東京科学大学
東京科学大学 | |
---|---|
大岡山キャンパス本館 | |
大学設置/創立 | 2024年 |
学校種別 | 国立 |
設置者 | 国立大学法人東京科学大学 |
本部所在地 |
東京都目黒区大岡山二丁目12-1 北緯35度36分18秒 東経139度41分2秒 / 北緯35.60500度 東経139.68389度座標: 北緯35度36分18秒 東経139度41分2秒 / 北緯35.60500度 東経139.68389度 |
学生数 | 13,000 |
キャンパス |
大岡山(東京都目黒区) すずかけ台(神奈川県横浜市緑区) 田町(東京都港区) 湯島(東京都文京区) 国府台(千葉県市川市) 駿河台(東京都千代田区) |
学部 |
理学院 工学院 物質理工学院 情報理工学院 生命理工学院 環境・社会理工学院 医学部 歯学部 |
研究科 |
理学院 工学院 物質理工学院 情報理工学院 生命理工学院 環境・社会理工学院 医歯学総合研究科 保健衛生学研究科 |
ウェブサイト |
www |
東京科学大学(とうきょうかがくだいがく、英: Institute of Science Tokyo)は、東京都目黒区に本部を置く日本の国立大学。略称はScience Tokyo[1]。
東京工業大学と東京医科歯科大学の統合により、2024年に設立された[2][3]。
概要
[編集]2022年10月14日、それぞれ「指定国立大学」に認定されている東京工業大学と東京医科歯科大学は、2022年8月9日に開始を発表した統合に向けた協議[4]の結果、両法人並びに両法人がそれぞれ設置する大学を統合し、1法人1大学とすることについて、「法人統合及び大学統合に関する基本合意書[5]」を締結した[6]。2024年度中を目処として、できる限り早期の統合を目指している[6]。統合によりh5-指標で東京大学に次ぐ日本第2位の研究機関となる[7]。
ふたつの大学の統合に至る経緯は、もともと月1回行われていた四大学連合学長懇談で頻繁に話す機会があったことなどから、工学系大学との連携の必要性を感じていた田中雄二郎東京医科歯科大学学長から益一哉東京工業大学学長に、2020年に、東海国立大学機構のような方式での統合の可能性を示唆したところ、反応が薄かったため、代わりに大学等連携推進法人制度を利用した共同の研究所の設置・運営が提案された。これを受けた益一哉学長から、さらに踏み込んだ形で1大学1法人方式での法人統合が提案された[8]。
両大学は2022年11月25日から12月8日まで、新大学の名称案についてホームページで提案を受け付けた[9]。「新大学の目指す姿、組織文化にふさわしい名称であること」等を条件に、在学生や教職員、同窓生ほか、一般からの提案も受け付けた[9]。
2023年1月19日、新大学名称を「東京科学大学(仮称)」として大学設置・学校法人審議会への提出を決定した[2][3]。決定した理由として、「両大学の統合の目的は、両大学のこれまでの伝統と先進性を活かしながら、統合によってこれまでどの大学も為しえなかった新しい大学のあり方を創出することにあることを踏まえ、新大学の目指す姿・方向性を表す名称としました」等と発表している[3]。
同年10月31日には国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学を統合して国立大学法人東京科学大学とする『国立大学法人法の一部を改正する法律案』が閣議決定され[10][11][12]、国立大学法人東京工業大学が国立大学法人東京科学大学に改称し、国立大学法人東京医科歯科大学は施行時に吸収合併され解散することが決定された[12]。この『国立大学法人法の一部を改正する法律案』は第212回国会に於いて審議され、12月13日に参議院本会議にて可決・成立した[13][14]。これにより新大学の発足は2024年10月1日となる予定[12]。特設サイトによれば、10月の統合直後の組織は、両大学の学部、大学院研究科、学院をそのまま引き継ぐとしている[15]。2025年4月からは、自身の専門分野とは異なる分野を体系的に学び、異分野間の交流と協働の経験を得る「医歯理工融合教育プログラム」が開始予定[15]。
ふたつの大学の統合に伴い、大学ファンドの運用益の配分を得られる「国際卓越研究大学[16]」への認定を目指しているとの報道がある[17]。
初代理事長(経営担当)は、東京工業大学の大竹尚登が候補者として決定した[18][19][20]。
初代学長・大学総括理事(教育・研究担当)は、東京医科歯科大学の田中雄二郎が内定した[21]。
(一法人一大学での理事長-学長体制)
沿革
[編集]2024年(令和6年)10月に、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し開学した。当校は、統合前の2つの大学の学部や大学院などはそのまま引き継がれたうえ、新たに3つの研究組織を立ち上げ医学や歯学、理工学といったそれぞれの強みを連携させた世界トップクラスの研究開発を進めていくとしている。
