 === |
=== 政治における色 === |
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[[政治]]の世界においては、色が特定の政治的な立場を現すことがよくある。 |
[[政治]]の世界においては、色が特定の政治的な立場を現すことがよくある。 |
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=== 赤 === |
==== 赤 ==== |
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{{See also|赤旗|赤い星}} |
{{See also|赤旗|赤い星}} |
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[[赤]]は[[左翼]]・[[社会主義]]・[[共産主義]]を形容する色としてよく使われ、党派的にも容共で[[政府]]・[[資本家]]に反く側を表す。一説には、[[1848年革命]]や[[パリ・コミューン]]の時に、[[革命]]軍が掲げていた[[三色旗]]が[[血]]に染まって赤くなったから、左翼的立場を形容するのに赤を使うようになったとされる。 |
[[赤]]は[[左翼]]・[[社会主義]]・[[共産主義]]を形容する色としてよく使われ、党派的にも容共で[[政府]]・[[資本家]]に反く側を表す。一説には、[[1848年革命]]や[[パリ・コミューン]]の時に、[[革命]]軍が掲げていた[[三色旗]]が[[血]]に染まって赤くなったから、左翼的立場を形容するのに赤を使うようになったとされる。 |
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Flag of the Soviet Union.svg|[[ソビエト連邦の国旗]] |
File:Flag of the Soviet Union.svg|[[ソビエト連邦の国旗]] |
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Flag of Vietnam.svg|[[ベトナム]]の国旗 |
File:Flag of Vietnam.svg|[[ベトナム]]の国旗 |
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Flag of the Communist Party of Germany.svg|[[ドイツ共産党]]の党旗 |
File:Flag of the Communist Party of Germany.svg|[[ドイツ共産党]]の党旗 |
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File:File:Flag_of_JCP.svg|[[日本共産党]]の党章 |
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{{-}} |
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=== 白 === |
==== 白 ==== |
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[[白]]は[[右翼]]・[[反共主義]]・[[王党派]]・復古勢力を指す色として使わる。反共で[[政府]]・[[資本家]]に親しい側を指す。[[フランス]]の王党派が使い始めたのが最初で、フランスの[[ブルボン家]]の白百合紋章に由来する。以来、[[反革命]]軍は[[白旗]]を目印として、右翼的立場を形容するのに白を使うようになった。[[白系ロシア人]]、[[白色テロ]]など。 |
[[白]]は[[右翼]]・[[反共主義]]・[[王党派]]・復古勢力を指す色として使われる。反共で[[政府]]・[[資本家]]に親しい側を指す。[[フランス]]の王党派が使い始めたのが最初で、フランスの[[ブルボン家]]の白百合紋章に由来する。以来、[[反革命]]軍は[[白旗]]を目印として、右翼的立場を形容するのに白を使うようになった。[[白系ロシア人]]、[[白色テロ]]など。 |
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Flag of the Kingdom of France (1814-1830).svg|[[フランス復古王政]]の[[フランスの国旗|国旗]] |
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Flag of Royalist France.svg|フランス[[王党派]]の旗 |
File:Flag of Royalist France.svg|フランス[[王党派]]の旗 |
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=== 黒 === |
==== 黒 ==== |
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[[黒]]は[[アナキズム]]を[[象徴]]する色として使われる。[[日本]]では、[[天皇]]の臣下を意味する色として利用される事があった。また、しばしば[[ファシズム]]の象徴として使われる。[[ベニート・ムッソリーニ]]の[[ファシスト]]党は、[[制服]]の色として使った。 |
[[黒]]は[[アナキズム]]を[[象徴]]する色として使われる。[[日本]]では、[[天皇]]の臣下を意味する色として利用される事があった。また、しばしば[[ファシズム]]の象徴として使われる。[[ベニート・ムッソリーニ]]の[[ファシスト]]党は、[[制服]]の色として使った。 |
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Flag of the National Fascist Party (PNF).svg|[[ファシスト党]]の党旗 |
File:Flag of the National Fascist Party (PNF).svg|[[ファシスト党]]の党旗 |
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Anarchy-symbol.svg|無政府主義の象徴黒色のサークルA |
File:Anarchy-symbol.svg|無政府主義の象徴黒色のサークルA |
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=== 青 === |
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[[青]]は[[保守主義]]を形容する。 |
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=== 黄 === |
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[[黄色]]は[[労資協調]]主義や[[自由主義]]・[[リベラル]]派を形容する。[[御用組合]]は俗に「黄色組合」とも言われ、黄色は容共かつ政府・資本家に親しい党派を表す。 |
[[黄色]]は[[労資協調]]主義や[[自由主義]]・[[リベラル]]派を形容する。[[御用組合]]は俗に「黄色組合」とも言われ、黄色は容共かつ政府・資本家に親しい党派を表す。 |
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=== 緑 === |
==== 緑 ==== |
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[[緑]]は[[環境保護]]派や「[[緑の党]]」を形容する色として広く使われている。イスラムを象徴する色としても利用される。 |
[[緑]]は[[環境保護]]派や「[[緑の党]]」を形容する色として広く使われている。イスラムを象徴する色としても利用される。 |
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Bündnis 90 - Die Grünen Logo.svg|[[同盟90/緑の党]]の党旗 |
