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梵天

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大梵天王から転送)
梵天
中国北京の智化寺にある梵天像(明代)
梵天
梵名 ब्रह्मा
Brahmā
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帝釈天(左)と梵天(右)

梵天(ぼんてん, : Brahmā )は、仏教天部の一尊[1]。梵天は仏教の世界観において最高位の一つである梵天界(Brahmaloka)の主である[1][2]

古代インドの神ブラフマーが仏教に取り入れられたもので、十二天に含まれる。brahmanの漢訳。帝釈天と対になって祀られることが多く、両者を併せて「梵釈」と称することもある。

仏教の伝説では、悟りを開いた直後の釈迦は、その教えを広めることをためらったが、教えを広めるよう勧めたのが梵天サハンパティ(sahampatissa)とされ、この出来事は梵天勧請(ぼんてんかんじょう)と称される[3][4]

なお、天部(六道十界の1つである天上界)は、さらに細かく分別されるが、色界十八天のうち、初禅三天の最高位(第三天)である大梵天を指して「梵天」と言う場合もある。神としての梵天はこの大梵天に住み、その下の第二天である梵輔天には、梵天の輔相(大臣)が住み、さらにその下の第三天である梵衆天には、梵天の領する天衆が住むとされる。[5]

起源

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バラモン教の神が仏教に取り入れられ、仏法の守護神とされ、梵天と称されるようになった。ブラフマーは、古代インドにおいて万物実存の根源とされた「ブラフマン」を神格化したものである。ヒンドゥー教では創造神ブラフマーはヴィシュヌ(維持神)、シヴァ(破壊神)と共に三大神の1人に数えられた。

美術

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日本における梵天・帝釈天一対像としては、東大寺法華堂(三月堂)乾漆像、法隆寺旧食堂塑像、唐招提寺金堂木像などが奈良時代に遡る遺例として知られ、奈良・興福寺には鎌倉時代作の像がある。これらの像はいずれも二臂の、普通の人間と同じ姿で表され、頭には宝髻を結って、手には払子や鏡、柄香炉を持つなど、時代の貴人の服装をしている。

これらの梵天像と帝釈天像はほとんど同じ姿に表現され、見分けの付かない場合もあるが、帝釈天像のみが、衣の下に皮製の甲(よろい)を着けている場合もある。

密教における梵天像は四面四臂で表され、これはヒンドゥー教のブラフマー像の姿が取り入れられたものである。6世紀半ばから8世紀ごろのインドの様式が源流ではないかという指摘があり、エレファンタ石窟群にあるブラフマー像が例の1つとして挙げられている[6]。彫像では京都・東寺講堂の木像が著名である(国宝)。東寺像は四面四臂の坐像で、4羽の鵞鳥(ハンサ鳥)の上の蓮華座に乗っている。

聖観音を本尊とした梵天と帝釈天の三尊形式も見られ、これは平安時代に二間観音供のために祀られたものである。この遺例としては、鎌倉時代後期の東寺の白檀像、愛知県の瀧山寺に見ることができる。瀧山寺像は、運慶の作とされている。

「万物の根源」という漠然としたものを造形化した神で、親しみが湧きにくいためか、インドでも日本でも梵天に対する民衆の信仰はあまり高まらなかった。

脚注

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  1. ^ a b Yuvraj Krishan (1996). The Buddha Image: Its Origin and Development. Bharatiya Vidya Bhavan. pp. 120. ISBN 978-81-215-0565-9. https://books.google.com/books?id=kDyJh--iaL0C&pg=PA120 
  2. ^ Robert E. Buswell Jr.; Donald S. Lopez Jr. (2013). The Princeton Dictionary of Buddhism. Princeton University Press. p. 142, Article on brahmaloka. ISBN 978-1-4008-4805-8. https://books.google.com/books?id=DXN2AAAAQBAJ 
  3. ^ * パーリ仏典, 経蔵中部 聖求経, 26 Ariyapariyesana Sutta, Sri Lanka Tripitaka Project
  4. ^ Robert E. Buswell Jr.; Donald S. Lopez Jr. (2013). The Princeton Dictionary of Buddhism. Princeton University Press. pp. 141–142. ISBN 978-1-4008-4805-8. https://books.google.com/books?id=DXN2AAAAQBAJ 
  5. ^ * 仏教ウェブ入門講座
  6. ^ 山岸公基『日本美術館』講談社、1997年、210頁。

関連項目

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