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ジャワ文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャワ文字
aksara Jawa(ジャワ文字)と書いた例
類型: アブギダ
言語: ジャワ語など
親の文字体系:
ブラーフミー文字
Unicode範囲: U+A980..U+A9DF
ISO 15924 コード: Java
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
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ジャワ文字(ジャワもじ、aksara Jawa)は、ブラーフミー系文字の一種で、インドネシアジャワ語を表記するための文字のひとつ。

左から右へ書かれるアブギダで、バリ文字とはごく近い関係にある。

伝統的にジャワ文字はヤシの葉に書かれ、それを綴った書物はlontarと呼ばれる。1945年ごろまでは普通に用いられていたが、その後は国語であるインドネシア語の影響を受けて衰えた[1]。現在、ジャワ語は主にラテン文字で記される。

概要

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ジャワ島ではパッラヴァ文字で書かれた5世紀ごろのサンスクリットの碑文が残る。またカウィ語と呼ばれる文学語が発達し、これを表す文字をカウィ文字と称するが、すでに8世紀にはその特徴的な形が見られる[2]。ジャワ文字はこのカウィ文字から発達した文字のひとつである[3]

ジャワ文字は、ジャワ語のほかにサンスクリット、サンスクリット化したジャワ語、スンダ語ササク語にも使われるほか、カウィ文字の翻字にも使われる[1]

構造

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hanacaraka を絵にしたもの

ジャワ文字の子音字は20文字から構成され、インドの多くの文字と同様、単独では母音a[4]が後続する。その並び順は独自のもので、最初の5文字から hanacaraka とも呼ぶ。5文字ずつ順に読むと「hana caraka, data sawala, padha jayanya, maga bathanga」となり、ジャワ語で「使者と使者が戦ったが、腕前は互角であり、ふたりとも倒れて死んだ」という意味の文章になる(パングラム[5]

いくつかの子音は、固有名詞中で使うための別形(aksara gedhe)を持っている。

子音字にa以外の母音が後続するときには母音記号(ə i u e[6] o)を加える。母音字は(ə を除く)a i u e o の5種類がある。母音が後続しない場合には、pangku(または pangkon[7])と呼ばれる記号(ヴィラーマに相当)を加えるが、ほかに音節末子音を表す専用の記号が4種類(ng r h y)ある。子音結合は子音を縦に並べて記すが、下につく結合形は単独の文字とは大きく形が変化することが多い[8]

文字の一覧

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母音
文字 翻字 記号 記号名称
a a / ɔ - -
e ə pepet
i i wulu
u u suku
e(é) e / ɛ taling
o o taling-tarung
子音
通常 固有名詞用
文字 翻字 結合形 文字 結合形
ha -
na na
ca tʃa [9]
ra ra
ka ka
da da
ta ta
sa sa
wa wa
la la
pa pa
dha ɖa
ja dʒa
ya ja
nya ɲa
ma ma
ga ɡa
ba ba
tha ʈa
nga ŋa
子音(特殊)
文字 翻字
re
le
その他の記号
文字 翻字 名称 備考
r r cakra 子音が後続するときの形
ng ŋ cecak 母音が後続しないときの形
r r layar 母音が後続しないときの形
h h wignyan 母音が後続しないときの形
y j pengkal 母音が後続しないときの形
pangku
pangkon
子音に母音がつかないことを表す(ヴィラーマ
数字
文字
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

ギャラリー

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Unicode (ユニコード)

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2010年のUnicodeバージョン5.2で、基本多言語面のU+A980-A9DFに追加された[10][11]。文字の並び順はhanacarakaではなく、インドの伝統的な順序になっている。

Javanese[12]
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+A98x
U+A99x
U+A9Ax
U+A9Bx ꦿ
U+A9Cx
U+A9Dx

脚注

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  1. ^ a b Michael Everson (2008-03-06), N3319R3 Proposal for encoding the Javanese script in the UCS, https://web.archive.org/web/20090530153955/http://std.dkuug.dk/jtc1/sc2/wg2/docs/n3319.pdf 
  2. ^ Kuipers (2003) p.3
  3. ^ 西田(1981) p.258
  4. ^ a / ɔ は区別されない
  5. ^ Kuipers & McDermott (1996) p.478
  6. ^ e / ɛ は区別されない
  7. ^ N3613 Name correction for FPDAM 6: Javanese A9C0 JAVANESE PANGKON, (2009-04-10), https://web.archive.org/web/20150104031228/http://std.dkuug.dk/JTC1/SC2/WG2/docs/n3613.pdf 
  8. ^ Kuipers & McDermott (1996) pp.478-479
  9. ^ Kuipers & McDermott (1996) p.478 の表では結合形のみが存在する
  10. ^ Supported Scripts, Unicode, Inc., https://www.unicode.org/standard/supported.html 
  11. ^ Unicode 5.2.0, Unicode, Inc., (2009-10-01), https://www.unicode.org/versions/Unicode5.2.0/ 
  12. ^ Javanese, Unicode, Inc, https://www.unicode.org/charts/PDF/UA980.pdf 

参考文献

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  • Kuipers, Joel C. (2003). “Indic Scripts of Insular Southeast Asia: Changing Structures and Functions”. In Peri Bhaskarara. International Symposium on Indic Scripts: Past and Future. 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所. pp. 1-24. https://www.researchgate.net/publication/239556979_INDIC_SCRIPTS_OF_INSULAR 
  • Kuipers, Joel C.; McDermott, Ray (1996). “Insular Southeast Asian Script”. In Peter T. Daniels; William Bright. The World's Writing Systems. Oxford University Press. pp. 474-484. ISBN 0195079930 
  • 西田龍雄「東アジアの文字」『世界の文字』大修館書店、1981年、211-278頁。 

外部リンク

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