「コンピュータ」の版間の差分
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2021年11月10日 (水) 01:31時点における版
コンピュータ(英: computer)は、現在ではとくに断らないかぎり電子計算機(でんしけいさんき、英: electronic computer エレクトロニック・コンピュータ)を指し[1]、つまりトランジスタを含む電子回路によるもので、デジタル方式でなおかつプログラム内蔵方式のコンピュータを指す。演算(広義の演算)を高速・大量に行うことが可能なので用途は多様で、数値計算、情報処理、データ処理、制御、シミュレーション、文書作成、動画編集、ゲームなど挙げきれないほどさまざまな用途に用いられている機械である。
なおかつてはコンピュータと言うとアナログコンピューターも含めて指していた[1](1970年代や1980年代ころまで)。
さまざまな種類があり、 パーソナルコンピュータ、メインフレーム、スーパーコンピュータ、マイクロコンピュータなどはもちろんコンピュータであり、ついそうした大きくて個別に意識しやすいタイプばかりを思い浮かべてしまう人がいるが、もっと小型のものもあり、たとえばノートパソコンだけでなく、キーボードも無く小さな板状のタブレット(- 型コンピュータ)も、さらにポケットに入るほど小型で電話・カメラ・GPS機能も備えたスマートフォンなどもコンピュータであり(人々の身近にあり日常に溶け込んでいるので人々は「スマホ」と思いこんでいるが、本質的に全く同じプログラム内蔵方式のデジタルコンピュータであり)またコンピュータゲームのコンソール類などもコンピュータである。なお近年ではさまざまな機器(たとえば近年のコピー機、券売機、洗濯機、炊飯器、自動車など)の内部には組み込みシステムという小型コンピュータシステムが内蔵されており、それによって制御され機能が実現されている。組み込みシステムなどに至っては、単体では目に触れず、技術者ではない一般の利用者には存在していることが意識しづらいが実際はいたるところに存在しており、これも正真正銘コンピュータである。
世界に存在するコンピュータの台数について説明しておくと、たとえばサーバ、デスクトップ、ノートPCなどだけでも2019年時点で20億台を超えていたと推計されている [2]。スマートフォンは2018年時点ですでに33億6千万台が稼働状態と推計され[3]、組み込みシステムに分類されるコンピュータは2018年時点ですでにおよそ100億台あると推計されていた[4]。インターネットが1980年代に誕生し1990年代に爆発的に普及したことで地球を覆うネットワークとなり、現在ではインターネットおよびそこに接続された膨大な数のコンピュータがITインフラとして様々なサービスを支えている。
表記・呼称
「コンピュータ」や「コンピューター」の呼称が日本では多く使われている[注釈 1] が、法用語では「
「電子計算機」を省略した、電算機という略語もある。「電算業務」「電算処理」「電算室」などの語で、「コンピュータの」という意味合いで電算という語が用いられる。これについて、情報処理学会が日本における計算機の歴史について調査した際に、学会誌『情報処理』に掲載された富士通における歴史を述べた記事[7] によれば、電子計算機以前の頃、リレー[要曖昧さ回避]による計算機によりサービスを開始した同社が(「電子」じゃないけど、ということで)使い始めた言葉であろう、と書かれている(つまり、その由来からは『「電子計算機」を省略した、電算機という略語』ではない)。
他に、人工頭脳(じんこうずのう)[8] や電子頭脳(でんしずのう)、中国大陸・台湾・香港などでもよく使われる電脳(日本語発音:でんのう)という言葉がある。
語源
英語の 「computer」は算術演算を行う主体を指す語であるが、元々は主体として人間を指していた。この用法は今でも有効である。オックスフォード英語辞典第2版では、この語が主体として機械をも指すようになった最初の年を1286年と記している。同辞典では、1946年までに、「computer」の前に修飾語を付けることで異なる方式の計算機を区別するようになったとする。たとえば「analogue computer」「digital computer」「electronic computer」といった表現である。ポルトガル語やスペイン語では”ことばの箱”、com:箱、puter:ことばを話す、を意味させることもある。
