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ぼくのそばにおいでよ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ぼくのそばにおいでよ』
加藤和彦スタジオ・アルバム
リリース
録音 1969年
ニッポン放送第1スタジオ
ジャンル フォーク
カントリー
ロック
時間
レーベル EXPRESS / 東芝音楽工業
加藤和彦 アルバム 年表
-ぼくのそばにおいでよ
1969年
スーパー・ガス
1971年
『ぼくのそばにおいでよ』収録のシングル
  1. 僕のおもちゃ箱
    リリース: 1969年4月10日 (1969-04-10)
  2. ネズミ・チュウ・チュウ・ネコ・ニャン・ニャン
    リリース: 1969年9月10日 (1969-09-10)
  3. 「ネズミ・チュウ・チュウ・ネコ・ニャン・ニャン」
    リリース: 1969年10月1日 (1969-10-01)(4曲入カセット:ZE-1054)
  4. ぼくのそばにおいでよ
    リリース: 1969年10月10日 (1969-10-10)
  5. チッチとサリー
    リリース: 1970年3月5日 (1970-03-05)
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ぼくのそばにおいでよ』(COME TO MY BEDSIDE)は、1969年12月1日に発売された加藤和彦の1枚目のソロ・アルバム。

解説

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1968年10月 (1968-10)ザ・フォーク・クルセダーズを解散した加藤はサンフランシスコに渡り、当時全盛だったヒッピー・カルチャーに触れたのち帰国。松山猛とアルバム制作にとりかかり、ニッポン放送の守屋嘉一と伊豫部富治の助力を得てレコーディングした。これは当初『児雷也』というタイトルの2枚組アルバムとして発表する予定だったが[1]、東芝は2枚組での発売に難色を示し、タイトルと収録曲が変更され1枚でリリースされた。加藤はレコード会社の圧力によってアルバムの内容が変更された経緯を記した『児雷也顛末記』と題する抗議文をアルバム・カバーに記載した。本作にはカントリーやアメリカン・フォーク、ディキシーランド・ジャズ、ラテン音楽、日本の童謡など、さまざまな音楽的要素が含まれており、後年、加藤は「あれはちょうど、例のヒッピーの世界から帰ってきた後だから、カルチャー・ショックと日本の自分がいままでやってる音楽と、カオス状態の時にできたやつだから、なんか不可解なもんですよ」[1]と語っている。

アートワーク

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オリジナル・アナログ盤はゲートフォールド (見開き) 仕様でポスターが付いていた。後年のCDリイシューではトータル・デザインに組み込まれ、紙ジャケットCDではジャケットが通常の1枚仕様になっている。なお、初発売時のレコード帯には、以下のキャッチコピーが記載されていた。

加藤和彦・第一弾LP !

収録曲

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アナログ・レコードでは#1から#7までがA面に、#8から#13までがB面に収録されている。
曲名と時間表記は初出アナログ・レコードに基づく。

  1. ぼくのそばにおいでよ (COME TO MY BEDSIDE) - (3:58)
    訳詞:日高仁、作詞/作曲:エリック・アンダーソン、編曲:加藤和彦と彼のグループ
    アメリカのシンガー・ソングライター、エリック・アンダーソンの楽曲の日本語によるカバー。加藤のソロ名義による3枚目のシングルとして#9とのカップリングでリリースされた。
  2. 日本の幸福I (THIS IS MY LAND I) - (3:06)
  3. 日本の幸福II (THIS IS MY LAND II) - (3:14)
  4. 日本の幸福III (THIS IS MY LAND III) - (1:43)
    作詞:佐藤信、作曲:加藤和彦、編曲:青木望 (#2) / 加藤和彦と彼のグループ (#3 & #4)
    メドレー形式による三部構成の組曲。これは佐藤信が主宰していた劇団黒テントの劇中歌で、佐藤が脚本を担当し、1968年11月24日にNTVで放映された同名の単発テレビドラマの主題歌にも使われている。
  5. だいせんじがけだらなよさ (DAISENJIGAKEDARANAYOSA) - (2:19)
    作詞:寺山修司、作曲:田中未知、編曲:加藤和彦と彼のグループ
    この楽曲の詞は寺山が天上桟敷の舞台「ある家族の血の起源」のために書いた台詞[2]の一部である。カルメン・マキがカバーしている[3]
  6. タヌキ (TANUKI) - (3:05)
    作詞:松山猛、作曲:トラディッショナル、編曲:クニ河内
    俗謡に松山があらたな歌詞をつけたもの。
  7. 9月はほうき星の流れる時 (SEPTEMBER IS A LONELY WORD) - (10:18)
    作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:クニ河内
  8. ネズミ・チュウ・チュウ、ネコ・ニャン・ニャン (CHU CHU AND NIYAN NIYAN) - (4:00)
    作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:ありたあきら
  9. アーサーのブティック (ARTHER'S BOUTIQUE) - (5:37)
    作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:クニ河内
    この楽曲には編曲者の意向で三味線が使われている[4]
  10. ひるねのミカ (DREAMIN' MIKA) - (5:09)
    作曲/編曲:加藤和彦
    加藤のアコースティック・ギターによるインストゥルメンタル。小倉エージはこの曲のトム・ラッシュからの影響を指摘している[5]。なお、加藤によると、この響きはマーチンD-45特有のものであるという[4]
  11. ゼニフェッショナル・ブルース (ZENIFESSIONAL BLUES) - (4:48)
    作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:加藤和彦と彼のグループ
  12. 13番街のおもちゃ屋 (SLAUGHTER ON 13TH STREET TOY SHOP) - (4:46)
    作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:青木望
    この楽曲は、五つの赤い風船が第2回全日本フォークジャンボリー出演時にカバーしている。
  13. 僕のおもちゃ箱 (MY TOY BOX) - (3:25)
    作詞:北山修、作曲:加藤和彦、編曲:ありたあきら
    加藤のファースト・ソロ・シングル曲。レコード会社の意向でアルバムに加えられた[1]