File:Bündnis 90 - Die Grünen Logo.svg|[[同盟90/緑の党]]の党旗 |
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Flag of Saudi Arabia.svg|[[サウジアラビアの国旗]] |
File:Flag of Saudi Arabia.svg|[[サウジアラビアの国旗]] |
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Flag of Libya (1977-2011).svg|[[カダフィ政権]]期の[[リビアの国旗]] |
File:Flag of Libya (1977-2011).svg|[[カダフィ政権]]期の[[リビアの国旗]] |
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File:Flag of al-Qassam Brigades.svg|[[ハマース]]の党旗 |
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=== 茶 === |
==== 茶 ==== |
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[[茶色]]や褐色は[[独裁]]主義や[[ナチズム]]を形容する。これは、[[国家社会主義ドイツ労働者党|ナチ党]]の[[突撃隊]](SA)の制服に |
[[茶色]]や褐色は[[独裁]]主義や[[ナチズム]]を形容する。これは、[[国家社会主義ドイツ労働者党|ナチ党]]の[[突撃隊]](SA)の制服にちなむ。また、茶色の代わりに、赤と黒の組み合わせで示される場合もある(例:[[クメール・ルージュ]])。 |
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==== 複数の色の組み合わせ ==== |
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ヨーロッパなどでは三色の縦縞または横縞の[[国旗]]が多いが、これらの色にも意味を持たせている。例えばフランス国旗では青=自由、白=平等、赤=博愛の意味があり、国家の在り方を色で示している。 |
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国旗には、[[アイルランドの国旗]]などのように、各色が意味を持っており、その組み合わせと配置で国家の在り方を示している場合がある。 |
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また、[[レインボーフラッグ]]のように、複数の色を組み合わせること自体で政治的主張を表わす場合もある。 |
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=== 商業における色 === |
=== 商業における色 === |
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日本では、[http://www.jafca.org/ JAPAN FASHION COLOR ASSOCIATION (JAFCA)]が毎年[[流行]]色を決めている。 |
日本では、[http://www.jafca.org/ JAPAN FASHION COLOR ASSOCIATION (JAFCA)] が毎年[[流行]]色を決めている。 |
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==== 自動車 ==== |
==== 自動車 ==== |
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[[自動車]]の外板色の好みには、その土地の[[気候]][[風土]]や[[文化]]が関わっており、[[自動車産業|自動車メーカー]]では仕向地ごとの色の設定や生産割合を細かく決めている。近年はグローバル化が進んで均されて来てはいるが、地域的な差は[[高級車]]では少なく、[[大衆車]]で顕著であった。 |
[[自動車]]の外板色の好みには、その土地の[[気候]][[風土]]や[[文化 (代表的なトピック)|文化]]が関わっており、[[自動車産業|自動車メーカー]]では仕向地ごとの色の設定や生産割合を細かく決めている。近年はグローバル化が進んで均されて来てはいるが、地域的な差は[[高級車]]では少なく、[[大衆車]]で顕著であった。車種やカテゴリによっても傾向に違いはあるが、各仕向地の大まかな嗜好としては、 |
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<!--* 緑色は不人気色なので、一般的に中古車として買い取られる場合、他の色より値が下がると言われている。ただし、[[マツダ・デミオ#初代(1996-2002年|デミオ]]のように緑色がよく売れた車種も存在する。欧米では白色は商用車のイメージが強く、スポーツカーなど嗜好性の強い車種には用いられないことが多いが、近年では欧米でも白のスポーツカーが増えつつある。--> |
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車種やカテゴリによっても傾向に違いはあるが、各仕向地の大まかな嗜好としては、 |
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* [[北アメリカ|北米]] - 濃色、淡色を問わずメタリックが好まれ、赤や黄色などのソリッドカラーも常に一定の需要がある。日欧のメーカーは、自国内向けに設定が無い場合でも、北米向けには濃緑、濃赤、濃茶、水色、ベージュ、シャンパンゴールドなどを設定してきた。また、数は少ないが、ソリッドピンクに代表される、突飛な[[ビバリーヒルズ]]カラーの存在も特徴である。 |
* [[北アメリカ|北米]] - 濃色、淡色を問わずメタリックが好まれ、赤や黄色などのソリッドカラーも常に一定の需要がある。日欧のメーカーは、自国内向けに設定が無い場合でも、北米向けには濃緑、濃赤、濃茶、水色、ベージュ、シャンパンゴールドなどを設定してきた。また、数は少ないが、ソリッドピンクに代表される、突飛な[[ビバリーヒルズ]]カラーの存在も特徴である。 |
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* [[ヨーロッパ|欧州]] - 近年はグローバル化で地域的な特徴は薄れつつあるが、以前は大衆車を中心に、鮮やかなものから渋い色合いまで、多様なソリッドカラーが用いられていた。 |
* [[ヨーロッパ|欧州]] - 近年はグローバル化で地域的な特徴は薄れつつあるが、以前は大衆車を中心に、鮮やかなものから渋い色合いまで、多様なソリッドカラーが用いられていた。 |
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* [[オーストラリア]]、[[中東]] - [[SUV]]、[[クロスカントリー]]カー、[[ピックアップトラック]]を中心にサンドベージュと白が好まれ、中東には[[オプション]]で[[フロントグリル]]や[[エンブレム]]([[バッジ]])にゴールド調[[めっき]]のものが用意されていることも特徴である。 |
* [[オーストラリア]]、[[中東]] - [[スポーツ・ユーティリティ・ビークル|SUV]]、[[オフロード|クロスカントリー]]カー、[[ピックアップトラック]]を中心にサンドベージュと白が好まれ、中東には[[オプション]]で[[フロントグリル]]や[[エンブレム]]([[バッジ]])にゴールド調[[めっき]]のものが用意されていることも特徴である。 |
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* [[日本]] - クラスやカテゴリの別無く白の需要が高い。 |
* [[日本]] - クラスやカテゴリの別無く白の需要が高い。 |
