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* [http://www5.kcn.ne.jp/~tutinoko/ 地域づくり団体ツチノコ共和国] |
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2017年9月4日 (月) 18:02時点における版
ツチノコ(槌の子)は、日本に生息すると言い伝えられている未確認動物 (UMA)のひとつ。鎚に似た形態の、胴が太いヘビと形容される。北海道と南西諸島を除く日本全国で“目撃例”があるとされる。
目撃談などによる特徴
- 普通のヘビと比べて、胴の中央部が膨れている[1]。
- 2メートルほどのジャンプ力を持つ[2]。高さ5メートル、前方2メートル以上との説や[3]、10メートルとの説もある[4]。
- 日本酒が好き[3]。
- 「チー」などと鳴き声をあげる[3]。
- 非常に素早い[5]。
- 尺取虫のように体を屈伸させて進む[3]、尾をくわえて体を輪にして転がるなどの手段で移動する[2]。
- いびきをかく[5]。
- 味噌、スルメ、頭髪を焼く臭いが好き[3]。
- 猛毒を持っているとされることもある[1]。
テレビ番組などで、ツチノコ捕獲に成功したとする話も取り上げられるが、「たたりを恐れて逃がした」「死体が消えてしまった」といった理由で追求が打ち切られ、客観的にその存在を証明できた事例は無い。
名前
ツチノコという名称は元々京都府、三重県、奈良県、四国北部などで用いられていた日本語の方言だった。東北地方ではバチヘビとも呼ばれ、ほかにもノヅチ、タテクリカエシ、ツチンボ、ツチヘビ、土転びなど日本全国で約40種の呼称があり、ノヅチと土転びは別の妖怪として独立している例もある。
歴史
- 縄文時代の石器にツチノコに酷似する蛇型の石器がある(岐阜県飛騨縄文遺跡出土)。また、長野県で出土した縄文土器の壺の縁にも、ツチノコらしき姿が描かれている。
- 奈良時代の『古事記』、『日本書紀』にはカヤノヒメ神の別名であり野の神、主と書かれてある。
- 1712年、寺島良安が記した『和漢三才図会』第四十五巻 竜蛇類に「野槌蛇」の名称でツチノコの解説がある。「(一つ手前の項目に記された)合木蛇の仲間で、深い山奥に棲む。頭と尾は均等で尾は尖らず、柯の無い槌に似ている為俗に野槌と呼ばれる。吉野山中の菜摘川の清明の滝の周辺に往往見られる。口は大きく人の脚を噛む。坂を下り走ると甚だ速く人を追う。但し登りは極めて遅い為、これに出会ったら急いで高い處に登るべし。追い付かれる事は無い」。
- 1886年、井出道貞が『信濃奇勝録』巻之1に「野槌 のつち 漢名 千歳蝮」を記す。「八月の頃たまたま出る。坂道は転がって進む。人に害を成さない。和漢三才図会の説明とは異なる」と書き留めている。
- 1972年、作家の田辺聖子が、ツチノコ捕獲に情熱を燃やす作家山本素石をモデルとした小説『すべってころんで』を朝日新聞夕刊に連載。ツチノコの名が全国的に知れ渡ることとなった[3]。
- 1973年、ツチノコに遭遇した経験を持つという漫画家の矢口高雄が、ツチノコをテーマとした漫画『幻の怪蛇バチヘビ』を発表[6]。ツチノコブームのきっかけを作った[3]。なお、同作品は『釣りキチ三平』と共に、1974年の第4回講談社出版文化賞を受賞している。
- 1974年、漫画『ドラえもん』においてツチノコを描いたエピソード「ツチノコさがそう」が雑誌「小学五年生」に掲載され、翌1975年には「ツチノコ見つけた!」が「小学六年生」に掲載された。後に『ドラえもん』が台湾へ輸出されたことで、台湾の多くの学生たちにはツチノコの姿として、これらの作中で漫画風にアレンジされたツチノコのイメージが定着している[7]。
- フジテレビ系バラエティ番組、奇跡体験アンビリバボーでは、太平洋戦争当時の日本軍が捕獲し、軍の研究所で飼育、観察されていたとされるツチノコの話題を取り上げた。不鮮明ながら、モノクロ写真とされる物も残されている。死後解剖された際の結論は、毒の成分から考えてニホンマムシの亜種だったと記されている。
各地の目撃談
- 東北地方
- 関東地方
- 中部地方
- 岐阜県東白川村は目撃証言が多く、全国でも有数の多発地帯といわれる[9][10]。毎年5月にはツチノコ捜索のイベント「つちのこフェスタ」が行なわれ、捕獲賞金もかけられている[11]。同村には日本唯一のツチノコ資料館である「つちのこ館」や、平成元年に建立のツチノコを祀った「つちのこ神社」もある[3]。「つちのこフェスタ」公式マスコットキャラクター「つっちー&のこりん」は村のマスコット(ゆるキャラ)として村内外のイベント等で活動している[12]。。
- 岐阜県美濃市の農道で、数ある目撃例の中でも巨大な、全長約2メートルの個体が目撃された[13]。
