ウクライナの地名の呼称変更

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

本項では、2022年ロシアのウクライナ侵攻を受けた日本国政府が行ったウクライナ地名の呼称の変更について説明する。

概要[編集]

2022年ロシアのウクライナ侵攻を受け、主に自民党佐藤正久外交部会長などから日本政府に『ウクライナの首都の呼称 (当時はキエフ)が軍事侵攻している国のロシア語に基づいていて適切ではない。ウクライナの首都の呼称をロシア語の発音に基づく表記 (キエフ)からウクライナ語の発音に基づく表記 (キーウ)に変更してはどうか』等の指摘が寄せられた[1][2][3]

これを受け、外務省は適切な呼称についてウクライナ政府の意向について照会を行うと、ウクライナ側から了諾の回答が得られたため、ウクライナの首都の呼称をロシア語の呼称「キエフ」からウクライナ語の呼称「キーウ」に変更することとなった。さらに、ウクライナの首都の呼称変更に伴って、ロシア語に基づく表記のウクライナ国内の全ての都市もウクライナ語に基づく表記をすることとなった。外務省は、今回の見直しとの整合性をとるため、今後、各国の都市名が記載された在外公館法を改正する方針をあらわした。

歴史[編集]

各国の反応[編集]

ウクライナ[編集]

3月31日、ゼレンスキー大統領は日本がウクライナの首都の呼称をロシア語由来の「キエフ」からウクライナ語由来の「キーウ」に変更することについて「日本と岸田文雄首相に感謝し、他の国々も続くことを勧める」と自身のTwitterで感謝の思いをあらわした[8]

呼称変更された主な地名[編集]

ウクライナ語表記 ロシア語表記 英語 ウクライナ語
キーウ キエフ Kyiv Київ
チョルノービリ チェルノブイリ Chernobyl Чорнобиль
オデーサ オデッサ Odesa Одеса
ドニプロ ドニエプル Dnipro Дніпро
ルハンスク ルガンスク Luhansk Луганськ
ハルキウ ハリコフ Kharkiv Харків
ミコライウ ニコラエフ Mykolaiv Миколаїв
リヴィウ リヴォフ Lviv Львів
イヴァノ=フランキウスク イヴァノ=フランコフスク Ivano-Frankivsk Івано-Франківськ
ドニプロペトロウスク ドニエプロペトロフスク Dnipropetrovsk Дніпропетровська
チェルニウツィ チェルノフツィ Cherkasy Чернівці
ザポリッジャ ザポロージェ Zaporizhzhia Запорізька
リーウネ ローヴノ Rivne Рівне
テルノーピリ テルノーポリ Ternopil Тернопіль
チェルニヒウ チェルニゴフ Chernihiv Чернігів

外部リンク[編集]

モルドバの地名呼称の変更[編集]

外務省は2022年5月13日、旧ソ連を構成していた国モルドバの首都の日本語呼称について、ロシア語由来の「キシニョフ」からモルドバの公用語ルーマニア語由来の「キシナウ」に変更することを発表した[9]。さらに、ロシア系住民が一方的に独立を宣言した「沿ドニエストル共和国」の中心都市「ティラスポリ」は「ティラスポル」に呼称が変更された[10]

出典[編集]

  1. ^ キエフを「キーウ」に 自民部会長:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2022年10月5日閲覧。
  2. ^ 日本放送協会. “政府「キエフ」を「キーウ」に ウクライナ語に沿った表記 | NHK”. NHKニュース. 2022年10月5日閲覧。
  3. ^ ウクライナの首都等の呼称の変更”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2022年10月5日閲覧。
  4. ^ a b ウクライナ、首都表記「キーウに」 15年に外務省へ要請”. 日本経済新聞 (2022年3月18日). 2022年10月5日閲覧。
  5. ^ a b キエフ呼称、ウクライナ側が「キーウ」に変更要望…自民・佐藤正久氏”. 読売新聞オンライン (2022年3月18日). 2022年10月5日閲覧。
  6. ^ a b INC, SANKEI DIGITAL (2022年3月18日). “ウクライナが首都呼称変更要請 自民・佐藤氏が指摘”. 産経ニュース. 2022年10月5日閲覧。
  7. ^ ウクライナの首都等の呼称の変更|外務省”. 外務省. 2022年10月5日閲覧。
  8. ^ 「キーウ」に変更でゼレンスキー大統領が謝意。「時代遅れのソビエトの表記を捨てる時が来た」”. ハフポスト (2022年4月1日). 2022年10月5日閲覧。
  9. ^ ウクライナ侵攻 モルドバの首都、キシナウに変更 名称表記”. 毎日新聞. 2022年10月5日閲覧。
  10. ^ モルドバ首都の日本語呼称、要請受けて変更…ルーマニア語に基づく読み方に”. 読売新聞オンライン (2022年5月14日). 2022年10月5日閲覧。