特殊会社
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特殊会社(とくしゅがいしゃ)は、日本において特別法により名称、目的、営業活動の範囲が定められ、設立される会社のことをいう[1]。
概説
[編集]国策上必要な公共性の高い事業ではあるが、行政機関が行うよりも、会社形態でこれを行う方が適切であると判断される場合に設立される。規模が大きく、また後に完全に民営化して普通の会社に移行させる可能性もあることから、会社法に基づく「株式会社」形態で設立される。
特殊会社は、公的資本があるかどうかによって決まるのではなく、あくまで特別な法律に設立根拠があることで判断される。
- 類似の概念として「特別な学校法人」があり、放送大学学園法によって設立された放送大学学園と沖縄科学技術大学院大学学園法によって設立された沖縄科学技術大学院大学学園がこれに該当する。
「独立行政法人等登記令」(旧特殊法人登記令)の別表に掲げる法人(狭義の特殊法人)には含まれないが、新設・目的の変更・廃止が総務省による審査の対象となる法人(広義の特殊法人)には含まれる。狭義の特殊法人と比較すると、国の関与はやや少ない。
2010年(平成22年)5月18日に行われた鳩山由紀夫内閣の閣議において、日本郵政や日本政策投資銀行など26社の常勤役員数のうち天下りといわれる公務員OBが占める人数割合を、その時点の2分の1以内から1年間に3分の1以内に削減する方針が決定された。また、国が株式を100%保有する特殊会社の場合、会社ごとに第三者委員会の評価と所管大臣の認可後に役員任命を行うことを決定し、天下り根絶に繋げるとした[2][3]。なお、多くの特殊会社は公共性の高い事業のため、従業員はみなし公務員となる。
特殊会社の一覧
[編集]特殊法人である特殊会社
[編集]括弧内に根拠法を示し、所管省庁別に一覧にする。
総務省所管
財務省所管
- 日本たばこ産業(JT、日本たばこ産業株式会社法(JT法))
- 日本政策金融公庫 (株式会社日本政策金融公庫法)
- 日本政策投資銀行 (株式会社日本政策投資銀行法)
- 国際協力銀行(株式会社国際協力銀行法)
- 輸出入・港湾関連情報処理センター(NACCS、電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律)
経済産業省所管
- 日本アルコール産業(日本アルコール産業株式会社法)
- 商工組合中央金庫 (株式会社商工組合中央金庫法)
- 日本貿易保険(貿易保険法)
国土交通省所管
- 成田国際空港(成田国際空港株式会社法)
- 新関西国際空港(関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律)
- JR二島貨物会社(すべて旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(JR会社法))
- 東京地下鉄(東京メトロ)(東京地下鉄株式会社法)
- 高速道路会社(すべて高速道路株式会社法)
環境省所管
- 中間貯蔵・環境安全事業(中間貯蔵・環境安全事業株式会社法)
認可法人である特殊会社
[編集]括弧内に根拠法を示す。
- 地域経済活性化支援機構(株式会社地域経済活性化支援機構法)
- 産業革新投資機構(産業競争力強化法)
- 農林漁業成長産業化支援機構(株式会社農林漁業成長産業化支援機構法)
- 民間資金等活用事業推進機構(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)
- 海外需要開拓支援機構(株式会社海外需要開拓支援機構法)
- 海外交通・都市開発事業支援機構(株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法)
- 海外通信・放送・郵便事業支援機構(株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法)
- 東日本大震災事業者再生支援機構(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法)
- 脱炭素化支援機構(地球温暖化対策の推進に関する法律)
特別民間法人である特殊会社
[編集]いずれも、根拠法は中小企業投資育成株式会社法である。
かつて特殊会社であった法人
[編集]特殊銀行は除く
- 南満洲鉄道(明治39年勅令第142号「南満洲鉄道株式会社に関する件」)
- 同社傘下にあった物流関連会社は現在の東洋埠頭となり存続。
- 東洋拓殖(東洋拓殖株式会社法)
- 樺太開発(樺太開発株式会社法)
- 南洋拓殖(南洋拓殖株式会社令・昭和11年勅令第228号)
- 台湾拓殖(台湾拓殖株式会社法)
- 北支那開発(北支那開発株式会社法)
- 中支那振興(中支那振興株式会社法)
- 国際電気通信(国際電気通信株式会社法)
- 帝国鉱業開発(帝国鉱業開発株式会社法・昭和14年法律第82号)
- 帝国燃料興業(帝国燃料興業株式会社法・昭和12年法律第52号)
- 1949年(昭和24年)根拠法廃止。
- 日本製鐵 (日本製鐵株式会社法・昭和8年法律第47号)
- 帝国石油(帝国石油株式会社法・昭和16年法律第73号)
- 1950年(昭和25年)根拠法廃止・民営化、2008年(平成20年)に、国際石油開発帝石ホールディングスに吸収合併され、解散。
- 日本通運(日本通運株式会社法・昭和12年法律第46号)
- 日本発送電(日本発送電株式会社法)
- 日本硫安輸出(硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法・昭和29年法律第173号、肥料価格安定等臨時措置法・昭和39年法律第138号)
- 石油資源開発(石油資源開発株式会社法・昭和30年法律第152号)
- 科学研究所(株式会社科学研究所法・昭和30年法律第160号)
- 日本合成ゴム(合成ゴム製造事業特別措置法→日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律・昭和32年法律第150号)
- 電力用炭代金精算→電力用炭販売(電力用炭代金精算株式会社法→電力用炭販売株式会社法・昭和38年法律第144号)
- 日本自動車ターミナル(日本自動車ターミナル株式会社法・昭和40年法律第75号)
- 沖縄電力(沖縄振興開発特別措置法・昭和46年法律第131号)
- 日本航空機製造(航空機工業振興法・昭和33年法律第150号)
- 東北開発(東北興業株式会社法→東北開発株式会社法・昭和11年法律第15号)
- 日本航空(JAL)(日本航空株式会社法・昭和28年法律第154号)
- 国際電信電話(KDD)(国際電信電話株式会社法・昭和27年法律第301号)
- JR本州三社とJR九州(全て、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律・昭和61年法律第88号)
- 電源開発(電源開発促進法)
- 産業再生機構 (株式会社産業再生機構法)
- 2003年設立。2007年(平成19年)業務の完了により解散。