ざわざわ下北沢
ざわざわ下北沢 | |
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監督 | 市川準 |
脚本 | 佐藤信介 |
原案 | 市川準 |
製作 | 宮本まさ江、八木桂子 |
製作総指揮 | 畠中基博、畠中鈴子、荒川礼子、本多良行、原田満生 |
出演者 |
原田芳雄 北川智子 |
音楽 | 清水一登、れいち |
撮影 | 蔦井孝洋 |
編集 | 三條知生 |
製作会社 | パグポイント |
配給 | シネマ下北沢 |
公開 | 2000年7月7日 |
上映時間 | 105分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『ざわざわ下北沢』(ざわざわしもきたざわ)は、2000年に公開された日本映画。市川準監督。脚本は市川の原案を基に佐藤信介が執筆した。主演は北川智子、原田芳雄、小澤征悦の3人。
ペサロ映画祭招待作品。
2021年12月にHDリマスター版で初Blu-ray化された。DVD化はされていない。
概要
[編集]本作の企画者は、下北沢にある映画館「シネマ下北沢」の創立者たちであり、この映画館は、映画製作のスタッフが「自分たちが観たい映画を上映する劇場が欲しい」という思いのもと作られた。つまり、映画への愛情に満ちた人々により作られ、そして今回、そこでかける映画まで作ってしまった。
また、下北沢に思い入れがある有名俳優、タレント、等がいわゆる「チョイ役」で多数出演している点もこの映画の特徴である。
メイキング・ドキュメンタリー『ざわざわ下北沢 の、できるまで。』(演出:オースミユーカ、35分)も併せて製作され、本作の再映時のおまけ作品として2001年4月14日に併映公開された。
あらすじ
[編集]下北沢で暮らす有希は、両親が転勤で半年間留守にする間、カフェでバイトを始めた。店の片隅で売られていた小さな陶器の「犬」を、拾い物だからと貰った有希は、恋人の達也にプレゼントした。
ビリヤード場で「見せて」と達也から「犬」を受け取り、そのまま持ち歩く田中。田中の恋人の真弓が、犬ではなく下北沢の真龍寺に祀られた「大天狗の面」だと指摘し、ねだって田中から「天狗」を貰った。真弓の友達の美亜は翌週の運転免許の試験のために、お守りとして「天狗」を借りた。
達也は、見習いカメラマンとして雇われた出版社を、かったるいからとすぐに辞めてしまった。下北沢をフラフラし、飯をおごってくれそうな友人を探す達也。そんな達也を、車を買ったらドライブに行こうと誘う美亜。運転免許試験に合格した美亜は、「天狗」を友人の千明に譲った。
有希と二股の彼女である摩耶がママを勤めるバーで、開店前に夕飯にありつく達也。そんな達也だが、若い男が嫌がる有希を引っ張って行こうとするのを見て、男を乱暴に追い払った。有希から以前に付き合っていた相手だと聞き、「ガキじゃん」とバカにする達也。
酒屋の跡取りの若い高藤は、年上の未亡人の静子に恋をしたが振られて落ち込んだ。だが、静子が「10年若かったら」と残念がったと聞いて元気を取り戻す高藤。そんな高藤に、どこで手に入れたのか、良いことがあると言って「天狗」を譲る静子。
カフェの常連で、下北沢を拠点とする役者の 九四郎は、同棲相手の福子が出て行ってからずっと落ち込んでいた。下北沢の劇場「ザ・スズナリ」で初めて九四郎の舞台を観て感動する有希。そんな九四郎に手紙で、上京した際に会いたいと連絡して来る福子。人前では行かないと反発したが、会いに行く九四郎。だが、すでに話すこともあまり無い2人だった。
有希の元カレを見つけた達也が、勝手に「話しをつけた」と知り、怒る有希。直後に有希は、摩耶と親しげにする達也を目撃し二股を直感した。達也が摩耶から別れを告げられたとも知らずに街をさまよい、ビリヤード場で達也の頬を叩く有希。
その夜、1人で帰宅して来た九四郎と自宅にいた有希、まだビリヤード場にいた達也の3人だけが、夜空に鳴り響く1ヶ月も早い除夜の鐘を聞いた。不思議に思って夜道に出て、刑事に追われる田中を見かけ、助けようとする九四郎。野次馬に混じって逮捕を見ている有希。達也もやって来たところで、目の前の歩道を突き破り、数十メートルの高い水柱が上がった。水滴を浴びて癒やされる有希たち。