計算手は電子計算機と区別するためレトロニムで「human computer」とも表記される。
概要
1940年代に最初の実用デジタルコンピュータが登場して以来、コンピュータの形態や性能は劇的に変化してきた。しかし現在のところ、基本的にはノイマン型の構成を受け継いでいる。
命令
コンピュータの命令は人間の言語に比べるとずっと貧弱である。コンピュータは限られた数の明確で単純な命令しか持っていないが、曖昧さは全くない。多くのコンピュータで使われている命令の典型的な例としては、「5番地のメモリの中身をコピーしてそのコピーを10番地に書け」とか「7番地の中身を13番地の中身に加算して結果を20番地に書け」とか「999番地の中身が0なら次の命令は30番地にある」といったものである。
コンピュータの内部では命令は二進コード、つまり2を底とする計数法で表現される。例えば、インテル系のマイクロプロセッサで使われるあるコピー命令のコードは10110000である。ある特定のコンピュータがサポートする特定の命令セットをそのコンピュータの機械語と呼ぶ。
実際には、人間がコンピュータへの命令を機械語で直接書くことは通常はなく、高水準のプログラミング言語を使う。プログラミング言語で書かれた命令が、インタプリタやコンパイラと呼ばれる特別なコンピュータプログラムによって自動的に機械語に翻訳されて実行される。プログラミング言語の中にはアセンブリ言語(低水準言語)のように、機械語に非常に近いレベルで対応付けられるものもある。逆に Prolog(プロログ)のような高水準言語は計算機の実際の演算の詳細とは完全に切り分けるという絶対原理に基づいている。
ハードウェア
記憶
記憶装置(メモリ)はアドレスを附与された領域の列で、各の領域には命令又はデータが格納される。
領域に格納された情報は書換可能か否か、揮発性(動力の供給を止めることで情報が失くなるという性質)を有つか否かは、記憶装置の実装方法に依存する。
記憶装置を実装する技術もまた時代と伴に大きく変化してきた。初期は電磁継電器(リレー)が、続いて水銀の入った管(水銀遅延線)や金属線を波(振動)が伝わる際の遅延時間を利用する部品が使われた。次にはフェライト製のトロイダルコア(磁気コアメモリ)や個別部品のトランジスタが使われた。そして、現在使われている方式の元祖と言える、集積回路による記憶装置は1960年代に開発され、1970年代にはコストパフォーマンスで凌駕し、それまでの主流だったコアメモリに替わり主流となった(インテルのDRAM、1103による(en:Intel 1103))。
また、補助的に用いられる、一般に大容量の補助記憶装置がある。例えば、SSDやHDDなどがそれである。
演算
演算装置は、加算・減算などの算術演算、AND・OR・NOTなどの論理演算、比較(2つの値が等しいかどうかなど)、ビットシフト等を行う装置である。
制御
制御装置は実行に必要な情報を記憶装置から読み出し、実行結果を記憶装置の中の正しい場所に収める。
入出力
入出力(I/Oとも言う)はコンピュータが外の世界から情報を得たり、計算結果を外に送り返したりすることを可能にするためのものである。外部から見て、コンピュータに情報を送ることを入力、逆にコンピュータから情報を得ることを出力という。
入出力には、入出力インタフェースを介して、入出力装置(I/O装置)が接続される。入出力装置としては例えば、キーボード、マウス、スキャナ、モニタやプリンター、磁気ディスク装置、光学ドライブ装置、ネットワークインタフェースなどといった馴染み深いものから、3次元ディスプレイやデータグローブといったものまで、幅広いものが存在する。
入出力装置は、主として入力を得るためのもの(キーボード、スキャナなど)、出力するためのもの(モニタ、プリンターなど)、入力と出力を兼ね備えたもの(磁気ディスク装置、インタフェースなど)に大別することができる。
アーキテクチャ
ソフトウェア
プログラム
コンピュータプログラムはコンピュータに実行させる命令を記述した物を意味する。ワープロソフトやOSなどの基本的なプログラムは莫大な量の命令からなる。汎用的な処理をプログラムごとに全て新たに書くのは効率が悪いため、例えば「画面に点を描く」「ファイルに保存する」「インターネットを通して他のコンピュータとデータを遣り取りする」のような定型的な処理はライブラリとしてまとめられる。