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==== 鉄道 ==== |
==== 鉄道 ==== |
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{{For2|日本国内の事情|日本の鉄道ラインカラー一覧}} |
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[[ユニバーサルデザイン]]の一環として、[[鉄道路線]]ごとに色を分けた[[ラインカラー]]の導入が増えている。 |
[[ユニバーサルデザイン]]の一環として、[[鉄道路線]]ごとに色を分けた[[日本の鉄道ラインカラー一覧|ラインカラー]]の導入が増えている。 |
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[[鉄道車両|車体]]色はその[[鉄道事業者|鉄道会社]]を表すものであったが、維持コスト低減に有利な[[ステンレス車両]]の普及や[[アルミニウム合金製の鉄道車両|アルミ車両]]の無塗装化が進み、多くの車両が[[フィルム]]帯を貼付けるのみとなっている。この帯色はラインカラーの表示を兼ねる場合もある。 |
[[鉄道車両|車体]]色はその[[鉄道事業者|鉄道会社]]を表すものであったが、維持コスト低減に有利な[[オールステンレス車両|ステンレス車両]]の普及や[[アルミニウム合金製の鉄道車両|アルミ車両]]の無塗装化が進み、多くの車両が[[フィルム]]帯を貼付けるのみとなっている。この帯色はラインカラーの表示を兼ねる場合もある。 |
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==== 玩具 ==== |
==== 玩具 ==== |
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==== 企業・大学・音楽グループ ==== |
==== 企業・大学・音楽グループ ==== |
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企業や団体 |
企業や団体などの組織を象徴する色を[[コーポレートカラー]]と言う。大学(その他学校法人)を象徴する色を[[スクールカラー]]と言う。音楽活動を行うグループのメンバー個々に定義づけられた色のことを[[メンバーカラー]]と言う。 |
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== 色・色名一覧 == |
== 色・色名一覧 == |
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== 脚注 == |
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=== 出典 === |
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== 参考文献 == |
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* 『広辞苑 第六版』 岩波書店 2008.1. ISBN 400080121X ISBN 978-4000801218 |
* 『広辞苑 第六版』 岩波書店 2008.1. ISBN 400080121X ISBN 978-4000801218 |
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* 『岩波 理化学辞典』 岩波書店 1998.2 ISBN 4000800906 ISBN 978-4000800907 |
* 『岩波 理化学辞典』 岩波書店 1998.2 ISBN 4000800906 ISBN 978-4000800907 |
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* 『色彩科学事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 1991.10 ISBN 425410104X ISBN 978-4254101041 |
* 『色彩科学事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 1991.10 ISBN 425410104X ISBN 978-4254101041 |
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* 『新編色彩科学ハンドブック』(第2 |
* 『新編色彩科学ハンドブック』(第2版) 日本色彩学会 東京大学出版会 1998.06 ISBN 4130611127 ISBN 978-4130611121 |
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* 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001.4 |
* 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001.4 ISBN 4130820850 ISBN 978-4130820851 |
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* 『色彩用語事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 2003.3 ISBN 4130611208 ISBN 978-4130611206 |
* 『色彩用語事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 2003.3 ISBN 4130611208 ISBN 978-4130611206 |
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== 関連項目 == |
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* [[光]] |
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* [[スペクトル]] |
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* [[色覚]] |
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* [[視感度]] |
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* [[The dress]] - 人によってドレスの色の見え方が違う写真。 |
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* [[色立体]] |
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* [[不可能な色]] |
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* [[吸光光度法]] |
* [[吸光光度法]] |
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* [[色の現象的分類]] |
* [[色の現象的分類]] |
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* [[The dress]] - 人によってドレスの色の見え方が違う写真 |
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* [[パーソナルカラー]] |
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* [[パティナ]](古色) - 年月が経過し色褪せ、もしくは錆びが出た色合い |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [http://www.sikiken.co.jp/colors/index.html 日本色研事業株式会社] いろのはなし |
