直別信号場
直別信号場 | |
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旅客営業末期の駅舎(2018年9月) | |
ちょくべつ Chokubetsu | |
◄K42 厚内 (7.2 km) (4.0 km) 尺別(信) K44► | |
所在地 | 北海道釧路市音別町直別57番地1[1] |
駅番号 | (○K43)※旅客扱い廃止時点 |
所属事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
所属路線 | ■根室本線 |
キロ程 | 121.0 km(新得起点) |
電報略号 | チク |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線 |
開業年月日 | 1907年(明治40年)10月25日[2] |
備考 | 2019年(平成31年)3月16日に旅客扱いを廃止し信号場化 |
直別信号場(ちょくべつしんごうじょう)は、北海道釧路市音別町直別にある北海道旅客鉄道(JR北海道)根室本線の信号場。電報略号はチク。事務管理コードは▲110428[3]。旅客営業当時の駅番号はK43。
歴史
[編集]当初は駅として開設されたが、利用者減少により2019年(平成31年)3月16日に旅客取り扱いを廃止し[4]、信号場となった[5]。
- 1907年(明治40年)10月25日:国有鉄道釧路線(根室本線の前身)厚内駅 - 音別駅[注釈 2]に直別駅として開業(一般駅)[7][5][8]。
- 1971年(昭和46年)
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化によりJR北海道に継承[2]。
- 1992年(平成4年)4月1日:簡易委託廃止、完全無人化。
- 1993年(平成5年)1月15日:釧路沖地震により被害。当駅はホームのずれ、レール変状、機器室内経電連動器の倒壊、信号機柱の倒壊が発生[11][12]。
- 1995年(平成7年):廉価版PCまくらぎ(後年、宗谷本線高速化で採用)の試験敷設を構内で実施[13]。
- 1996年(平成8年)度:石勝線・根室線高速化工事に伴い同年度に構内改良[14]。高速通過対応の両開き分岐器を挿入[15]。
- 2003年(平成15年)
- 2018年(平成30年)6月20日:JR北海道が釧路市に対して、翌年3月に実施予定のダイヤ改正で当駅を廃止する検討を伝えた旨が報道される[18]。
- 2019年(平成31年)3月16日:利用者減少に伴い、同日のダイヤ改正で旅客取扱い廃止。直別信号場となる[5]。
- 2022年(令和4年)9月14日:同日3時46分頃に当信号場構内で異常時対応訓練中の列車に対し、誤った進路が構成されていたにもかかわらず進行信号が出され、誤進入となる事故が発生[19][1]。
信号場名の由来
[編集]所在地名より。「直別」の地名は所在地の釧路市音別町から隣接する浦幌町にかけて跨る地名であり、現在の直別川を指すアイヌ語の「チュㇰペッ(cuk-pet)」(秋・川)に由来する[8][20][21]。由来について江戸時代後期のアイヌ語通詞である上原熊次郎は秋に現在の川辺で小魚を捕り、食糧としたためとしているほか、明治時代のアイヌ語研究者である永田方正は、夏に水が涸れ、秋には増水したためと解釈している[20][21]。
このほか、松浦武四郎が『東蝦夷日誌』においてクスリ(今の釧路)で聞いた説として、かつて川上に月ぐらい明るい隕石が落ちたことにより「チュㇷ゚ペッ(cup-pet)」(月・川)と名付けられた、と紹介しているが[21]、上原による説・解釈が自然とされる[20]。
構造
[編集]2線を有する列車交換型の信号場。根室本線は1996年(平成9年)の営業最高速度向上(85 km → 130 km)に合わせて一線スルー型とした駅もいくつかみられるが、当駅は前後に半径300m台の曲線が連続し高速での通過は行えないことから、一線スルー型とはせずに最高 75 km/h(改良当時運行していたキハ283系の場合)で通過可能な両開き分岐器によって対応している[15]。
旅客駅時代末期は相対式2面2線のホームを有し、跨線橋で結んだ地上駅(駅舎側1番線が下り、2番線が上り)であった。駅舎は無人化後も有人駅時代のものが減築の上使用されていたが、2003年(平成15年)の十勝沖地震で倒壊し、ログハウス調の建物となっていた[5]。
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ホーム(2018年9月)
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跨線橋(2018年9月)
利用状況
[編集]1960年代は開拓農家のほか国鉄職員、北海道電力直別変電所職員の利用があった[5]。また、1961年(昭和36年)に中学校が閉校となったことで、通学利用もあった[5]。駅として廃止される直前の2016年(平成28年)にJR北海道から発表された2011 - 2015年(平成23 - 27年)の乗降人員調査(11月の調査日)平均は「10名以下」[22]であった。
なお貨物については、1926年(大正15年)の主要発送貨物として、木材・ダイコン・テンサイが挙げられている[5]。
駅周辺
[編集]駅付近に住宅が数軒ある。駅のすぐ西に十勝郡浦幌町との市町境界がある。
隣の駅
[編集]記録と調査
[編集]釧路市立博物館では、廃止になった駅や簡易軌道などの調査と研究を行っており、記録や資料、証言を収集している。2019年(平成31年)3月16日の尺別駅と直別駅の廃止に合わせ、同年3月2日から4月6日、同館常設展示室内においてミニ企画展「尺別駅と直別駅」が開催され、両駅の駅名標や時刻表、行先標などが展示された。また同年9月15日、展示内容とその後の調査結果などをまとめたブックレット『尺別駅と直別駅』が刊行されている[24]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス 1968年撮影航空写真。
- ^ 当時、尺別駅(→尺別信号場)は未開設。
出典
[編集]- ^ a b “直別信号場構内における信号違反について(インシデント)” (PDF). 北海道旅客鉄道 (2022年9月15日). 2022年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月17日閲覧。
- ^ a b 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、880頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、233頁。doi:10.11501/1873236 。2022年12月10日閲覧。
- ^ 『2019年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道株式会社、2018年12月14日、4頁。オリジナルの2018年12月14日時点におけるアーカイブ 。2018年12月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 石川孝織 (2019-06). “2019年3月改正で廃止された根室本線尺別駅と直別駅”. 鉄道ピクトリアル (株式会社電気車研究会(鉄道図書刊行会)) 69 (6(通巻960)): pp.122-124. ISSN 0040-4047.