- 1992年、岐阜県中津川市付知町の農家でツチノコらしき生物の死体が発見されて話題になったが、鑑定の結果、マツカサトカゲと判明した[14]。
- 北陸地方
- 文化時代の随筆『北国奇談巡杖記』に、ツチノコのものとされる話が以下のようにある。石川県金沢市の坂道で、通行人の目の前で横槌のような真っ黒いものが転がり歩き、雷のような音と光とともに消えた。これを目撃した何人かの人は毒に侵されたとされ、この坂は槌子坂と呼ばれたという。同様の怪異は、昭和初期の金沢の怪談集『聖域怪談録』にも記述がある[15]。
- 新潟県糸魚川市能生地区の山中でツチノコが目撃された[16]。同地区では「つちのこ探検隊」が結成され、2006年以降から毎年ツチノコの捜索が行われ、最大1億円の賞金がかけられている[17][18]。
- 新潟県小千谷市に、ツチノコの背骨といわれる物体が保管されている[13]。
- 近畿地方
- 兵庫県では、但馬地方に50件以上の目撃情報がある。香美町では「美方つちのこ探索隊」が結成されており、捕獲したツチノコを飼うための「つちのこ飼育庭園」も設置されている。千種町(現宍粟市)では捕獲に2億円の賞金をかけたこともあり、ツチノコの懸賞金としては過去最高額[3]。
- 2004年5月30日、兵庫県美方町のツチノコ探検隊が、同町でツチノコらしき生物の死骸を発見したと発表したが、鑑定の結果ツチノコではないと判明した。同年には6月にも同町でツチノコ状のヘビが発見され、「ツーちゃん」の名で飼育されたものの、これは妊娠して胴が膨れ上がったニホンヤマカガシに過ぎず、卵を産み落とすと普通のヘビとなってしまった[19]。
- 兵庫県多紀郡(現篠山市)で、体長約50センチメートル、直径約10センチメートルの、サンショウウオに似たツチノコらしき生物が目撃された[13]。
- 奈良県吉野郡下北山村で、体長約30センチメートルのツチノコが目撃された[13]。
- 2008年3月、奈良県の竜王山で発見された生物が、同年3月7日発行の東京スポーツの一面にツチノコではないかとして掲載された。一部の学者はツチノコではなくヒルとの見方を示している[20]。
- 2014年10月、滋賀県近江八幡市の古民家の床下からツチノコの死骸らしき骨が発見されている。滋賀県内では、1950年代に伊吹村上野(現米原市)でツチノコの死骸が発見されて産経新聞長浜支局長が取材を行っている。1961年秋、永源寺町(現東近江市)の古い炭焼き窯でツチノコが捕獲され、名古屋のヘビ業者に売られたこともあるという[21]。
- 中国地方
- 四国地方
- 九州地方
賞金一覧
いづれも、「ツチノコ生け捕り」が条件となっている。(なお、現在も賞金が継続されているかは不問とする)
- 兵庫県千種町 賞金3億円
- 岡山県吉井町 賞金2000万円
- 兵庫県美方町 別荘地100坪
- 広島県上下町 賞金300万円 (平成元年)
- 西武百貨店 賞金300万円
- 和歌山県すさみ町 賞金100万円と副賞イノブタ1頭
- 岐阜県東白川村 賞金100万円 (平成元年以降年は1万円ずつアップ)
- 奈良県下北山村 賞金100万円
- 学研ムー編集部 賞金100万円
正体についての仮説
- 新種の未確認動物とする説。
- 特定種のトカゲ類の誤認とする説。
- アオジタトカゲを誤認したとする説。このトカゲは1970年代から日本で飼われるようになり、目撃情報が増加した時期に一致するとされている。アオジタトカゲには四本の小さな脚があり、読売新聞社によって撮影されたツチノコとされる生物にも脚があった。作家の荒俣宏は、流行の原因となった漫画の影響で脚がない姿が広まったと述べている。実際に、前述の岐阜県東白川村の隣町でツチノコと誤認された生物の正体がアオジタトカゲであった事例の報告もあり、同村では林業が盛んなため、海外から輸入された材木にこのトカゲが混入していたとの推測もある[10]。ただし、ツチノコは尾が細いとされるが、アオジタトカゲは尻尾が太い点が異なる[10]。
- マツカサトカゲを誤認したとする説。このトカゲは岐阜県の目撃談にもあり、四肢が草むらや胴体の下に隠れている姿がツチノコに近く、日本国内でも愛玩動物として飼育されている。このことから、心ない者が山野に捨てたマツカサトカゲが繁殖し、ツチノコと誤認されたとの説もある[14]。
- 胴の短い種類の蛇の誤認とする説。
- 腹の膨れた蛇を誤認したとする説。
- 以上にあげたような複数の目撃証言が一つに複合されたものがツチノコとする仮説もある。
脚注
- ^ a b 笹間 2005, p. 203
- ^ a b 多田 1990, pp. 91–93
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 伊保内編 2008, pp. 13–21
- ^ 伊保内編 2008, 付録DVD.
