九州中央自動車道
高速自動車国道 新直轄方式・A'路線(無料) | |
---|---|
E77 九州中央自動車道 | |
地図 | |
路線延長 | 約95 km(国幹道として) |
制定年 | 1987年(昭和62年)(国幹道として) |
開通年 | 2006年(平成18年) - |
起点 | 熊本県嘉島町(嘉島JCT) |
主な 経由都市 |
熊本県御船町、山都町 宮崎県高千穂町、日之影町 |
終点 | 宮崎県延岡市(延岡JCT) |
接続する 主な道路 (記法) |
E3 九州自動車道 E10 東九州自動車道 |
■テンプレート(■ノート ■使い方) ■PJ道路 |
九州中央自動車道(きゅうしゅうちゅうおうじどうしゃどう、英語: KYUSHU-CHUO EXPWY[1])は、熊本県上益城郡嘉島町の嘉島ジャンクション (JCT) から宮崎県延岡市の延岡JCTに至る、全長約95キロメートル (km) の高速道路(高速自動車国道および高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路)である。略称は九州中央道(きゅうしゅうちゅうおうどう)。国土開発幹線自動車道の路線名は九州横断自動車道延岡線である。
高速道路ナンバリングによる路線番号は、「E77」が割り振られている[2]。
概要
[編集]九州の中南部を東西に横断する高速道路であり、九州自動車道と東九州自動車道を接続する。同じく九州を東西に横断する高速道路である長崎自動車道・大分自動車道が九州の北寄りに位置する長崎県・佐賀県・福岡県・大分県を結ぶのに対し、本路線は隣県でありながら九州山地に阻まれ往来が盛んでなかった熊本県と宮崎県北部を結んでおり、両地域の交流促進が期待されている。
国土開発幹線自動車道としての九州横断自動車道延岡線は、第四次全国総合開発計画では九州中部横断自動車道と呼ばれていた。1987年に国幹道の予定路線に指定されたものの、熊本県御船町 - 矢部町(現・山都町)間の基本区間への格上げは1991年、日本道路公団への施行命令は1998年、矢部町 - 宮崎県延岡市間の基本計画への格上げは1997年、と他の路線から大きく遅れを取った[3]。嘉島JCT - 山都通潤橋IC間は2003年に新直轄方式に変更され、以降国土交通省により整備が進められている。
2014年3月22日に新直轄方式により嘉島JCT - 小池高山IC間が開通し[4]、これが九州中央自動車道の単独路線としては初めての開通区間となった。蔵田交差点 - 延岡JCT/ICについては、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(A'路線)である国道218号北方延岡道路が2006年2月18日に初開業し、その後も延伸を続け2015年4月29日に全線で供用開始した。2009年には雲海橋交差点 - 平底交差点が、国道218号高千穂日之影道路(約5.1 km)として事業着手した。その後も未事業化区間において事業化へ向けた計画段階評価の着手が進み[5]、2021年現在では国道218号蘇陽五ヶ瀬道路(山都町 - 五ヶ瀬町)、国道218号五ヶ瀬高千穂道路(五ヶ瀬町 - 高千穂町)、国道218号高千穂雲海橋道路(高千穂町 - 日之影町)が新たに事業化されている[6][7][8]。
2024年2月現在での供用中区間は、嘉島JCT - 山都通潤橋IC、雲海橋交差点 - 平底交差点、蔵田交差点 - 延岡JCT/ICの3区間となっている。
事業主体である国土交通省は、法令による路線名である「九州横断自動車道延岡線」をそのまま事業名として用いてきた。熊本県・宮崎県の建設促進団体からは開通後の道路名として「九州中央自動車道」が提唱され[9]、2014年1月24日に嘉島JCT - 小池高山ICの開通発表の際に、道路管理者の国土交通省でも「九州中央自動車道」を道路名に採用することが併せて発表された[4]。
事業名・道路名
[編集]高速自動車国道の路線を指定する政令により、九州横断自動車道延岡線として下記のとおり定められている。
起点 | 重要な経過地 | 終点 |
---|---|---|
熊本県上益城郡御船町 | 熊本県上益城郡嘉島町 同郡山都町 宮崎県西臼杵郡高千穂町 | 延岡市 |
これを営業中・事業中路線の道路名に区分すると以下のようになる。※は高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路。なおこれらの区間も現地案内標識では「九州中央道」の表記がされている。
路線番号 | 道路名 | 区間 | 備考 |
---|---|---|---|
E77 | 九州中央自動車道 | 嘉島JCT - 山都通潤橋IC | 新直轄区間 |
山都通潤橋IC - 清和IC | 矢部清和道路※ | ||
計画段階評価⼿続き中(清和 - 蘇陽) | |||