年表 旧・東京工業大学
分析化学教室(1931年)、現・西1号館:登録有形文化財
- 1881年(明治14年)5月:東京職工学校設立
- 予科および本科を設置、本科に化学工芸科と機械工芸科を設置
- 1890年3月:東京工業学校と改称
- 化学工芸部(染織工科、陶器玻璃工科、応用化学科)、機械工芸部(機械科、電気工業科)に改組
- 1894年6月:工業教員養成所(1902年附設工業教員養成所へ移行)を設置
- 1896年5月:規制改正を実施
- 1901年5月:東京高等工業学校と改称
- 前後して、工業図案科 (1900-1914)、前田松韻を招聘して建築科 (1902.12-) を新設
- 1919年(大正8年)1月:蔵前工業会臨時総会で大学昇格を決議、2月に日本工業倶楽部も建議書を政府に提出
- 1923年3月:大学昇格が正式決定するも、9月に関東大震災に罹災、実現延期を余儀なくされる
- 1924年4月:校舎を大岡山へ移転(現在の大岡山キャンパス)
- 1929年(昭和4年)4月:東京工業大学(旧制)へ昇格
- 染料化学、紡織学、窯業学、応用化学、電気化学、機械工学、電気工学、建築学の8学科を設置
- 数学、物理学、物理化学、分析化学の4教室を設置
- 高等工業レベルの特設予科を設置(1932年附属予備部と改称)、高等工業在学生は、附属工学専門部および附属工業教員養成所に移行(いずれも1931年廃止)
- 1931年(昭和6年)9月:西1号館竣工
- 1934年(昭和9年)8月:大学本館竣工
- 1942年5月:附属高等工業教員養成所を設置
- この間、化学工学 (1940-)、金属工学 (1941-) の2学科を新設
- また、無機化学 (1930-)、有機化学 (1930-)、工業経済 (1935-) 等の教室を新設
- 1943年10月:特別研究生制度実施
- 1945年8月:太平洋戦争終結
- 戦時下には、航空機工学科 (1939 - 1945)、燃料工学科 (1941-1945) を設置
- また、附属工業専門部を設置(1944 -, 1948廃止)
- 1946年2月:和田小六学長の下『東京工業大学刷新要綱』を策定し先駆的な大学改革を実施
- 1949年5月:新制大学へ移行
- 工学部を設置
- 附属予備部および附属高等工業教員養成所を吸収
- 1953年4月:大学院工学研究科を設置
- 1955年7月:工学部を理工学部に改称
- 数学、物理学、化学、化学工学、機械工学、電気工学、金属工学、繊維工学、建築学、経営工学の10学科を設置
- 1956年4月:大学院工学研究科を理工学研究科と改称、原子核工学専攻新設
- 1967年6月:理工学部を理学部と工学部に分割
- この間、理学系で応用物理学科 (1961 -, 1998年改組解消)、材料・化学工学系で4学科、機械系3学科、電気電子系2学科、および土木工学科 (1964 - )、社会工学科 (1966 - ) を新設
- この後、理学部に情報科学科 (1970 - )、地球惑星科学科 (1992 - )、工学部に情報工学科 (1974 - ) 等を設置
- また一時、工業教員養成所(1961 - 69) を設置
- 1975年4月:大学院総合理工学研究科を設置、9月長津田キャンパス(現在のすずかけ台キャンパス)開設
- 1990年(平成2年)6月:生命理工学部を設置
- 理学部生命理学科 (1986 - )、生体機構学科 (1988 - )、工学部生物工学科 (1986 - )、生体分子工学科 (1988 - ) を振替
- 1992年4月:大学院生命理工学研究科を設置
- 1994年4月:大学院情報理工学研究科を設置
- 1996年4月:大学院社会理工学研究科を設置
- 2004年4月:国立大学法人法の規定により国立大学法人となる
- 2005年4月:大学院イノベーションマネジメント研究科を設置
- 2009年5月 :大学マネジメントセンターを設置
- 2016年4月:日本の大学で初めて学部と大学院を統一し、「学院」を創設
- 2018年3月:指定国立大学法人に指定
- 2022年12月:データサイエンス・AI全学教育機構を設置
- 2024年10月:国立大学法人東京科学大学に改称し、廃校(解散)する国立大学法人東京医科歯科大学から権利及び義務並びに業務を承継する予定(東京医科歯科大学を吸収合併)
旧・東京医科歯科大学
- 1928年10月12日 一ツ橋の東京商科大学(現:一橋大学)校舎を借りて東京高等歯科医学校設置、初代学校長島峰徹。
- 1930年12月 御茶ノ水の東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)跡地に移転。
- 1935年 校舎(現・2号館)完成。