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* [http://www.daicolor.co.jp/color.html 大日精化工業株式会社 色彩知識][[表色系]]、色彩用語の説明。 |
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* [http://konicaminolta.jp/instruments/colorknowledge コニカミノルタセンシング株式会社 色色雑学] |
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* [https://web.archive.org/web/20231129043837/https://sikiken.co.jp/colors/index.html 日本色研事業株式会社] いろのはなし - [[ウェイバックマシン]](2023年11月29日アーカイブ分) |
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* [http://www.daicolor.co.jp/rd/color/ 大日精化工業株式会社 色彩知識][[表色系]]、色彩用語の説明。 |
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* {{Wayback|url=http://konicaminolta.jp/instruments/colorknowledge|title=コニカミノルタセンシング株式会社 色色雑学|date=20090103091622}} |
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* [http://www.mmjp.or.jp/rwicp/zenka.html 脇色彩写真研究所 RW色彩写真全科] |
* [http://www.mmjp.or.jp/rwicp/zenka.html 脇色彩写真研究所 RW色彩写真全科] |
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* [http://www.colordic.org/ WEB色見本 原色大辞典] |
* [http://www.colordic.org/ WEB色見本 原色大辞典] |
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* [http://www.color-sample.com/ 色サンプル(色見本と配色)] |
* [http://www.color-sample.com/ 色サンプル(色見本と配色)] |
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* [http://www.color-guide.com/index.shtml 色見本の館] |
* [http://www.color-guide.com/index.shtml 色見本の館] |
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* {{Kotobank|2=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典}} |
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2024年12月31日 (火) 01:38時点における最新版
色(いろ、英語: color)は、可視光の組成の差によって感覚質の差が認められる視知覚である色知覚、および、色知覚を起こす刺激である色刺激を指す[1]。
色の認識には、光源・物体・視覚の三要素が必要である[2]。
色と光に何らかの関係があることは古くから知られており、アリストテレスは「色は光と闇、白と黒の間から生じる」と述べている[3]。しかし、色の本質が明らかになるのは20世紀になってからである[3]。現代科学では色は目の前にあるというより色彩の認識として存在すると考えられている[3]。
色覚は、目を受容器とする感覚である視覚の機能のひとつであり、色刺激に由来する知覚である色知覚を司る。色知覚は、質量や体積のような機械的な物理量ではなく、音の大きさのような心理物理量である。例えば、物理的な対応物が擬似的に存在しないのに色を知覚する例として、ベンハムの独楽がある。同一の色刺激であっても同一の色知覚が成立するとは限らず、前後の知覚や観測者の状態によって、結果は異なる。
色の様相
[編集]色の分類
[編集]物理学上の分類
[編集]色は物理学上では光源色と物体色に大きく分けられる[4]。
- 光源色
- 太陽や電球、ネオンサインなどのように光源が発する光の色のことを光源色という[4]。
- 物体色
- 物体に光を当てた時に認識できるその物の色のことを物体色という[4]。物体色には表面色(反射色)と透過色がある。表面色(反射色)はリンゴの表面の赤色のように物体に光が当たった際に特定の波長の光のみが反射されることでもたらされる(白の場合はすべての光を反射し、黒の場合はすべての光を吸収する)[4]。透過色はメロンソーダの緑色のように半透明の物体を光が通過する際に吸収されずに透過した特定の波長の光によってもたらされる[4]。
色彩学上の分類
[編集]炎や電球が写り込んだ写真では実際にそこから光を放射しているように見えるなど、実際の色の認識は光源色と物体色では説明できないことが知られている[5]。そのため色彩学では面色と表面色という色の見え方の違いが重要とされている[5]。
- 面色
- 視界に入る一面が青空のときのように位置関係や距離が不明瞭で奥行きのない二次元の色の見え方[5]。
- 表面色
- 通常、物体の表面に現れているもので位置関係や距離などが明瞭に認識できる色の見え方[5]。
色の三属性
[編集]色の見えは光源や物体によって変化するが、色味とその濃淡(強度)や明暗を具えている点で共通する。これは、色相(Hue)・彩度(Saturation・Chroma)・明度(Value・Brightness)と呼ばれる。色相・彩度・明度は合わせて色の三属性と呼ぶ[1]。色空間の一つHSV色空間(英: HSV model)は、この三つの成分からなる。
白や灰色、黒のグレースケールは、明度で区別され、色相を含まず彩度が0である。このような色を無彩色と呼ぶ。グレースケール以外の色は三属性すべてを持つ有彩色である[6]。
血色などは体調などに対する反応に過ぎず、色ではない。上記の様に、色の三属性を全てを具えたものが色であり、「色には明度が無い」とか「白や黒は色ではない」などと主張している人たちが、志向しているものは色ではない。
色相
[編集]色相は赤・橙・黄・緑・青・紫といった色の様相の相違である。「ピンク色」「レモン色」「ライム色」「空色」「赤茶色」「薄紫色」「肌色」「水色」などの色合いを表現する名詞と知覚内容を表す述語、そして、固有色名は色相を表現する語彙ではない。
色相は特定の波長が際立っていることによる変化であり、際立った波長の範囲によって、定性的に記述できる。ただし、常に同じ帯域が同じ色に見える訳ではない。連続して変化していく色味を円環上に並べたものを色相環と言う。白、黒、グレーを除く全ての色は、色相環に配置される色相のいずれかに属する。
色相の連続的な変化を示す例を3つ挙げる。
彩度
[編集]彩度は色の鮮やかさを意味する。物体の分光反射率が平坦になる程、彩度は低くなる。また、色相によって彩度が高いときの明度が異なる。
彩度の連続的な変化を示す例を3つ挙げる。
明度
[編集]明度は色の明るさを意味する。明度の高低は、物体の反射率との相関性が高い。光の明暗に関して、明るさ (brightness, luminousity) があるが同様の知覚内容を指していると言える。色相に属さず、明度の違いによって区別される、白、黒、グレーなどの色を無彩色という。対して、色味を僅かでも持つ色は有彩色と呼ばれる。純色の中では、ニュートラルな黄色が最も明度が高く、ニュートラルな青は最も明度が低い。
