台鉄弁当
台鉄弁当 | |
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台湾の駅弁文化の代表「排骨弁当」 | |
各種表記 | |
繁体字: | 臺鐵便當/台鐵便當 |
拼音: | Táitiě biàndāng |
注音符号: | ㄊㄞˊ ㄊ一ㄝˇ ㄅㄧㄢˋ ㄉㄤ |
発音: | タイティエ ビェンタン |
台湾語白話字: | Tâi-thih Piān-tong |
日本語読み: | たいてつべんとう |
英文: | Taiwan Railway Bento (TR Bento) |
台鉄弁当(繁体字中国語: 臺鐵便當)とは台湾鉄路管理局(台鉄)が駅および列車内で販売している駅弁のことである。
定義
[編集]台鉄弁当は、台鉄内の餐旅服務総所が経営を請け負っている。
台湾政府の統計によると、台鉄弁当の1年間(2015年)の売上は33億900万台湾ドルで、販売した弁当の数は1000万個に達している[1]。
特徴
[編集]台湾総督府時代から日本の影響を受け、今日の台湾は日本以外、唯一「駅弁」という文化を持っている国である。そのため、日本の駅弁との共通点が多い。
日本式駅弁との違い
[編集]一番異なっている部分は、台湾現地の食習慣に合わせ「必ず温かい状態で販売される」ことである[2]。
台鉄が販売している駅弁で最も有名なのは排骨弁当であるが、南北で付け合わせのおかずが異なる。排骨とは中華風の骨付きトンカツのこと。台湾の排骨の麺衣はパン粉では無く、中華の小籠包や包子の生地のようなものを使う。そして排骨は揚げた後もう一度台湾風の味噌醤油で煮て、味を深める。
ほかの味もあり、駅によって鶏の太股フライ・鶏の太股の醬油煮込み・豆腐の醬油煮込み・角煮等がある。
食材・売り方
[編集]台鉄弁当の基本的な構成は、大きな排骨(豚スペアリブの煮付け)と滷蛋(台湾風煮卵)1個、豆腐干1個及びご飯、そして沢庵漬けや高菜などの付け合わせから成る[3]。
台鉄弁当は、現在でも列車乗務員による車内販売が行われており、標準中国語あるいは台湾語によって販売されている。台鉄弁当の容器がステンレス製であった時期、乗客が弁当を食べ終わった後、容器は乗務員が回収し、洗浄後再利用していた。しかしほとんどの乗客が容器を持ち帰ってしまうため、その回収率は高くなかった。さらにステンレス製の容器はコストがかかったため、弁当の容器は木製に改められ、現在はさらに紙製の容器のものも販売されている。しかし近年のレトロブームの高まりを受け、台鉄はステンレス製円形弁当容器の駅弁を度々復刻販売している[4]。
なお、台湾には台鉄自身が販売している台鉄弁当のほかに、奮起湖弁当[5][6]、福隆弁当[7]、池上弁当[8][9]などがある。
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弁当の包装(箸付き)
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弁当の包装(箸無し)
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台北駅1階にある台鉄弁当本舖1号店
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車内販売の様子
沿革
[編集]台湾における駅弁は日本統治時代からあり、鉄道乗車時における食堂車[注 1]以外の供食サービスとして開始された。
第二次世界大戦後、台湾を統治した国民政府は台湾鉄路管理局を設立し、1949年(民国38年)から松山駅、台北駅、台中駅、高雄駅、花蓮駅など5つの駅構内食堂の従業員による弁当の車内販売を開始した[10]。台鉄対号特快である成功号、銘伝号、平等号、莒光号、自強号などの列車には食堂車が連結されていたが、同時に弁当、土産品、飲料の車内販売が行われた。しかし利益率が低いため、食堂車は後に廃止された。