E77 | 九州中央自動車道 | 蘇陽IC - 五ヶ瀬東IC | 蘇陽五ヶ瀬道路※ |
五ヶ瀬東IC - 高千穂IC | 五ヶ瀬高千穂道路※ | ||
高千穂IC - 雲海橋交差点 | 高千穂雲海橋道路※ | ||
雲海橋交差点 - 平底交差点 | 高千穂日之影道路※ | ||
基本計画区間(平底 - 蔵田) | |||
E77 | 九州中央自動車道 | 蔵田交差点 - 延岡JCT/IC | 北方延岡道路※ |
上記の通り、九州横断自動車道延岡線としての法定上の起点位置は御船町であり、嘉島町は経過地とされているが、営業上の道路名として使用されている九州中央自動車道の起点位置は嘉島町(嘉島JCT)となっている。
インターチェンジなど
[編集]IC 番号 |
施設名 | 接続路線名 | 起点から (km) |
BS | 備考 | 所在地 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
15-2 | 嘉島JCT | E3 九州自動車道 | 0.0 | - | 熊本県 | 上益城郡 | 嘉島町 | |
- | 益城本線料金所 | 本線料金所 | 0.9 | 益城町 | ||||
1 | 小池高山IC | 国道443号(土山バイパス) | 1.8 | 御船町 | ||||
2 | 上野吉無田IC | 県道221号田代御船線 | 9.4 | |||||
3 | 山都中島西IC | 国道445号 | 12.6 | - | 嘉島方面出入口 | 山都町 | ||
4 | 山都中島東IC | 国道445号 県道152号稲生野甲佐線 |
- | 延岡方面出入口 | ||||
5 | 山都通潤橋IC | 国道218号 | 23.0 | - | ||||
- | 清和IC | 国道218号 | 33.3 | - | 事業中[10] | |||
清和 - 蘇陽 (計画段階評価完了)[11] | ||||||||
- | 蘇陽IC[12] | 国道265号 | 0.0 | 事業中[6] | ||||
- | 五ヶ瀬西IC | 事業中[6] 嘉島方面出入口 |
宮崎県 | 西臼杵郡 | 五ヶ瀬町 | |||
- | 五ヶ瀬東IC[13] | 国道218号 | 7.9 | 事業中[7] 延岡方面出入口 | ||||
- | 高千穂IC[13] | 国道325号 | 17.1 | 事業中[7] | 高千穂町 | |||
雲海橋交差点 | 国道218号 | 20.4 | ||||||
日之影深角IC | 広域農道 | 23.2 | 日之影町 | |||||
平底交差点 | 国道218号 | 25.5 | ||||||
平底 - 蔵田 (基本計画区間) | ||||||||
延岡市 | ||||||||
蔵田交差点 | 国道218号 | 0.0 | 道の駅北方よっちみろ屋 | |||||
北方IC | 県道242号北方インター線 | 4.6 | ||||||
舞野IC | 国道218号 | 11.0 | 延岡方面出入口 | |||||
22 | 延岡JCT | E10 東九州自動車道 国道10号(延岡道路) 延岡インターアクセス道路 |
13.1 | - | ||||
延岡IC | ○ |
年表
[編集]- 1987年(昭和62年)
- 1995年(平成7年)11月30日 : 道路審議会答申、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路による代替が示される。
- 延岡線 : 北方延岡道路
- 1996年(平成8年)12月 : 御船 - 矢部(23 km)の整備計画、矢部 - 延岡(73 km)の基本計画策定。
- 1998年(平成10年)12月 : 嘉島 - 山都施工命令
- 2003年(平成15年)12月25日 : 国幹会議、新直轄区間選定。
- 上益城郡御船町 - 矢部町
- 2006年(平成18年)2月18日 : 北方延岡道路 舞野IC - 延岡JCT 2/4車線供用
- 2008年(平成20年)4月26日 : 北方延岡道路 北方IC - 舞野IC 2/4車線供用[14]
- 2012年(平成25年)
- 2013年(平成25年)7月 : 宮崎県高千穂町 - 日之影町間(高千穂日之影道路)着工[17]。
- 2014年(平成26年)3月22日 : 嘉島JCT - 小池高山IC間開通。単独路線としては初の供用区間となる[4]。
- 2015年(平成27年)4月29日 : 国道218号 北方延岡道路 蔵田交差点 - 北方IC間開通により、北方延岡道路が全線で供用開始[18][19]。
- 2018年(平成30年)
- 2020年(令和2年)度 : 国道218号 蘇陽五ヶ瀬道路 蘇陽IC - 五ヶ瀬東IC間 新規事業化[6]。
- 2021年(令和3年)
- 2022年(令和4年)
- 2023年(令和5年)
- 2024年(令和6年)2月11日 : 山都中島西IC - 山都通潤橋IC間開通[28]。
