飯山トンネル
飯山トンネル飯山方坑口(画像右奥)。手前の高架橋はスノーシェッドで覆われる。 | |
概要 | |
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路線 | 北陸新幹線 |
位置 | 長野県、新潟県(飯山駅-上越妙高駅間) |
座標 |
北緯36度52分48秒 東経138度19分47秒 / 北緯36.88度 東経138.3297度座標: 北緯36度52分48秒 東経138度19分47秒 / 北緯36.88度 東経138.3297度 |
現況 | 供用中 |
起点 | 長野県飯山市 |
終点 | 新潟県上越市 |
運用 | |
建設開始 | 2000年(平成12年) |
完成 | 2007年(平成19年)12月3日 |
開通 | 2015年(平成27年)3月14日 |
所有 | 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
管理 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
通行対象 | 鉄道車両(新幹線専用) |
技術情報 | |
全長 | 22,251 m |
軌道数 | 2(複線) |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
電化の有無 | 有(交流25,000 V・60ヘルツ) |
設計速度 | 260 km/h |
勾配 | 30‰ |
飯山トンネル(いいやまトンネル)は、北陸新幹線の飯山駅 - 上越妙高駅間にある、全長22.251 km[1]の鉄道トンネルである。北陸新幹線の既開業区間では最長のトンネルであり、日本の鉄道山岳トンネルとしては東北新幹線の八甲田トンネル、岩手一戸トンネルに次いで3番目に長い。
概要
[編集]長野県 - 新潟県境は、幾重にも重なる褶曲構造、膨張性の泥岩など複雑な地質構造、地質条件を持つため着工前より難工事が想定された。工事を進めていく中で、想定は現実的なものとなり、地山の膨張、メタンガスの発生が見られた[2]。前者については変位量を見込んで支保工を二重にするなど特殊な工法が採用された[3]ほか、後者についてはガス抜き用のボーリングの施工、送風量の増加などの対策が講じられた。新潟県内でかつて掘削された鍋立山トンネルにおける土木技術的経験が生かされたと言える。なお、一部工区では向斜構造(凹型の褶曲構造)を掘り抜く際には、原油がにじみ出すなど新潟県の地質らしい現象も見られた。大成建設は、本トンネルの施工において「超膨張性と高圧帯水層を有する特殊地山に適したトンネル施工技術の確立」により2008年の土木学会技術賞Iグループを受賞している。
工区
[編集]工事は6工区に分割して施工された。各工区には各1箇所の斜坑が設けられた。
- 上倉工区(3,820 m→3,066 m) - 鉄建建設・りんかい日産建設・守谷商会・長野建設JV
- 上倉斜路
- 富倉工区(3,800 m→4,554 m)- 熊谷組・日本国土開発・大本組JV
- 富倉斜路(760m)
- 新井工区(3,345 m) - ハザマ・鴻池組・加賀田組・丸山工務所JV
- 新井斜路
- 東菅沼工区(3,800 m) - 西松建設・東亜建設工業・植木組・中元組JV
- 東菅斜路
- 木成工区(3,800 m) - 大成建設・錢高組・第一建設工業・松本土建JV
- 木成斜路
- 板倉工区(3,660 m) - 大林組・大豊建設・松村組・田中産業JV
- 板倉斜路
崩落事故
[編集]2003年9月11日、上倉工区で大規模な崩落が発生、坑内に土砂が流入し、直上の地表面が陥没した。最初に崩落があったのは3時5分で、その後、22時までに合計4回の崩落が発生した。崩落箇所は、起点側坑口から3,067 mの地点の切羽天端で、流入土砂により重機などが約500 m押し流された。地表部は直径190 m、深さ30 m、容積30,000 m3に渡って陥没した[4]。
歴史
[編集]- 1998年
- 3月28日 - 長野市 - 上越市間で北陸新幹線延伸部の起工式。飯山トンネルの測量、設計に着手。
- 8月5日 - 飯山トンネル工事安全祈願祭を開催
- 1999年
- 6月28日 - 上倉工区安全祈願祭
- 7月26日 - 富倉工区斜路の掘削完了、本坑の掘削を開始
- 2000年 - 6工区のうち最初の工区に工事着手
- 2003年9月11日 - 掘削中のトンネルが落盤、上部の森林が陥没する事故が発生[4]。重軽傷者3名。
- 2007年
- 9月26日 - 上倉工区・富倉工区貫通式を開催
- 12月3日 - 全区間貫通。
- 2008年2月6日 - トンネル貫通式
- 2015年
脚注
[編集]- ^ 計画時の長さは22.225 kmであったため一部書籍ではその値のままになっている。
- ^ 長尾和明、山本浩之、笠博義、竹津英二、木村義弘「可燃性ガス発生が懸念される山岳トンネルにおける計測および対策について」『トンネル工学研究論文・報告集』第13巻、土木学会、2003年、263-268頁、doi:10.11532/journalte1991.13.263、2016年1月29日閲覧。
- ^ 剣持三平, 竹津英二, 青木智幸 ほか、「膨圧性泥質岩地山におけるトンネルの多重支保工の効果」『土木学会論文集F』 62巻 2号 2006年 p.312-325, doi:10.2208/jscejf.62.312, 土木学会
- ^ a b 北原秀介、朝倉俊弘、笹尾春夫「トンネル施工中に発生した大規模な岩盤崩落-北陸新幹線飯山トンネルの事例-」『学術講演会講演論文集』第55巻、日本材料学会、2006年5月26日、145-146頁、NAID 110006651391、2019年10月7日閲覧。
- ^ “北陸新幹線、トンネル内に破片 消火器保管箱の扉外れる”. 朝日新聞DIGITAL (朝日新聞社). (2015年11月4日). オリジナルの2016年1月29日時点におけるアーカイブ。 2016年1月29日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 北陸新幹線飯山トンネル - 土木学会技術賞
- 北陸新幹線飯山トンネル(板倉工区) - 大林組