ボーナス・トラック

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2017年6月28日にユニバーサルミュージックジャパンから発売されたリイシュー盤『ぼくのそばにおいでよ+2』 (UICY-7306)には以下のボーナス・トラックが2曲追加されている。
時間表記は前記CDに基づく。

  1. ネズミ・チュウ・チュウ・ネコ・ニャン・ニャン(シングル・ヴァージョン) - (3:17)
    作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:ありたあきら
    加藤のソロ2枚目となるシングル曲。#8のエディット・ヴァージョンで、ミキシングも異なっている。
  2. チッチとサリー - (2:59)
    作詞:秋野由美子、補作詞:みつはしちかこ、作曲:加藤和彦、編曲:加藤和彦とそのグループ
    翁玖美子とのユニット ”チッチとサリー” 名義によるシングル曲。

参加ミュージシャン

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本作にはクレジット記載がないが、加藤の記憶[1]朝妻一郎の記録[6]によると、以下のミュージシャンが参加しているという。

発売履歴

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形態 発売日 レーベル 品番 アートワーク 解説 リマスタリング 初出/再発 備考
LP 1969年12月01日 EXPRESS EP-7729 ? なし 初出 A式ジャケット 初回盤はレッドビニール仕様
LP 1972年03月05日 EXPRESS ETP-8165 ? なし 再発 A式ジャケット
LP 1978年 DIW TL-1018 ? なし 再発 A式ジャケット
CD 1991年03月20日 EASTWORLD TOCT-6035 ? 篠原章/藤脇邦夫 記載なし 初出
CD 1999年02月25日 Pヴァイン PCD-1473 ? 田口史人/湯浅学 記載なし 再発 【“ニューロックの夜明け”番外編7】
CD 2008年10月22日 EXPRESS TOCT-26698 ? なし 記載なし 再発 紙ジャケット
CD 2011年10月26日 EXPRESS TOCT-11402 ? 湯浅学 渡辺昭人 再発 【EMI ROCKS “The First”】
紙ジャケット
CD 2017年06月28日 EXPRESS UPCY-7306 ? 小松喜冶 記載なし 再発 【名盤発見伝 ジャパニーズ・グラフィティー】
ボーナス・トラック2曲

参考文献

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  • 国際寺山修司学会編 編『寺山修司研究III』文化書房博文社、2009年11月。ISBN 978-4-83-011168-6 
  • 『ミュージック・マガジン 2009年12月号』株式会社ミュージック・マガジン、2009年12月。 
  • 文藝別冊 (編) 編『加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度』河出書房新社、2010年2月。ISBN 978-4-30-997731-7 
  • 前田祥丈 (聞き手・構成) 編『エゴ〜加藤和彦、加藤和彦を語る』スペースシャワーネットワーク、2013年7月。ISBN 978-4-90-670088-2 

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d 『エゴ~加藤和彦、加藤和彦を語る』
  2. ^ 『寺山修司研究III』
  3. ^ アルバム 『カルメン・マキ真夜中詩集〜ろうそくの消えるまで〜』(1969年)
  4. ^ a b 『加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度』p.68-69
  5. ^ ミュージック・マガジン』2009年12月号 p.32
  6. ^ シングル「ぼくのそばにおいでよ」(1969年10月、東芝音楽工業 EP-1184)カバー裏面の解説文より

外部リンク

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UNIVERSAL MUSIC JAPAN