- ^ 国鉄全線各駅停車 北海道690駅 1983年 小学館発行。
- ^ 内閣印刷局, ed (1907-10-21). “逓信省告示 第647号”. 官報 (国立国会図書館デジタルコレクション) (7294) .
- ^ a b 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、127頁。ASIN B000J9RBUY。
- ^ 「通報 ●根室本線西帯広駅ほか6駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報』日本国有鉄道総裁室文書課、1971年10月2日、2面。
- ^ 「日本国有鉄道公示第408号」『官報』1971年10月2日。
- ^ 吉本, 孝志「釧路沖地震による電気設備の災害復旧」『鉄道と電気技術』第4巻第4号、日本鉄道電気技術協会、1993年3月、49-52頁、doi:10.11501/3313997、ISSN 0915-9231。
- ^ 宮脇俊三、原田勝正 著、二見康生 編『北海道630駅』小学館〈JR・私鉄各駅停車〉、1993年6月20日、116頁。ISBN 4-09-395401-1。
- ^ 小室, 俊一「施工記録 低廉化PCまくらぎの投入」『日本鉄道施設協会誌』第36巻第9号、日本鉄道施設協会、1998年9月、30-32頁、doi:10.11501/3255434、ISSN 0913-2643。
- ^ 藤島, 茂「JR北海道における130km/h高速化」『鉄道と電気技術』第8巻第4号、日本鉄道電気技術協会、1997年3月、68-71頁、doi:10.11501/3314045、ISSN 0915-9231。
- ^ a b 山崎, 廣行、橋場, 孝幸「施工記録 12番両開分岐器の敷設」『日本鉄道施設協会誌』第35巻第9号、日本鉄道施設協会、1997年9月、27-29頁、doi:10.11501/3255422、ISSN 0913-2643。
- ^ “北海道旅客鉄道株式会社 根室線直別駅構内 列車脱線事故” (PDF). 国土交通省 (2004年8月27日). 2022年3月15日閲覧。
- ^ 釧路市地域史研究会・釧路市地域史料室: “釧路市統合年表 : 釧路市・阿寒町・音別町合併1周年記念”. 釧路市 (2010年3月25日). 2020年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月25日閲覧。
- ^ “釧路市内の直別駅と尺別駅 JRが廃止検討”. 北海道新聞. (2018年6月20日) 2018年6月20日閲覧。
- ^ “JR特急など5本一時運休 根室線の訓練トラブルで:北海道新聞 どうしん電子版”. どうしん電子版. 北海道新聞社. 2022年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月16日閲覧。
- ^ a b c “アイヌ語地名リスト セッ~ツキガ P71”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年6月10日閲覧。
- ^ a b c 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 別巻〉、2018年11月30日、284-285頁。ISBN 978-4-88323-114-0。
- ^ “極端にご利用の少ない駅(3月26日現在)” (PDF). 平成28年度事業運営の最重点事項. 北海道旅客鉄道. p. 6 (2016年3月28日). 2017年9月25日閲覧。
- ^ “浦幌町コミュニティバス 郊外路線図” (PDF). 浦幌町. 2018年5月27日閲覧。
- ^ 【博物館】ブックレット「尺別駅と直別駅」 博物館ブックレット「尺別駅と直別駅」を刊行しました 新着資料ミニ展示「尺別駅と直別駅」を開催しました釧路市立博物館 釧路市
参考文献
[編集]- 石川孝織/編著 釧路市立博物館ブックレット『尺別駅と直別駅』 2019年9月 釧路市立博物館友の会