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アパラチオサウルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アパラチオサウルス
生息年代: 白亜紀後期カンパニアン, 77 Ma
骨格
地質時代
白亜紀後期カンパニアン
(約7700万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
階級なし : 鳥吻類 Averostra
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
階級なし : ティラノラプトラ Tyrannoraptora
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea
: アパラチオサウルス属 Appalachiosaurus
学名
Alectrosaurus
Carr et al.2005

アパラチオサウルス学名Appalachiosaurus)は、白亜紀後期に北アメリカ大陸東部に生息したティラノサウルス上科に属する獣脚類恐竜の属。ほぼ全ての獣脚類と同様に二足歩行の肉食動物だった。全長7メートル超、体重600キログラム超の幼体の標本のみが発見されており、成体はさらに大きく成長したことが示唆されている。北アメリカの東部に由来する獣脚類では最も完全に知られているものである。

アメリカ合衆国アラバマ州中央のデモポリスチョーク層からアパラチオサウルスの化石は発見された。この層は約7700万年前の白亜紀後期カンパニアンの中期にあたる[1]。アパラチオサウルス・モントゴメリエンシスに割り当てられた化石はサウスカロライナ州ノースカロライナ州のターヒール層およびドノホクリーク層からも発見されている[2]

発見と命名

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オーバーン大学の地質学者デイヴィッド・キングが1982年6月に北アメリカ東部で模式標本を発見した[3]。アパラチオサウルスはアパラチアとしても知られているアメリカ合衆国東部地域にちなんで命名され、アパラチオサウルスが生息していた大陸にもこれに由来する名前が名付けられた。属名にはまた、恐竜に最も一般的に用いられる接尾詞でもある、ギリシャ語で「トカゲ」を意味する sauros が含まれる。アパラチオサウルスには唯一種アパラチオサウルス・モントゴメリエンシスのみが含まれ、これはアメリカ合衆国アラバマ州モンゴメリー郡にちなんで命名された。属名と種小名はともに2005年に古生物学者トーマス・カール、トーマス・ウィリアムソン、デイヴィッド・スクウィマーにより命名された[4]。初期の復元ではアパラチオサウルスに長い前肢と3本の指が与えられたが、現在ではもっと短く、2本の指しか存在しなかったと考えられている。

記載

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復元図

アパラチオサウルスは現在のところ部分的な骨格のみから知られており、この標本には頭骨・下顎骨・複数の椎骨・骨盤の一部・両後肢の大部分が保存されている。これらの化石はアラバマ州バーミングハム McWane Science Center に所蔵されている。頭骨の間には複数の縫合線が走り、この標本が成体でないことが示唆されている。潰れている要素もあるが、標本からはまだ情報を読み取ることができ、特有の特徴や子孫形質を確認できる。頭骨の複数の子孫形質が特定されており、脚の鉤爪は体に最も近い端で特異的な突出を見せている。大半のティラノサウルス上科の属は鼻先に様々な装飾を見せるが、鼻先の頂点に位置する6列の低い隆起はアジアのアリオラムスに類似する。標本は幼体のものだけが発見されており、成体の体躯と体重は未知数である。アパラチオサウルスは北アメリカ東部に由来する他の初期のティラノサウルス上科であるドリプトサウルスよりも派生的である。

アパラチオサウルスの前肢はわずかしか発見されていない。2本の機能的な指が生えた比率的に小さい前肢により巨大なティラノサウルス科は特徴づけられるが、アパラチオサウルスに割り当てられた上腕骨の報告を除けば、アパラチオサウルスの前肢は発見されていない。博物館の展示は適切に修正が加えられている[5]。アパラチオサウルスの咬合力は1平方インチあたり約3万2500ニュートンであった[6]

分類

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3本指の巨大な前肢が附随した、アパラチオサウルスの古い復元

アパラチオサウルスの唯一知られている標本は、分岐学を用いた系統解析に含めるのに十分なほど完全であった。アパラチオサウルスが命名され、そしてティラノサウルス科のうちアルバートサウルスゴルゴサウルスを含むアルバートサウルス亜科に位置付けられる以前に、第1回の系統解析が行われた[7]。最初の記載でも系統解析の結果を含めており、アパラチオサウルス・モントゴメリエンシスはティラノサウルス科の外の基盤的ティラノサウルス上科とされていた[1]。しかし、アジアのアリオラムスやアレクトロサウルスイングランドエオティラヌスといったティラノサウルス上科は除外された。この系統解析が行われた際にはディロンググアンロンといったさらに初期のティラノサウルス上科は記載されていなかった。これらの除外が系統解析の結果を大きく左右した。

以下のクラドグラムは大半のティラノサウルス上科を含み、Loewen らの2013年の研究に基づく[8]

ティラノサウルス上科
プロケラトサウルス科

プロケラトサウルス

キレスクス

グアンロン

シノティラヌス

ジュラティラント

ストケソサウルス

ディロング

エオティラヌス

バガラアタン

ラプトレックス

ドリプトサウルス

アレクトロサウルス

シオングアンロン

アパラチオサウルス

アリオラムス・アルタイ

アリオラムス・レモトゥス

ティラノサウルス科

出典

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  1. ^ a b Carr, T.D.; Williamson, T.E.; Schwimmer, D.R. (2005). “A new genus and species of tyrannosauroid from the Late Cretaceous (middle Campanian) Demopolis Formation of Alabama”. Journal of Vertebrate Paleontology 25 (1): 119–143. doi:10.1671/0272-4634(2005)025[0119:ANGASO]2.0.CO;2. 
  2. ^ Brownstein, Chase D. (2018-02-08). “The biogeography and ecology of the Cretaceous non-avian dinosaurs of Appalachia” (English). Palaeontologia Electronica 21 (1): 1–56. doi:10.26879/801. ISSN 1094-8074. 
  3. ^ http://www.australianmuseum.net.au/page/Appalachiosaurus-montgomeriensis/
  4. ^ Jovanelly, T.J.; Lane, L. (2012). “Comparison of the Functional Morphology of Appalachiosaurus and Albertosaurus. The Open Geology Journal 6: 65–71. doi:10.2174/1874262901206010065. オリジナルの2013-12-31時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131231001647/http://benthamscience.com/open/togeoj/articles/V006/65TOGEOJ.pdf. 
  5. ^ Archived copy”. 2013年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月26日閲覧。
  6. ^ Jovanelly, Tamie J.; Lane, Lesley (September 2012). “Comparison of the Functional Morphology of Appalachiosaurus and Albertosaurus”. The Open Geology Journal 6 ((1)): 65–71. doi:10.2174/1874262901206010065. 
  7. ^ Holtz, T.R. (2004). "Tyrannosauroidea." In: Weishampel, D.A., Dodson, P., & Osmolska, H. (Eds.). The Dinosauria (2nd Edition). Berkeley: University of California Press. Pp. 111–136.
  8. ^ Loewen, M.A.; Irmis, R.B.; Sertich, J.J.W.; Currie, P. J.; Sampson, S. D. (2013). Evans, David C. ed. “Tyrant Dinosaur Evolution Tracks the Rise and Fall of Late Cretaceous Oceans”. PLoS ONE 8 (11): e79420. doi:10.1371/journal.pone.0079420. PMC 3819173. PMID 24223179. http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0079420.