明度の連続的な変化を示す。
特殊な色
[編集]蛍光色や金属光沢を有する色は特殊な色として挙げることができる。なお、ここに掲げる色、特に特定条件における特定の部分の色を色の三属性で指定することは可能だが、指定される条件への依存度が大きく、色の指定としては有効ではない。
蛍光色
[編集]蛍光顔料には、昼光蛍光顔料(有機蛍光顔料)と燐光顔料(無機蓄光顔料)がある。昼光蛍光顔料は蛍光染料の加工品である。昼光蛍光顔料は紫外線も含め吸収した光エネルギーの波長を変え、通常の反射光と合わせて反射する。このため、高い明度、高い彩度を示す。波長の移動は、長波長側に向かって起こるので、蛍光色は暖色に多い。燐光顔料は、残光性がある物で、蓄光顔料とも言う。有機蛍光顔料とは異なり、顔料そのものの色は弱く、夜光顔料に利用される。
構造色
[編集]光の波長あるいはそれ以下の微細構造による干渉や回折、散乱により物体が色付く現象を構造色と呼ぶ。構造色として有名なものに、昆虫のモルフォチョウ、コウトウキシタアゲハ、タマムシ、他にカモの羽根、宝石のオパールなどがある。油膜やコンパクトディスクの記録面の虹色も構造色といえる。
金属色
[編集]金属の粉末で金属光沢を有する粉末を顕色成分とする塗料などの色を金属色と称することがある。金属光沢は、金物一般に特有な、滑らかな表面に見られる光を反射する性質のことである。
色彩
[編集]類語に
日本産業規格(JIS)[注 1]においては色と同義語である[7]ものの、彩り、傾向などを指す語として知られる[8][注 2]ことから、日常語のみならず、色を狭義に捉えようとする、科学、工業などの文脈においても広く色の語が用いられている[注 3]。
ある対象の地域・地区・施設などの色彩に関する計画を周辺の自然環境、人工環境に配慮して行うことを色彩計画という。
自然、地形、景観的特長を把握するとともに、対象の種別を考慮して計画を進めていく必要がある。また、計画される色彩が整備内容と整合するか、心理的な印象と整合するかなどの検証も求められる。
景観対象がもつ色彩的構成がその景観の印象を決定づけるような場合の表現を色彩景観と呼ぶが、「空」などはその典型例であり、落ち着いた景観、華やぐような景観など、人の感情に訴える風景を生み出すうえで色彩の果たす役割は大きい。
また、2つ以上の色を組み合わせて「間 (ま)」をつくり出すことを色彩調和と呼び、「まとまりのある美しさ」人の感情の快・不快に関係し、色彩調和論も著者の数だけの法則があるといわれている。
色と色覚
[編集]物理学的には、光学を基礎とし、色の変化は、物体と物体を照らす光との相関を用いて説明される。物体に入射する何らかの波長の光が観測者の方向へ反射(正反射・乱反射を含む)する際に、その物体の物性に応じた特定の波長のみが反射されそれ以外は吸収される(=波長に応じ反射率が異なる)という現象が起こる。観測者には反射された光だけが届くため、その波長に基づき判断される色が、「その物体の色」として認識される(つまり、光そのものに色という性質はなく、光を受けた器官が色を作っている)。
またそのように観測者に届く光とそれに対する認識とに左右されるため、一般的な色は、人間の視覚すなわち可視光線の範囲内を基準として表現されている。逆に言えば、可視光線の範囲を超えた波長の光について観測すると、可視光域で見た場合に比べて全く別の「色」や模様になっている物体もある。例えばチョウの羽根の模様は紫外線領域では人の肉眼で見る場合とはまた異なる鮮やかな模様を描き出し、真っ黒に焼け焦げた新聞紙などは赤外線領域のある波長では燃えた紙とインクが燃えた部分とで反射率が異なるため書かれていた元の内容を読むことが出来る。
生理学的に言うと、網膜内にある3種類の錐体細胞が吸収する可視光線の割合が色の感覚を生む。これらの錐体細胞は、それぞれ長波長・中波長・短波長に最も反応するタンパク質(オプシンタンパク質)を含み、順にL錐体・M錐体・S錐体と呼ばれる。霊長類におけるL錐体とM錐体はかつて2種類だった色刺激の受容器の片方が進化の過程で分岐したものであるとされており、分光感度特性が近い。なお、L , M , S の各錐体は以前赤・緑・青で呼ばれていたが、誤解を招くとしておおむね2000年代以降は専門家は赤・緑・青では呼ばなくなっている。
ある人が視覚を通して受け取る光の波長が変化すると、それに伴って変化する視覚経験の内容が色であると言える。ただし、正常の色覚を持つ者以外に、正常の色覚をもつ人と色知覚が部分的に整合しない人(色覚異常[注 4])、1色覚(全色盲)や全盲など色覚を持たない人もいるため、この事例にも例外がある。しかしながらこの事態に限っては、色覚特性があっても知覚可能な波長にあっては事情は同様である。また、1色覚であっても、波長の長短の知覚が成立する場合があり、どちらかといえば長波長を好む傾向がある。
無色の紙のように、全波長において高い反射率で乱反射する物体は白と呼ばれる。一方、全波長において反射がほとんど無い場合、その色は黒と呼ばれる。近似的な黒体は、例えば中空の物体に微小な開口部を設けることで実現できる。この場合、中空の部分に入った光はほとんど吸収され外に出てこないので、反射率はほぼゼロになる。
色にまつわる見解
[編集]色を説明する場合に、様々な色彩理論を集合的に概説する場合がある。代表的なものに三原色と反対色性がある。色彩にまつわる現象は様々あり、照度や輝度、反射率の変化に従って、見える色も変化する。ベツォルト・ブリュッケ現象やアブニー効果など様々な見解が知られている。
三種の錐体細胞と三原色
[編集]人間の視覚が色を認識する際には、その光の分光分布を直接計っているのではなく、眼球の錐体細胞に含まれる3つの色素が光を吸収する割合を計っているに過ぎない。そのため、独立した複数の色を合成する事で人間に別の色を感じさせる事ができる。
例えば、黄の波長の光は、赤の波長の光と緑の波長の光の組み合わせによってほぼ同じ刺激を与えることが可能であり、黄は赤と緑の組み合わせの光として表現出来る。そしてこの場合、黄の波長だけが眼球に入っている場合と、赤の波長と緑の波長が組み合わされて眼球に入っている場合を人間は区別できない。各錐体の出力は、全波長にわたってその錐体に当たる光の量によって決まるためで、これを単一変数の原理と呼ぶ。
ディスプレイ、印刷、絵具など、色を表現するメディアは様々である。これらを光源、もしくは、透過光および反射光に着眼して分類した場合、特徴的な色の傾向が異なる。これを便宜的に色に着眼してグルーピングして、加法混合と減法混合、RGBWとCMYK、RGBとCMYなど、いくつかに分けて説明する場合がある。
原色はどの色なのかと問う人がいるが、実際に選択される塗料やインク、あるいはカラーフィルターその他が形成する「原色」の色合いが、常に特別に優越される色合いだという訳ではない。減法混合においては彩度が高い状態において明るいものにある種の優位性が伴う。効果的に色を表現できる着色材料は重宝されるが、一定の方向性、共通性はあってもその色相や色調は一致しない。原色の説明はあくまで単純化された抽象論に過ぎない。その上、理想的な原色は実在しない。
色の混合
[編集]ここで挙げるのはあくまで、一般的な色覚を持つ人間を基準にした色の混合の様態である。二色型の色覚を持つ人は、2つの完全な原色[注 5]でその人が知覚可能な全ての色を合成することができると考えられており、4つないしそれ以上の錐体(もしくはそれに相当するもの)を持つ生物にとっては、4つないしそれ以上の「原色」が必要になる。また、ヘビが持つ赤外線検知器であるピット器官の情報は脳の視覚野に入っており、視覚情報として処理されていることが証明されている。つまり、ピット器官を持つヘビ(マムシなど)にとっては温度情報もまた原色の一つであろう。人間は偏光をハイディンガーのブラシと呼ばれる現象を除いてほとんど知覚できないが、水中生物の一部や昆虫など、知覚できる生物が存在する。それらは透明なものを偏光の回転程度の違いにより見ることができたり、曇り空でも太陽の正確な方向がわかると考えられている。そのような生物には、人間が実際の色に近いと判断する写真も、実物と明らかに異なる色合いに見えると考えられる。
有色の光線によって色を演出する場合、光を加える形で色を合成する(加法混合)。このとき、積極的な発光によらない、黒さ(暗さ)を表現できる仕組みが求められる。この結果、効率的に光の透過を抑えることが出来る塩素を含む顔料が採用される場合が多くなる。