今日では、ほとんどのコンピュータは同時にいくつものプログラムを実行するように見える。これは通常、マルチタスクと呼ばれている。実際には、CPUはあるプログラムの命令を実行した後、短い時間の後でもう一つのプログラムに切り替えてその命令を実行している。この短い時間の区切りをタイムスライスと呼ぶ。これによって、複数のプログラムがCPU時間を共有して同時に実行されるように見える。これは動画が実は静止画のフレームの短い連続で作られているのと似ている。このタイムシェアリングは通常、オペレーティングシステムというプログラムで制御されている。
オペレーティングシステム
具体的に処理すべき作業の有無によらず、コンピュータに自らの演算資源を管理し「ユーザーの指示を待つ」という動作を取らせるためにさえ、ある種のプログラムを必要とする。典型的なコンピュータでは、このプログラムはオペレーティングシステム (OS) と呼ばれている。オペレーティングシステムをはじめとする、コンピュータを動作させるのに必要となるソフトウェアを全般に「システムソフトウェア」と呼ぶ。
コンピュータを動作するためオペレーティングシステムは、ユーザー、もしくは他のプログラムからの要求に応じてプログラム(この意味では、アプリケーションソフトウェアもしくは単にアプリケーションという用語も使用される。ソフトウェアという用語も似た意味合いだが、これはプログラム一般を指すより広い概念である)をメモリー上にロードし、プログラムからの要求に応じていつ、どのリソース(メモリやI/O)をそのプログラムに割り当てるかを決定する。
オペレーティングシステムはハードウェアを抽象化した層を提供し、他のプログラムがハードウェアにアクセスできるようにする。例えばデバイスドライバと呼ばれるコードがその例である。これによってプログラマは、コンピュータに接続された全ての電子装置について、その奥深い詳細を知る必要なくそれらの機械を使うプログラムを書くことができる。また、ライブラリと呼ばれる再利用可能な多くのプログラム群を備え、プログラマは自ら全てのプログラムを書くことなく、自らのプログラムに様々な機能を組み込むことができる。
- CUIとGUI
ハードウェアの抽象化層を持つ現在のオペレーティングシステムの多くは、何らかの標準化されたユーザインタフェースを兼ね備えている。かつてはキャラクタユーザインタフェース(CUI)のみが提供されていたが、1970年代にアラン・ケイらが Dynabook(ダイナブック)構想を提唱し、「暫定 Dynabook」と呼ばれる Alto(アルト)と Smalltalk(スモールトーク)によるグラフィカルユーザインタフェース環境を実現した。なお、「暫定 Dynabook」は当時のゼロックスの首脳陣の判断により製品化されなかった(ゼロックスより発売されたグラフィカルユーザインタフェース搭載のシステム Xerox Star(ゼロックス・スター)は「暫定 Dynabook」とは別系統のプロジェクトに由来する)が、この影響を受け開発されたApple Computer(現:Apple)の LISA(リサ)や Macintosh(マッキントッシュ)、マイクロソフトの Windows(ウィンドウズ)の発売、普及により、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が一般的にも普及することとなった。一方、UNIX系OSでも1980年代からX Window Systemが開発されグラフィカルユーザインタフェースが実現した。CUIとGUIはそれぞれ長所と短所があり、GUIは初心者に優しいので初心者向けにはもっぱらGUIを使う操作法が教えられ、上級者あたりになるとGUIとCUIを併用することになり、コンピュータ技術者やシステム運用エンジニアなどはしばしば主にCUIを使いGUIは補助的に使う。現在CUIを使う人はGUIとCUIを同時並行的に使用しGUIのマルチウィンドウのいくつかをCUI状態で使うといったことも一般的である。またLinuxなどではGUIモードとCUIモードを根本的に切り替えるということも可能である[9]。
