男性の肖像 (ティツィアーノ、ルーヴル美術館)
フランス語: Portrait d'homme, main à la ceinture 英語: Portrait of a Man | |
作者 | ティツィアーノ |
---|---|
製作年 | 1523年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 118 cm × 96 cm (46 in × 38 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『男性の肖像』(だんせいのしょうぞう、仏: L'Homme, main à la ceinture、英: Man with a Glove)は、イタリア盛期ルネサンスのヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ・ヴェチェッリオが1523年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2]。作品は同じくルーヴル美術館にある『手袋を持つ男』とほぼ同時期の作品で、両作ともマントヴァのゴンザーガ家に由来する[1][2]。1627年にチャールズ1世 (イングランド王) に高額で購入されたが、王の処刑後、競売に付され、銀行家エバーハルト・ジャバッハに購入された。作品は後の1671年にルイ14世のコレクションに入った[1]。
作品
[編集]ウルティック (Hourtiq) は、1527年のフェデリーコ2世・ゴンザーガへの手紙に言及されていることをもとに、描かれている人物がピエトロ・アレティーノと同定することを提案した。しかし、実際には根拠のない仮説で、ずっと十分に記録に残されている『ピエトロ・アレティーノの肖像』 (パラティーナ美術館、フィレンツェ) を考慮するなら、実際には根拠のない仮説である。
モデルの人物は、1523年に33-34歳で死んだジェノヴァの貴族ジローラモ・アドルノという見方が有力である。彼は、カール5世 (神聖ローマ皇帝) のヴェネツィア大使で、『手袋を持つ男』のモデルとも考えられる[2]。
暗い背景に半身像の男性が描かれている。身体は4分の3右側に向けられ、頭部は左側に向けられている。視線は鑑賞者からは遠い不明の1点を見つめている。人物は、黒色のゆったりとしたガウンと白いシャツを身に着けている。手は腰にのせられている。容貌は非常に個性的に描かれ、鑑賞者と対面する人物の様々な特質、すなわち、宮廷的高貴さ、野心、頭脳の明晰さ、男性的生気などを仄めかしている[2]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 中山公男・佐々木英也責任編集『NHKルーブル美術館IV ルネサンスの波動』、日本放送出版協会、1985年刊行 ISBN 4-14-008424-3
- Francesco Valcanover, L'opera completa di Tiziano, Rizzoli, Milano 1969.