白色の光を合成するための波長を「光の三原色」や「色光の三原色」と言い、下記の三色を用いる。カラーフィルターを用いる場合に採用される顔料の一例を上げると、赤がPigment Red 254に少量のPigment Orange 71、緑がPigment Green 36に少量のPigment Yellow 138、青がPigment Blue 15:6に少量のPigment Violet 23、などである。これはあくまで例であり、これ以外の顔料の組み合わせは使用されている。以前は「橙」「緑」「紫」の組み合わせも試みられたが成功しなかった。カラーフィルターのスペクトルは下記の波長とは性格が異なり、一致しない。
- R:赤(波長: 625-740 nm 周波数: 405-480 THz)
- G:緑(波長: 500-565 nm 周波数: 530-600 THz)
- B:青(紫みの青、群青色)(波長: 450-485 nm 周波数: 620-665 THz)
一方、物体の表面を特定の色にするためにインクなどを塗る場合、元の光を遮る形で色を合成する(減法混合)。その合成の元になる色は一般に「色の三原色」や「色料の三原色」と言われ、シアン、マゼンタ、イエローの三色(下掲)を用いる。この三つの材料を混合すれば、光の三原色の場合と反対に黒を作ることが出来る。しかし、この三色によって白を構成することは出来ない。
故に、印刷などに用いる場合には白色素材の表面に使用することが前提となる上、白色の併用が必要になる場合もある。また、透明性の高い着色材(colorant)を使用しても、三原色の重ねや混合で成立する黒は理想とは異なり、純黒にはならない。このため、より自然に色を現す目的で黒色の着色材が併用され、これは一般にCMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Key plate) と呼ばれる。
- C:シアン(緑みの青、藍)(例えば、フタロシアニン青、Pigment Blue 15:3)
- M:マゼンタ(赤紫、紅紫色、紅)(例えば、キナクリドン赤、Pigment Red 122[注 6])
- Y:イエロー(黄色)(例えば、アゾ黄、Pigment Yellow 74やPigment Yellow 128など[9])
- K:ブラック(黒)
反対色性
[編集]光の混合においては、橙と青によってマゼンタなどの紫の色相が得られ、橙と緑を混ぜると黄の色相を得ることが可能である。このとき、紫には元の赤味も青味もあるが、黄においてこの印象は寡少である。黄には元の色彩(赤、緑)がないと主張する人がいる。しかし、現実に得られる黄は赤気味であったり、緑気味であったりする。赤気味でも緑気味でもない「理想の黄」が現実に得られるとは断言できない。また、黄と青から白を作る場合も、元の色味が極度に減少する。このような色味を打ち消しあう性質を反対色性、色自体についてはもう一方の色の反対色、補色という。ただし補色という語は厳密な反対色を意味しない場合が多い。
反対色性は網膜から大脳へ効率的に色情報を伝達しようとするために生じると考えられている。なぜなら、それぞれの色は錐体応答間でも高い相関があるからである。そのため、相関が低くなるよう線形変換し、冗長性を低減している。
色覚の認知と比較
[編集]同一の個体の色覚は、ふつう安定していると考えられている。光源が多少変化しても同じ物体の色が同様に見えるのは、色の恒常性があるからである。
複数の個体間で知覚される色がどのような色であるかを直接すり合わせることは出来ないが、人間同士であれば言語やカラーチャートを用いて情報交換することが可能である。他方で、人間が様々な生物の色覚を知ろうとする試みがあり、色覚の有無や性質が研究されている。
色の恒常性
[編集]人間が光線の波長そのものを知覚しているのではなく三種類の錐体の出力比を知覚していることを述べた。これだけでは例えば、極端に黄色い照明の下では全てのものが黄色く見えてしまうはずだが、実際には色味のある照明の下でもその照明に支配されない認識が得られる。これを色の恒常性という。
人間の視覚には慣れや知識などによる補正があり、多少の光源の色度の違いは補正される。このため昼と夕方とでは日光の波長分布が違うにもかかわらず、物体は同じ色に見える。太陽光と異なる波長分布を持つ照明下でも「白色」のものは白色と感じられる。例えば、「白熱灯」の波長分布はその名に反してかなり赤に偏っているが、その照明下でも白い紙は白く見える。周囲の色々なものの見え方からそのときの照明条件を推定し、その推定に従って色の見え方を補正していると考えられる[10]。
太陽光と同じ波長分布の光が最も自然な白色とされるが、それより青成分の強い光を「爽やかな白」と感じる人が多い。故に多くのディスプレイ上に表現される白色は純白より青味が強い色になっている。そのような青味の白も極端でなければ、日常的に白を吟味していないような多くの人の眼には「青」でなく「爽やかな白」と感じられる。
夜間など十分な光の得られない環境では、錐体の機能が低下する。暗所で働く桿体は錐体と比較して赤色光への感度が低いため夜間には赤と黒の識別が困難になるのだが、そのような環境にあっても赤色であると知っているものは赤く見える場合がある。例えば、黒く塗った林檎を暗い環境下で見せると赤く見える、といったことが起こる。
太陽光線の波長分布は季節や時刻によって異なる。また、周囲に反射した光によっても影響される。例えば周りが青い物ばかりならば反射光によって環境光は青さが増す。だが、周囲の色に引きずられて物の色が違って見えては困るであろう。色の恒常性は、そのような場合でも出来るだけ一定の色覚を保つために発達したとの考えは、ある自然さを持っている。ただし、この補正にも限度があり、極端に偏った波長分布では補正しきれない。
色覚の共有
[編集]同じ組成の光を受けた場合でも、それをどのように知覚するかは人それぞれの目と脳の相関関係によって異なるので、複数の人間が全く同一の色覚を共有しているわけではない。同様に、ある人が同じ物を見ても右目と左目では角度や距離が異なり、見えた色も一致しない。他者の色知覚を経験する手段は存在せず、同一の色知覚を共有することも不可能である。
また、知覚した色をどのような色名で呼ぶかは学習によって決定される事柄であり、例えば緑色を見て二人の人間が異なる知覚を得たとしても、二人ともそれを「緑」と呼ぶので、色覚の違いは表面化しない。
色覚の違いが表面化するのは、複数の色の区別に困難が生じるなどの場合である。大多数の人間とはっきり異なる判断をおこすものの色覚特性を指して、その生理については色覚異常、機能については色覚障害と呼ぶ。
いわゆるバリアフリーと呼ばれる動向において、色覚異常の者に対する配慮が必要であるという意見がある。他方で、眼科学においては、1型色覚および2型色覚に代表される多くのケースでは、日常生活に大きな支障をきたしていないという考え方が定説とされている[11]。
標準化団体であるW3C は、HTML の色使いは色覚異常に配慮したコントラストを保つべきだとして綱領を出している[12]。HTML は 16,777,216 色(23×8 色)が表現出来るが、環境に依って見え方は左右される。256 色環境で Windows と Macintosh に共通する 216 色(63 色)の事をウェブカラーと言い、この 216 色は見え方が環境の違いに左右され難いため、使用が推奨されている。
色の作用、効果
[編集]- 人間には感知し易い色と知覚し難い色がある。色の差の認識されやすさは色の視認性と呼ばれる。色が人の注意を引きやすく目立つ度合いを、色の誘目性と呼ぶ。一般に彩度が高い方が視認性と誘目性は高くなるとされる。寒色系よりも暖色系のほうが誘目性が高い。一般に、色相が離れているほどコントラストが強くなるため、視認性が高まる。
- 色は人の奥行き感や距離の判断に影響を与える。暖色系の色は実際よりも飛び出して見える進出色、寒色系の色は引っ込んで見える後退色である傾向がある。一般に、彩度が高い方は進出し、低ければ後退して見え、無彩色よりも有彩色が進出して見える。さらに、背景の色との関連もあり、背景が明るい場合は暗いほど、背景が暗ければ明るいほど、進出して見える。
- 隣接する色との対比で見え方が異なってくることを同時対比という。明度対比、彩度対比、色相対比、補色による彩度対比、色陰現象などがある。反対に、隣接する色に近似して見える現象を同化現象(フォン=べゾルト効果)という。面積比が大きい場合、線が細い場合にその効果は大きくなる。