路線状況
[編集]車線・最高速度・料金
[編集]区間 | 車線 上下線=上り線+下り線 |
最高速度 | 設計速度 | 料金 | |
---|---|---|---|---|---|
嘉島JCT - 益城本線TB | 2=1+1(完成2車線) | 80 km/h |
80 km/h | 有料 | |
益城本線TB - 山都通潤橋IC | 無料 | ||||
(山都通潤橋IC - 雲海橋交差点間未開通) | |||||
雲海橋交差点 - 平底交差点 | 2=1+1 (完成2車線) |
80 km/h | 80 km/h | 無料 | |
(平底交差点 - 蔵田交差点間未開通) | |||||
蔵田交差点 - 北方IC | 2=1+1 (完成2車線) |
80 km/h | 80 km/h | 無料 | |
北方IC - 延岡IC (北方延岡道路) |
2=1+1 (暫定2車線) |
70 km/h | 100 km/h |
サービスエリア・パーキングエリア
[編集]道路上ではないが、北方延岡道路蔵田交差点の近くに道の駅北方よっちみろ屋が設置されている[29]。
道路管理者・整備主体
[編集]- 国土交通省九州地方整備局
-
- 熊本河川国道事務所 : 益城本線料金所 - 清和IC、蘇陽IC - 宮崎県境
- 延岡河川国道事務所 : 熊本県境 - 平底交差点
- 延岡高速道路維持出張所 : 蔵田交差点 - 延岡JCT/IC
交通量
[編集]24時間交通量(台)道路交通センサス
区間 | 平成22(2010)年度 | 平成27(2015)年度 | 令和3(2021)年度 |
---|---|---|---|
嘉島JCT - 益城本線TB | 調査当時未開通 | 1,012 | 2,714 |
益城本線TB - 小池高山IC | |||
小池高山IC - 上野吉無田IC | 調査当時未開通 | 5,558 | |
上野吉無田IC - 山都中島西IC | 5,450 | ||
山都中島西IC - 山都中島東IC | 調査当時未開通 | ||
山都中島東IC - 山都通潤橋IC | |||
雲海橋交差点 - 日之影深角IC | 6,465 | ||
日之影深角IC - 平底交差点 | 非観測 | ||
蔵田交差点 - 北方IC | 6,075 | 7,122 | |
北方IC - 舞野IC | 7,676 | 8,445 | 8,314 |
舞野IC - 延岡JCT/IC | 11,835 | 11,631 | 10,636 |
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
地理
[編集]通過する自治体
[編集]接続する高速道路
[編集]脚注
[編集]- ^ “Japan's Expressway Numbering System” (PDF). Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism. 2022年4月4日閲覧。
- ^ “高速道路ナンバリング一覧”. 国土交通省. 2017年2月26日閲覧。
- ^ 『平成15年 日本道路公団年報』162頁
- ^ a b c “九州横断自動車道延岡線(九州中央自動車道)嘉島JCT〜小池高山IC開通のお知らせ―熊本県内初の九州横断自動車道延岡線の開通―”. 国土交通省熊本河川国道事務所・熊本県・西日本高速道路株式会社 (2014年1月24日). 2014年1月24日閲覧。
- ^ “九州横断自動車道延岡線(蘇陽〜高千穂)の道路計画を進めるにあたり、地域の皆様のご意見をお聞かせ下さい”. 国土交通省熊本河川国道事務所・延岡河川国道事務所 (2013年11月21日). 2014年2月1日閲覧。
- ^ a b c d “新規事業採択時評価結果(令和2年度新規事業化箇所)” (PDF). 国土交通省道路局. 2020年4月23日閲覧。
- ^ a b c d “新規事業採択時評価結果(平成30年度新規事業化箇所)” (PDF). 国土交通省 (2018年3月30日). 2018年4月4日閲覧。
- ^ a b 新規事業採択時評価結果(令和3年度新規事業化箇所)- p.25 (PDF)
- ^ “「国の責任で早期整備を」東九州道などで決起大会”. miyanichi e press (宮崎日日新聞). (2010年9月27日) 2011年1月14日閲覧。
- ^ a b “新規事業採択時評価結果(令和4年度新規事業化箇所)” (PDF). 国土交通省道路局. 2022年3月26日閲覧。
- ^ “九州中央自動車道(九州横断自動車道延岡線)の概要 - 熊本県ホームページ”. www.pref.kumamoto.jp. 2024年11月3日閲覧。