- コンピュータのタイプごとのOS
世間に普及するコンピュータを台数を基準として見た場合、最も多いのは組み込みシステムであり、すなわちエアコンや炊飯器などの家電製品、乗用車、各種の測定機器、工作機械などに組み込まれた非常に小さく安価なコンピュータであり、組み込みシステムでは組み込みOSと呼ばれるOSを用いる。2019年時点でのシェアを見ると、東京大学の坂村健が開発し無料配布可能で機器開発者が改変することも許されているTRON(トロン)系OSのシェアが世界第1位のおよそ60%であり、24年連続トップ[10]。TRON系のなかでもITRON(アイトロン)が最も普及している[10]。TRON以外はPOSIX系つまりUNIX系、Linux類である[10]。たとえば米リナックスワークスのLynxOS(リンクスオーエス)、米ウィンドリバーのVxWorks(ヴイエックスワークスト)、米シンビアンのSymbian OS(シンビアン・オーエス)など。なお小規模な組み込みシステムのなかには、明確なOSを内蔵していないものもある。
次に台数が多いのがスマートフォンであり、スマートフォンのOSおよびそのシェアは、2021年9月時点でAndroidが約72%、iOSが 約27%である[11]。なおAndroidも広い意味でのLinuxの一種であり、より具体的に言うとLinuxのカーネルを一部改編し他のオープンソース・ソフトウェアを組み合わせたものである。つまりおよそ7割の人々が実は意識せずにLinuxの一種を毎日使っているわけである。
ノートPCやデスクトップPCのOSおよびそのシェアとしては、2021年時点でWindows 75.4%、MacOS 15.93%、Chrome OS 2.59%、Linux 2.33%となっている[12]。なお、このMacOSはFreeBSDを基にしたOSでありUNIX系である。
スーパーコンピュータのOSは、2000年ころはUNIXが9割ほどを占めていたが、その後の10年間つまり2010年ころまでにそのほぼ全てがLinuxに置き換わるということが起き、2021年現在ではほぼ100%がLinuxである[13]。つまり今ではスーパーコンピュータのOSもLinuxである。
デジタルとアナログ
デジタル計算機とアナログ計算機という分類もあるが、アナログ計算機は現代ではほとんどマイナーな存在となったことから、単にコンピュータという表現でデジタルコンピュータを指すことが多い。
なお、「コンピュータ」という語を特に「電子」計算機を指す語として使う場合があり、その用語法では、アナログ計算機のうち特に電子式アナログ計算機を指すのが「アナログコンピュータ」ということになる。
また、対象が連続量ではなく、整数のような離散的であるものは(例えばエレクトロニクスを使っていなくても)「デジタル」である。良い例としては、そろばんはデジタルであり、そろばんのことを指してアナログと言うのは誤りである。
アナログ計算機は、電気的現象・機械的現象・水圧現象を利用してある種の物理現象を表現し、問題を解くのに使われる計算機の一形態である[14]。アナログ計算機はある種の物理量を別の物理量で表し、それに数学的な関数を作用させる。入力の変化に対してほぼリアルタイムで出力が得られる特徴があり(これはいわゆる「高速型」の場合の話である。時間をかけてバランスが取れた状態を見つけ出すとか、移動量の合計を得るといったような「低速型のアナログ計算機」もある)、各種シミュレーションなどに利用されたが、演算内容を変更するためには回路を変更する必要があり、得られる精度にも限界があるので、デジタルコンピュータの性能の向上とDA/ADコンバータの高精度化・高速化によってその役割を終えた。
なお、かつて電子式アナログコンピュータの重要な要素として多用されたものと同じ機能を持つ電子回路は、IC化された「オペアンプIC」として今日でも広く使われているが、モジュール化され簡単に使えるものになっているため、一般的にはコンピュータとは認識されていない。
以上のようにアナログ計算機が「量」(物理量)によって計算を行うのに対して、デジタルコンピュータは、数(digit)によって「計数的」に計算を行う。現代ではもっぱらエレクトロニクスを用いて、2値論理による論理演算と、二進法による数値表現を使っている(タイガー計算器のように歯車の離散的な角度により十進法を表現するものもデジタルな計算機であるし、機械として見ると2値論理方式の機械でも、数の扱いとしては3増し符号などにより十進法のものもある。数値の表現法である「x進法」と、論理のモデルである「x値論理」は、厳密には別のものであることに注意)。