第二次大戦後、駅弁販売業者に関する規制がなかったため、駅弁販売の個人事業者が徐々に増えていった。しかし、1960年に台鉄は「小営」部を成立し、駅弁販売業者を統合した。この後駅弁は、台鉄にとって鉄道輸送事業に次ぐ主要商品となっていった。
2000年、台鉄は32年ぶりに排骨菜飯弁当を6月9日の鉄路節に合わせて販売した。当初は限定1000個で売り出す予定であったが、販売開始の前日から行列ができ、わずか20分で完売した。そのため台鉄は追加販売を決定し、最終的に9万個以上の駅弁が追加で売り出された[11]。
2003年1月、台鉄弁当は東京の京王百貨店で催された元祖有名駅弁と全国うまいもの大会で販売され、15分で700個を売り上げた[11]。その後、台鉄弁当は2004年と2016年にも同大会で販売された[12]。
2013年3月9日、JR北海道で運行されているSL冬の湿原号と、台鉄で運行されているCK124SL列車の姉妹列車締結1周年を記念して、釧路駅の駅弁調製業者釧祥館とのコラボ商品である、台鉄・北海道特色弁当(臺鐵‧北海道特色便當)が台北駅で発売された[13]。台鉄・北海道特色弁当は、(2016年5月)現在でも月曜日から木曜日の昼間に限り数量限定で販売している[14]。
2015年2月26日、台湾鉄道と京浜急行電鉄の友好鉄道協定締結1周年を記念して、台鉄弁当の販売が行われることが決定した[15]。そのため、同年5月24日に行われた京急ファミリー鉄道フェスタ2015で台鉄弁当の販売が行われた[16]が、午前中で1000食が完売したため後日品川駅で販売を行った[17]。
2015年7月、台鉄は国際駅弁祭り(國際鐵道便當節)を初めて開催し、台湾、日本、インド、イギリスなど6か国11社の駅弁が販売された[注 2]。台鉄弁当は台北、台中、高雄、七堵の4つの工場が参加した[18][19][20]。この祭りに先立って、台鉄弁当は新たにトースト弁当を開発した。これは台鉄弁当に使用されている食材にフレンチトーストを組み合わせた弁当である[21][22]。
また、台鉄弁当そのものではないが、台湾鉄道と東武鉄道の友好鉄道協定締結を記念して、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)浅草駅、北千住駅の駅売店、スペーシアの車内販売において、台湾の駅弁をモデルにした「台湾排骨弁当」を発売している。イベント向けでなく、通常メニューとして発売されるのは初めてである[23]。
受賞
[編集]- 2020年以降にブランディングの一環として台湾設計研究院(TDRI)と共同で、ロゴや店舗・パッケージのデザインを一新したが[24][25]、リニューアルした嘉義駅の店舗や新メニューのパッケージデザインが2022年のグッドデザイン賞を受賞した[26][27]。
参考文献・出典
[編集]- 書籍
- 劉文駿、王威傑、楊森豪(2003年). 『百年台灣鐵道』, 果實出版. ISBN 986-7796-11-X
- 戴寶村、蔡承豪(2009年). 『縱貫環島‧臺灣鐵道』, 國立臺灣博物館. ISBN 978-986-02-1091-0
- 台湾大好き編集部[編](2015年).『台湾行ったらこれ食べよう! 駅弁・鉄道旅編』,誠文堂新光社. ISBN 978-4-416-71571-0
- 注釈
- ^ 台湾で最初の食堂車は大正元年(1912年)に縦貫線の昼行急行列車に連結された「一等食堂車」であり、大正11年(1922年)にはさらに三等食堂車も連結された。これらの食堂車の運営は総督府交通局鉄道部の直轄ではなく、台湾旅行社に外部委託したものであった。
- ^ 日本からは姫路駅のまねき食品、日本レストランエンタプライズ(現:JR東日本クロスステーションフーズカンパニー)などが出展した。
- 引用
- ^ “台湾鉄道の駅弁、昨年1000万個以上を売り上げ 副業収入6億円強増”. フォーカス台湾 (2016年4月16日). 2016年4月29日閲覧。
- ^ “台湾の懐かしの味! 台北駅のできたて駅弁の魅力とは?”. エクスペディア. (2015年11月11日)
- ^ “台湾の駅弁”. 台北ナビ. (2015年9月24日)