- 配色により、重なっている部分を透けているように見せることができる。これは、透明視(セロファン効果)と言われる。
- 同じ色でも面積が大きくなると明るく彩度が高く見え、暗い色はより暗く感じる。また、線の太さが同じでも、明度を落とすと細い線のように見える。
- 実際より大きく見える色を「膨張色」、小さく見える「収縮色」という。赤や黄など暖色系の色および白色は膨張色で、他の色より知覚し易い。日本の児童の帽子やランドセルカバーが黄色なのは、知覚し易い色を採用する事で自動車事故を減らす狙いがあるからである。反対に、青や黒などの寒色系の色は収縮色である。実際に黒色の自動車は他の色に比べて事故が多く、そのためバスやタクシーの車体は黒色を避けているものが多い。[疑問点 ]また、囲碁の碁石も黒石と白石が同じ大きさの場合は黒石の方が小さく見えてしまうので、黒石を一回り大きく作っている。
- 人間が暗闇で見え難い色は、茶・黒・青・紫であり、見え易い色は、黄・白・オレンジの順番である。
- 乳幼児は赤色を強く認識するので、乳幼児の玩具は赤色を基調に作られている。老人性白内障に罹ると水晶体が黄色く濁り、波長の短い青色緑色系統の色は黒っぽく見えるようになる[13]。このため老人はガスコンロの青い炎が見え難く、火傷や火事を起こし易い。
- 安定した元素である炭素を素材とする墨や複写機のトナーの複写やコピーで描いた文字、図形や絵画などは紫外線に対して耐光性があり、また空気中や水中の酸素による酸化によって色褪せ、退色や変色することは少ない。木簡の文字はその典型例である。他方で、玩具やアニメ、美術のように、生理的な弁別が容易で単純な色を多用する分野・領域がある。多くの印刷や塗装と異なり、明るく鮮やかな色を多用するとか、色素の濃度を高くしたり塗料を厚く塗ったりして、色の飽和度を高くしたり、色素の存在比を大きくして生理的な弁別の容易さを高めるなどした結果、変わった色になっている場合が多い。絵具などは消費量が少なく、使用法が厳密でない上に消費者によって随分異なる為、原料の品質が低く、色が良くない[注 7]。ターナーやゴッホ、ピカソやシャガールなど著名な画家達が色覚異常だったとの説もある。
文化における色
[編集]一般に、色は、生活や文化、産業や商業、デザインや視覚芸術の重要な要素であり、ある「様式」「作風」「文化」の特徴の一つに、特定の色の使用、特定の色の組み合わせ、色と結び付いた意味などが含まれている場合も多い。
色名
[編集]色名とは色の名のことである。基本色名、系統色名、固有色名などがある。あらゆる文化には、RGB や CMY と同一視出来ない、それぞれの文化的な原色がある。それはその文化の背骨となっている言語の中での、最も古い色名からたどれる。そのような色名は基本色名と呼ばれる。特別な名前が付けられた色や、また名前の付けられていないような色もあるが、それらは全て基本色名で言い換える事ができる。例えば、「蘇芳色(すおういろ)」は基本色名の「赤」と言い換えることができるし、空の色や海の色などをまとめて「青」と呼べる。
色に対する一般的な印象
[編集]色彩は様々な感情を表現したり、事物を連想させることがある。国や文化などによって違いはあるが、一般的な印象は次のようなものである[14][15]。しかし、今日では喪服は黒が一般的だが江戸時代までは白が一般的だったように、時代や文化による影響も大きい。
- 白
- 善、雪、無、保守、真理、清潔、純粋、無罪、無知、賛成など
- 黒
- 夜、権威、悪、死、防衛、武勇、汚濁、有罪、炭、富裕層など
- 栗(茶色)
- 土、豊穣、糞、執着、田舎、秋など
- 赤
- 血、生命、火、左翼、革命、力、愛、女、情熱、危険、熱暑、勇気、攻撃、敵、電気、太陽(日本)など
- 橙
- 温暖、快活、陽気、幸福、誇り、野心、忍耐など
- 黄
- 太陽、穀類、電子、金、注意、臆病、活発、明快、乾燥、地下、王位、色欲など
- 緑
- 植物、自然、安全、健康、希望、幼稚、平和、新鮮、湿潤、嫉妬(英語圏)、エコロジーなど
- 青
- 水、冷静、知性、内面、右翼、悠久、未来、誠実、味方、防御、貧乏、憂鬱、寒冷、涙、男、月、安全など
- 紫
- 王位、高貴、正義、優雅、神秘、節制など
- 金
- 神、宝、光、生など
- 灰
- 中立、不潔、陰鬱、不変、沈静など
青は男、赤は女を意味するという認識は日本のみならず世界の国々が有しているという調査結果がある[16]。
職種、階層、貧富を言い表す際にも色が用いられることがある。例:ホワイトカラー(事務職)・ブルーカラー(肉体労働職)、ブルーブラッド(貴族。首筋が日焼けせず静脈が見える人間)・レッドネック(白人の肉体労働者。屋外労働で首筋が赤く日焼けしていることから。アメリカ南部者)・ホワイトトラッシュ(貧乏な白人。ただしレッドネックが白人の男を指すのに対し、こちらは女を限定することもある)
政治における色
[編集]政治の世界においては、色が特定の政治的な立場を現すことがよくある。
赤
[編集]赤は左翼・社会主義・共産主義を形容する色としてよく使われ、党派的にも容共で政府・資本家に反く側を表す。一説には、1848年革命やパリ・コミューンの時に、革命軍が掲げていた三色旗が血に染まって赤くなったから、左翼的立場を形容するのに赤を使うようになったとされる。
白
[編集]白は右翼・反共主義・王党派・復古勢力を指す色として使われる。反共で政府・資本家に親しい側を指す。フランスの王党派が使い始めたのが最初で、フランスのブルボン家の白百合紋章に由来する。以来、反革命軍は白旗を目印として、右翼的立場を形容するのに白を使うようになった。白系ロシア人、白色テロなど。
-
フランス王党派の旗
黒
[編集]黒はアナキズムを象徴する色として使われる。日本では、天皇の臣下を意味する色として利用される事があった。また、しばしばファシズムの象徴として使われる。ベニート・ムッソリーニのファシスト党は、制服の色として使った。
-
ファシスト党の党旗
-
無政府主義の象徴黒色のサークルA
青
[編集]黄
[編集]黄色は労資協調主義や自由主義・リベラル派を形容する。御用組合は俗に「黄色組合」とも言われ、黄色は容共かつ政府・資本家に親しい党派を表す。
緑
[編集]緑は環境保護派や「緑の党」を形容する色として広く使われている。イスラムを象徴する色としても利用される。
茶
[編集]茶色や褐色は独裁主義やナチズムを形容する。これは、ナチ党の突撃隊(SA)の制服にちなむ。また、茶色の代わりに、赤と黒の組み合わせで示される場合もある(例:クメール・ルージュ)。
複数の色の組み合わせ
[編集]国旗には、アイルランドの国旗などのように、各色が意味を持っており、その組み合わせと配置で国家の在り方を示している場合がある。
また、レインボーフラッグのように、複数の色を組み合わせること自体で政治的主張を表わす場合もある。
商業における色
[編集]日本では、JAPAN FASHION COLOR ASSOCIATION (JAFCA) が毎年流行色を決めている。
自動車
[編集]自動車の外板色の好みには、その土地の気候風土や文化が関わっており、自動車メーカーでは仕向地ごとの色の設定や生産割合を細かく決めている。近年はグローバル化が進んで均されて来てはいるが、地域的な差は高級車では少なく、大衆車で顕著であった。車種やカテゴリによっても傾向に違いはあるが、各仕向地の大まかな嗜好としては、
- 北米 - 濃色、淡色を問わずメタリックが好まれ、赤や黄色などのソリッドカラーも常に一定の需要がある。日欧のメーカーは、自国内向けに設定が無い場合でも、北米向けには濃緑、濃赤、濃茶、水色、ベージュ、シャンパンゴールドなどを設定してきた。また、数は少ないが、ソリッドピンクに代表される、突飛なビバリーヒルズカラーの存在も特徴である。
- 欧州 - 近年はグローバル化で地域的な特徴は薄れつつあるが、以前は大衆車を中心に、鮮やかなものから渋い色合いまで、多様なソリッドカラーが用いられていた。
- オーストラリア、中東 - SUV、クロスカントリーカー、ピックアップトラックを中心にサンドベージュと白が好まれ、中東にはオプションでフロントグリルやエンブレム(バッジ)にゴールド調めっきのものが用意されていることも特徴である。
- 日本 - クラスやカテゴリの別無く白の需要が高い。