両親が帰って来た自宅から引っ越し荷物を運び出す有希。手伝っているのは達也ではなく弟の健一だった。有希が「ちょっとだけ」下北沢から離れたくなった理由を語る健一の声。下北沢の楽しそうな雰囲気は、温泉のように人をフニャフニャにするのだという。
エンドクレジットの途中で、引っ越して行く有希に、「いいことがある」と「天狗」をプレゼントする知人のカップル。「いいことがあったら次の人に譲らないとバチが当たる」とまで尾ひれが付いた「天狗」を、「ありがとう」と笑顔で受け取る有希だった。
主な出演者
[編集]- 原田芳雄:九四郎、ベテランの舞台役者
- 北川智子:有希、KARASSのバイト
- 小澤征悦:達也、カメラマン
- イングリッド・フジ子・ヘミング:フジ子、ピアニスト
- 有吉康平:有吉、ミュージシャン
- りりィ:陽子、KARASSのママ
- 本多一夫:小屋主
- 八反田勝就:田中、達也の友人
- 中村靖日:林、達也の友人
- 唯野未歩子:美亜、有吉の恋人
- 岸部一徳:私服刑事A
- 柄本明:造形作家・豊橋
- 角替和枝:豊橋の妻
- 樹木希林:九四郎のファンの女性
- 渡辺謙:石田、KARASSの常連客、警察に追われる身
- 鈴木京香:麻耶、達也の年上の恋人、スナックのママ
- 豊川悦司:チラシを置きにくる演劇青年、劇作家
- 田中麗奈:令子
- 広末涼子:フリーマーケットの若い女性
- 阿部たかを:フリーマーケットの若い男性
- 田中裕子:福子、九四郎のかつての恋人
- テリー伊藤:ATMの客
- 橋本怜資:有希の弟・健一
- 平田満:有希の父
- 井上加奈子:有希の母
- はやしこば:有希の祖父・月村
- 松重豊:私服刑事B
- 草野康太:神田くん
- 広岡由里子:麻耶の店の店員
- 綾田俊樹:根本、喫茶ノラネコの店主
- 高橋克実:桜、レコード屋ムーズビルの店主
- 松尾スズキ:ビリヤード場の店長
- 円城寺あや:吉岡、古本屋の店主
- ねじめ正一:岸田、とある居酒屋の店主
- POCO:岸田の妻、歌っている人
- 大森南朋:高藤、酒屋の跡取り息子
- 藤井かほり:静子、骨董屋の未亡人
- 安部聡子:章介の彼女
- 阿部サダヲ:高藤の友人
- 葛山信吾:田代
- 外波山文明:神宮、舞台演出家
- 伊藤洋三郎:運転手
- 永澤俊矢:達也の兄
- SARU:健一の彼女
- 長塚圭史:章介、健一の友人、DJ志望、根本の息子
- 浅倉麗:健一の友人
- 大木裕之:健一の友人
- 山岡一:俺言座の若い座員
- 笠松伴助:俺言座の若い座員
- 安藤岳史:俺言座の若い座員
- 安妙子:真弓
- 田中要次:岡村、レンタルビデオ屋の店主
- 小林麻子:フジ子の家の通いの家政婦
- 荒谷清水:看板屋
- 鈴木卓爾:達也の友人
- 矢口史靖:達也の友人
- 犬童一心:達也の友人
- 今井陽子:千明
- 門脇学:スカウトマンA
- 森下能幸:スカウトマンB
- 沖山優司:有吉康平のバンドメンバー、ベース
- 松岡モトキ:有吉康平のバンドメンバー、ギター
- 斉藤光子:有吉康平のバンドメンバー、ドラム
- 梅田凡和:CDショップの店長
- 安藤一志:有希の元彼
- 川野弘毅:呼び込みの劇団員
- 宇和川士朗:呼び込みの劇団員
- 宮本裕子:ヤン
- 大西土門:俺言座の若い座員
- さとうこうじ:達也のバイトの先輩
- 翁華栄:警備服姿の男
- 中沢青六:工事人夫A
- 川上泳:工事人夫B、私服刑事
- 秋山道男:絵画サークルの先生
- 種子:絵画サークルの助手
- 伊藤詩織:アキ、絵を描く少女
- 原口周平:福子の幼い息子
- 川屋せっちん:追いかける人、私服刑事
- 紀伊修平:追いかける人、私服刑事
- 岸部哲郎:追いかける人、私服刑事
- 佐藤伸之:追いかける人、私服刑事
- 杉野克彦:追いかける人、私服刑事
- 園部貴一:追いかける人、私服刑事
- 坪井人太:追いかける人、私服刑事
- 三浦景虎:追いかける人、私服刑事
- 木村肇:私服刑事Bの吹き替え
- 早川喜貴:KARASSの客
スタッフ
[編集]- 監督・原案:市川準
- 脚本:佐藤信介
- 撮影:蔦井孝洋
- 美術:原田満生
- 編集:三條知生
- 音楽:清水一登、れいち
- ラインプロデューサー:木村利明
- 照明:中須岳士
- 録音:橋本泰夫
- 製作:宮本まさ江、八木桂子
- 製作総指揮:畠中基博、畠中鈴子、荒川礼子、本多良行、原田満生
- アソシエイトプロデューサー:畠中節代
受賞歴
[編集]- 第10回日本映画批評家大賞作品賞