- ^ 賴妤翎 (2013年1月20日). “拚懷舊財!第五代「鐵路便當盒」 超夯(正体字中国語)”. TVBSニュース (台北) 2016年4月30日閲覧。
- ^ 戀戀阿里山-奮起湖大飯店官方網站(正体字中国語)
- ^ “奮起湖大飯店(嘉義県)”. 台北ナビ. (2015年9月15日)
- ^ “【台湾】日本人も絶賛する美味すぎる台湾駅弁 / 駅じゃなくても駅弁が買えるよ”. ロケットニュース24. (2013年12月20日) 2016年4月30日閲覧。
- ^ 池上木片便當(正体字中国語)
- ^ 林孟佳、許麗娟 (2014年5月23日). “鐵路便當/台東池上便當(正体字中国語)”. 自由時報 2016年4月30日閲覧。
- ^ “台灣鐵路便當系列特展”. 2016年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月30日閲覧。 中華民国鉄道文化協会
- ^ a b 黄如萍 (2015年6月9日). “莫忘來時路/6月9日-懷舊便當熱賣15年(正体字中国語)”. 中国時報 2016年4月29日閲覧。
- ^ 【第51回大会の目玉企画!】復活!「台鉄パイコー弁当」 京王百貨店BLOG 【駅弁大会2016】目玉企画
- ^ “北海道の味、9日から台湾の駅弁に登場”. エキサイトニュース (2015年3月6日). 2016年5月1日閲覧。
- ^ 臺鐵‧北海道特色便當 交通部臺灣鐵路管理局
- ^ “台鉄×京急 友好鉄道協定締結1周年記念 羽田空港国際線ターミナル駅に台湾・台鉄PRブースを設置 特大PRパネルで台湾の魅力を発信していきます”. 京急電鉄オフィシャルサイト (2015年2月17日). 2016年4月29日閲覧。
- ^ “台湾で大人気の駅弁「台鉄弁当」を販売!! 5月24日(日)京急ファミリー鉄道フェスタ2015”. 京急電鉄オフィシャルサイト (2015年5月14日). 2016年4月29日閲覧。
- ^ “午前中で1000食完売した台湾の駅弁、品川でも販売へ 京急”. 乗りものニュース (2015年5月29日). 2016年4月29日閲覧。
- ^ “台湾で「第1回駅弁祭り」 日本の「駅弁」が人気”. テレ朝news. (2015年7月17日) 2016年5月3日閲覧。
- ^ “台湾で駅弁祭り JR東日本も出展、E7系の新幹線弁当など販売へ”. フォーカス台湾 (2016年7月16日). 2016年4月29日閲覧。
- ^ 楊竣傑 (2015年3月1日). “6國鐵道便當 7月大PK(正体字中国語)”. 中国時報 2016年4月29日閲覧。
- ^ “台鐵菜飯便當做成「麵包」 連他都喊驚艷(正体字中国語)”. 聯合報. (2015年5月22日) 2016年4月29日閲覧。
- ^ 李姿慧 (2015年5月23日). “排骨加麵粉 台鐵便當變麵包 —— 甜中帶鹹 還要研發飯糰 推早餐吧(正体字中国語)”. 台湾蘋果日報 (台北) 2016年4月29日閲覧。
- ^ “東武鉄道、台湾鉄路管理局友好鉄道協定締結記念『台湾排骨弁当』新発売”. 東武鉄道オフィシャルサイト (2016年3月17日). 2016年5月14日閲覧。
- ^ “新竹駅に「台鉄便当」コンセプト店 客家風弁当を期間限定で販売/台湾”. 中央社 フォーカス台湾. (2020年10月2日)
- ^ “「台鉄弁当」商標登録を出願 ロゴは名物ちなみ「八角形」に/台湾”. 中央社 フォーカス台湾. (2020年9月24日)
- ^ “TR Bento Branding [Integrated Design Project]”. 公益財団法人日本デザイン振興会. (2022年10月7日) 2022年10月10日閲覧。
- ^ “台鐵便當本舖形象設計改造 獲選2022 Good Design Award”. 自由時報. (2022年10月8日)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 台鉄弁当公式ウェブサイト (携帯)(正体字中国語)
- 台鉄弁当日本語版公式ウェブサイト
- 台湾の駅弁 台北ナビ