歴史
18世紀以前
- 紀元前2000年頃 古代バビロニアで手動式デジタル計算器であるアバカスが(そろばんは中国起源説もある)発明される(古代ギリシアでは紀元前300年頃に伝わって来たとされており、日本では西暦1400年頃の室町時代に明から伝わって来たといわれる)。
- 紀元前2世紀 - アンティキティラ島の機械 紀元前150 - 100年に古代ギリシア人によって作られた、現在確認できるものでは世界最古の歯車式アナログ計算機。
- 1620年 イギリスのエドモンド・ガンターが、手動式アナログ計算器である計算尺の原型となる対数尺を発明。
- 1623年頃、ドイツのヴィルヘルム・シッカートが、ネイピアの骨を応用し、乗算と加減算を行なえる歯車式の計算機を作った。加減算に関しては繰り上がりができたが、乗算に関しては繰り上がりができなかった。
- 1642年 フランスのブレーズ・パスカルが歯車式計算機パスカリーヌを開発。約50台が作成された。
- 1670年代 ドイツのゴットフリート・ライプニッツがLeibniz wheelを発明。その後パスカリーヌより高機能な計算機を開発し、60年間に約1500台が販売された。
- 1698年 ライプニッツが二進法の数理を確立。
- 1725年 このころ織機の制御にパンチカードが使われ始める。
19世紀
- 1801年 ジョゼフ・マリー・ジャカールがジャカード織機を発明。
- 1822年 解析機関の設計者チャールズ・バベッジが第1階差機関の実験モデルを作成。
- 1823年 バベッジによる階差機関の開発開始。
- 1833年 追加予算が打ち切られ、階差機関の開発が中止となる。
- 1843年 シュウツ親子により階差機関が完成。
- 1854年 ジョージ・ブールがブール代数を発見する。
- 1865年 万国電信連合(現・国際電気通信連合)設立。電気通信分野における初の標準化機関であり、国際機関。
- 1871年 バベッジが解析機関の実現を見ぬまま死去。解析機関のオペレータであるエイダ・ラブレスは世界最初のプログラマとされる。
- 1889年 ハーマン・ホレリスがパンチカード方式の自動集計機を実現。
- 1897年 フェルディナント・ブラウンが陰極線管(通称ブラウン管)を発明。
20世紀
- 1905年 イギリスの物理学者のジョン・フレミングが二極真空管を発明。
- 1906年
- 国際電気標準会議(IEC)設立。電気電子関連技術を扱う国際的な標準化団体。
- リー・ド・フォレストが三極真空管を発明。
- 1936年 アラン・チューリングが、論文 On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem を発表。同論文でチューリングマシンを提示。
- 1938年 ドイツのコンラート・ツーゼが、自宅で機械式の計算機V1を作成。後にZ1と改名。
- 1939年 ツーゼがZ1をベースに演算部がリレー、記憶部が機械式のテスト用の計算機Z2を作成。
- 1940年 ツーゼがZ2をベースに全リレー式の計算機Z3を作成。Z3は(意図的にそのように設計されたものではないが)1998年に万能(チューリング完全)であると証明された[15][16][17][18]
- 1942年 ジョン・アタナソフとクリフォード・ベリーが真空管を使って演算処理をするデジタル計算機ABCを作成。
- 1943年 ローレンツSZ42暗号機によるドイツ軍の暗号を解読するため、イギリスでColossusが発明される。
- 1944年 ツーゼがZ4を作成。メモリ部分は機械式に戻る。
- 1945年 ジョン・フォン・ノイマンのEDVACに関する報告書の第一草稿が発表。プログラム内蔵方式が提唱される。
- 1946年 ペンシルベニア大学で真空管を使って演算処理をするデジタル計算機ENIACが作成される。一般に広く知られた初のコンピュータ。
- 1947年 AT&Tベル研究所のウォルター・ブラッテン、ジョン・バーディーン、ウィリアム・ショックレーらがトランジスタを発明。