- 1944年4月1日 東京医学歯学専門学校となり、医学科を設置。
- 1946年8月27日 旧制東京医科歯科大学に昇格、医学科・歯学科が医学部医学科・歯学部歯学科に改組、茨城県稲敷郡安中村に大学予科を設置、附属図書館設置。
- 1949年6月1日 医学部歯学部附属医院を医学部附属病院と歯学部附属病院に改称。
- 1950年 大学予科が千葉大学に移管、大学予科三年生を伴ったため千葉大学東京医科歯科大学予科と呼ばれ、後に千葉大学文理学部となる
- 1951年4月1日 新制国立東京医科歯科大学を設置。
- 1952年4月1日 歯学部附属歯科技工士学校を設置。
- 1955年4月1日
- 1958年4月1日 千葉大学内設置課程の学生募集を停止、東京医科歯科大学国府台分校として医学部進学課程・歯学部進学課程を設置。
- 1962年4月1日 医学部附属衛生検査技師学校を設置。
- 1965年4月1日 教養部を設置。
- 1966年4月5日 歯科材料研究所を医用器材研究所に改称。
- 1970年4月17日 保健管理センターを設置。
- 1972年4月1日 医学部附属臨床検査技師学校を設置。
- 1973年
- 1989年
- 4月1日 医学部保健衛生学科、看護学専攻および検査技術学専攻を設置。
- 5月19日 機器分析室を設置。
- 1991年3月31日 医学部附属看護学校および臨床検査技師学校を廃止。
- 1993年
- 1995年4月1日
- 大学院歯学研究科に博士課程生体機能制御歯科学専攻設置。
- 大学院医学系研究科に博士課程生体感染制御医科学系専攻および博士課程保健衛生学専攻を設置。
- 1996年5月11日 機器分析センターを設置。
- 1998年4月9日 アイソトープ総合センターを設置。
- 1999年4月1日
- 大学院医歯学総合研究科を設置。
- 医用器材研究所を生体材料工学研究所へと改組。
- 2000年4月1日 大学院医歯学総合研究科(7専攻)を設置。
- 大学院医学系研究科の学生募集を停止。
- 大学院医学系研究科の保健衛生学専攻を大学院保健衛生学研究科に改称。
- 2001年4月1日
- 大学院医歯学総合研究科を設置。
- 大学院医歯学総合研究科に修士課程医歯科学専攻を設置。
- 大学院保健衛生学研究科を設置。
- 大学院医歯学総合研究科を設置。
- 2002年4月1日 医歯学教育システム研究センターを設置。
- 2003年
- 2004年4月1日
- 2005年3月31日 歯学部附属歯科衛生士学校を廃止。
- 2009年
- 4月 国際交流センターを設置。
- 12月 スチューデントセンターを設置。
- 2010年4月
- 図書館情報メディア機構を設置。
- 医歯学研究支援センターを設置。
- 実験動物センターを設置。
- 医歯学融合教育支援センターを設置。
- 生命倫理研究センターを常設センターに変更。
- 2011年
- 4月
- 歯学部口腔保健学科(2専攻)を設置(口腔保健衛生学専攻・口腔保健工学専攻)。
- 研究・産学連携推進機構を設置。
- 8月 東京医科歯科大学基金を設置。
- 11月 病院運営企画部を設置。
- 4月
- 2012年4月
- 大学院医歯学総合研究科を改組(2専攻)(大学院生命情報科学教育部を統合)。
- 女性研究者支援室を設置。
- スポーツ医歯学センターを設置。
- 2013年
- 2月 疾患バイオリソースセンターを常設センターに変更。
- 4月
- 再生医療研究センターを設置。
- 学生支援・保健管理機構を設置。
- 職員健康管理室を設置。
- 広報部を設置。
- 2016年4月1日 学長特別顧問に出井伸之、井上孝美、渡辺恒雄(学長選考委員会座長)の3名が就任する。
- 2019年12月2日 - 2020年4月に「M&Dデータ科学センター」、2022年4月に新学部として「メディカルデータサイエンス学部」を設置する計画を明らかにした(後に、2022年4月の時点でメディカルデータサイエンス学部新設は実現に至らず)。
- 2020年4月
- M&Dデータ科学センターを設置。
- 日本初の、次世代型ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)、次世代PET(canon製)等を導入する機能強化棟を着工した。
- 2020年10月 指定国立大学法人に指定。
- 2021年9月現在 東京医科歯科大学医学部附属病院、東京医科歯科大学歯学部附属病院共に厚生労働省指定の特定機能病院である。
- 2021年10月1日 東京医科歯科大学病院開設(東京医科歯科大学医学部附属病院、東京医科歯科大学歯学部附属病院を統合)。
- 2023年4月1日 学長選考委員会座長に山口寿一読売新聞社長が就任する。