- ^ a b 伊藤 2008, p. 251
- ^ 伊藤 2008, pp. 198–199.
- ^ 伊藤 2008, pp. 204–214.
- ^ “賞金1億円の例も 熱くなるツチノコ捕獲の注目は土浦”. アメーバニュース. サイバーエージェント (2008年4月9日). 2008年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月22日閲覧。
- ^ “つちのこ秘伝”. 東白川村. 東白川村役場. 2008年1月22日閲覧。
- ^ a b c “幻の生物ツチノコ発見”. 所さんの目がテン!. 日本テレビ放送網 (2012年4月28日). 2014年7月1日閲覧。
- ^ “つちのこフェスタ”. 東白川村. 東白川村役場. 2009年1月22日閲覧。
- ^ “つっちー&のこりん”. 東白川村. 東白川村役場. 2017年8月3日閲覧。
- ^ a b c d 並木 2007, p. 186
- ^ a b 山口 2007, p. 139
- ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、223頁。ISBN 978-4-620-31428-0。
- ^ “久比岐開発社長・丸山隆志氏 遊び心でまちづくり”. YOMIURI ONLINE. 読売新聞 (2006年8月2日). 2012年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月6日閲覧。
- ^ “今年こそツチノコをゲットだぜ! 新潟で賞金1億円”. イザ!. 産経デジタル (2012年6月8日). 2014-07-01 2012-12-4時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月25日閲覧。
- ^ “つちのこ探検隊”. 糸魚川市観光協会. 2013年5月16日閲覧。
- ^ 山口敏太郎『ミステリー・ボックス コレが都市伝説の超決定版!』メディア・クライス、2007年、131-133頁。ISBN 978-4-7788-0334-6。
- ^ 田口宏睦他『恐怖の都市伝説ファイナル』ミリオン出版〈ナックルズBOOKS〉、2009年、74頁。ISBN 978-4-8130-2090-5。
- ^ “ツチノコミイラか 聖地で発見”. 東スポWEB. 東京スポーツ. 2015年1月12日閲覧。
- ^ a b 山口 2007, p. 216
- ^ 羽仁礼『超常現象大事典 永久保存版』成甲書房、2001年、186頁。ISBN 978-4-88086-115-9。
参考文献
- 伊藤龍平『ツチノコの民俗学』青弓社、2008年。ISBN 978-4-7872-2029-5。
- 伊保内裕美編『UMA未知生物衝撃映像』ミリオン出版〈ミリオンムック〉、2008年。ISBN 978-4-8130-6216-5。
- 笹間良彦 著、瓜坊進編 編『絵で見て不思議! 鬼ともののけの文化史』遊子館〈遊子館歴史選書〉、2005年。ISBN 978-4-946525-76-6。
- 多田克己『幻想世界の住人たち』 IV、新紀元社〈Truth In Fantasy〉、1990年。ISBN 978-4-915146-44-2。
- 並木伸一郎『本当に会った!! 未確認生物目撃ファイル』竹書房、2007年。ISBN 978-4-8124-3097-2。
- 山口敏太郎『最新版! 本当にいる日本の「未知生物」案内』笠倉出版社、2007年。ISBN 978-4-7730-0399-4。
外部リンク
- 幻のツチノコ - 閉鎖。(2010年5月5日時点のアーカイブ)
- 地域づくり団体ツチノコ共和国