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「上皇 (天皇退位特例法)」の版間の差分

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2019年1月6日 (日) 14:57時点における版

上皇となる今上天皇と、皇位継承予定の皇太子徳仁親王 上皇となる今上天皇と、皇位継承予定の皇太子徳仁親王
上皇となる今上天皇と、皇位継承予定の皇太子徳仁親王

上皇(じょうこう)とは、2019年5月1日以降の、天皇の退位等に関する皇室典範特例法第二条の施行に基づき退位する日本天皇の称号。

上皇の名称が復活するのは、江戸時代光格上皇以来、約200年振りのことである。

概要

退位特例法に基づく「上皇」になることが予定されている今上天皇
天皇の退位等に関する皇室典範特例法第三条
前条の規定により退位した天皇は、上皇とする。
上皇敬称は、陛下とする。
上皇身分に関する事項の登録、喪儀及び陵墓については、天皇の例による。
上皇に関しては、前二項に規定する事項を除き、皇室典範(第2条、第28条第2項及び第3項並びに第30条第2項を除く。)に定める事項については、皇族の例による。

退位特例法第三条に基づき、退位した後の今上天皇の称号を「上皇」とし、敬称は退位前と同様に「陛下」とした[1]

喪儀及び陵墓の格式については天皇と同様としている。従って上皇の崩御に当たっては大喪の礼が執行され、天皇陵が造営される。 その他の事項については皇族の例に倣うとし、皇族の位置付けではあるがその一方、皇位継承権や皇室会議の議員就任権は認められていないなど、一般の皇族とは差が設けられている。

上皇の后は「上皇后」であり、敬称は陛下である。

退位決定の経緯

2016年(平成28年)8月8日、今上天皇が「おことば」で退位の意向を間接的に述べたことにより、それまで皇室典範に退位の条項がなかったことから議論が始まった経緯がある。政府が設置した有識者会議で今上天皇一代限りの退位として特別法を制定するか、恒久的に天皇の退位を制度化し皇室典範を改正するか議論がなされたが、結局今上天皇一代限りの退位を決議し安倍晋三首相にこの考えを提示した。政府は国会に議席を有する政党の代表者との事前協議を重ねたうえで「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」を国会に上程し、翌2017年(平成29年)6月9日の参議院本会議で可決・成立し、16日に公布され、一部は施行された[2]。全面施行は退位を本法によって行うため、2019年4月30日である。

当初、マスコミ各社は天皇の退位関連ニュースで「生前退位」と報じたが、その後は「退位」と「譲位」の2つの言葉が使用されている。

称号における論議

今上天皇の退位後の「上皇」という称号は「太上天皇」の略称ではなく、正式な称号である。

歴史上、用いられた「上皇」は「太上天皇」の略称だったが、退位特例法の法案化の過程での議論の中で、上皇が「治天の君」として院政を敷いたり、天皇が上皇により譲位させられたり、上皇同士、上皇と天皇間で権力闘争が起きたことから、「二重権威」にあたると使用に反対する意見も見られた。

このような意見を踏まえ、同法第3条第1項に「退位した天皇は、上皇とする」と規定しており、この規定により今上天皇の退位後の称号は「太上天皇」ではなく「上皇」が正式なものとなる。ただし、退位した天皇の呼称、および国民に馴染みやすい呼称として選定されており、その語源が太上天皇の略である。

「上皇后」も同様に歴史上の称号ではない。皇后は配偶者の天皇が退位するか、天皇が崩御して未亡人になると皇太后となる。直近の例では香淳皇后昭和天皇の崩御から、2000年(平成12年)に自身が崩御するまで皇太后の身位にあった。皇太后は三后(皇后・皇太后・太皇太后)の身位の1つだが、これは未亡人という印象が強いことから使用が避けられたようである。

2017年(平成29年)6月に制定された天皇の退位等に関する皇室典範特例法の規定にのっとり、今上天皇一代に於いて適用される臨時法(時限立法)であり、恒久法ではないため、特例法の制定もしくは皇室典範などが改正されない限り、次代には適用されない。