- 1948年 マンチェスター大学のフレデリック・C・ウィリアムスとトム・キルバーンが、初のプログラム内蔵式のコンピュータThe Babyを発明。
- 1949年 モーリス・ウィルクスとケンブリッジ大学の数学研究所のチームによるEDSAC稼働。
- 1951年 EDVAC稼働。
- 1951年
- 1952年
- 米IBMが商用のプログラム内蔵式コンピュータIBM 701を発売。
- ETL Mark I(リレー式)を通産省工業技術院電気試験所(現:産業技術総合研究所)が完成。
- 1953年 MITにてWhirlwindが実用化された。量産機AN/FSQ-7が1958年からSAGEに使われ、後のIBMのコンピュータ技術の基礎となった。
- 1956年
- FORTRANが誕生(最初のFORTRANマニュアルのリリース)。
- 「FUJIC」(富士フイルム)稼働。
- アメリカ合衆国ブルックヘブン国立研究所のウィリアム・ヒギンボーサムが、アナログコンピュータ(オペアンプ)とオシロスコープを用いた『Tennis for Two』を開発。
- 米IBMによる磁気ディスク(ハードディスクドライブ)「IBM 350」の初出荷。5Mキャラクタ。
- 1957年 MUSASINO-1が稼働(日本電信電話公社電気通信研究所)。パラメトロンを利用した最初のコンピュータであった。
- 1958年
- 米テキサス・インスツルメンツのジャック・キルビーが集積回路(IC)を発明。
- フランク・ローゼンブラット、パーセプトロンの論文を発表する。
- 1960年 日本国有鉄道が日本初のオンラインシステムであるマルス1を導入[19][20]。
- 1960年 米ディジタル・イクイップメントが、世界初のミニコンピュータPDP-1を発売。
- 1961年 米IBM、IBM 7030を発売。
- 1962年 世界初のシューティングゲームとされている「スペースウォー!」が開発される。
- 1963年
- 1964年
- 米IBMがメインフレームのSystem/360を発売。商用初のオペレーティングシステムが生まれる。
- コントロール・データ・コーポレーション、CDC 6600を製造開始。1969年まで世界最高速の地位にあり、世界で初めて成功したスーパーコンピュータとも言われる。
- 1965年
- 1966年 ACM、チューリング賞を創設。
- 1967年 米IBMがフロッピーディスクを開発。
- 1968年 ダグラス・エンゲルバートが、マウスやウィンドウなどをデモンストレーション。
- 1969年
- 後にインターネットの母体となるARPANETが運用開始。UNIXオペレーティングシステムの開発が始まる。
- エドガー・F・コッドがリレーショナルデータベースを提唱。
- 1970年
- 1971年 インテルが世界最初のシングルチップの4ビットマイクロプロセッサ、i4004をビジコンと共同開発。10月に発売されたビジコンの電卓141-PFに搭載される。
- 1972年
- 1973年
- 1974年
- 4月、インテルが8ビットのマイクロプロセッサi8080を発表。
- 12月 MITSが、世界初の一般消費者向けマイクロコンピュータAltair 8800を発売。主に組み立てキットとして販売された。
- ゲイリー・キルドールが8ビットCPU(8080)用のディスクオペレーティングシステムCP/Mを開発。
- 1975年
- 1976年 NEC、TK-80を発売。6万台を売り上げ、初期のマイコンとしては異例の大ヒットとなる。
- 1977年
- ビル・ジョイが開発した1BSDが初めて配布される。
- Apple ComputerがパーソナルコンピュータApple IIを発売。
- 富士通、日本初のベクトル型プロセッサFACOM 230-75APUを開発し航空宇宙技術研究所に納入。
- 1978年 米国シカゴで最初の電子掲示板「CBBS」が開設される。
- 1979年
- 1980年
- CERNの研究員ティム・バーナーズ=リーが、World Wide Webの元となるEnquireを開発。
- シャープがポケットコンピュータPC-1210を発売。ポケットサイズでBASICが動作する初のデバイス。
- 1981年
- 1982年
- 米サン・マイクロシステムズがTCP/IPを採用したワークステーションを発売。