自動車業界では自動車メーカーの都合や広告代理店の仕掛け、塗料メーカーの技術開発などで、外板色の流行が繰り返されてきた。日本の販売統計(発売後のプレスリリースには、購入層別、グレード別などの他、色別の販売台数比率も掲載されている。)では、バブル期などの好景気にはパール、濃色系のマイカやメタリック、鮮やかなソリッドカラーを中心に非常に多様となり、ツートーンカラーの設定も多いが、不景気になると白と銀(灰色系メタリック)に偏る傾向があり、メーカーも白、銀、紺などに色数を絞る。この時期にはスポーツカーなどの趣味性が強く、特徴的な色が設定されることの多い車種も、生産を減らすか、廃止に追いやられる場合が多い。一方、軽自動車やコンパクトカーのうち、可処分所得の高い女性層に向けた車種では、景気動向に影響されながらも(色の追加と廃止を頻繁に繰り返し、全体の色数を減らしてコストを抑える)多様な外板色が設定されている。
塗料としての性質は、カーボンを含む黒は耐久性・耐候性に優れ、焼付け時の熱吸収が良く、乾燥・硬化が速い(フォード・モデルTを参照)。顔料の粒子が大きい白はそれに次ぐ耐久性・耐候性を持つ。隠蔽力もこの順に高く、ソリッドカラーの場合、これらの色は低コストでもあり、公用車や社用車、商用車にこれらの色が多い理由にもなっている。ハイソカーブームで人気となったスーパーホワイトは、当初高額車のみに設定されていた。この場合専用の白い下地塗料を用意する必要はあるが、車両価格に対し、塗料と塗装のコストの割合は低くなり、利益率が増す。
逆に黄、橙、赤は隠蔽力が低く、発色を良くする場合には専用のサーフェーサーを用いる。これらの色は耐候性も低く、退色が目立ちやすい。
鉄道
[編集]ユニバーサルデザインの一環として、鉄道路線ごとに色を分けたラインカラーの導入が増えている。
車体色はその鉄道会社を表すものであったが、維持コスト低減に有利なステンレス車両の普及やアルミ車両の無塗装化が進み、多くの車両がフィルム帯を貼付けるのみとなっている。この帯色はラインカラーの表示を兼ねる場合もある。
玩具
[編集]- 玩具業界では、黒い玩具は売れない、と言われていたが、ダッコちゃん人形がそれを覆した。
- コンシューマーゲーム業界では、黒の据え置きハードは売れないと言われていたが、PlayStation 2がそれを覆した。
- レゴブロックは、子供が兵器を模して遊ばないようにと、迷彩色に多い緑のブロックを極力作らなかった[17]。
企業・大学・音楽グループ
[編集]企業や団体などの組織を象徴する色をコーポレートカラーと言う。大学(その他学校法人)を象徴する色をスクールカラーと言う。音楽活動を行うグループのメンバー個々に定義づけられた色のことをメンバーカラーと言う。
色・色名一覧
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ JIS Z 8105:2000「色に関する用語」(日本産業標準調査会、経済産業省)11頁。
- ^ 他方で、日置隆一は『新編色彩科学ハンドブック』において、「物体という概念が付随」すると主張している。
- ^ 『新編色彩科学ハンドブック』などの参考文献を参照。ただし、著書の表題のように例外もある。
- ^ 錐体細胞の数が健常者よりも少ないために色が異なって見える。
- ^ ただし、完全な原色は実在しない。
- ^ 印刷技術で多用されるアゾ赤よりも色相的にマゼンタに近い。出典 :『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5
- ^ 牛骨や石膏などの美術教材が良くないことや、市販の写真用のレンズが産業用レンズより良くないことに似ている。
出典
[編集]- ^ a b 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会
- ^ 松本 英恵『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、21頁。
- ^ a b c 松本 英恵『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、20頁。
- ^ a b c d e 松本 英恵『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、26頁。
- ^ a b c d 松本 英恵『人を動かす「色」の科学』サイエンス・アイ新書、2019年、30頁。
- ^ 尾登誠一「3 色の世界を知る」『色彩楽のすすめ』岩波書店〈岩波アクティブ新書〉、2004年、34頁。ISBN 4-00-700101-4。
- ^ 『新編色彩科学ハンドブック』日本色彩学会 東京大学出版会
- ^ 『広辞苑 第六版』岩波書店
- ^ インクジェット用顔料インキにおける顔料分散
- ^ 色の恒常性 - 脳の世界:京都大学霊長類研究所・行動発現分野(旧URL)
色の恒常性 - 脳の世界:中部学院大学 三上章允(新URL) - ^ 目と健康 No,13 特集:色覚の異常
- ^ 色の組み合わせチェック - 読みやすい前景色と背景色
- ^ インテリアセミナーレポート「高齢者の視界と色の視認性」(東リ)(1999.02) - ウェイバックマシン(2010年10月19日アーカイブ分)
- ^ 日本色彩研究所『色の百科事典』丸善、2005年、124-127頁。ISBN 978-4621075425。
- ^ 清野恒介『色彩用語事典』新紀元社、2009年、136-137頁。ISBN 978-4775307113。
- ^ 男は青。女は赤。これって決まりごと?(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース 反面、「男は青、女は赤」というイメージは、万国共通らしい。武蔵野大学のある教授が世界20カ国、約5000人を対象に「男女のイメージカラー」について調査したところ、「男は青、女は赤」という回答が最も多く得られたというのだ。
- ^ レゴに緑が少ない理由とは? レゴブロックの“深イイ”世界 〈dot.〉 dot.ドット 朝日新聞出版
参考文献
[編集]- 『広辞苑 第六版』 岩波書店 2008.1. ISBN 400080121X ISBN 978-4000801218
- 『岩波 理化学辞典』 岩波書店 1998.2 ISBN 4000800906 ISBN 978-4000800907
- 『色彩科学事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 1991.10 ISBN 425410104X ISBN 978-4254101041
- 『新編色彩科学ハンドブック』(第2版) 日本色彩学会 東京大学出版会 1998.06 ISBN 4130611127 ISBN 978-4130611121
- 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001.4 ISBN 4130820850 ISBN 978-4130820851
- 『色彩用語事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 2003.3 ISBN 4130611208 ISBN 978-4130611206
関連項目
[編集]- 光
- スペクトル
- 色覚
- 視感度
- 色立体
- 不可能な色
- 吸光光度法
- 色の現象的分類
- The dress - 人によってドレスの色の見え方が違う写真
- パーソナルカラー
- パティナ(古色) - 年月が経過し色褪せ、もしくは錆びが出た色合い
外部リンク
[編集]- 日本色研事業株式会社 いろのはなし - ウェイバックマシン(2023年11月29日アーカイブ分)
- 大日精化工業株式会社 色彩知識表色系、色彩用語の説明。
- コニカミノルタセンシング株式会社 色色雑学 - ウェイバックマシン(2009年1月3日アーカイブ分)
- 脇色彩写真研究所 RW色彩写真全科
- WEB色見本 原色大辞典
- 色サンプル(色見本と配色)
- 色見本の館
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『色』 - コトバンク
- color (optics) - ブリタニカ百科事典
- 「色について調べるには(市川市中央図書館調べ方案内)」(市川市中央図書館) - レファレンス協同データベース