御所

東宮御所(東京都港区 元赤坂

上皇、上皇后の御所は現在の皇居から現在皇太子一家が住んでいる東宮御所に移動し、これを仙洞御所と称する予定である。入れ替わるようにして、即位する新天皇一家が皇居の御所に入る。皇位継承順位が第一位で「皇嗣」となる秋篠宮一家は東宮御所に移動せず、赤坂御用邸に留まる予定。 現在東宮御所を使用している東宮家が皇居に移動するまでの間は、上皇・上皇后は東京都港区高輪皇族邸に仮住まいする予定[3]

天皇誕生日の移動

12月23日天皇誕生日は、今上天皇退位日である2019年(平成31年)4月30日をもって、皇太子徳仁親王の誕生日である2月23日に移動する。ただし2月23日は、2019年5月1日の新天皇即位日より前に迎えることになるので、2019年は天皇誕生日が存在しない。

なお、上皇の存命中に上皇誕生日が祝日となるのは、上皇と天皇の二重権威回避の面から行われない。

歴代上皇一覧

ここに列記するのは「太上天皇」の尊号を贈られ「上皇」と称された天皇または皇族である。

即位日
41 持統上皇 697/8/22
43 元明上皇 715/10/3
44 元正上皇 724/3/3
45 聖武上皇 749/8/19
46 孝謙上皇 758/9/7
49 光仁上皇 781/4/30
51 平城上皇 809/5/18
52 嵯峨上皇 823/5/29
53 淳和上皇 833/3/22
56 清和上皇 876/12
57 陽成上皇 884/3/4
59 宇多上皇 897/8/4
61 朱雀上皇 946/5/29
63 冷泉上皇 969/10/9
64 円融上皇 984/10/6
65 花山上皇 987/8/1
66 一条上皇 1011/7/11
67 三条上皇 1016/4/5
69 後朱雀上皇 1045/2/5
71 後三条上皇 1073/1/18
72 白河上皇 1087/1/9
74 鳥羽上皇 1123/3/1
75 崇徳上皇 1142/1/5
77 後白河上皇 1158/9/5
78 二条上皇 1165/8/7
79 六条上皇 1168/4/8
80 高倉上皇 1180/3/24
82 後鳥羽上皇 1198/2/27
83 土御門上皇 1210/12/22
84 順徳上皇 1221/5/16
後高倉院 1221/9/3
86 後堀河上皇 1232/11/20
88 後嵯峨上皇 1246/2/22
89 後深草上皇 1260/1/9
即位日
90 亀山上皇 1274/3/11
91 後宇多上皇 1287/12/21
92 伏見上皇 1298/9/9
93 後伏見上皇 1301/3/9
95 花園上皇 1318/4/11
96 後醍醐上皇 1336/12/5
98 長慶上皇 1383/10
99 後亀山上皇 1392/11/19
北1 光厳上皇 1334/1/26
北2 光明上皇 1348/12/16
北3 崇光上皇 1351/12/17
北4 後光厳上皇 1371/4/21
北5 後円融上皇 1382/6/7
100 後小松上皇 1412/10/5
後崇光院 1448/1/3
102 後花園上皇 1464/8/31
106 正親町上皇 1586/12/17
陽光院 1588以前贈
107 後陽成上皇 1611/5/19
108 後水尾上皇 1629/12/22
109 明正上皇 1643/11/23
111 後西上皇 1663/3/12
112 霊元上皇 1687/5/6
113 東山上皇 1709/7/30
114 中御門上皇 1735/4/15
115 桜町上皇 1747/6/14
117 後桜町上皇 1771/1/10
119 光格上皇 1817/5/9
慶光院 1884/3/19贈

出典

  1. ^ “【譲位特例法成立】天皇の退位等に関する皇室典範特例法(全文)、付帯決議(全文)”. 産経新聞. (2017年6月9日). http://www.sankei.com/life/news/170609/lif1706090058-n1.html 2017年6月10日閲覧。 
  2. ^ “天皇退位、特例法が成立 一代限り退位容認”. 日本経済新聞. (2017年6月9日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H5T_Y7A600C1MM0000/ 2017年10月6日閲覧。 
  3. ^ “退位後の仮住まいは高輪皇族邸に 宮内庁が発表”. 朝日新聞. (2017年12月18日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASKDL4S2TKDLUTIL02F.html 2018年10月13日閲覧。