- GRiD Systemsが世界初の折りたたみ型ラップトップコンピュータGrid Compassを発売。
- 世界初の(狭義の)コンピュータウイルスElk Clonerが出現。
- NECがPC-9801を発売。
- エプソンが初期のハンドヘルドコンピュータであるHC-20を発売。
- 1983年 リチャード・ストールマンがGNUプロジェクトを開始。
- 1984年
- 1985年
- デイヴィッド・ドイッチュが量子コンピュータの原モデルである量子チューリングマシンを定義した。
- Apple ComputerがLaserWriterを発売。ページ記述言語としてPostScriptを採用したレーザープリンターで、ページレイアウトソフト「PageMaker」とともにDTPの時代を切り開く。
- フィリップスが初のCD-ROMドライブであるCM100を発表。
- マイクロソフトが最初のWindows製品であるWindows1.0を発売。
- 1986年
- 1987年
- 1988年
- 1989年 東芝がノートパソコンDynaBookを発売(IBM PC/XT互換)。
- 1990年 マイクロソフトがWindows 3.0 を発売。初の成功したWindows製品となった。
- 1991年
- リーナス・トーバルズがスクラッチビルドによるUNIXライクなOSカーネルLinuxを発表。
- ティム・バーナーズ=リーがWorld Wide Webプロジェクトを発表する。
- フィル・ジマーマンが公開鍵暗号PGPを開発し公開した。
- 1992年 シリコングラフィックス、OpenGLを公開する。
- 1993年
- 1994年
- ティム・バーナーズ=リー、W3Cを設立。World Wide Web関連のプロトコルを策定する標準化団体。
- マイクロソフトがWindows NTを発売。
- 1995年 マイクロソフトがWindows 95を発売。
- 1996年
- サン・マイクロシステムズにより、Javaの開発環境が公式にリリースされた。
- ECMAScriptが策定されJavaScriptが標準化される。
- The Open Groupが創設され、UNIX戦争が終結した。
- USロボティクス、Palm Pilotを発売。最も成功した携帯情報端末となる。
- 1997年
- チェス専用スーパーコンピュータ・ディープ・ブルーがチェス世界チャンピオンガルリ・カスパロフに勝利した。
- この頃、Netscape CommunicatorとInternet Explorerのシェア争い(第一次ブラウザ戦争)を背景に、Webブラウザの機能が飛躍的にリッチになる。
- 2000年 2000年問題。大きなトラブルはなかった。
21世紀
- 2001年
- インターネット・バブルが崩壊。
- 4月、Apple ComputerがMac OS Xを発売。10月にはiPodを発表。
- 2003年 中国で人工知能を応用したインターネット検閲システムグレート・ファイアウォールが本格稼働開始。
- 2004年 Mozilla Firefox 1.0 がリリース。この頃から第二次ブラウザ戦争が勃発し、デスクトップにおけるGoogle Chromeの覇権が固まる2014年頃まで続く。
- 2007年 AppleがiPhoneを発売。Mac OS X派生のモバイルオペレーティングシステム iPhone OS(現:iOS)を搭載し、以降スマートフォンの普及が急激に進んだ。
- 2008年 GoogleがLinuxベースのモバイルオペレーティングシステムAndroidをリリース。
- 2009年 米IBM、意思決定支援システムワトソンを公開する。
- 2010年 AppleがiPadを発売。
- 2011年
- アジア太平洋地域インターネットレジストリのIPv4アドレスが枯渇。
- D-Wave Systemsは世界初の商用量子コンピュータシステムであるD-Wave Oneを発表した。量子アニーリング方式により最適化問題を解く専用計算機である。
- 世界のパソコン出荷台数がピークの3億5280万台に達する。
- 2012年 Google、スタンフォード大学との共同研究であるグーグル・ブレイン(Google brain)を構築し、ディープラーニングの有用性が認められる。
- 2014年 アマゾン、AIアシスタントAmazon Alexaを発表、スマートスピーカーのAmazon Echoに搭載される。