- ^ “2013高速道路Miyazaki Expressway Network p.2” (PDF). 宮崎県県土整備部高速道対策局 (2011年3月). 2014年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月4日閲覧。
- ^ a b 平成30年度 新規事業候補箇所説明資料 高規格幹線道路 ➄一般国道218号(九州横断自動車道延岡線)五ヶ瀬高千穂道路国土交通省
- ^ 国道218号 北方延岡道路「北方IC-舞野間」供用式典4月26日開催!! 〜15時から一般交通開放予定〜 (PDF)
- ^ 国土交通省告示第千八十九号 (PDF) - 国土交通省 平成二十四年十月十一日
- ^ 国土交通省告示第千四百六十五号 (PDF) - 国土交通省 平成二十四年十二月十八日
- ^ “着工、総工費206億円-国道218号高千穂日之影道路”. 夕刊デイリー. (2013年9月12日) 2014年1月26日閲覧。
- ^ 国道218号 北⽅延岡道路 蔵⽥〜北⽅間が平成27年5月までに開通します - 国土交通省 九州地方整備局 延岡河川国道事務所 2014年10月29日発表
- ^ 北方延岡道路が4月29日(水・祝)に全線開通 〜5月の連休前に開通します!〜 - 国土交通省九州地方整備局 延岡河川国道事務所 記者発表資料 平成27年2月19日付
- ^ a b “九州中央自動車道 高千穂日之影道路(雲海橋交差点〜日之影深角IC間) 平成30年11月11日(日)に開通します” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 延岡河川国道事務所 (2018年9月26日). 2018年9月26日閲覧。
- ^ “九州中央自動車道のインターチェンジ名称が決定” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 熊本河川国道事務所 (2018年10月17日). 2018年10月17日閲覧。
- ^ “九州中央自動車道(小池高山IC〜山都中島西IC間)平成30年12月16日(日)に開通します” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 熊本河川国道事務所 (2018年11月7日). 2018年11月7日閲覧。
- ^ “九州中央自動車道 高千穂日之影道路 日之影深角IC〜平底交差点間が令和3年8月21日(土)に開通! 〜地域の観光・医療・防災を支援します〜” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 延岡河川国道事務所 (2021年7月9日). 2021年7月9日閲覧。
- ^ “九州中央自動車道「矢部清和道路」中心杭打ち式(山都町)”. 熊本県 (2022年12月13日). 2023年3月1日閲覧。
- ^ “国道218号(九州中央自動車道) 蘇陽五ヶ瀬道路(五ヶ瀬区間)の工事に着手します 〜災害に強い道路ネットワークを構築し、地域産業の活性化・観光振興を支援〜” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 延岡河川国道事務所 (2023年9月13日). 2023年9月30日閲覧。
- ^ 「九州中央道 五ケ瀬西―東 11月3日着工」『MIYANICHI e-press』(宮崎日日新聞社)2023年9月14日。2023年9月14日閲覧。
- ^ “国道218号(九州中央自動車道) 蘇陽五ヶ瀬道路(蘇陽区間)の工事に着手します 〜災害に強い道路ネットワークを構築し、地域産業の活性化・観光振興を支援〜” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 熊本河川国道事務所 (2023年9月29日). 2023年9月30日閲覧。
- ^ “九州中央自動車道(山都中島西IC〜山都通潤橋IC)が令和6年2月11日(日)16時に開通します!” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 熊本河川国道事務所 (2023年11月1日). 2023年11月1日閲覧。
- ^ “「道の駅」北方よっちみろ屋・野方あらさの 新たに登録 〜九州地方整備局管内では118箇所に〜” (PDF). 国土交通省九州地方整備局 (2014年10月10日). 2014年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月25日閲覧。
- ^ “令和2年度全国道路・街路交通情勢調査 の延期について”. 国土交通省. 2024年4月18日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 熊本河川国道事務所
- 延岡河川国道事務所
- NEXCO西日本
- 九州中央自動車道(九州横断自動車道延岡線) - 熊本県ウェブサイト