ソーナ (僧)
ソーナ・コーリヴィーサ | |
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名 | Sona-kolivisa |
師 | 釈迦仏 |
ソーナ・コーリヴィーサは、釈迦仏の弟子の一人である。
彼の名前は、経典などにより表記が異なるため、主なものを表記する。
- サンスクリット語:Śrona-kotivimśa,Śrona-vimśatikoti
- パーリ語:Sona-kolivisa
- カタカナ表記:ソーナ(シュローナとも)・コーリヴィーサなど
- 他の音写:首楼那・倶胝頻設、室路拏・頻設底拘胝、室楼多・頻設底拘胝など
- 音写(略):守龍那、輸輸、輪輪など
- 訳(意訳含む)・意味:二十億耳、明聴、聞二百億、二億耳、二百億など
人物・出身
[編集]『Udāna』V.6によると、アヴァンティ国のクララガァーラ・パパータ山に住んでいた迦旃延の教化により出家したという。
他の仏典によると、彼は過去世において、毘婆尸如来(ヴィパースィン仏、過去七仏の一)という仏が出世された時、一つの房舎を造って比丘衆に施したから、施房舎比丘とも呼ばれる。またその際、一つの羊皮を布き、僧をしてその上を踏ましめた。その因縁を以って、彼は91劫の間、天上人中に生まれ足は地を踏まなかったという。
釈迦が出世した時、彼は最後身にて、ヴァイシャリー(市民、商人)として大富豪の長者の家に生まれたという。テーラガータ(長老の偈)によると、出身は Campaa 国といわれる(ただし、玄奘の大唐西域記では、イリナ・パーヴァタ国となっている)。
過去世に、縁覚を供養した功徳により、全身が黄金のように輝き、かつ柔軟だったので、ソーナ(黄金)と名付けられた。手掌足蹠に柔らかい毛を生じ、足下は足さ二寸で青瑠璃のようで右に旋るといい、父は初生の時、20億の金を与えたという(大智度論29)。このことからコーリヴァイーサ(20億)と名付けられたという。また彼は生まれてから外に出歩いたことが無かったともいわれる。
釈迦が成道して来下された時、ビンビサーラ王の招きにより、釈迦仏に偈し信を生じて出家した。後に精進して足から血を流して修行するも、いまだ悟りを得ず、仏はソーナに「琴の弦は強くても弱くてもいい音は出ない、修行と悟りもまた同じである」と教下し、これによって彼は大悟したという(緊緩中道)。また別説では、寒林に住し精進して止まざれども証悟せず、在家に戻らんと欲するが、そこで仏が琴の弦にたとえて教下した、などとも伝えられている。
この「琴の弦」は、マハーヴァッガ(大品)を出典とする、仏教の中道を示す有名なたとえ話として知られている。