- 2016年 Google DeepMindが開発したAlphaGoが世界最強の棋士と目される李世乭に勝利した。
- 2020年 OpenAIが高性能な自然言語処理モデルGPT-3を公開する。
種類
- スーパーコンピュータ(スパコン、HPCサーバ)
- メインフレーム(汎用コンピュータ、汎用機)
- ミニコンピュータ(ミニコン)
- オフィスコンピュータ(オフコン)
- ワークステーション (WS)
- コンピュータ・クラスター
- マイクロコンピュータ(マイコン)
- マイクロコントローラ(組み込みシステム用コンピュータ)
- 汎用サーバ
- エンタープライズサーバ
- PCサーバ
- パーソナルコンピュータ(パソコン、PC)
- シンクライアント
- ワードプロセッサ
- ゲーム機
携帯機器
- PDA(個人情報端末、ハンドヘルドコンピュータ)
- ポケットコンピュータ
- スマートフォン
- 携帯電話機(フィーチャーフォン)
- 携帯型ゲーム機
- タブレット端末
- 電卓、関数電卓
研究段階のコンピュータ
脚注
注釈
出典
- ^ a b 『日本大百科全書』コンピュータ
- ^ HOW MANY COMPUTERS ARE THERE IN THE WORLD?
- ^ "So, How Many Smartphones Are There in the World?"
- ^ Introduction to Embedded Systems
- ^ “入札公告:電子計算組織運用業務委託一式”. 厚生労働省 (2006年9月). 2008年12月14日閲覧。
- ^ “下関市電子計算組織により処理する個人情報の保護に関する条例”. 下関市 (1991年3月). 2008年12月14日閲覧。
- ^ 『日本における計算機の歴史 : 富士通における計算機開発の歴史』NAID 110002753426§3.1
- ^ 全国書誌番号:57000106
- ^ [2]
- ^ a b c 組み込みOSのAPIはTRON系OSがシェア60%、24年連続トップ
- ^ [3]
- ^ [4]
- ^ 英語版の記事 en:Usage share of operating systems#Supercomputers にUNIXとLinuxのシェア入れ替わりのグラフが掲載されている。
- ^ Universiteit van Amsterdam Computer Museum (2007)
- ^ RTD Net: "From various sides Konrad Zuse was awarded with the title "Inventor of the computer"."
- ^ GermanWay: "(...)German inventor of the computer"
- ^ Monsters & Critics: "he(Zuse) built the world's first computer in Berlin"
- ^ "Konrad Zuse earned the semiofficial title of "inventor of the modern computer", About.com
- ^ 竹井和昭「開発物語 みどりの窓口の予約システム「マルス」の開発史」『通常ソサイエティマガジン』第13巻第1号、電子情報通信学会、2019年、58-67頁、2020年5月26日閲覧。
- ^ “旅客販売総合システム「マルス」”. JRシステム. 2020年5月26日閲覧。
関連項目
- 総合索引に関する項目
- ソフトウェアに関する項目
- ハードウェアに関する項目
- コンピュータ・アーキテクチャに関する項目
- 研究に関する項目
- 社会・諸問題に関する項目
- ネットワークに関する項目
外部リンク
- コンピュータ博物館(情報処理学会)
- English:IPSJ Computer Museum (Information Processing Society of Japan)
- 情報・通信事典 e-Words
- コンピュータの歴史
- 日本経営情報開発協会編:「コンピュータ白書1969 経営情報システムの高度化とネットワークの形成」
- 『コンピュータ』 - コトバンク