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楽 (仏教)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
仏教用語
パーリ語 sukha
サンスクリット語 Dev: सुख
sukha
日本語
英語 Happiness, pleasure, ease, or bliss
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仏教における(らく、: sukha)とは幸福、安楽を意味する。

楽(sukha)の対義語はduḥkha)であり、ヴェーダの宗教の基本的概念とされた。苦の滅尽は初期仏教のメインテーマであった[1]

語源

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Monier-Williams (1964)によれば、スカの語源は su ['good'] + kha ['aperture']とされ[2]、良い車輪の穴を持っているということであり、リグ・ヴェーダにおいては「軽やかに走る」という文意である[2]

パーリ経典

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アナナ経

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アナナ経増支部四集,適切業品)においては、釈迦は「在家者の求める富」(gihinā |kāma-bhoginā)について4種類の楽を挙げている。

  • 正義の手段によって富を獲得する楽 (atthi-sukha)
  • 富を家族、友人、功徳的行為に自由に使う楽 (bhoga-sukha)
  • 債務から解放され、借りがない自由の楽 (anaa-sukha)
  • 憎しみから解放され、思考、言葉、行為で誤りを犯すことなく、完璧で純粋な人生を送る楽 (anavajja-sukha)

賢者(sumedhasa)は4種類のうち、最後の「憎しみからの解放」の楽が、最も在家者の幸せであると知る[3] 。経済的および物質的な楽は、誤りのない良い人生がもたらす精神的な幸福の、16分の1の価値しかない。

パッタカンマ経

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パッタカンマ経(増支部四集,適切業品)では、釈迦は在家者に対し、恵まれた人の四つの行いについて述べている[4]

  • 受用の楽 - 正当な方法で財産を得た在家者について、その使い道を述べる[4]
    • 自分自身の面倒を見て楽しむ
    • 両親に楽をさせて養う
    • 妻子、使用人に楽をさせて養う
    • 親友たち、仲間に楽をさせる
  • 財産の確保の楽[4]
    • 財産がなくならないように、適切な対策を取るべきとしている
  • 義務を果たせる楽 - 社会の中における自分の義務を果たせる喜び[4]
    • 親族に対する義務
    • 来客、旅人に対する義務。旅の修行者をもてなすなど。
    • 先祖供養の義務
    • 王(施政者)に対する義務
    • 神々に対する供養の義務。土地の神々に対する供養など
  • 布施ができる楽 [4]

カーラーマ経

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迦羅摩経(増支部 3.65)では、民衆は釈迦に対し、どのように教えが真実であるかを確かめればよいかを尋ねた。そこで釈迦は、これらに到達し住する(upasampajja vihareyyātha)べき法として、以下を挙げた。

  • 利益 (kusalā)
  • 過失なきもの (anavajjā)
  • 智者 (viññuppasatthā) から賞賛されるもの
  • 完遂され受持されたならば、利益と安楽へと導かれるもの(samattā samādinnā hitāya sukhāya)

この対話で釈迦は、三毒たる(lobha)、 (dosa)、 (moha) が無くなれば、これらの幸福がもたらされることを、民衆との対話で合意したのである。

ダンマパダ

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Jighacchāparamā rogā saṅkhāraparamā dukhā
Etaṃ ñatvā yathābhūtaṃ nibbāṇaparamaṃ sukhaṃ.

飢えることは、最悪の病である。
サンカーラは、最悪の苦しみである。
このことをあるがまま知る者にとって、涅槃は最高の幸福である。

ディガジャヌ経

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脚注

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  1. ^ Regarding the relationship between sukha and dukkha, Rhys Davids & Stede (1921-5), p. 716, entry for "Sukha" (retrieved from http://dsal.uchicago.edu/cgi-bin/philologic/getobject.pl?c.4:1:262.pali), simply identifies that dukkha is one of the antonyms of sukha (along with asukha) and, in such contexts, is sometimes spelled dukha.
  2. ^ a b Monier-Williams (1964), p. 1220, entry for "Sukhá" (retrieved from http://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/scans/MWScan/MWScanpdf/mw1220-suUti.pdf). Square-bracketed words ("good" and "aperture") are based on Monier-Williams, pp. 334, 1219.
  3. ^ Bodhi (2005), pp. 127-8; and, Thanissaro (1997a). Pali is based on the Sri Lanka Tripitaka Project (SLTP) edition, retrieved 2008-05-08 from "MettaNet" at http://www.metta.lk/tipitaka/2Sutta-Pitaka/4Anguttara-Nikaya/Anguttara2/4-catukkanipata/007-pattakammavaggo-p.html. Bodhi's translation omits the last verse (which praises happiness of blamelessness) which can be found in both Thanissaro's translation and the SLTP.
  4. ^ a b c d e アルボムッレ・スマナサーラ『テーラワーダ仏教「自ら確かめる」ブッダの教え』(kindle)Evolving、2018年、24%。ISBN 978-4804613574 
  5. ^ アルボムッレ・スマナサーラ『原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話』佼成出版社、2003年、Kindle版, 4.6。ISBN 978-4333020447 

関連項目

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