- 2024年10月1日 国立大学法人東京医科歯科大学は廃校(解散)し、権利及び義務並びに業務が国立大学法人東京科学大学に承継される(東京工業大学に吸収合併される)。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “東京科学大学の理念とロゴマークが誕生”. Science Tokyo (2024年4月25日). 2024年10月3日閲覧。
- ^ a b “新大学名称を「東京科学大学(仮称)」として大学設置・学校法人審議会への提出を決定”. 東京工業大学. 2023年1月19日閲覧。
- ^ a b c “新大学名称を「東京科学大学(仮称)」として 大学設置・学校法人審議会への提出を決定”. 東京医科歯科大学. 2023年1月23日閲覧。
- ^ “国立大学法人東京工業大学と国立大学法人東京医科歯科大学の統合に向けた協議を開始”. 東京工業大学. 2023年1月20日閲覧。
- ^ “法人統合及び大学統合に関する基本合意書”. www.titech.ac.jp. www.titech.ac.jp (2022年10月14日). 2023年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月31日閲覧。
- ^ a b “国立大学法人東京工業大学と国立大学法人東京医科歯科大学の統合に向けた基本合意書を締結”. 東京工業大学. 2023年1月20日閲覧。
- ^ どのように大学の研究力を測るか?その指標(分野別・大学機能別)文部科学省
- ^ 益 一哉(東京工業大学学長)×田中雄二郎(東京医科歯科大学学長) 統合で世界と勝負する大学に 益 一哉(東京工業大学学長)×田中雄二郎(東京医科歯科大学学長)『中央公論』2023年2月号
- ^ a b “【受付終了】新大学の名称案をご提案ください”. 東京工業大学. 2023年1月20日閲覧。
- ^ 国立大学法人法の一部を改正する法律案の概要文部科学省
- ^ 令和5年10月31日(火)定例閣議案件首相官邸
- ^ a b c "「東京科学大」、来年10月に開学…東工大と医科歯科大は統合". 讀賣新聞ONLINE. 読売新聞社. 31 October 2023. 2023年12月13日閲覧。
- ^ "改正国立大学法人法が成立 大規模国立大に合議体設置". 日経電子版. 日本経済新聞社. 13 December 2023. 2023年12月13日閲覧。
- ^ "立大学法人法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令 抄(令和五年政令第三百六十二号)". e-gov 法令検索. 2024年4月28日閲覧。
- ^ a b "Science Tokyo 特設サイト". 東京科学大学. 2024年5月3日閲覧。
- ^ “kokusaitakuetsu_koubo”. www.mext.go.jp. www.mext.go.jp (2023年2月7日). 2023年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月31日閲覧。
- ^ "新名称「東京科学大学」に 東工大と東京医科歯科大の統合". NHK NEWS. 日本放送協会. 19 January 2023. 2023年1月19日閲覧。Archived 2023年4月3日, at the Wayback Machine.
- ^ https://www.titech.ac.jp/news/2024/069472
- ^ https://www.tmd.ac.jp/news/20240619060836/
- ^ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE192UN0Z10C24A6000000/#:~:text=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E5%A4%A7%E3%81%A8%E6%9D%B1%E4%BA%AC,%E4%B8%80%E8%87%B4%E3%81%A7%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82&text=%E5%A4%A7%E7%AB%B9%E6%B0%8F%E3%81%AF%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E6%9D%90%E6%96%99,%E5%B9%B4%E3%81%AB%E6%9D%B1%E5%B7%A5%E5%A4%A7%E6%95%99%E6%8E%88%E3%80%82
- ^ https://www.asahi.com/articles/ASS6M16DTS6MUSPT003M.html
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Science Tokyo 特設サイト - 東京科学大学
- 東京工業大学
- 国立大学法人 東京医科歯科大学